恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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なにやら意味不明にして不穏なタイトルだが、半分はネタバレもいいところだ。
もっとも、私も半分くらい徹夜明けのノリなので、中身は保障しきれんが許されよ。
しかしながら、反省も後悔もするつもりもない。
それはひとえに、気にしたら負けだとおもっているゆえに。
それに娯楽というものは、生きるのには本来不要なものだ。
ならばこじつけに違いが、蛇足も娯楽と言えるのではないかね?
まあ、下らぬ愚痴はさておき、幕を開けよう。

――さあ、最高のキチをご覧あれ。
――獣殿の未知なる姿こそ、最高のキチほかならぬのだから……。



第2話 遭遇と共闘、主の親友と獣の苦難

「さて、私はこれからどうすればよいかね?」

 

私を先導する詠に対し、私は問いかけた。

あのあと、詠に今の状況を教えてもらった。

どうやら現在は黄巾党出現より前の時点で、やはり董卓陣営のようだ。

もっとも、その中には高順と言う私の知らぬ将がいる。

北郷一刀のように飛ばされた人間か、この世界の住人か知らんが、警戒した方が良いだろう。

 

「そうね……。とりあえずボクの仕事を手伝ってくれるかしら。この国の字も常識も聖杯が教えてくれるなら、そこらの文官よりは書類処理とかも出来るでしょう?」

 

「おそらくな。まあ、できる範囲でやると……」

 

私は向かい側からやってくる者の気配に気づき、彼女の前に立つ。

私を見つめるは、藍色の髪のポニーテールと眠たげな気配を纏う吊り目の少女。

私の記憶が正しければ、彼女が高順となるだろう。

彼女に関する記憶がないのだから。

さっそくであうとは、運が良いのか悪いのか分からんな。

 

「……貴方はサーヴァント?」

 

「……だとしたらどうする。アサシンのマスター。ここで私と戦うかね?」

 

私の言葉に対し、少女は考えるそぶりを見せる。

ちなみに何故アサシンと断定したかだが、私が彼女を視界に捉える直前に彼女の傍にあった気配が一つ消えたからだ。

そしてアサシンがチート八極拳出ないことを祈ろう。

現在の私は魔力不足により、相当な能力の制約がかかっている。

この状態でマスターを守りながらの戦いとなると、正直ハサン相手でもじり貧だろう。

 

「……詠、貴方は私と戦いたい?」

 

「できれば戦いたくないわね。水蓮」

 

私の後ろにいる詠の声には、苦渋の色が混ざっている。

 

「私も戦いたくない。恋様の大事にしてる人を傷つけたくない」

 

「でも聖杯が欲しいなら、いつかは戦う必要があるわよね」

 

高順の言葉に対し、詠は彼女に対し、質問を投げかけた。

すると高順は困った顔で答えた。

 

「アサシンにも言ったんだけど、聖杯は別に欲しくない。でも、聖杯がろくでもない願いに使われるのだけは絶対に避けたい。わたしはそのために戦う」

 

「「…………」」

 

硬直状態となってしまった今、詠と話し合いをせねばなるまい。

上手くいけばよいが……。

 

(詠……、聞こえるかね?)

 

私がパスを通じて念話で問いかけると後ろにいた詠がビクッと動いた。

 

(今は共闘を提案するべきだ。卿が聖杯を望むのかは知らんが、少なくとも今ここでつぶしあうのは得策とは言えん。嘗ての聖杯戦争でも、同盟を組んでいた者がいたゆえに、不自然ではない)

 

私としては、聖杯より、受肉だからな。

む、聖杯でテレジアを召喚してスワスチカを開くのもありか?

