恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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――さあ、ようやく出来た時間で煮詰めた闇鍋をやっと投下できる。

さて、今回は寧がやたらいじられる回になっているが、まあいじりがいがあるキャラなので、致し方なしか。

――安心したまえ、次回はちゃんとかゆ&霞or恋&水蓮&ねね攻略を進める。

どっちが先かは作者の木紛れ&読者のリアクション次第だ。

さて、無駄話はこの程度にして……。

――では皆さま、私の歌劇をご覧あれ……!!



その5 集いし爪牙/理不尽は突然に1,2

端姫を外に連れ出してからはや一月半……。

 

私は西側の城壁の上にて、遠くに見える一団を見ていた。

 

「……これで役者はそろい、舞台はほぼ整った。後は時が来るのを待ちながら、導火線に火がつかぬように監視していればよい……。細かな調整はカールと聖餐杯が行うだろうからな……。――私の手がける初の歌劇だ。カールのようにやり直しは出来ぬゆえ、失敗は出来……?」

 

私は一瞬違和感を覚えたが、心当たりがなかったので特に気にすることなく、その場を後にした……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「へえ、随分と大きいわね」

 

屋敷を確認する詠。

 

「ウチらも此処に住んでええんか?」

 

「無論だ。そのために洛陽で一番大きい屋敷を黄から譲り受けたのだからな」

 

霞の言葉に、私は頷く。

 

「……イロモノ揃いの黒円卓を率いているだけあるというべきか。いろいろ規格外だな……」

 

何故か遠い目をする華雄。

 

――一体何があったのだろう。

 

「部屋割りとかは決まっているのですか?」

 

「とりあえず少し待っていてくれ。卿らの使う部屋について連絡を団員をねぎらった後に伝えるのでな」

 

ねねの質問を私は先送りした

 

「はい、分かりました」

 

「……了解です」

 

笑顔の月とようやく沈黙を破った水蓮。

 

私はそれを見て頷いた後、爪牙たちの元へと歩み寄った。

 

騎士団の全員が片膝をついて頭を垂れている。

 

「――顔をあげるといい」

 

私がそう言うと、爪牙たちは顔をあげた。

 

「まず初めにザミエル、シュピーネ。長安での任務をご苦労。おかげで計画の準備が出来た」

 

「ハイドリヒ卿の御計画に助力出来ましたこと、誠に光栄にございます」

 

「この程度は造作もございません」

 

私は2人の言葉に頷く。

 

「次にマキナ、ベイ、カイン、ヴァルキュリア、レオンハルト。――往路の旧董卓軍の護衛および復路の月たちの護衛、ご苦労だった」

 

「「「「はっ」」」」

 

「……」

 

マキナ以外が短い返事を返す。

 

「――別任務より帰還した聖餐杯に、偽帝を連れてきたカールを含め、これで全団員が洛陽に集結した。――計画の第一段階……。偽帝の帝位継承および反偽帝連合の始動はもうすぐだ。各自、最善を尽くせるよう、今は羽を伸ばすといい」

 

「「「「「「「Jawoh(ヤヴォール)」」」」」」」

 

私の言葉に、我が爪牙たちは一様に反応を示す。

 

「では、部屋について説明をする。――詠たちも来てくれ」

 

私がそう言うと、少し離れたところで待っていた詠たちが気が付いてこちらに来た。

 

それを確認した私は、説明を始める。

 

「しばらく使う部屋について説明する。卿らには番号札が付けられている個室を一人一室用意してある。40部屋以上あるため、1人一部屋使っている限り、部屋が足りないことはないはずだ。なおどこにするかは卿らに一任するが、取り合いになったら平和的は方法で解決するように。どの部屋にするか決めたら、その部屋の番号札をもって私のところに来ること。私が卿らの部屋の扉に付けるドアプレートとその番号札を交換する。基本部屋の内装はどこも同じだ。内装を変えたければ私に具体案をまとめて伝えてくれれば可能な範囲でリフォームするが、引き上げる時は自分でやってもらうため、それも考えて私に具体案を提出するように。――何か質問は?」

 

私が一通りの説明を終え、質問を受け付けると、恋が手を挙げた。

 

