恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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お久しぶり……で良いのだろうか?

まあいい。

まず初めに、いつの間にかお気に入りが300超えたことに驚きを隠せぬ。

――正直、完結するまでに300いけたら御の字とか思っていたのでね。

次に、来年の2月までは少々デスマーチなので投稿ペースが下手すると1か月に一度となる可能性もあるが、許してほしい。

――もしかしたら、夏は今までのペースで投稿できるかもしれぬが、確定ではないため、そこまで期待しないでもらいたい。

――あと、今回もとっ散らかってるかもしれぬが、許されよ。

最後に、後書きにも書くが、8人分の真名を、出来れば何らかのつながりのあるモノで募集している。

――理由はこの話の終盤を見れば察することは出来るだろう。




さて、私の戯言はこの辺にしておこう。


今回はまだ青洲の中部にいるので、合流&決戦は次話になる。

なので、軽く流す程度で構わんと思う。


言いたいことは以上だ。



――では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。


第15話 戦場を駆ける修羅

3日間の休息も終わり、英気を養った我々は青洲へと赴いた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「報告します。南方20里(約8km)に黄巾党3万の軍勢を発見しました」

 

斥候の言葉を聞いた私は一度目を閉じた後、いまだ見えぬ敵を見据え、口を開いた。

 

「……ご苦労。――伝令」

 

「「「「ハッ!!」」」」

 

私の一言で傍にいた兵士たちが反応する。

 

「全軍に通達。――全軍停止。軍議を開く。主要な将に集合しろと伝えろ」

 

「「「「御意!!」」」」

 

すぐさま去っていく伝令を見ていた詠が複雑そうな心境を口にする。

 

「……ボクは主として、大将軍名代としての振る舞いが板についているのを喜ぶべきなのか、自分より偉くなったサーヴァントに不満をぶつけるべきか、悩みどころなんだけど……」

 

「それは卿に任せる」

 

詠に対して私はやや投げやりな返事をした。

 

――さて、3万の敵か……。

 

私は口元に笑みを浮かべた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

全軍の主要な将を集め、軍議を開くことになった。

 

「現在、斥候の報告により南方20里(約8km)のところに黄巾党3万がいることが判明している。――初めに言っておくが、今回の作戦は私の考案したものに従ってもらう。異論は聞くが、基本的に認めるつもりはないのでそのつもりで発言するように」

 

私はそう言って一同を見回す。

 

「今回の作戦では、基本として恋と私のみで戦う」

 

「「「「「!?」」」」」

 

一同の反応は困惑。

 

だが私はそのまま続ける。

 

「卿らは敵軍より10里の位置まで接近し、臨戦態勢を維持。こちらに逃げてきた敵のみ討て。敵の右翼、左翼側に私の部下を配置し、逃げる敵を追撃する。――何か質問は?」

 

「恋殿を殺す気ですかっ!?」

 

真っ先に口を開いたのはねね。

 

「恋は死なんよ。否、私が責任をもって彼女の安全は保証する。――我が命にかけて、この一戦の勝利を、私と呂奉先の生還を、誓おう」

 

一同は私の一言で完全に目を丸くした。

 

「……私も共に戦わせてくれないか?」

 

華雄の言葉に私は返事をした。

 

「……戦友が」

 

「?」

 

「今軍議に出ている将の中に、背中を預けるに足り、こんなところで絶対果てることなき戦友がいるなら構わん。戦友と共に自己責任で、参加を許可しよう」

 

「「「「「!!」」」」」

 

今までやや不満を見せていた将たちの目に歓喜の光が宿る。

 

「では、半刻後に出立。それまでに武威を示さんとする者はそれまでに私の元に集まるように。軍議は以上とする……」

 

私はそう言って、軍議の閉幕を宣言した。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「関羽、張飛、趙雲、文醜……。高順に張遼、華雄、李奉、そして呂布……」

 

私は蒼天の元で各々の得物を構え、己が武威を示さんとする者たちの名前をあげた。

 