……今のカールがスワスチカの選定をしてくれる気がせんな。

 

「……水蓮」

 

「なに?」

 

「なら共闘はどうかしら。見知らぬマスターより、アンタの方が信用できるわ」

 

詠の提案に対し、彼女は再び考えるような仕草を見せる。

 

「アサシン。あなたはどう思う?」

 

「私としては聖杯が手に入るなら、それに越したことはございません。しかし、主が諦めるならば、私もやむを得ませんが、諦めましょう。それに……」

 

アサシンは何か言おうとしているが、言うのをためらっている。

 

「アサシン、何かあるなら言って」

 

高順はアサシンに対し、発言を促す。

 

「……此度の聖杯戦争はどうも奇妙に感じてなりません。私には直感スキルはありませんが、生前の間培った勘が何かあると告げています。ここは同盟を結ぶべきかと」

 

高順の問いかけに対し、どこからともなく答えを返すアサシン。

……しかしこの声にしゃべり方、呪腕のハサンか?

 

「……分かった」

 

すると彼女が手を差し出した。

 

「詠。私は貴方と共闘する。私もここで戦うのはダメだと思った」

 

私は横へ退き、詠は高順と握手した。

 

「改めてよろしくね、水蓮」

 

「ん。あらためてよろしく」

 

それを皮切りにアサシンが私の前に姿を現した。

黒い包帯を巻いた右腕が特徴の、髑髏の暗殺者は左手を差し出した。

 

「以後よろしくお願いしますぞ、盟友よ」

 

「アーチャーだ。真名はラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ。長いゆえに、ライニ、と呼ぶといい。」

 

私は彼と握手した。

 

「私はハサン・サッバーハ。私に関して疑問がありましたら、聖杯の知識を参照したのちにお尋ねくだされ。できうる限り答えましょう」

 

彼はそう言い終わった後首をかしげる。

 

「む?第三帝国の首切り役人ですか。しかしアーチャーとはこれいかに?聖杯の知識の限りでは、貴方にアーチャー適性があるとは思えませんが……」

 

「訳ありでな、あまり言いたくない。許せ」

 

私が手を放し、少し間をあけると彼は左手で頭を掻いて答える。

 

「……構いませぬ。誰とて、言いたくないことの一つや二つあって当然。先の言葉は忘れてくだされ」

 

「卿の心遣い、感謝する」

 

「そっちの挨拶は済んだようね」

 

詠たちの方を向くと、2人ともこちらを向いていた。

 

「アサシン、ボクは賈駆、字は文和。でも共闘するんだから真名の詠でいいわ」

 

「了解した、詠殿」

 

どこかほっとした表情の詠に対し、頭を垂れるアサシン。

 

「アーチャー、私は高順。真名は水蓮。貴方の真名は気が向いたら教えて」

 

「なら今教えておこう。ラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒだ。もし真名で呼ぶつもりならば、ライニと呼ぶといい。生前の愛称だ」

 

「ん、分かった。よろしくライニ」

 

彼女はそう言うと、ハッとする。

 

「今日は警備の当番忘れてた。じゃあ、またあとで」

 

彼女はそう言うと、急いで走り去った。

 

「私もこれで、御免!」

 

ハサンもそう言うと、水蓮を追いかけつつ、気配遮断で姿を消した。

 

「……じゃあ、ボクたちもいくわよ」

 

「分かった。引き続き案内をお願いしよう」

 

私がそう言うと、

 

「ふん、相変わらず偉そうね」

 

と詠は返してきた。

身に沁みついた癖というモノはなかなか治らんものだ。

癖の続いた時間が長ければ長いほど、特にな。

私はそんなことを思いながら、彼女の後に続いた。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

詠ちゃん、今日は遅いな。

どうしたんだろう?

わたし、董卓こと月は今一人で政務をしています。

いつもなら一緒に詠ちゃんと政務をしてるんだけど、今日はまだ来ていません。

今日は不幸な日なのかな。

まだだよね……?

 

「月!遅くなってごめん!!」

 

そう言って詠ちゃんは入ってきた。

――知らない人を連れて。

 

「え、詠ちゃん。その人誰?」

 

「あ、えっと……」

 

「私はアーチャー。真名はラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒだ。私の真名を預けよう。もっとも、長いのでライニ、と呼んでほしい」

 

詠ちゃんが答える前にその人は自己紹介をしてくれた。

って、ええ!!

