恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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まず初めにミックスさん、評価ありがとう。
……まあ、貴方の指摘はもっともだ。
だが今更書き直すつもりはないので許してほしい。

(永劫回帰(1から書き直し)してもいいが、正直めんどくさい)

さて、今回は前の話の続きで昼食から夜までの話となる。

この後のこの幕間はゲーム版の拠点回よろしく、獣殿と、誰か(誰かはまだ決めていない)のイベントになる。

そこそこ期待して待っていてほしい。

さて、雑談はここまでにしておこう。

――では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。




束の間の休息 ~1日目午後~

「やはり使い慣れた調理器具と食材があるのは落ち着くな」

 

なれた手捌きで削った鰹節から器用に出汁を取るエミヤは嬉しそうに言う。

 

「やはり本職には負けるか。だが、私も料理を作るものの矜持があるゆえ、勉強させてもらおう」

 

私はうどんをこま板で太さを見ながら軽快に切っている。

 

――大よそ見当がついているだろうが、現在私たちは厨房にて、料理を作っている。

 

宝物庫の中にある食材の多さゆえ、何を作るかエミヤと相談したが、逆に作れるモノが多くて小田原評定となってしまった。

 

すると宝物庫からうどんの素材一式が出てきたため、私たちは即座に1からうどんを作ることにした。

 

――張飛、水蓮、恋あたりの大食い対策と言う意味でも、これは手間が少ないので助かったというのが私とエミヤに共通する本音だったりする。

 

「ハイドリヒ卿。羊羹ができました」

 

「こっちは揚げ物の下処理済みました。後は揚げるだけです」

 

「お稲荷さん、出来ましたよ。ハイドリヒ卿」

 

「皆さまお料理がお上手で私の居場所がありませんわ」

 

羊羹の準備をしていたカインと、エプロン姿のシュライバーとバビロン。

 

居場所がないと言いつつも、それぞれの補佐に上手く回っている美花。

 

彼女たちにはうどんの付け合わせである天ぷら、稲荷寿司、デザートの羊羹の準備をしてもらっていた。

 

何故デザートまで和縛りかと言うと、どうせ和食ならば、デザートまで和菓子で行こうと2人で相談した結果である。

 

――ちなみに桃香はサーヴァントに関することを、自分の陣営で公表しているとのことで、美花が私の宝具に驚くことはなかった(人には見せられぬ蕩けた顔をしていたが)。

 

魔術の秘匿もへったくれもないとはこの事か……。

 

そんなことを私が思い返していると、エミヤが私に代わり、指示を下した。

 

「では、美花。皆を食堂に集めてくれ。……出来立てを運ぼう」

 

「こちらも並行して茹でておく。そっちの食器棚から、器を出してくれぬか、カイン」

 

私もすかさず指示をカインに下す。

 

「じゃあ、バビロンはボクの手伝いよろしく。揚げるの手伝ってね」

 

「はいはい。年頃の女の子ばっかりだから、ちゃんと油をきらないとダメよ」

 

「それくらいわかってるって」

 

シュライバーとバビロンの会話を聞きつつ、私は大鍋で茹でる麺に意識を向けた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「おかわり」

 

「おかわりなのだ!」

 

「あたいもおかわり!!」

 

「ええい、麺は飲み物ではないぞ。良く噛め、お前たち!!」

 

呂布、張飛、文醜の20杯目のおかわりにツッコミを入れるエミヤ。

そう言いつつもしっかり用意をしに走るあたり、流石と言ったところか……。

 

「稲荷寿司だっけ?さっぱりしてておいしいね」

 

「うう、食べ過ぎそう。また運動しないと……」

 

うどんを食べ終えた後、稲荷寿司を堪能する董卓と賈駆。

 

「程よく酢が効いている上、人参、ごぼうに蓮根が入っているな……。蓮根の歯ごたえがまたたまらんな」

 

「風鈴はかき揚げが一番おいしいと思うな♪玉葱の甘みが他の野菜の味を邪魔しないで上手く引き立ててるから。塩もいいけど、うどんの汁に少しつけて食べるとまた違ったおいしさがあるよね」