振り向いた私は全員を見回した後、口を開いた。

 

「では、私と恋が先陣を切る。私からの命令は、同士討ちにならぬように、ある程度距離を置いて突撃せよ。そして、足場を考え、戦友と息を合わせて戦場を移動することだ。ああ、撤退は余力があるうちに、そして、五体満足で帰ってくることだ。待っている者たちのためにもな」

 

「「「「「御意!!」」」」」

 

私は黄巾党の軍勢に向き直り、聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)を構える。

 

――あふれる神威を押さえることに成功し、一応人前に出せるまでになったのだ。

 

この武器を振るうのはおよそ数か月ぶりだろうか。

 

「どれ、開幕の一撃を任せてもらおう。久しぶりゆえ、手加減できぬかもしれぬが」

 

私はそう言った後、1里(約415m)離れたところにいる敵の先陣を見据えて横一閃する。

 

振るった直後には何も起こらず、ほとんどの武将が首を傾げる。

 

すると先頭の方にいた数百人単位の黄巾党の兵の血柱と砂塵が起こり、敵に動揺が広がる。

 

「さて、挨拶代わりはこれで良かろう。――作戦を開始する」

 

私がそう言って駆けだすと、恋が私に置いて行かれまいとばかりについてきた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

――戦争とは、基本、兵数が多い方が勝つ。

 

しかし、差がほとんどない場合や、寡兵側の兵の質や武器の質が上回っていた場合、または奇策や相性、思いがけぬ偶然などでも覆ることはある。

 

ただ、この法則は核兵器などの戦略兵器の出現まで、戦局を大きく左右する要素であることは間違いないと、いえるだろう。

 

ならば、わずか10人で3万の敵が衝突した場合、貴方はどのような結果を想像するだろうか。

 

10人の方が負ける。

 

――いくら人間離れしていようと、人は疲れるし、腹も減る。

 

実際、その戦いを目撃した多くのものが始めにその考えを抱いていたのは間違いないだろう。

 

だが、彼らが抱いたその予想は見事に覆された、とだけ言っておこう……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「さあ、卿らの輝きを私に魅せてみろ!!」

 

嬉々として戦場を駆ける黄金の獣。

 

その一撃は、数人単位で、敵の命を刈り取っている。

 

「……お前たちは、弱い」

 

冷めた目で敵兵を屠る呂奉先。

 

「……およそ9000か。恋、まだ行けるかね?」

 

不退転の覚悟で迫りくる敵を一閃した後、一息つく代わりに背中合わせになる恋に対し、黄金の獣は問いかけた。

 

「まだ大丈夫。余裕ある」

 

「……ならばよいのだがね」

 

獣は再び周囲を取り囲む敵を見据える。

 

「――恋、場所を移動しながら作戦を続ける。足場が悪くなってきたからな。卿に合わせるゆえ、周囲の様子に気を配りつつ、移動しろ」

 

聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)を再び構えた獣は、背を預かる戦友に指示を出した。

 

「ん、わかった」

 

得物を構え直す呂布はまだ屍の少ない場所を確認したあと、突撃を開始した。

 

私もそれに続こうとしたが、ふと、脳裏に何かがよぎった。

 

それに導かれるまま振り向き、得物の聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・テスタメント)を投擲した。

 

すると槍はまるで吸い込まれるように、態勢を崩した関羽を狙っていた敵を、直線状のにいた敵諸共貫いた。

 

その後関羽を確認すると、何とか体勢を立て直していたので、私は恋の背を守るために恋の後を追った……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

結果、寡兵に軽微の負傷者こそあれど、死者はなかった。

 

一方、大軍はなんと約7割強が骸となり、残る2割強は投降することにより、幸運にも生き延びることができた。

 

だが、幸か不幸か、そのどちらにもなれず、本拠地へと逃れた者も少なからずいた。

 

その者たちがどのような末路を辿るのかは、誰も知らない……。

 

