――狂化EXの作者だし、仕方ないね。
まあ、私の今一番紡ぎたいのが、黄巾党編の後なので雑になってるかもしれぬが、許されよ。
……ところで意見などが全く集まらぬのだが、私のノリで全部やって構わないということなのだろうか……?
まあ私のことなどどうでもいいか。
たまには獣殿風に、歌劇の幕開けを告げよう。
「卿らよ、我が歌劇をとくと見るがいい!!」
昼食後、夕食の仕込みのほとんどを済ませた私は、カインとバビロン、美花に後を丸投げして先日背を預けていた件の木に再び背を預けていた。
「お前は詠と月を放っておいて一体何をしてるんだ?」
心地よい微睡みに身を委ねていると、私の前まで近づいてきた人物があきれた声で答える。
「見ての通り木に身を預け、身と心を休めているのだ。私とてたまには怠惰に過ごす時があっても罰は当たらぬと思うのだがね華雄。半分は成り行きとは言え、卿らのために食事を作っている上、連合軍の管理とそれぞれの軍の戦果の記録など、常人なら優に数回は過労死出来る労働をしているのだがね……。私は肉体面こそ疲れ知らずといっても過言ではないが、精神面は既に疲労困憊だ。それに彼女たちには水蓮とアサシンがついているはず」
私が目を閉じたまま答えていると、華雄が割りこみを掛けた。
「水蓮は練兵場で文醜たちと試合しているが?」
「……」
私は微睡みから抜け出して立ちあがると、丁度霞と恋がこちらにやって来ているところだった。
私は首を傾げて疑問を口にする。
「何故卿らはここに来た?ここには四阿とこの木くらいしかないが……」
すると霞が肩をすくめて答える。
「あんちゃんが寝とる姿が見れるって恋が急に言いだすから試合やめたんや。無駄骨みたいやったけどなぁ」
「先に来ていて正解だったな。寝ていたのかは疑問だが、寝顔のようなものは見れたぞ。なかなかに無防備な姿だったな」
珍しいものを思い出すように霞に告げる華雄。
「……ライニ、寝る。恋も寝るから」
いつの間にか私の懐に入りこんでいた恋がそう言うと、どこからもとなく声が聞こえてくる。
「ちーんきゅーきーーーーーーーーーっく!!」
「喰らうと思うかね?」
私は声の方から迫りくる足を掴みあげながら、蹴りかかってきたねねに問いかける。
「お前のことは将として、料理人としては認めていますが、恋殿に手出しするのを認めたわけではありませんぞ!!」
「卿は恋の父親かね」
つり下げられたままでもお構いなしに恋を優先するねねに対し、私はあきれに似たモノを感じつつ、ツッコミを入れる。
「……ライニ、良い匂いする。一緒に寝ると、温かい」
恋が猫のように頭を私の服にこすりつけながらそう言う。
「恋殿~。そんなことをしていると、この男に手籠めにされますぞ!!」
「……眠い」
ねねの言葉を完全に無視して、私を木の幹にもたれかけさせる恋。
「……♪」
そしてすかさず私の膝に頭を預けて嬉しそうにしだす。
「れ、恋殿~。そんな男の膝などで嬉しそうにしないでください」
結果として地面に下ろされたねねが恋の元へと駆け寄り、周囲をうろうろする。
「お前も恋殿を膝に乗せてデレデレしてるんじゃあないですぞ」
恋を引っ張り下ろすことが出来なかったねねは、私の身体をゆする作戦に変えたようだ。
しかし……。
「ねね、邪魔」
不機嫌そうに一度頭をあげてねねを一瞥する。
「れ、恋殿……」
慕う相手からの目線に動揺を隠せないねね。
「恋、ねねの行動は卿を慕っているがゆえの行動だ。ねねを許してやれ。ねね、私からは卿が考えるようなことはせぬから安心するといい」
私がそう言うと、恋がハッとして申し訳なさそうにねねを見た。
「……ねね、ごめん」
「恋殿が謝る必要はどこにもありません!!ねねの方こそ、恋殿の至福のひと時を邪魔してしまって申し訳ないのです……」
そしてねねはこちらを見る。
「恋殿に手出ししたら、許しませんぞ!!」
「