 

「くっ……。どれも甲乙つけがたい……!!」

 

稲荷寿司を堪能する何進に、揚げ物をおいしそうに頬張る盧植となぜか苦悩の表情を浮かべる皇甫嵩。

 

「おいしいね、愛紗ちゃん」

 

「桃香様、後で運動しましょう。腰回りが少し不味いことになっていましたよね?」

 

「うっ!!……そ、そうするよ」

 

痛いところを突かれた劉備は涙目で関羽の提案を承諾する。

 

――余計な栄養が余剰の生命力になり、そこからサーヴァントの魔力へと変換されているとはいえ、女性の体形は油断できぬものがあるため、仕方がないのだろう。

 

「……はぁ」

 

「(やっぱ姫……)」

 

「(みたいだね)」

 

「(かなわぬ恋と諦めるのかあるいは……)」

 

ため息をつく袁紹をそれを見守る家臣3人。

 

「隊長はやはり規格外と言うべきか……」

 

「拉麺に比肩する人気になりそうだけど、問題は出汁か……」

 

変な方向で感動している李奉と、真面目に流行させたいと考える姜維。

 

「朱里ちゃん朱里ちゃん。心遣いがすごいね」

 

「そうだね雛里ちゃん。どれも少しずつ食べられるようにしておいて、追加が欲しいものを言えばいいようにわざわざ人を当ててくれてるし」

 

はわあわコンビは2人の気遣いに感動している。

 

(なんかこう、保護欲が掻き立てられますね、あの二人。本当に18歳越えてるのでしょうか……?)

 

そしてその二人の追加注文のために派遣されたメイド服姿のベアトリスは無言のまま、2人の席の近くに佇んでいる。

内心ではかなり失礼なことを言っているが。

 

「麺はコシがあって食べごたえがあるな」

 

「汁もええ香りやし、麺に絡んでうまいなぁ。ウチはこっちの揚げ物の方が酒にあってええけどな」

 

6杯目のうどんを堪能する華雄に、いつの間にか酒を自前で持って来て楽しみつつ食べている張遼。

 

「……恋殿、丸のみはダメですぞ。よく噛んでくだされ」

 

「大丈夫、一口30回ちゃんと噛んでる」

 

「恋様、一体どれだけ一口に含んでいるのですか……!?」

 

凄まじい勢いで食べる呂布を諌める陳宮と、安心するように伝える呂布。

 

そんな呂布の言葉に高順は戦慄している。

 

各々が楽しんでいる中、黄金の獣が部屋に優雅に入ると、自然と視線が集まる。

 

「さて、卿らの大半はそれなりに満足しただろう。言い忘れていたが、食後の甘味もある。素材そのものの甘さを生かした甘味なので、そこまでくどくはないはずだ。これから持ってくるが、まだよいものは持ってきたものにその旨を伝え、欲しくなったら近くの給仕の者を呼ぶといい」

 

獣の一言で、ほとんどの者が何らかのリアクションを見せる。

 

「「「!?」」」

 

「甘味かぁ。どんなのだろう?ね、楼杏。……楼杏?」

 

「!?……さ、さあ、私には分からないわ」

 

――などの声を軽く獣は受け流し、主の隣にある空席に座る。

 

「ライニ、食に情熱を注ぎ過ぎじゃない?」

 

ジト目の賈駆の言葉に獣は首を軽く振る。

 

「食べたモノのおよそ半分は血と肉となり体の一部となる。そして残る半分は生きるための活力になる。眉唾かもしれぬが、偏った食事は病を招くことなどもあるのだ。……卿らの健康を気遣う上で、私のできうる限りを尽くして作る料理は、私の愛の一つなのだが、理解してもらえぬか」

 

「……そこまで気遣ってくれてるなんて思ってもみなかったわ。ありがとう」

 

少し照れくさそうにお礼を伝える賈駆。

 

「ラインハルト、何故くつろいでいる?」

 

唐突に現れ、獣を問いただす紅き弓兵に対し、獣は肩をすくめる。

 

「給仕の追加でレオンハルトを追加しているからよかろう?羊羹も後は切り分けるだけで、私がわざわざ出る幕ではない」

 