そしてその特攻同然のその作戦に参加した者たちのほとんどは、その戦いで作戦立案者にして、その戦いの第一功を得た黄金の獣とそれに続いた恋に対し、共通認識を抱いたという。

 

あの二人こそ、武人が目指す武の境地に至った存在なのだ、と……。

 

修羅と戦神……。

 

戦場にてその二人と対峙し、生き残った者たちが口をそろえて2人をそう例えたという……。

 

 

 

 

 

余談だが、のちに黄金の獣と呼ばれ、女性の方が活躍する歴史の一角に刻まれる男の、数々の伝説がここから始まったのは間違いないだろう……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「……死体は例の通り、焼却後、埋葬するように指示を出せ。私も作業に移る」

 

「ハイドリヒ卿!貴方様のお手を汚すまでもありません!我々におまかせください!!」

 

青ざめた禁軍の伝令を見たあと、私はその伝令の肩に手を置いた。

 

「……ならば例の通り、姜維にこの処理の陣頭指揮を任せる。その旨を姜維に伝えておいてくれ」

 

「おまかせください!」

 

天は我を見捨てなかったと言わんばかりの表情を見せたあと、すさまじい速さで去っていった。

 

「……」

 

毎回のことだが、私に対する対応が過剰に感じるのだが、気のせいだろうか……?

 

形容しがたい気持ちを抱きつつ、私は自分の天幕を目指した……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「……敵の7割以上が壊滅、2割強が投降、残る一割未満は開陽に逃走……か。こちらは関羽、文醜が軽傷、それ以外は無傷で生還……か。文句の付けようかない戦果と言えよう。参加者はご苦労だったな」

 

私が一同を見回すと、参加者は何からの反応を見せ、待機していた者たちは参加者に様々な視線を向けた。

 

「あと、怪我した二人は一度私のところに来てもらう。寧に処置させるからな。その後、何か体調の変化があった場合、どんな些細なことでもこちらに報告しろ。傷から病を患うこともある。――兵を率いる者は、兵の体調もそうだが、己の体調にも気を配るべきだ……。他の者も体調には注意を払っておくように」

 

私は一度言葉を区切り、全員を見回す。

 

「本日は20里ほどさらに南下した地点に陣を展開し、そこで野営する。4日後までには曹操、袁術軍との合流の予定だ。……状況次第では、7日以内にこの乱の鎮圧が完了する。終わりが見えてきたが、まだ気を抜かぬように、しておいてもらいたい。――私からは以上だが、卿らから何か全体に対して言うことはあるかね?」

 

私が問いかけると、全員が互いの様子などをチラ見し始めたので、一通り見た後私はないと判断を下した。

 

「では、ひとまず解散だ。各兵に指示を出してあるので、移動後、それぞれの天幕にて休むといい」

 

私がそう言うと、各々が自分たちの兵のところへと向かう。

 

そして私のところに関羽と文醜がやってくる。

 

「……二の腕の擦り傷に、足の切り傷か。――寧」

 

私の一言で、救急箱から消毒液とガーゼ、ガーゼを固定するためのネット包帯を取りだした寧が薄くしていた気配を元に戻した。

 

「はいはい。ちゃちゃっと終わらせますね。――ちょっと傷口が沁みるかもしれませんが、我慢してくださいね~」

 

緩い口調とは裏腹に、無駄なく処置を施す寧。

 

――また弛んでいるな……。

 

私がそう思いながら二人の傷に消毒と傷口の保護をする寧を軽くにらむ。

 

すると寧は一瞬だけビクッとしたあと、そのまま続けた。

 

「――はい、これでおしまい。明日になったら、包帯をとって、傷口の周りを軽く触ってみてくださいね。ダメだったらまた言ってください。包帯を取り替えますので」

 

寧はそう言って救急箱に道具をしまった。

 

「――驚くべき処置の速さですね」

 

「しかもあんまり違和感ないしな。あたいはこういうの、斗詩に任せっきりだからよくしらないけど、何度も練習したんじゃないか?」

 

目を丸くする関羽と文醜。

 