私はそう言って恋の頭をそっと撫でると、恋が嬉しそうな表情を見せて再び私の膝に頭を預けた。
「……なついた猫みたいやな、恋」
面白そうに恋を見る霞。
「……だな。……ライニ、お前の肩を貸せ。私も寝る」
華雄が唐突にそんなことを言いだす。
顔から察するに、興味があったようだ。
「……別に構わんが……」
私が言い終わる前に恋の身体がある側とは反対側に座り、身体を預けてきた。
「……なるほどな。恋が気にいるのは良く分かる。うららかな陽気の日に、草原で日向ぼっこしている時のような気分だ。ここは日陰でそこまで温かくないはずなのに、不思議と温かい」
何故か満足そうな顔をする華雄。
「……なんや、ウチだけ仲間はずれみたいやんか」
「それを言ったらねねもなのですが……」
どっちつかずのまま放置されている2人が困惑の色を示すと、恋が私の膝をポンポンと叩いた。
「……ねねは、こっち。ひざ、2人までなら入れる」
「……なるほどな。なら私は向きを変えて……。霞は私の反対側だ。恋も少しは動いて霞が入れるように開けろ」
「ん、わかった」
そう言って2人がもぞもぞと動いてねねと霞が入れるスペースを作った。
「お、お邪魔するのです」
「肩貸してもらうで、ライニ」
おずおずと膝に頭を乗せるねねと、気楽に私の肩に身体を預ける霞。
霞の反対側には華雄が、ねねの向かいには恋がいる。
……傍から見れば筆舌しがたい光景なのだろうな、これは。
あと女性特有の甘い匂いがそれぞれの身体から漂ってくる。
やはり人によって微妙に違うのがこういうときなどに実感する。
「……華雄の言う通りやな。眠れん時は、……ライニに来てもらった方が……ぐっすり……」
霞の声がとぎれとぎれになったのに気づいた私が彼女を見てみると、気持ちよさそうに寝ていた。
華雄、ねね、恋も見てみるが、全員夢の中である。
――私に睡眠を誘発するスキルでもついてるのではあるまいな……。
そう思った私は今更ながら、自身のスキルを覗いてみる。
クラススキルの対魔力C-、単独行動A+。
保有スキルの
――以前言った千里眼のスキルはない。
どうやらエイヴィヒカイトの恩恵がスキルになっても大体がそのまま引き継がれているのだろう。
――勘違いというのは誰にでもあるモノだな。
「さて、何故か嫌な予感をひしひしと感じるおかげでまったく眠れん。……素数でも数えるか」
私は内心でため息をついたあと、素数を頭の中で数え始めた……。
――*――*――*――
「あんたまさかその4人とここで……?」
「私たちでもまだなのに……」
「想像力豊かなのは結構だが、こんなところでそんなことをいきなりすると思うかね?」
1898863まで数えたところで顔を赤く染めながら困った顔でやってきた詠と月が暴走する前に私は肩をすくめて答える。
「そう……よね。匂いとかもしないし。それにしてもすごい状態ね、それ」
途中からいつも通りの様子に戻る詠。
「私もこうなることは流石に予想できていなかったがね。……ところで卿は何故劉備軍の軍師2人と一緒にいるのかね?」
「はわわっ」
「あわわっ」
私の言葉ではわあわして詠と月の後ろに隠れる諸葛亮と鳳統。
「えーっと……その4人は本当に寝てるわよね?」
「……寝ているが、それと何か関係あるのかね?」
私が問い返すと、4人が顔を赤くする。
「……昨日貸してもらった本の続きをこの2人に貸してあげられませんか?」
月が勇気を振り絞って私にお願いしてきた。
「……あれは長編もので全80冊を超えるのだが?一冊だけ貸すのも構わんが……」
「……そんなにあるの?てっきり数冊で完結するモノだと……」
困惑する詠に私は肩をすくめる。
「……それよりも、本の内容をその二人は知っているのかね?」
私が詠と月を見ると、2人は気まずそうな顔をする。
「えっと……はい」
「なんでこうなったかというと……」
――(回想)――
ボクたちは自分の部屋でライニから借りた本を読んでいた。