「何かね?」

 

「……かぞく、どうしたらいい?」

 

困った顔の恋。

 

彼女がチラ見した先にいるのは、大量の犬と猫。

 

「案ずるな。離れになるが、出入り自由な家を用意してある。屋敷とそこを通る通路も作ってある。世話はある程度までならこちらが用意するが、細かなところは卿に任せる。――良いな?」

 

「……(コクコク)」

 

私の回答に納得したように頷く恋。

 

「他に質問は?」

 

私が問いかけると、詠が手を挙げた。

 

「――あんたの部屋は――ッ!!」

 

一部の団員が殺気を詠に向かって飛ばしたようだ。

 

「――怒るな、ベイ、ザミエル。この程度で目くじらを立てているようでは、作戦に支障が出る故、裏方しか任せられんぞ」

 

「「……」」

 

2人は私の言葉にハッとして殺気を消した。

 

「――よろしい。……私の部屋は北側の一番奥にあるので、来客用の部屋を流用した卿らの部屋からは必然的に離れている。――ああ。あと卿らのいない間に我が旗下に入った者もいる故、後で紹介する。――他に質問は……。なさそうだな。――では、一度解散だ。――美花。すまぬが恋の家族を案内してくれ。聆紗、卿は皆を部屋まで案内してくれ。私は執務室に戻る」

 

「――了解いたしました、旦那様」

 

「御意」

 

私の言葉に反応して現れる美花と、傍にいた聆紗。

 

美花の出現に、数名が少なくない動揺を見せるが、私はそれを放置してその場を後にした……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふ~ん?勢い任せな叙達に釣られて、人に流されやすい(?)伯達がその流れに乗って、勇気を振り絞れなかった伯達もそれに乗ったってわけね」

 

「す、すごい行動力だね、詠ちゃん」

 

「ボクとしてはとても複雑だけどね」

 

「……私も、かな……」

 

「……まあ、いいんじゃない?これで司馬家の後ろ盾ができたわけだし、それであんたがいなくなる間に、ボクたちや黒円卓の連中に変なちょっかい出してくる馬鹿がこれで減るだろうし」

 

――そろそろ日付が変わるころ、私の寝室にて、詠と月と共に、私は寝ていた。

 

「……だといいのだがな」

 

私は少し不安な気持ちを吐露した。

 

「それより、あんたが何をしようとしてるのか、教えなさいよ」

 

少しばかりムッとした詠が、私の胸板でのの字を書きながらそう言ってきた。

 

「――はて?偽帝を帝位に据え、反偽帝連合による偽帝の討伐が起きた後は、戦乱の世を静観しつつ、敵対サーヴァントの排除に回る予定ゆえ、そのための下準備をしているに過ぎんが……」

 

「――なら、ボクたちがいない間、吸い上げる魔力が時々異常なほど増えたのはどうして?――宝物庫や、爪牙の召喚をはるかに上回る魔力を使ってる理由がないと説明がつかない。でも美花に聞いた限り、宝具を使ったそぶりはなかったって……」

 

「……」

 

詠の問い詰めるような言葉に、月も真剣な眼差しを向けてきた。

 

「……まだ、その時ではない。――今言えることは、それだけだ」

 

私がそう言って私の両腕に頭を預ける2人を撫でた。

 

私の言葉に少し不満そうな二人。

 

「……ちゃんと言ってくれるまで待つけど、ちゃんとその時になったら話しなさいよ」

 

「詠ちゃんの言う通りです。一人で抱え込まないでください」

 

「無論だ。いざとなれば卿らや、爪牙に頼る。ゆえに心配は不要だ。――さあ、早く寝るといい」

 

しばらくすると、2人はつかれたのか、規則的な寝息が聞こえ始めた……。

 

「……ツァラトゥストラの渇望。今なら痛いほど理解できる……」

 

私はそう言って、意識を手放した……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「――して、卿は何をしているのかね?」

 

女神のいる空間にて、女神が何かをしているのを見て、私は問いかける。

 

「――次元の狭間に偶然漂ってた魂の残滓をサルページしたので、再生してみてるんです。――あ、ちゃんと隊長の依頼もやってますからね!?お仕置きは勘弁してください!」

 

