恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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拠点回その1(?)だ。

眠気で危うく事故しかけた頭で紡いだため、とっ散らかってるやもしれぬが、楽しんでくれれば幸いだ。

あと、場合によっては午後編を加えるやもしれぬので、そのあたりは温かい目で見てもらいたい。

おお、あとずいぶんと遅くなったが、天照光さん、カイザレックスさん、評価をありがとう。

感謝する。

このような評価や感想など、何らかのリアクションがあると、読んでもらえてる実感がわいて、私としてはうれしいかぎりだ。

無論、感想を書いてくださった方々にも感謝している。
……前書きなどで書かぬだけで。

さて、私の個人的なことはこれくらいにしておこう。

P.S.サブタイトルを変更した。
――実質幕間のないようゆえに……。


では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。


束の間の休息 ~1日目午前~

翌日、私は割り当てられた部屋の前にて、詠から預かっていた細作からの報告を受けていた。

 

何故自室でないかは、お察しの通り……。

 

「……そうか。報告ごくろう。成功報酬は期待しておくといい」

 

「……!!では私はこれで失礼いたします」

 

細作は私に一礼した後、足早に去っていった。

 

「……泰山の南方、徐州北部の開陽か……」

 

一つの幕の終わりを、私は感じていた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

朝食後……。

 

主要な人物をそろえ、私は会議室にて、会議を開いた。

 

「明け方に手に入れた情報により、我々は青洲を鎮圧後、徐州北部の開陽を目指す。そこにはこの乱の発端となった人物である張角、張宝、張梁の三人がいる。……言うまでもないが、そこが最終決戦となるだろう」

 

私の言葉に対し、少なくない緊張を抱く者たち。

 

「卿らの予想通り、今のままでは厳しい戦いになるのは明らかだ。現在の兵力を比較した場合、こちらはおよそ7万で、向こうは30万という、細作からの報告がある」

 

私の言葉で、一部軍師がはわあわ言いだしたがそれを無視する。

 

「だが、凶報だけではなく朗報もある。……亡き孫堅の一族郎党と家臣団を傘下に加えた袁術と禁軍の一部を貸していた曹操が、任城に向かっているので、合流すれば、およそ3対1まで兵力差は埋められるだろう。ついでに私が多少の布石を用意してあるため、勝利こそ約束できるが如何せん被害が多い。……後は軍師たちの策と将兵の奮闘、時の運がどこまで損害を減らせるかを左右する」

 

――期待、驚愕、恐怖、好奇心……。

 

様々な視線が私に浴びせられる。

私は全員を一瞥した後、続きを述べる。

 

「乱の鎮圧の為、卿らの健闘に期待する」

 

私の一言で、一同は意識を一つにしたようだ。

 

――やりすぎた……。

 

私は己の言葉に少しばかり反省し、さらに続ける。

 

「それはさておき、適度な休息も人が力を出すためにも必要だ。よって今日から3日間は自由行動とする。先ほどの言葉を忘れて弛み過ぎぬ程度に、羽を伸ばしておくといい。私からは以上だ。――解散」

 

私はそう言って、部屋を後にした……。

 

 

 

 

 

 

「兵の疲労も考えれば、妥当と言ったところか……」

 

「まあそうね。兵士だって人間だもの。ライニみたいに魔力さえあれば休みなしで動けるのはサーヴァントくらいだし……」

 

「自由行動日ですか……。またライニさんの演奏が聞きたいな……」

 

冷静に分析する何進と賈駆。

 

そして何を思いだしたのか、頬を赤く染めている董卓。

 

「護衛対象なので、貴女と同行させて頂きます、詠」

 

李奉が詠の斜め後ろに現れ、そう告げる。

 

「私は兵士の方に適度に休むよう、言っておきますね」

 

女性比率の高さに息苦しさを感じたらしい姜維がそう言ってそそくさと去っていった。

 

「ウチは適当にくつろいどるから、なんかあったらよんだってや」

 

そう言って立ち去ろうとする張遼。

 

