獣殿のヒロイン攻略補正はバグっていますが、作者の気まぐれで、攻略対象がロックされたり、されていなかったり……。
あとこの物語と、その次の物語を完結させるまで、くたばらないよう、頑張るので、応援してくれるとありがたい。
次に、今話は獣殿のヒロイン攻略補正が発動している。
ちなみに、私は基本、ある程度友好関係を作ってから出なければ獣殿と結ばれることがないようにしているので、この補正がここまで露骨に出ることはあまりない。
ただ、たまに徹夜明けのノリでやってしまうので、その点に関してはご了承いただきたい。
まあ、過度なストレスがたまらん限り、再発はない(はず)なので、話にでてきていきなり――というのは彼女たちが最後になるだろう。
(最初? 何進と言う性欲の権化(笑)だ)
最後に、サブタイトルは、ネタバレ(特に後半)しているが、内容は一生懸命紡いだので、ちゃんと見てくれるとありがたい。
さて、私のことはこの程度にしておきましょう。
――では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。
司馬懿が我が旗下に加わっておよそ半月。
予定ならば詠たちが長安から帰還中のある日の執務室にて……。
「……卿の姉と妹を推薦したい?」
仲達からの唐突なお願いに、私は思わずオウム返しをしてしまった。
「はい。姉は司馬伯達。妹は司馬叙達。姉は文武両道で、妹は癖がありますが政務に関しては父の仕事の補佐をしていましたのでお役に立てるかと思います」
「……なるほどな。我の薄い長女に、我の強すぎる三女が残ったか」
「…………はい」
私の言葉に、かなりの間が置かれた後、返事が返された。
私は1週間の予定を思いだしながら、結論を出す。
「ふむ、では後日面接を行うことにする。可能な日程のうち、空いている日のどれかを選択して、来てもらう予定だ。詳細は卿に後で書類にまとめて渡すゆえ、2人に渡しておいてほしい。ああ、数日中に返事をもらってきておいてくれ」
「……了解しました」
彼女はそう言うと、隣の部屋に移動した……。
――*――*――*――
――3日後。
ノックの音とともに、扉の向こうから声がする。
私は傍らにいた美花にアイコンタクトをとると、彼女は静かに頷いて隣の給湯室に移動した。
『仲達でございます。面接の方がいらっしゃいました』
「通してくれ」
私はそういって執務用の机から立ち上がり、ソファーの片側へと移動する。
「「失礼します」」
そういって入ってきた2人を見て、私は内心で納得する。
(仲達は自分を三つ子の真ん中と言っていたが、なるほどな……)
髪の色はいずれも白銀。
まず目立つ相違点は、仲達は先日まで目が見えていなかったこともあってショートヘアーだが、この2人は長いということ。
その片方はミドルのツインテールにしており、もう片方はポニーテールにしている。
ポニーテールの方の目はルビーのような紅で、ツインテールにしている方の目が金色と紅のオッドアイだ。
――先日聞いた通りならば、ポニーテールの方は司馬朗で、ツインテールの方が司馬孚だ。
私は2人が私の向かいに移動するまで待つ。
2人が向かい側に立ったのを見て、私はソファーに腰かけた。
「よく来てくれた。――さあ、座りたまえ」
私がそう言うと、2人は静かに腰かけた。
「さて、一応知っていると思うが、自己紹介させてもらう。――私はラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒだ。獣とでも、ラインハルトとでも、ハイドリヒ卿とでも、好きに呼ぶといい。皇帝契絆支と執金吾の兼任をしている」
私がそう言うと、丁度タイミングよく、美花が入ってきた。
彼女は2人の前にお茶を置いて行くと、そのまま再び給湯室に戻っていった。
「私は司馬朗。字を伯達と申します。妹の伝手を借り、恥ずかしながら、貴方様の元で働きたく、馳せ参じました」
ポニーテールの少女は滑らかにそう告げると、どこか不機嫌そうなツインテールの少女……司馬孚を見た。
「……司馬孚。字は叙達。お節介な姉たちに言われて、面接に来ました。姉たちの顔をつぶすのは流石に問題なので、顔を立てるためにきましたが、貴方のところに仕官するつもりはありません」
「こら、
妹の言葉に眉をひそめて窘める姉。
「構わんよ。――叙達。独自の調査や仲達からも聞いた話で大方予想はついているが、何故卿は他者との接触を拒む?」
私は伯達を宥めつつ、叙達に問いかけた。
「――予想がついているのに聞くのですか?」
「――ああ。私がいくら考えたとしても、卿になれるわけではない。――卿の気持ちを完全に理解できるなどと、私は思ってはおらん。ゆえにだ」
私がそう言うと、少し間をあけて、答える。
「やはりこの目ですよ。目の色が左右で違うだけで他の名士たちとの交流を避けられました。他の人にも壁を感じます」
「……なるほどな。――だが、我が爪牙はその程度の些事など気にせんし、私も気にせん」
「……」
疑いの目を向ける叙達に私は問いかけてみる。
「――ふむ、ならば卿はどうすれば信じてもらえるかね?」
「私を抱いて証明してください。――私に忌避感を感じないならば、最後まで出来ますよね……?」
私は二日酔いよりも酷い頭痛を感じつつ、尋ねた。
「……なぜそうなる?」
「一番手っ取り早いのはそれでしょう?上っ面は演技で態度は誤魔化せますが、流石に性欲まで演技は出来ませんよ。――それに、私はあなたのような方が好みですから。――あ、貴方が選り好みしないことは情事を数日前から覗いていた聆紗ねえの証言から分かっていますし、来る者拒まずってことは父より聞いています」
「晶!?それ内緒って言ったよね!?」
唐突に入り口の扉を開けてツッコミを入れる仲達。
(屋敷に移動して防音設備整えてから、人払いの魔術アイテム使ってなかった……!!)