慌てて土下座する女神。

 

「――まあ良い。こちらも計画最終段階で必要なモノの核となるアレの生成が8割方完了した。この調子で行けば偽帝の帝位継承までにアレを完成させられるだろう」

 

「後は詩魔法3つ作って、選定した歌姫たちに割り振り、謳ってもらえばいい……か。問題はそこら辺ですね」

 

たいへんそうだなー、と他人事のように言う女神に、一つ確認を取る。

 

「ところで避難先はどうなっている?計画では卿が生み出した世界だったはずだが……?」

 

私がそう言うと、彼女は気まずそうな顔をして、答える。

 

「それが、聞いた話によると、今から突貫で作っても、間に合わないことが判明しましたので、この外史と、私のいる場所から比較的近い世界の管理者の一人にお願いしたんです」

 

「して、その管理者とは?」

 

私が問いかけると、彼女は少し気まずそうに答える。

 

「第五天、黄昏の女神です。――彼女の管理する並行世界の一角を避難先にしておこうかと……」

 

「……そうか。私の依頼を達成してくれたこと、ありがたく思う。――済まんが引き続き寧にもしっかり働いてもらうが、問題ないかね?」

 

私が感謝の言葉と、今後ともよろしくという旨を伝えると、彼女は任されたといわんばかりの表情を見せた。

 

「モチのロンです。隊長の計画のためにも、頑張りますね。――それはそうと……」

 

「……?」

 

女神の言葉に私が首を傾げると、彼女は人差し指をツンツンしながら答える。

 

「最近隊長が仕事押し付けてるせいで、御無沙汰じゃないですか。こっちにもあまり来ませんし……。――今なら時間的にもよゆうがありますから……」

 

「……良かろう。朝日が昇るまで、たっぷりと可愛がってやろう……」

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「あの~、ハイドリヒ卿?」

 

「なにかね?聖餐杯」

 

「何故、私も参加することになっているのでしょうか?他にも適任がいらっしゃると思うのですが……」

 

「――せっかくと素晴らしい身体をしているのですから、磨かねばもったいないですよ、ヴァレリア殿」

 

困った様子の聖餐杯の言葉に私が反応すると、隣で大剣を担ぐ司馬建公がからからと笑う。

 

そう、私たちは、屋敷の敷地内で、鍛錬を行おうとしていた。

 

「聖餐杯が丁度良かったのだ。ちょっとやそっとの攻撃で倒れぬ相手で、攻撃がそこまで強くない卿だからこそ、な」

 

「はぁ」

 

ため息ではなく、「そうですか」のニュアンスのリアクションを示す聖餐杯。

 

「――ハイドリヒ卿だけでなく、父上まで相手とは……。いくら仲間が心強いと言えども、これは厳しいといわざるを得ませんね……」

 

「――おまけに本気の武装しとる寧まで向こうや。――人数差あってもこれは厳しいとちゃうか?」

 

眉をひそめる花音と、それに同意する霞。

 

「――大丈夫。たぶん勝てる」

 

「――恋様の言う通り。油断しなければ、ギリギリだけど、何とか……勝てる」

 

「――気持ちで負けていると、勝てるものも勝てんぞ」

 

恋、水蓮、華雄が励ましの言葉を掛ける。

 

「――では、今回の変則試合の規則を説明します。――今回は複数サーヴァントとの遭遇を想定した対応訓練で、襲撃側の聖餐杯、ハイドリヒ卿、李幽遠、司馬建公の4名は戦闘不能判定がありません。そのため、対応側の呂奉先、張文遠、高順、華雄、司馬伯達の5名は制限時間まで戦闘不能判定をもらわぬように、立ち回ることが重要になります。――質問はありませんね?」

 

カインが説明をした後、質問を受け付ける。

 

「……どうやら、質問はないようなので、始めたいと思います」

 

彼はそう言うと、手に持っていた石を放り投げた。

 

地面についた瞬間――、戦いは始まった。

 

「まず初めに私が、娘の戦友に足るかどうか、小手調べさせていただきましょう」

 