真名をいきなり預けられちゃった!!

なら私も真名を預けないとダメだよね?

 

「えっと、私は董卓、字が仲穎。真名は月です!!よろしくお願いします、ライニさん!」

 

私は思わず立ち上がって、一礼する。

……私より人の上に立つ資質がある気がするのはなんでだろう?

私にそんな資質なんて全くないのは自覚してるけど、この人は本当にすごいよ。

 

「こちらこそよろしく頼むよ」

 

ライニさんは口元を微かに上げて私にそう返した。

 

だけどライニさんが急に眉をひそめた。

 

「ちょっとライニ!!月になんて口きくのよ!!」

 

詠ちゃんがライニさんの脛を蹴ったみたい。

へう、ライニさんの目が怒ってるように見えるのは私だけかな?

 

「……この口調はどうにもならん。月よ、許してくれぬか?」

 

「あ、いえ……。別に私なんてお飾りの太守なんで、許すも何もありませんよ」

 

「ちょっと月!!」

 

ごめんね、詠ちゃん。

でもライニさんを怒らせたら大変なことになりそうだし、あながち嘘じゃないから……。

これ以上、この話を続けたらダメな気がするし、何か注意を逸らすことは……。

 

「そう言えば、ライニさんはどちらからいらっしゃったんですか?詠ちゃんと仲が良さそうですが、それはどうし……」

 

話をそらすための言葉を、私は最後まで言うことが出来なかった。

だって私が訪ねた途端、部屋が急に寒くなったような気がしたから。

それにライニさんの目が急に険しいものになったから。

 

「……詠、どこまで話すかは卿に任せる。私は話が済むまで、外で待つ」

 

見た者を凍り付かせるような目つきのライニさんはそう言うと、踵を返して部屋を出ていった。

 

「……月」

 

「なに?詠ちゃん」

 

詠ちゃんに聞き返すと、詠ちゃんはいつにもまして、真剣な顔で私を見つめてきた。

 

「どうしてライニとボクが一緒にいるか、説明する。長くなるけど、いい?」

 

「うん。お願い」

 

詠ちゃんがこんなに真剣なんだもん。

私もしっかり聞かないと……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

さて、私の予想が正しければ、詠は彼女に全てを話すだろう。

□□□□(わたし)”の記憶通り、2人は親友のようだったからな。

……つまり私は長時間暇になると言うことだ。

 

「よし、簡単な料理を作るか」

 

□□□□(わたし)”と融合するまでラインハルト(わたし)が久しく感じていなかった感覚から閃いた思いつき。

□□□□(わたし)”は基本的な料理は一通りできたのだから、後は材料と場所だ。

厨房の一つや二つ、城なのだからあるだろう。

そこには材料も必然的にあるはずだ。

できた頃には丁度昼時だろうからちょうどいい。

――こうして私は食事を作ることにした。

 

 

 

 

さて、厨房を見つけたは良いが、あまりにも材料がない。

弱った。

いくら料理が出来るといっても、材料がなければ作れぬ。

あるのは炊けた大量のご飯くらいだ。

さて、材料をどうするか。

材料……、素材……、材……、財……?

 

「……!」

 

私は手をポン、とたたいたあと、目の前の調理台に黄金の波紋をイメージする。

すると、黄金の波紋が調理台の上に現れ、その中から欲しい素材が一通り出てきて、波紋が消えた。

――英雄王が多用したのも理解できる気がする。

魔力の消費もほとんどなく、かつ大抵のものを出せるのだから当然かもしれん。

 

さて、出てきたのは長ネギ、ショウガ、ニンニク、豆板醤、エビ、塩、片栗粉、酒、胡椒、ケチャップ、片栗粉に酢と胡麻油、おまけにレタスか。

 

何故“□□□□(わたし)”がよく買っていたケチャップとまったく同じものが(しかも袋入りで)出てきたのか、かなり不思議だが、まあいい。

 