血の気が一瞬引いたように感じた私は、すぐさま思考を戻して答える。
「仲達、あまり人の情事を除くのは感心せんな。――それと伯達。姉として叙達に一言言ってくれぬか?」
「!?」
唐突に話を振られて混乱する伯達。
「――晶。ここは長女である私が最初ではありませんか?」
キリッと凛々しい顔で言った言葉は完全に爆弾だった。
「そうではないだろう……」
頭を抱えざるを得ない状況に陥ってしまった私に、救いの手は差し伸べられた。
「皆さま、場所をわきまえて頂けませんか?旦那様もお困りのようです」
「「「…………!!」」」
美花の言葉にハッとした3人。
「……旦那様。私が寧さまに詳細をお伝えしておきますので、一度、屋敷に戻りになられてはいかがでしょうか。お二方との面接の続きはそちらですれば問題ないかと……」
「では、そうするとしよう。――付いて来てくれ」
私がそういって立ちあがり、歩きだすと、入り口にいた仲達は道を開けた。
私は止まることなく歩いて行くと、執務室の隣の部屋の方から
「またですかぁぁぁぁぁぁ…………」
という変な悲鳴が聞こえたが、無視して屋敷を目指した……。
――*――*――*――
屋敷に戻ってきた私は、ダイニングに当たる部屋に客人たちを通した。
そして客人にお茶と、暇つぶしで作った和菓子をいくつか用意し、もてなした。
――仲達も何故かもてなされる側にいたが、とりあえず置いておく。
「さて、話の続きをしよう。……とりあえず卿らの仕官は認める。主力が戻ってくるまで、仕事面では李奉か姜維、まだ新人扱いだが一応先輩に当たる仲達に、そのほかの面では私か美花に聞くといい。……何か質問は?」
私が問いかけると、叙達が手を挙げた。
私が質問を促すと、彼女は口を開いた。
「私を抱く話はどこに行ったのですか?」
「……卿が構わぬならば、今からでも構わんよ。私自身美女と体を重ねることを断る理由は特にないゆえに」
私の言葉に呆然とする叙達たちをよそに続ける。
「――ただ、私は手抜きがあまり好きではない。やるならばとことんと、だ。そして、真名を預けられぬ相手とは一夜をあまりともにしたくはないな。――愛が、足りんよ」
「「「…………」」」
呆然とする3人。
「……ずいぶんと積極的ですね」
「……素の卿程ではないがな」
美花のブーメランを返した後、3人に問いかけた。
「――さて、叙達。発言を撤回するならば今のうちだ。――私は総てを愛している。ゆえに卿も愛そう。――ああ、我が花たちは我が愛を嵌れば抜け出せぬ底なし沼と例えていたな。ゆえにそれを理解し、相応の覚悟はしてもらわねば困るぞ?」
「――あなた方の人生において、大きな岐路となる選択です。良くお考えになられた方がよろしいかと」
美花が真面目な態度で3人に忠告する。
「――無論、伯達、仲達も望むなら卿らも愛そう。私は昼まで閨で読書している。……後は卿らに任せる」
私はそういって立ちあがり、部屋を出ようとする。
「――ああそうだ。美花。例の書類が書庫の8番の棚の上から3段目に互い違いに重ねてあるゆえ、2人分出して彼女たちに渡しておいてくれ」
「かしこまりました、旦那様」
私はそういって、部屋を後にした……。
――*――*――*――
(――さて、御三方はどのような選択肢を選ぶのでしょうか?)