「私は久しぶりに1対1の鍛錬をするとしよう。……恋、すまないが最近骨がない相手ばかりだったのでな。相手を頼めるか?」

 

「ん。分かった」

 

華雄は研鑽を怠らぬと言わんばかりに、格上の呂布に相手を頼む。

 

「あっ、ウチもまぜて~な」

 

華雄と呂布の言葉を聞いた張遼はあっさりと手の平を返す。

 

「……私も参加する。最近緊張感がない戦いばっかりだったから……」

 

眠たげな眼に戦意を宿した高順も、参加表明を示す。

 

「なんか楽しそうだな。あたいも混ざっていいか?」

 

そんな彼女らの傍にいた、文醜が興味を示す。

 

「文醜か。私は構わんが……」

 

「丁度いい。……恋も、適度な緊張感が欲しかった」

 

「力の差を見せてあげましょう」

 

華雄が少し困った顔をして仲間を見ると、呂布と高順は武人としての血が騒ぐのか、オーラのようなものを放ち始めた。

 

「ついでにそっちの娘も鍛錬せーへんか?恋の助言貰えば、もらう前よりずっと良くなるで?」

 

「へっ!?私ですか!?」

 

張遼の誘いに驚く顔良。

 

「丁度いいじゃんか、斗詩。一緒に行こうぜ」

 

「斗詩さん。貴女もたまには強者に揉まれてきなさいな」

 

「(……麗羽様がすごいまともなこと言ってる)」

 

文醜と共に行くことを進める袁紹に、主の発言に驚きを隠せない田豊。

 

「ねねは恋殿と水蓮のために水などを用意するのですよ」

 

陳宮はそう言って一足早く部屋を後にする。

 

そんなやり取りを見て、笑顔を見せる盧植。

隣にいた皇甫嵩に思わず問いかける。

 

「若いっていいわね、そう思わない?楼杏(ローアン)

 

「ええ。そうね……。(あの人は……好色家だけど、それに見合う度量も実力もあるのよね……。私も独り身は寂しくなってきたし……)」

 

半ば上の空の皇甫嵩は生返事をした後、思考の海へ、その身を投じた……。

 

「……はあ。あれくらいの王気が私にもあればなぁ……」

 

「姉上、アレは人を辞めねば至らぬ領域。姉上の統治がしっかり行き届いてるからこそ、黄巾党もそこまで活発でなかったのですから、自分の手腕に自信を持ってください」

 

「越の言う通りだよ、マスター。アレはあのお兄さんだから至った領域だよ。……たぶん、あの領域に近い人間が同じ時代に2人いたら奇跡ってレベルなんだから、諦めたほうが良いよ」

 

「ライダー殿の言う通りですぞ、主よ。己にないものをうらやむのは人の性と言いますが、アレは貴女が逆立ちしても、手に入れることは不可能。今ある己の才を大事になされよ」

 

無いものねだりをする公孫賛に対し、冷静に諌めつつも褒めるのを忘れぬ弟と、バッサリ切り捨てるアストルフォと趙雲。

公孫賛が凹むのは、確定と言うべきか……。

 

「鈴々も混ざりたいのだ」

 

「ほとんど初対面の相手に挑む心意気は良いが、失礼の無いようにな、鈴々」

 

楽しそうに呂布たちの一団を見る張飛と義理の妹に注意をする関羽。

 

「私は町のお店巡りかな。アーチャー、愛紗ちゃん、護衛よろしくね」

 

「すまないが、私は少しラインハルトと話をしてくる。……万一の時は令呪を使ってくれ」

 

「あ、なら私も行くよ」

 

「お待ちください、桃香様。私もついて行きます」

 

サーヴァント(エミヤ)の言葉であっさり意見を変える劉備にそれに慌てる義妹。

 

「私たちもついて行っていいですか?」

 

「あの人と、少しお話がしてみたいので……」

 

「皆さまが行かれるのでしたら、私も連れていってくださいませ」

 

恐る恐る尋ねる諸葛亮と鳳統。

 

そして恭しく頭を垂れるメイド服の孫乾。

 