この材料とご飯があるならば、炒飯とエビチリができるだろう。

レタスはエビチリに添えるのに丁度いい。

私は肩に掛けていた黒い軍服を傍の椅子に掛けた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「ライニ~?終わったわよ……ってあれ?」

 

話が終わったから、ライニを呼ぼうと思って部屋から出たけど、ライニはいなかった。

 

「どこいったのよ、あいつ」

 

「詠ちゃん、どうしたの?」

 

月が首を傾げて聞いてきた。

 

「ライニがいないのよ」

 

どこにいったのかしら、まったく。

 

ぐうぅぅぅ……。

 

「……おなかすいたわね」

 

「うん。そうだね。どこか食べに行く?」

 

「……ライニを見つけてからね。まったくあいつはなにやってるのかしら」

 

私はため息をついてから、ライニを捜し始めた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

ライニは案外すぐに見つけた。

ただし、見つけた時の状況が理解できないものだったけど。

 

「アンタなにやってるの?」

 

「見てわからんか?そこの3び……三人に食事を作っているのだ」

 

中華鍋の上で炒飯を器用に踊らせながら、ライニが答えた。

何故かアサシンも彼と一緒に別の料理を作っているらしく三口ある焜炉を全て使って料理を作っている。

 

「そこの赤毛の娘がもの欲しそうに見ていたのでな、分けたらもっとと言いだしたのだ。おまけに水蓮とそこの小さいのがやってきて、いつの間にか食べだしていた。幸い、アサシンが手伝ってくれているから楽になったが、赤毛の娘の胃袋はどうなっている」

 

「だからねねは陳宮だと言っているのです!!お前は恋殿が満足するまで料理をつくればいいのです!!」

 

「(モグモク……)恋は呂布……」

 

……同情するわ、ライニ。

 

「アーチャーの作るご飯はおいしい。そこらの店よりよっぽどおいしい。詠たちもこっちに来てたべなよ」

 

水蓮はそう言って自分の席の隣を指していう。

 

「詠、月。卿らがいたところでさほど変わらん。卿らも昼食まだなのだろう?」

 

「それはそうだけど、……いいの?」

 

「本来ならば卿らが話している間に料理を作って持って行く予定だったのだ。はやく席につくといい」

 

彼は綺麗に皿へ炒飯を盛り、匙を添えてこちらを向いた。

 

「アーチャー、もうすぐ小籠包が出来上がりますぞ」

 

「なら次はマーボー豆腐を作る。豆腐を賽の目に刻んでくれ」

 

ライニが目で席に座るように指示したので、しぶしぶ私は席についた。

月も私の隣に座った。

私がマスターのはずなのに……。

 

「さあ、食べるといい」

 

出された炒飯は具に卵とネギ以外入っていない簡素なものだけど、あの忙しさなのだから、おそらく手一杯なんでしょうね。

私は出された炒飯を一口食べた。

 

「……美味しい」

 

単純なものほど、料理する人の腕が分かるっていうけど、それが本当なら、ライニは相当料理が上手ってことになる。

ご飯は一粒一粒が綺麗にばらばらに口の中で分かれるし、味もしっかりとついててむらがない。

月も目を丸くして私を見ているし。

 

「食べ終わった。次ちょうだい……」

 

「ねねもですぞ!」

 

「私もお願い、ライニ」

 

「……どうしてこうなった……」

 

心なしか疲れているように見えたライニが、そんな言葉を漏らしていた……。

 

 




ああ、いかんな。
これでは私の人生のようだ。
脱線ばかりで本線になかなかどうして戻れない。
だが、これはこれで一興ではないかね?

今回のいい加減ポイント
獣殿の口調の確認(後半)。
→指摘があればお願いできるかね?
 投げやりではないかと?
 アーアー、ナニモキコエナイ、キコエナイ。

詠の一人称の再確認。
→前話の深刻なミスとはこれのこと。
 ミスを見つけたら、ぜひともご指摘いただきたい。
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