司馬建公はそう言って自身の身長とほぼ同じ長さの大剣を水平に薙ぐ。

 

無論、恋たちは易々と回避した。

 

花音が得物の弓に、3本の矢をつがえて父親に向かい、放つ。

 

「――花音。貴方の弓の腕は母親譲りですが、まだまだ、真っ直ぐすぎますね」

 

しかし、大剣を盾にした建公に全て防がれる。

 

「――もらった!!」

 

左側から聞こえた華雄の声に釣られ、私は聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・デスタメント)を振る。

 

「――ッ!!」

 

華雄の大振りの一撃を迎えうち、背後から感じた気配に対し、宝物庫の宝具を射出した。

 

冷静に離れた気配に、注意を払いつつ、私は初めに華雄を脱落させることに決めた。

 

「さて、まず卿から退場させよう。――言っておくが、戦闘不能判定を受けた者は、罰があるのでそのつもりで。内容は――その時のお楽しみだ」

 

「「「「!?」」」」

 

「んなもん先に言わんかい!!」

 

私の言葉に驚く4人とツッコミを入れる霞。

 

「――あ~。これは美花さんとするときの内容考えてる顔と同じですね。――グラズヘイムでマキナさんとやる無限筋トレとか、捕まえるまで終わらない チキチキ、シュライバーと鬼ごっことかかもしれません。――ぜひとも全員脱落させたいですね」

 

「――女神(笑)」

 

水蓮が寧の言葉に対してボソッというと、寧がこめかみけいれんさせる。

 

「何か言いましたか?水蓮さん」

 

「――鬼畜変態女神(笑)」

 

「――」

 

鉄線の束が千切れるような音と共に、寧が水蓮に対して攻撃を仕掛けた。

 

「――隙あり!!」

 

その寧の横っ腹を、霞が飛龍偃月刀で薙ぎ払う。

 

霞の一撃をもろに喰らった、寧は遠くに飛ばされる。

 

「……寧。ザミエルの特別プログラムに、卿も参加決定だ。煽り耐性なさすぎる」

 

「そんな……。――こうなったら、一人でも多く道連れを……!!」

 

幽鬼のように立ちあがった彼女は、怒りつつも冷静に目標を定めた。

 

「――あのまま大人しくしてくれれば、楽だったのに」

 

「完全に失敗やな」

 

そんなのんきに構えている2人に対し、背後から聖餐杯が掌底を繰り出す。

 

「「――ッ!!」」

 

ハッと気づいた2人は慌てて回避した。

 

(聖餐杯と寧 対 霞と水蓮か)

 

私は再び迫りくる背後からの一撃を振り向きざまに防ぎ、華雄を脱落させるために宝具を射出する。

 

「相変わらず出鱈目だなっ!!」

 

華雄は危なげなく宝具を避けながら、悪態をつく。

 

「……前より、強くなってる」

 

私の一撃を受け止めた恋が、苦しそうな顔を見せる。

 

「それは朗報だ。まだまだ私も成長の余地があるということなのだからな」

 

「……ちょっと違うと思う」

 

恋は私の言葉を否定した後、華雄と呼吸を合わせて攻撃を仕掛けてきた。

 

私は宝物庫から、ゲイ・ボルグの原典を取りだして、それぞれの得物で2人の攻撃を受け止める。

 

「ふむ、二槍流も悪くはないな」

 

私は得物を構えてそう呟いた。

 

「これが、サーヴァントの力か……」

 

苦しげな華雄が言葉をもらした。

 

「……」

 

何か言いたげな恋に対し、あることに気付いた私は助言する。

 

「油断大敵だ。特にこのような敵が複数いる場所ではな」

 

「……?」

 

私の言葉に疑問符を浮かべた恋。

 

理由は簡単。

 

「――■■■■■■――ッ!!」

 

何を言っているのか不明な寧が恋に向かって突撃してくるからだ。

 

「恋!避けろ!!」

 

「ッ!!」

 

慌てて恋に呼びかける華雄に私は心を鬼にして攻撃を仕掛けた。

 

華雄は慌てて防御するが、私との力に競り負け、得物を弾かれた。

 