「まあ、隊長の訓練で兵士の生傷が絶えなかったので、彼らの処置をやっていたらいつの間にかって感じです。始めはひどかったですが、今は結構綺麗にできるようになりましたね、はい」

 

少し照れくさそうに答える寧。

 

「処置も終わったか……。では卿らも各々の主の元に戻るといい。卿らの戦果は私が責任もって卿らの主の成果として報告書にまとめて置く」

 

「じゃあ、あたいは姫のところに戻るから。――あ、傷の処置ありがとな」

 

文醜はそう言って、そそくさと去っていった。

 

「先ほどはありがとうございました」

 

「……はて、何のことか分からぬな」

 

関羽の感謝の言葉に私は首を傾げる。

 

「私に迫ってきた敵に、貴方が槍を投擲してくれなければ、私はおそらくここに立っていることは出来なかったでしょう。不覚にも足を縺れさせてしまった時でしたので、まさしく救いの投擲でした」

 

「……ああ。アレは偶然手を滑らせてな。おかげで使い慣れぬ武器で戦うことになったが、卿を助けたのならば、良い偶然だったと言えよう」

 

私がそう言うと、彼女は怪訝そうな顔をする。

 

「あの時こちらを明らかに見ていた気が……」

 

「気のせいではないかね?」

 

私が少しばかり意地の悪い顔をして彼女の言葉を遮ると、彼女は目を丸くした後、笑みをこぼした。

 

「では、私は勝手に恩義を感じておき、何かあったら恩返しさせて頂きます」

 

「ふむ、偶然で卿に貸しが出来るとは……勿怪の幸いと言う奴だな。では、何かあったら頼らせてもらおう」

 

私がそう言うと、彼女はハッとして付け加える。

 

「わ、私が何とかできる範囲でお願いします」

 

「無論だ。私が困ったとき()()()()()()()で、助けてもらおう。――さあ、卿の愛する者たちの元へ行くといい」

 

私がそう言うと、彼女は一礼する。

 

「傷の処置、ありがとうございました。私はこれで失礼させて頂きます」

 

関羽が去っていった。

 

「……」

 

「……寧?」

 

何故か関羽の去った後をじっと見ていた寧に声を掛けた。

 

「……ふぇ?」

 

気の抜けた返事にこちらも脱力してしまった。

 

「どうしたんですか、隊長。ずっこける瞬間みたいな体勢になって」

 

「いや……。何でもない。姜維と共に、禁軍の指揮を頼む」

 

体勢を整えた私は首を振った。

 

「了解しました、隊長」

 

彼女の言葉を聞いた私は天幕を後にした……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

――夜の帳がおり、多くの者が寝静まった後……。

 

私は詠、月、霞、華雄、水蓮、恋、傾、楼杏、風鈴の寝る天幕の傍らにあった切り株に座って紫煙をくゆらしていた。

 

「ねえ、ライニ」

 

煙草を手に持った後、振り返ると詠がこちらを見ていた。

 

「眠れないのかね?」

 

「……まあ、そんなところかしら。ボクも座らせて」

 

少しばかり恥ずかしそうな顔をする詠。

 

「……これで良いかね?」

 

「……うん」

 

私は少しだけ座る位置をずらすと、私の背に詠が背を預けるのを感じた。

 

「……星が綺麗ね」

 

「ああ」

 

しばらくの沈黙が私と詠の周りを包むが、それもまた心地よいものだった。

 

「聖杯戦争は始まってるみたいだけど、動きはあったの?」

 

「私の感知できる範囲で味方以外は皆無だ。今回の聖杯戦争は互いの位置が魔力の反応で掴めないとエミヤが言っていたくらいだからな。既に何騎か脱落していてもおかしくはないが……」

 

「……大丈夫……よね?」

 

私は煙草を宝物庫へ戻した後、不安げな声を出す詠のほうへ身体を向けた。

 

そして、両脇を持ちあげる形で彼女を抱き上げた。

 

「きゃっ……」

 