「本音は?」

 

真面目な顔で弓兵が問いかけると、獣も真面目な顔で答える。

 

「疲れた。それに私も甘味くらいは味わいたいのでな」

 

「……まあいいか。では羊羹を味わうといい」

 

弓兵はそう言って獣と、その傍にいた者たちに羊羹に黒文字を添えて出した。

 

獣は器用に黒文字で羊羹を一口大に切り分け、口にする。

 

「ふむ、やはり砂糖控えめ方が違和感が少なくていいな。私好みだ」

 

「「「……」」」

 

獣が魅せる微笑に彼の華たちの頬に朱が差し込む。

しかし獣はすぐに、少し寂しげな顔をする。

 

「やはり私の腕もまだまだだ。素材ありきの私の料理では、ここまでの味を出せぬ」

 

「そんなことないですよ。ライニさんの作る料理はとてもおいしいですから」

 

「その食事に私たちは評価しているのだ。それを謙遜するなど、私たちの評価を否定していることになるぞ」

 

「あんたね、変なところで自己評価が低いわね」

 

真剣な顔でフォローをする董卓と評価に対し指摘を入れる何進、賈駆。

 

「……卿らの評価を否定しているつもりはないが……。私とて、たまにはこのような弱い一面を見せることもあるのだ。中々それをする機会がないがね」

 

「「「……」」」

 

獣の言葉に何かを感じた3人はそれぞれと目線を合わせる。

 

「さて、私は午後の演奏会のための支度をしてくるので先に失礼するよ」

 

いつの間にか食べ終わっていた獣は何食わぬ顔で退席する。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「……と言うわけで、これが歌詞付きの楽譜だ。声楽の方が卿は得意であろう?」

 

「確かに楽器演奏よりは得意と言いましたが、ぶっつけ本番ってマジですか?ハイドリヒ卿」

 

戸惑いを隠せないベイに対し、私は続ける。

 

「卿には期待している。案ずるな。マキナ以外の者も何らかの歌を順に歌ってもらう。無論、その中には私も含まれている」

 

私はそう言って、団員たちを見回すと、十人十色の反応を見せている。

 

「できうる限り卿らの印象に合う曲を選んだつもりだが、どうかね?」

 

楽譜を見た限り、特に問題なさそうなリアクション以外なかったので、そのまま続けることにした。

 

「今日は卿らの歌で、観客を魅せてみろ」

 

「「「「「「Jawoh (ヤヴォール)Mein Herr(マインヘル)」」」」」」

 

部下たちの反応に私は少しばかり感動しつつ、楽器などの最終調整を行った……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「よく集まってくれた。少し趣向を変えていてな、午前とは違い、歌い手による歌が主である音楽会である。いずれもなかなかと私は自信を持っているため、期待してくれているとありがたい。私も一曲歌うが、他の者たちの歌も耳を傾けてくれ」

 

私がそう言うと、自然に拍手が沸き起こる。

 

――午前のメンバーに加え、午前中はいなかった白蓮とその仲間たち、恋と鍛錬していた者たちまで集まっている。

念のため言っておくが、私は特に何も言っていない。

 

「では始めはベイの歌う、『ultra soul』だ」

 

「オレの歌声に、酔いしれな」

 

何やらカッコよく決めているベイを他所に、私はカイン、シュライバーと共にベース、ギターの準備をした……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

獣殿の乱心ともいえる演奏会は鑑賞者のテンションを異様に上げた、とだけ言っておこう。

 

それから獣殿はどこかへ姿を消し、夕食の時間となったのだが……。

 

「夕食だと呼ばれてきたのは良いが……」

 

「数人単位で座れる席が複数あり、席には採譜……があるだけですな」

 

首をかしげる公孫賛と趙雲。

 

「そう言えばライダーはどこに行ったんでしょう?」

 

公孫越は少し別のことで首をかしげる。

 

公孫賛たちと同じく疑問符を浮かべる一同に対し、待っていた獣が口を開いた。

 