(――っといけません。旦那様の言いつけを守らないと、お仕置きがもらえません)
私は御三方の気を散らさぬように静かに部屋を後にしました。
――*――*――*――
「――痛い痛い痛い!!聆紗ねえ痛いってば!!
「秘密にしておいてほしいことを寄りにもよってハイドリヒ卿にばらした貴方にかける情けはありません」
私は涙目になっている妹の頭を拳で挟んでいる。
「……流石に今回は完全にあなたが悪いです。甘んじて聆紗の裁きを受けなさい」
姉は首を振って妹を見捨てる。
「ところで、2人はどうするのですか?」
「「……」」
真面目な姉の問いかけに私は妹への攻撃を止めた。
「花音ねえはどうするのよ?」
晶の問いかけに姉は頬を赤く染めて答える。
「わ、私は、……行きます。あの日出会ってから、あの人を思わなかった日はありません。何度か街で声を掛けて頂いたこともあります。それに……」
「……それに?」
晶が問いかけると彼女は少し不安げな顔をする。
「あの人はどこか危うい。人の身を余るほどの力を持っているのにその存在が砂上の楼閣のように感じます。ついて行った方が良い、と何かが頭の中で囁くのです。――私はあまり直感と言うものを信じませんが、今回ばかりは信じたほうが良い気がしたので……」
姉がそう言った後、妹が口を開いた。
「――で?聆紗ねえはどうするの?私は行くよ?言いだしたの私だし、あの人の言葉が本当なのか、確かめたいし」
いきなりのことで少しばかり焦るが、私はハイドリヒ卿に教わった深呼吸をして答えた。
「私は―――」
――*――*――*――
私がソファーに身体を預け、ある二次小説家が綴った首輪付きの半生を描いたSSを文字におこしたモノを読んでいると、ドアが叩かれる。
「入るといい」
私がそう言うと、ドアが開かれ、3人が入ってきた。
「……ふむ、それが卿らの答えか」
私は本を閉じ、机の上に置いた。
「性を司馬、名を朗、字は伯達。真名は花音。貴方の傍らを歩まんとする一輪の花を受け入れてください」
「同じく司馬の系譜に名を連ねし私は司馬懿。字を仲達。真名を聆紗と言います。――わが心を奪った黄金の輝きを纏う貴方様に我が身を捧げます」
「2人の姉と同じ日に生を受けし我が名は司馬孚。字を叙達、真名を晶と申します。――大海のごとき愛で私を受け入れて頂きたく参りました」
三者三様の告白を聞いた私は間をあけて答える。
「……良かろう。――我が無聊を慰める楽器として、どうか、良い音色で鳴いてくれ……」
――*――*――*――
翌日、3人を一度家に送り返したら、
「娘たちを、今後ともよろしくお願いいたします……!!」
と司馬建公に涙してお願いされた。
そして不満そうな寧を宥めたり、寧の八つ当たりに巻き込まれて酒の海に沈められた姜維の分の仕事もこなしたり、楼杏、美花の暴走を止めたりと、色々大変だった、とだけ言っておこう……。
――*――*――*――
「にゃー」
「にゃ~」
「にゃ~ん」
洛陽のある路地裏。
そこには結構な数の猫がたむろしていた。
「わあ。すごいですっ!!お猫様がいっぱいです!!」
私の隣にいる少女が目を輝かせる。
「私の言った通りだろう?――ほら、そこの石段に座るといい」
私は傍の石段を示すと、少女は首を傾げながら石段に座った。
それを見た私はその猫達でも比較的人懐っこい少し太った猫を抱き上げ、少女の膝に乗せた。
「あぅあぅ……!!お猫様が私の御膝に……!!」
感動のあまり震えてしまっている少女をよそに、その猫は彼女の膝で丸くなった。
「はぅわ!?お猫様が私の膝で丸くなりました!!」
「モフモフしてみるといい。――ああ、頭を撫でたり首のあたりを掻いたりしてやるのも、忘れずにな」
私の言葉に従い、少女はモフモフし始めた。
ちゃんと忘れずに、少女はを撫でたり、首の周りを掻いたりする。
するとその猫は、嬉しそうに喉をゴロゴロ鳴らし始める。
「あぅあぅ。お猫様が幸せそうです……!!」
「その猫は猫好きな人にはすごく人懐っこいが、初対面でそこまで気を許しているということは、卿の猫への愛は、相当だからかもしれぬな。――どうかね?私のお気に入りの場所は。気に入ったかね?」
私が問いかけると、彼女は笑顔になる。
「はいっ!」
「それは何よりだ」