「……漫画だっけ、詠ちゃん。絵が主体の本なんて珍しいよね」
月の言葉に頷くボク。
「そうね。……でも勉強のためとは言え、この本をよく貸してくれたわね、ライニ……」
普通の本を貸すように気安く貸してくれた時のことを思いだしたボクは複雑な心境になる。
「『勉強熱心なのはよいことだ。卿らの勉強の成果を楽しみにしている』っていって普通にかしてくれたもんね」
「……でも市販の艶本よりよっぽど分かり易いし、読みやすいから、その分勉強になるわね」
「あの~すみません。賈駆さん、いらっしゃいますか~?」
「「!?」」
唐突に部屋の前から聞こえた声にびっくりして、思わず本を放り上げちゃった。
「あわわわっ」
「ライニさんの本が~」
それを回収しようとボクと月は動くんだけど、そのせいで月と盛大にぶつかった。
「いたたた……」
「いたた……。って月、大丈夫!?」
額が赤くなってた月を心配していたら、外から声がした。
「!?大丈夫ですかっ」
扉の方を向くと、丁度開けたら足元になる所に例の本が……。
「――まだ入ってこない――」
ボクが言い終わる前に声がした。
「失礼します!!」
急に扉を開けて入ってきたのは諸葛亮と、鳳統だった。
「大丈夫ですかっ!?」
「何があったんですか?」
心配そうにする2人の足元に、丁度例の本が……。
表紙を隠す用の蔽いを用意してもらっておけばよかったと後悔したのはその時。
「えっと、どのようなご用件でこちらに来たのでしょうか」
月がおでこをさすりながら対応に困っていたボクの代わりに質問してくれた。
「えっと、ラインハルトさんに今後の作戦方針の詳細や、義勇軍への配給などの確認をしたかったのですが……お部屋にはいらっしゃらなかったので、あの人の主である董卓様に心当たりとお伺いしようかと……」
「お邪魔だったでしょうか……?」
オドオドする2人に対して月が笑顔で対応した。
「そんなことはありません。えっと……今の時間帯だと……。ライニさんなら、厨房か、四阿かと思いますよ」
「ありがとうございます。では、私たちはこれ……で……?」
諸葛亮が部屋から出ようとしたとき丁度彼女の足先に本が当たった。
「「――――!!!」」
声にならない悲鳴をボクたちは上げたんだけど、諸葛亮はそれに気付くことなく、本を拾い上げた。
「……朱里ちゃん、これって……」
表紙を見た鳳統が口を開いた。
「艶……本……みたい」
対処の仕方がまったく浮かばず、ボクは硬直したまま思考を巡らせた。
そんなことをしている間に、2人はまるで何かに憑りつかれたようにその本を読み始めた。
「あ、あの、諸葛亮さん、鳳統さん……?」
「「…………」」
月が恐る恐る問いかけても2人の反応はほとんどない。
「……詠ちゃん。どうすればいいと思う?」
「ごめん月。ボクもどうすればいいか見当もつかない」
「「あのっ!!」」
唐突に2人が顔をあげてこちらを見た。
「この本ってどこで買ったんですか!?」
「しかもただの艶本ではありません。男性、女性の両方の視点で描かれ、それぞれ場面に対応する解説などもついているなんで、始めて見ました。しかも絵が前の絵と連動しているというのは、斬新だと思います」
「えっと、その……」
2人の反応に押されたボクたちは、反応に困ってしまった。
「あっ……。すみません」
「その……。ごめんなさい」
2人はハッとして私たちに謝った。
「えっと……。その本は、買った本じゃないの」
ボクは少し困りながら答えた。
「えっ?」
「……もしかして、賈駆さんが描いたんですか?」
きょとんとする2人にボクは答える。
「違うわよ。ライニが貸してくれたの。宝具の宝物庫に有った本の一冊だって」
「そうなんですか」
「サーヴァントってすごいね……」
「そうだね、雛里ちゃん……」
ボクは少しいうのをためらった後、2人にツッコミを入れる。