「夕食は各自がその採譜にある品物を好きに注文する料理店方式をとる。自分の欲しいものを好きに注文してくれたまえ。注文はそこの執事と侍女たちに言うといい。この人数ゆえ、たくさん食べたい者は早めに行った方が良いだろう。完成するまで時間がかかるからな。では、では、夕食を楽しんでほしい……」

 

そう言って獣は立ち去った。

各々は互いの顔を見合わせた後、仲の良い者同士でまとまって席についた。

 

「……ん?お前ライダーじゃないか。何やってんだ?」

 

メイド服姿のライダーに首を傾げるマスター。

 

「獣に嵌められたんだよ……。やけに気前よくお菓子とかふるまってくれたと思ったら、笑顔で請求書渡してきたんだよ。マスターがくれるおこずかいじゃあ、全然足りなくて……。しばらくいうこと来いてくれたらチャラにするって……」

 

涙目で演奏会後の出来事を語るライダー。

 

「……まあ、頑張れ」

 

「マ、マスターの薄情者――!!」

 

慰めの言葉に泣きながら逃げ出したオトコノコ。

 

「ハイドリヒ卿、たまにえげつない事しますね」

 

「そうですね、隊長ですから」

 

ライダーたちのやり取りを見ながら、困惑の顔を見せる姜維と李奉。

李奉は何かを思い出すように遠い目をしている。

 

「私もついでとばかりに執事服を着せられたのですが、どうしてなのでしょうか……?」

 

「それを言ったら私もですよ、姜維。まあ、隊長の奇行は今に始まったことではありませんし」

 

半ばあきらめかけている李奉。

彼女もライダーと同じく、メイド服である。

 

「なかなか似合っているではありませんか。流石あの御方の部下だけありますね」

 

孫乾が妖艶な笑みを浮かべて2人の話に割りこんで来た。

 

「まあ、前私たちの身体周りとかを調べてたんで、それに合うよう作ったみたいですが」

 

「そう言えば、暇つぶしに私の服のほつれとか直してくれてましたので、もしかしたら隊長が作ったのかも……」

 

前のことを思いだす2人。

 

「すみません、注文お願いできますか?」

 

「かしこまりました。(またあとで、お話しましょう)」

 

孫乾はそう言って声のする方へ歩いて行った。

 

「こっちもお願いしますぞ」

 

「こっちもお願いします!」

 

「……仕方ありません。私たちも行きましょう」

 

「……ですね」

 

姜維と李奉は肩をすくめて呼ぶ声の方へ、足を運んでいった……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「お待たせいたしました、石狩鍋でございます。出汁に用いたアラなどは極力取り除いてありますが、残っている可能性もありますので、その点を留意してお召し上がりください。ご飯はおかわり自由ですが、そちらの方がたくさんお召し上がるとのことなので、おひつもこちらにご用意しました。お手数ですが、おかわりは各自でお願いいたします」

 

僕が運んだ大きめの土鍋を満たすのは、出来立ての石狩鍋だ。

……隠し味に酒粕が入っているから、普通よりも味に深みがあるはずだ。

彼女たちが知ってるとは思わないけど。

とりあえず鍋を中央に置いた後、カートの中から、おひつと人数分の食器と鍋の中身をよそうための菜箸、お玉を出して支度し、ご飯をよそって各自に配膳することに。

 

「わあ、良い匂い。美味しそうだね、愛紗ちゃん。あ、ありがとうございます」

 

「大人数用と書いてありましたので、丁度いいかと思っていましたが、予想通りと言うべきでしょうか。っと、わざわざすみません。」

 

嬉しそうに僕からご飯を受け取る劉備と破っとこちらに気付いて申し訳なさそうにする関羽。

 

「出来立てで美味しそうなのだ。あ、多めによそってくれて、ありがとうなのだ」

 

ハイドリヒ卿からたくさん食べると聞いていたので、多めによそったら、お礼を言ってきた張飛。

 

「これならみんなで食べれるね、朱里ちゃん。あ、ありがとうございます」

 

「そうだね、雛里ちゃん。でもうかうかしてると、鈴々ちゃんに全部食べられちゃうから、自分たちの分を確保しないとね。はわ、ありがとうございます」

 

2人には少なめによそったモノを渡したあと、おひつにふたをする。

 

「今の時点で追加注文はありませんね?……では、失礼します」

 

追加注文の有無を確認した後、僕はそのテーブルを後にした。

 

……彼女たちが蜀を建国することになる劉備とその義兄弟、そしてあの臥竜鳳雛とうたわれた諸葛亮と鳳統なのか……。

 

昔読んだ本を思い返しながら、僕は頭を振る。

 

――いや、ここはあくまでパラレルワールド。

第一彼女たちは女の子だし。

……ん?