くノ一のような装束を身に纏う少女に出会ったのは、ほんの数刻前のことになる……。
――(回想)――
事務仕事ができる人材が2人も増えたので、ある程度の書類以外は私の元に回ってこなくなった。
つまりは暇になるのだ。
だが皆が働いているのに、自分だけ暇を弄んでいるのはアレだったので、暇つぶしと実益を兼ねた見回りを行うことにした。
区画整備がされているのは中心部だけで、外側はそこまでされていない。
そのため、未だ我が執金吾の兵が把握しきれていない場所がいくつか存在する。
それを解消するため、たまに私が入り組んだ区画などに赴き、マッピングしてその担当区画の責任者に渡している。
どんなに入り組んでいようと、方向と距離を間違えることないため、正確すぎるマップが出来ているのはここだけの話。
今日もまた、入り組んだ区画のマッピングをしていると、ある路地裏で、少女の声が聞こえてきた。
「ああ、お猫様~」
悲壮感あふれる声に私は思わずマッピングを放りだしてその声がする方へ赴いた。
そこには悲しみのあまり呆然としている少女と、それを警戒する野良猫たちがいた。
「……む?隣の区画の野良猫たちか。行動範囲が広いな……」
比較的よく通る区画で見かける猫が結構混じっていたたのを見た私は少女に声を掛けた。
「ここの猫は他の区画よりも警戒心の高い猫ばかりだ。もし猫とふれあいたいのならば、私の良くいく区画の猫の方がいい。――案内した方が良いかね?」
私が問いかけると少女は恐るべきスピードで顔をあげて私のところまで来た。
「それは本当ですか!?」
「ああ。卿になにか用事がなければ、だが」
私がそう言うと、彼女は一瞬悩んだ後答える。
「大丈夫です!!用事は既に済んでいます」
「ふむ、ならば案内しよう」
――(回想)――
「さて、卿には少しお願い……いや、依頼を頼みたいのだが、良いかね?」
私が問いかけると、彼女は疑問符を浮かべた。
「えっと、私ができることでしたら……」
私は懐から2冊本を取りだす。
「この2冊を卿の主である、孫伯符に届けてほしい。内容は周公瑾あたりが見ればその重要性に気付くだろう。その二人の直筆の署名をもらって来れば、その本のうちもう一つの方の続きを用意しよう。署名が依頼達成の条件だ。報酬として、猫が好きなマタタビと言う植物の粉と、猫の生態について書いた本を渡そう」
「え…………ええ~っ!?何故私が孫家の家臣だとお気づきになったのですかっ!?」
大声を出してしまったせいで、猫は驚いて周泰の膝から飛び降りた。
「……私独自の伝手があってな、そこで卿を知ったのだ。さてどうする?黄金の獣からの依頼……。受けてくれるかね?」
私が問いかけると、彼女は私と本を交互に見た後、答えた。
「受けます」
「……私が嘘をついていると思わんのか?」
あまりにもとんとん拍子に話が進んだので、一石投じてみた。
「――お猫様が好きな人に、悪い人はいないと信じています!!」
(――変な人に騙されなければよいが……)
私は苦笑して本を2冊渡す。
「お猫様とふれあえる貴重なお時間を作っていただき、ありがとうございます!!それではっ!!」
彼女は本を受け取ると、すぐさまそう言って去っていった……。
「……」
私は懐から、煙草とライターを出し、煙草に火を付けた。
(……さて、これで一通りの英傑に私の有用性が伝わるだろう。あとは……)
私は紫煙をくゆらしながら、そう遠くない未来を見据えた……。
いかがだっただろうか。
感想、評価、誤字脱字の報告をお待ちしているよ。
ああ。次回予告(?)をするので、見ていってもらえるとありがたい。
【次回予告(?)】
旧董卓軍と黒円卓勢がついに勢ぞろい。
黒円卓の者たちが暗躍する中、恋姫達と獣殿のほんのり甘い日常はもう少しだけ続く。
そんな中、とうとう、純粋な彼女が、禁書を教材に、駄メイドと保健体育のお勉強を始めた!!
彼女に付き従う者たちはこれに気付き、止めることが出来るのか!?
そして獣殿の毒牙は、ついに皇帝とその妹、さらにはその側近に襲い掛かる!!
なにより、ハサン先生の影の薄さは改善されるのか!?
次回【獣殿(社会的に)死す!】
(注)あくまでこれは製作中のモノです。
実物と予告の差異に関して本作品の作者は一切の責任を負いません。
では皆さま、また次の幕にて、お会いしましょう……。