「ついてくる分には止めはしない。向こうも綺麗どころは歓迎と言っていたからな」

 

紅き弓兵はそう言うと、金色の獣を追うように部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「……それは本当なのだな?」

 

「ああ。平原の太守を任せるつもりだ。霊帝は後宮にこもっており、実質の政務は何進が行っていた。彼女に一言入れておくゆえ、安心するといい」

 

エミヤの問いかけに、私は彼を見据えて答える。

四阿(あずまや)にてくつろいでいると、エミヤと劉備たちがやって来て、劉備の今後を尋ねてきたので、答えた。

 

「ただし、最終戦とその前哨戦である行軍にて、私の目が狂っていたと思ったら……。分かっているな?」

 

私はそう言って同行していた劉備を見つめる。

 

「大丈夫です。みんながついていますから!!」

 

「……私からは以上だが、何か質問はあるかね?」

 

私が問いかけるが、誰も反応しない。

 

しかし、何人かがそわそわしているので、別件で用事があるようだ。

 

「ではこの話を終わりにする。他の理由で尋ねてきたものは、順番を決めて、質問するといい」

 

私がそう言うと、はわあわ軍師'sが見合わせた後、質問をして来た。

 

「えっと、必勝の策をお教えくださいませんでしょうか!」

 

「それが無理でしたら、私たちの予想を聞いて、違うかどうかだけでも……」

 

「朱里に雛里……。いくら何でもそれをそう簡単にこの男が教えるとは思わんのだが……」

 

自軍の軍師2人が頭を下げる姿にため息をつきつつ指摘するエミヤ。

 

「……簡単なことだ。先日までに捕虜にした黄巾党の何人を、取引でこちら側に引き入れただけのこと。黄巾党の首領3人の命と引き換えに、黄巾党約30万を混乱に陥れるための手引をしろとな」

 

「「「「…………!!」」」」

 

私の言葉を聞いて驚く劉備たち。

 

「ああ。対外的には死んでもらうが、スケープゴート……要は身代わりで適当な死体で3人は死んだことにする。誰が保護するかは……その時になってみないと分からんが、一応こちらも引き取れるよう手を回してある」

 

「……その黄巾党の内通者が裏切る可能性は……?」

 

恐る恐る尋ねてくる鳳統。

 

「限りなくそれは杞憂であるが、それならばそれで構わん。おそらく卿ら軍師が考えるであろう別案があるからな。被害の大小こそあれ、黄巾党の鎮圧は問題なく出来る」

 

「……我々に話しても良かったのかね?」

 

私の言葉で目を丸くしていたエミヤが問いかける。

 

「ああ。人払いをしている上、周囲を私の子飼いの部下が目を光らせている故、この話は卿ら以外知らぬ。万一誰かに漏れたなら、卿らの努力が水泡に帰すだけだ」

 

「……さすがは第三帝国の首切り役人と呼ばれただけある、か……」

 

エミヤが肩をすくめると、私も肩をすくめる。

 

「私とて、卿らの努力をもみ消すことはしたくない。むしろ、卿らには個人的に期待をかけている。乱鎮圧に関する報告で、卿らの戦果の部分だけを少しばかり盛っても構わんと考えているくらいにはな。……私を失望させないでもらいたいものだ」

 

「「「「……」」」」

 

私を恐れるように見る劉備たち。

そんな彼女たちに、私は事実を突き付ける。

 

「決戦で戦う相手は今までのような、黄巾党になりすました賊ではない。死兵なりえる狂信者だ。同士討ちと混乱を狙い、摩耗させなければたとえ同数の兵を率いようと負ける。……かき集めても3倍の兵力差があるならなおさら、きれいごとを言える余裕はないのだ」

 

「そちらの本気をもってすれば、鎮圧など余裕なのでは?」

 

エミヤが唐突に問いかけてきたので、私は肩をすくめる。

 

「今の私はただでさえ目立っているのだ。これ以上余計に目立ち、マスターに入らぬ苦労を掛けるつもりはない」

 

無論、降り掛かる火の粉は払うがな、と付け加えると、エミヤはこれ以上の言葉はないとばかりに目をそっと閉じた。

 