 

どこからか視線を感じ、その視線を辿ると、ベアトリスが何故か膨れていた。

 

そんな彼女への対応に困りつつ、僕は厨房へ戻ることにした。

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

「えっと、こちらはピリ辛鶏飯大盛りに、エビチリ、回鍋肉、鶏のから揚げ宮廷風、五目炒飯に天津飯、半熟オムライスです」

 

「オムライスは麗羽様です。あ、私は天津飯です」

 

「お、おいしそうだな、斗詩」

 

「大盛りっていってたけど、本当に大盛りだね。……食べきれる?」

 

「こんなの楽勝楽勝。って、麗羽様のそれ、綺麗だな」

 

「ええ。……卵のとろけ具合が何とも言えませんわ。明かりに照らされ、煌めいていますわ」

 

「今のところは以上ですが、追加注文はございますか?」

 

私が問いかけると、それらしい反応がなかったので、そのテーブルを後にした。

 

――ベアトリスが兄さんに対してアイコンタクトとってるけど、兄さんは気付いてないわね……。

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

戒に思わず嫉妬の視線を送っちゃったけど、これも仕事なんだから仕方ないですよね。

――人数が多いのは分かるけど、本当に多いな、コレ。

 

「えっと、猪鍋に、担々麺、餡かけ炒飯に、味変化拉麺の特盛、焼売、麻婆豆腐、パエリア、山菜の揚げ物、天丼大盛り、うどんに、ロコモコ特盛です」

 

「味変化拉麺の特盛は恋殿に、担々麺はねねのですぞ」

 

「猪鍋も、恋が頼んだ……」

 

「餡かけ炒飯はうちのやで」

 

「天丼は私のだ」

 

「ロコモコは私の……」

 

「あ、うどんは私です」

 

「パエリアはボクが注文したものよ」

 

「分かりました。……それとこちらは取り皿、それぞれに菜箸と匙がございますので、それぞれでよそってお召し上がりください。今のところ、追加注文はありませんか?……では、何かありましたら、またお呼び下さい」

 

ちゃんと確認した後、カートを厨房へ移動させるため、その場を後にした。

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

「こちらは天ぷら定食、アイスバインにロゲンブロート、拉麺になります」

 

明らかに聞いたことのない料理を疑問に思いながら私は何進将軍と、皇甫嵩将軍、盧植将軍のところへ料理をお持ちしました。

 

「将軍、随分と変わったモノを頼みますね」

 

皇甫嵩様が問いかけると、何進様が胸を張ります。

 

「ふふっ、恋人の郷土料理を知りたいと思ったのでね。ライニの故郷の味らしいからな」

 

「へぇ。……あの人の故郷には不思議な料理があるね」

 

――まあ、あの御方の郷土料理だったのですか。

 

「あの、失礼かと思いますが、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」

 

思わず質問してしまった。

 

「ん?私にか?かまわんが……」

 

何進様は発言を促してくださりました。

 

「あの御方と恋人と言うのは本当なのですか?」

 

「ああ。というか、あの男は来る者拒まずを地で行く男だからな。私の知る限りだと、私を含めて3人を恋人にしている。あの男はその存在だけで人を惹き付け、女を魅了するから、この先増えるだろう。もしあの男に気があるとしても、他の女といることを容認できないなら、諦めることを私はお勧めする。……あの男の相手は一人で出来んと言うのもあるが」

 

その時のことを思いだしているらしく、顔を赤らめていらっしゃる何進様。

――思いがけぬ情報が転がり込んでいきました。

ということは、私でも……。

 

……あら?