私はそのまま元の体勢に戻り、膝に彼女を乗せた。

 

「それは要らぬ心配というものだ。今の私に勝つには、自害させるか、生命線である卿を殺める以外手がないと言っても過言ではない。だが私が卿を守っている限り、卿には指一本触れさせぬし、自害をするつもりもない」

 

私がそう言うと、詠は安心したのか、背を私に預けた。

 

「言ったからには最後まで守ってよね」

 

「無論だ。ああ、あといくつか卿に伝えておくことがあった」

 

「……?なによ」

 

少しばかり警戒の色を見せる詠に対し、私は普通に答える。

 

「すまぬが黄巾党の乱鎮圧後、卿らの身柄は私が預かる。要点かいつまんで言えば、卿らを私の指揮下に入れる予定だ。洛陽にて少しやらねばならぬことがあるのでな」

 

「……いいんじゃない?今なんて実質そうだし、月や霞たちも反対しそうにないし」

 

「……主従逆転している点については、何も言わぬのかね?」

 

私が問いかけると、詠はあきれた顔する。

 

「今更感があるわね、その指摘。でも、その方が動きやすいんでしょ?ならボクは何の問題もないわ。むしろ、変にあんたに枷を付けてたら、いざってときに動きづらいだろうし」

 

「……感謝する」

 

「それで?他にもあるんでしょ?」

 

詠に問いかけに、私は少しためらった後、告げる。

 

「……確定事項ではないが、司馬八達のいる司馬家を接収する」

 

「……あんた、この国を滅ぼすつもりなの?崩落寸前の漢の屋台骨でもとりわけ太い司馬家引っこ抜いたら確実に崩落するわよ」

 

「……本格的に接収するのはまだ当分先の話だ。とりあえずは司馬家を味方に付け、中央での発言権を強める」

 

私の言葉に詠は疑問符を浮かべた。

 

「それは良いけど、あんたは一体何をしようとしてるの?」

 

「……強いて言えば、未来への布石だ。」

 

「……ボクにも教えてくれないの?」

 

すねた顔でこちらを見る詠。

 

「……聞いても良いが、卿にも協力してもらうことになるだろうな。――卿はのちの歴史書に書かれたくなかろう?乱世を招いた大悪党などとは。まあ、そうならぬようにうまく立ち回るが」

 

「……ものすごく不安なんですけど……」

 

歴史を変えるようなことをしようとしていることを理解した詠は頭を抱える。

 

「ふむ、案ずるな。知ってしまった人間は、私の味方でなければ、いつの間にか消えているゆえに、誰かが言わなければ、真実は白日の下にさらされることはない」

 

「……紅いアーチャーがあんたをいまだに信用しきってない理由が分かった気がする」

 

「私が怖くなったかね?」

 

私が問いかけると、詠は完全に体を預けてきた。

 

「逆に心強いわね。冷徹だけど、その分抜かりはなくて、安心できる」

 

「裏切ったらどうするのかね?」

 

「ないわね。そのつもりないでしょ」

 

信頼されていることに少しばかりうれしく思いつつ、私は目を閉じた。

 

「否定はせん。――さあ、明日から再び行軍だ。寝たまえ」

 

そう言って詠を下ろすが、詠が私の手を掴んだ。

 

「今日は一緒に寝て。――あ、添い寝だからね。勘違いしないでよ!!」

 

ハッとした詠が耳まで赤くして付け加える。

 

「よかろう」

 

私はそう言ってから彼女を横抱きして、立ち上がった。

 

そして彼女たちの寝る天幕へと戻っていった……。

 




いかがだっただろうか。

感想、誤字脱字の報告、評価をお待ちしているよ。

――今回の話は少しばかり獣殿が頑張ったとおもう。

――自重してほしいくらいに。

ああ。あと司馬八達の真名を活動報告で募集しようと考えている。

特徴などの詳細はそちらに書くので、皆さまの意見をお待ちしているよ。





では、また次の幕にてお会いしましょう……。

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