「そちらからの質問は以上かね?ならば卿らも羽を伸ばすといい。せっかくの3日間なのだからな」

 

私がそう言うと、劉備たちは、少し困った顔を見せる。

 

「(……北郷がいない分、やはり危ういな……。)」

 

私は思いを呟いたあと、提案してみる。

 

「ならば演奏を聞いて行かぬかね?傾……何進たちももうすぐ来るが、卿らも一緒で構わぬだろうからな」

 

私がそう言うと、劉備たちはお礼を言った後、突然に真名を預けてきた。

 

――どうやらエミヤが私の名前(ラインハルト)が真名であることを教えていたらしい……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

――場所は同じく四阿。

 

私は後から来た傾、月、詠、麗羽と真直(マァチ)(田豊の真名、先ほど預かった)、風鈴(田豊と同様)、楼杏(田豊と同様)と、先ほどの誘いに了承した桃香、愛紗、エミヤ、朱里、雛里、美花(ミーファ)のために、ギターで演奏していた。

 

曲は『“□□□□(わたし)”が好きなジ○リ曲のランダムメドレー』である。

 

簡単に言えば、ジ○リ縛りのメドレーで、内容は私の気まぐれで変化するというものだ。

 

――ネーミングセンスは黒歴史だと自覚しているゆえ、曲名は言わぬが。

 

今は、八百万の神が訪れる湯屋が舞台となった映画のBGMなどのメドレーを演奏してる。

 

ほぼ全員、目を閉じて、安らかな表情を浮かべている。

 

エンディングまで演奏した私は、余韻を残したまま終える。

 

微睡みから覚めたように目を開け始める詠たちは、それぞれが徐々に感想を述べ始めた。

 

「やっぱりライニの曲は良いな。心が洗われる気がする」

 

「本当ね。心が震えるって言えばいいのかしら……」

 

「あれ……。どうして?私泣いてるんだろう……?」

 

すがすがしい笑顔を浮かべる傾に、木漏れ日を想わせる微笑みを浮かべる詠。

そして、感動で泣いているらしい月。

 

「先日の大人数での演奏は迫力がありましたが、こちらは優しさが感じられましたわ」

 

「ええ。それによほど練習したのでしょうか。ほとんど手元を見ずに演奏していましたね」

 

どこか熱を帯びた目線で演奏者を見る麗羽に始終観察していた真直。

 

「私も教えてもらおうかな。みんなを元気に出来そうだし♪」

 

(その手があったか!)

 

どこまでもマイペースな風鈴と、ハッとする楼杏。

 

「すごいね、愛紗ちゃん」

 

「ええ。エミヤ殿も出来るのですか……?」

 

「楽譜に沿った、決まった演奏ならばともかく、即興で曲の一部を違和感ないように変更して別の曲とつなげるなどは無理だ。音楽家の父を持っていた天才相手に、その道の熟練者ではない私は太刀打ち出来んよ」

 

感動する桃香と、純粋な疑問をぶつける愛紗。

そんな愛紗に対して、肩をすくめるエミヤ。

 

「雛里ちゃん雛里ちゃん、すごいね」

 

「そうだね朱里ちゃん。指揮官としても、軍師としても、音楽家としてもすごいんだね、ラインハルトさんって」

 

「はぁ……。ラインハルト様、素敵です……」

 

はわあわしながら感動を共有する朱里と雛里、そして恍惚の境地にいる美花。

 

――傍から見れば、危ないメイドに見える。

 

「さて、そろそろ昼食の仕込みをせねばなるまい。――午前の部はこのくらいで良かろう……」

 

時間的にも丁度良かったので、お開きを宣言すると、大多数が不満げな顔をする。

 

「……午後にも演奏会は開くゆえ、我慢したまえ」

 

私はこの世界の娯楽の少なさを再認識して苦笑しつつ、そう伝えた……。




いかがだっただろうか。

感想、誤字脱字の報告など、お待ちしているよ。


では、また次の幕にて、お会いしましょう……。
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