皇甫嵩様も何か考え込み始めましたが、まさか……?

 

あっ、このままではいけません。次の仕事をしなければ……。

 

「追加注文はございませんか?……では、また何かございましたら、および下さい」

 

私は一礼した後、厨房へ戻っていった……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

自分が招いたとはいえ、戦場さながらの厨房でのひと時を越えた私は自分の割り当てられた部屋にて、読書を楽しんでいた。

宝物庫にあった夏目漱石著の全作(直筆の原本)読破を目指しているが、昨日から始めたばかりなのと翻訳しながらなので、まだ2冊目である。

苦沙弥邸に泥棒が入ったというところで訪問者が現れた。

今宵は何もないと思っていたので、少しばかり驚いている。

 

「美花か。何用かね?」

 

月明かり以外の明かりはない中、私は訪問者に問いかけると、彼女は微笑を浮かべる。

 

「私を貴方様のメイドにさせて頂きたく、参りました」

 

「……卿は劉備のところのメイドのはずだと私は記憶しているが……?」

 

疑問を投げかけると、彼女は明朗に答えた。

 

「賊より助け出された後から今に至るまで、試用期間という契約で桃香様の元で働いておりました。しかしあのエミヤ様が居らっしゃる時点で、私の仕事がほとんどございません。誰かを支えることが生きがいなのですが、その生きがいが桃香様の元ではありません。そのため、新たなご主人様を捜していたのです。貴方様を一目見た時には衝撃が全身を走りました。貴方様に仕えるために私はこの世界に生を受けたのだと天啓のようなものを感じたのです」

 

――歩いている時の髪の揺れ方などの身のこなしだけ見ても、無駄がなく、何らかの武をすくなからずたしなんでいることは私でもわかる。

食事などでも、本格的な人間がいればと思っていたところにこの提案は渡りに船だが……。

 

「……すまぬが、少し触るぞ」

 

私は立ちあがり、彼女の首筋の血管に指を当てる。

 

彼女の目を確認しつつ、問いかける。

 

「卿の目的はそれだけかね?」

 

「……はい」

 

「……よかろう」

 

私は彼女から離れ、再び席につく。

 

嘘を言っているようだが、目が他の目的を物語っていたので問題ないと私は判断した。

 

「では、私の補佐をしばらくは頼もう。……念のため聞くが、卿は既に桃香たちには話を通してあるのだろうな?」

 

「はい。桃香様にはすでに暇を頂いておりますので、今宵からこの身朽ちるまで全身全霊で貴方様にお使えさせて頂きます。……身も心も、全て貴方様のモノですので、存分にお使いくださいませ」

 

月明かりには魔力があると昔の人間は言ったそうだが、今の彼女に降り注ぐ光はそうとしか言いようのないモノを宿している。

彼女の妖艶さは月明かりによって、よりいっそう強調されているからだ。

 

――だがひとつ、私に関して言っていないことがあった。

 

性欲はあるが、自分の意志で完全に制御可能なので、ここで色香に誘われることはないということだ。

サーヴァントであるためか、はたまたカールの自滅因子が作用して覇道神として覚醒したことがあるためかは不明だが。

 

「……もう夜は遅い。卿も人の子であろう。もう寝たまえ」

 

私がそう言うと、彼女は悲しげな顔をする。

 

「……私はご主人さまにとって、魅力的に映らないのでしょうか?」

 

「……魅力的ではあるが、獣欲の対象にはするつもりはない。誘っているならば話は別だがね」

 

「うふふ、夜のお世話もメイドの務めですもの。ご遠慮なくこの私の身体をお使いくださいませ。ご主人さまに求められることこそ、私の至福にして生きがいなのですから……♪」

 

そう言って彼女は私の元に歩み寄ってくる。

 

「……では卿の奉仕を見せてもらおう……」

 

私はえがいていた筋書きに彼女が与える影響を考慮しつつ、変更点などを計算し始めた……。




いかがだっただろうか。

感想、誤字脱字の指摘などをお待ちしているよ。

では次の幕にて、またお会いしましょう……。
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