「いや、普通は持ってないってライニ言ってたし……。たぶん、こんなことできるのはあいつだけだと思うわよ」
ライニが特別なだけで、宝物庫は本来ギルガメッシュってやつの宝具だから、こんなことは出来ないらしいし……。
「えっと、この本の続きとかもあるんですか?」
「前見せてもらった時の記憶通りなら、ライニが持っていた。……もしかして、見たいの?」
問いかけてみると、2人はうんうんと頷いた。
「……分かった。ライニに相談してみる。付いて来て……」
――(回想終了)――
「……ってわけなのよ」
「……私を訪ねる目的が変わってるのだが、それで良いのかね?諸葛孔明、鳳士元」
私が指摘すると二人ははわあわ言いだす。
「その……ちゃんと本来の目的も覚えているのでだいじょうぶでしゅ……。噛んじゃった」
鳳統の言葉に私は微笑ましく感じながらも答える。
「それならばよい。……本の方は黄巾党制圧後、劉備軍への報酬を送る時にまとめて渡そう。なに、写本なら1日で終わらせられるからな、気にする必要はない。作戦などの詳細は曹操、袁術軍と合流した後に我が主の賈駆や袁紹軍の田豊、卿らや曹操、袁術軍などの軍師に任せる。食料の件については昼食後に劉備に渡した書類に全部まとめてあるゆえ、再確認してほしい。……回答は以上で良かったかね?」
「は、はい。だいじょうぶでしゅ……」
鳳統と同じ言葉で噛んでいる諸葛亮を見て私は笑みを漏らした。
「さて……霞、華雄、恋、ねね。これ以上寝たふりしているのはやめて起きるといい。途中から起きていたのは卿らの寝息と動きの変化で気付いていたぞ」
私がそう言うと、4人がそれぞれ動きだし、伸びなどをし始めた。
「なかなかライニの傍は気持ちよかったで~。眠れんくなったら頼むわ」
「霞と同意見だ。まあ、夜は入れぬようだから、頼むのは晴れた日のうららかな午後になるだろうがな」
「ふ、ふん。寝心地は良かったですが、恋殿に手を出すことを赦すつもりは毛頭ないのでしっかり頭に叩きこんでおけなのです」
「……また膝貸して」
彼女たちはそう言って思い思いの場所へと去っていった。
私はゆっくりと立ち上がった後、服についた草を払い、体を軽く伸ばした。
「さて、今日で休息も終わり、しばらくは息抜きがしにくい日々が続く。……しっかり骨休めで来たかね?」
諸葛亮と鳳統に問いかけると、2人ともうんうんと頷く。
「それは良い。では私は夕食を作らねばならぬのでね。これで失礼するよ。月、詠。明日に備え、今夜は早めに寝るように」
私がそう言うと、2人は少し不満を見せながらも頷いた……。
……今更ながら、これではどちらが主か分からぬな。
ふと思ったことに内心苦笑しつつ、私はその場を後にした……。
いかがだっただろうか。
感想、誤字脱字報告、評価をお待ちしているよ。
――獣殿の宝物庫はたくさんのものが入ってるね。
――そのうち猫型ロボットとか出すんじゃないの?(白目)
……それにしても、この一幕の中盤ではすごいことになっていた獣殿だが、本人的にはいてもいなくても(眠れなかったこと以外は)あまり変わらなかったと言っている。
膝に美少女2人が寝ており、両側にも背中を預ける美女なんてシチュエーションは私の人生で絶対起こらないことなので、紡いでて悲しくなったのはここだけの話だったりする。
《次回予告(?)》
「黄巾党3万か……。恋、行けるかね?」
「大丈夫。恋は負けない」
「いくら恋が強くても三万相手には勝てないやろ!!ライニ、恋を殺すつもりなんか!」
「ライニ……」
「みんな、恋は大丈夫。……ライニ、帰ってきたら、おいしいご飯食べたい」
「……分かった。必ず帰ってくるのだぞ」
「……恋、出る!」
「恋殿?……恋殿ぉぉぉぉおおお!!」
(注)あくまでこれは製作中のモノです。
実物とこの内容の差異に関して本作品の作者は一切の責任を負いません。
では、また次の歌劇でお会いしましょう……。