私は彼女の首筋に聖約・運命の神槍(ロンギヌスランゼ・デスタメント)を突きつけた。

 

「――私の負けか」

 

彼女は降参のポーズをとる。

 

「――ふむ、他も終わったようだな」

 

私が振り向くと、聖餐杯に逆さ吊りにされる水蓮に、膝をつく霞、頭を抱えて蹲る花音に、武器を寧に奪われてしょんぼりしている恋が視界に映る。

 

「――そこまで!!迎撃側の全滅により、この試合は襲撃側の勝利です」

 

カインの言葉で、場の空気から、張りつめたモノが消えた。

 

「ふむ、今度は私と建公、寧の3人で試してみるか」

 

私がそう呟くと寧が犬の耳と尻尾を幻視させながらやってきた。

 

「隊長!!頑張ったので、地獄(グラズヘイム)の特訓は勘弁してください!」

 

「ダメだ」

 

「鬼!節操なし!!ドS!!隊長!!」

 

「……ほとんど今更な気がするんやけど。あと隊長に至っては、悪口ですらあらへん」

 

涙目の寧の言葉にツッコミを入れる霞。

 

「ふむ、まだまだ戦場に出すには、危ういといわざるを得ませんよ、花音」

 

「……はい。精進します」

 

さながら師弟のやり取りをする花音と建公。

 

そんな彼女たちを見ていると、服の裾を引っ張られているのに気づく。

 

振り向くとそこには水蓮がいた。

 

「それで?罰ってなに?」

 

眠たげな声で問いかける水蓮。

 

「……」

 

私は少し考えてから答える。

 

「――とりあえず、執金吾付きの訓練に卿らも参加することだ。ザミエル、カイン、ヴァルキュリアが交代で訓練の監督をしているゆえ、そこで10日のうち、3日は訓練すること。――良いな?」

 

「……分かった」

 

「了解や」

 

「……(コクコク)」

 

「むしろ、願ったり叶ったりだ」

 

「分かりました」

 

5人の返事を聞いた私は、怪我がないか確認する。

 

怪我人がいない(なお、襲撃側に精神的負傷者がいるようだが、私は無視した)のを確認したので、解散の旨を伝えた後、司馬建公に声を掛けた。

 

「司馬建公。急な誘いを快く受けてくれたこと、感謝する」

 

「いえいえ。娘の成長も確認できましたし、久々に訛っていた体を動かせて、丁度良かったと言えます。――また、誘っていただければ、火急の用がない限り、喜んで力になりましょう」

 

彼はそう言って大剣を担いで去って行った。

 

(……あんな大剣街中で持ち歩いて大丈夫なのだろうか……?)

 

良く考えたら、治安維持部隊の良い訓練になることに気付いたので、放置することにした。

 

「――さて、姜維の様子を見てくるか」

 

私はそう言って、宮城へと向かった……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「しかし、ハイドリヒ卿は凄まじいですね。部下に仕事の多くを丸投げしてるとはいえ、司空、司徒を筆頭とした重要文官の相談役に、皇帝陛下とその妹君の相手に謁見時の助言。外戚派と宦官の力関係をある程度均等にしつつ、削ぐための暗躍。――普通の人間なら死んでますよ。過労で」

 

――昼食を取った後。

 

執務室にて、目の下に隈ができている姜維が儚げな笑みを浮かべて私を褒める。

 

「――新人のための教本づくりを個人的に行っていた卿ほどではない。あと昨日、文官の仕事を任せられる部下が戻ってきたのでな。新人研修の監督も含め、仕事は全てそちらに引き継がせる。しばらく働きづめにしてしまったので、1週間の休暇を用意した。しっかり身体を休めてくれ。その後は定日が休日になるように調整しておく」

 

「……ありがとうございます」

 

「――ああ。あとはやっておくが、最低限報告書はまとめておいてくれ」

 

「……御意」

 

彼はそういって、手元の書簡を処理した後、報告書をまとめ、私に渡して、私の屋敷に戻って行った……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「世界の修正力って怖い」

 

「どうかなさいましたか?旦那様」

 

仕事をこなしたあと、屋敷に戻ってみれば、美花とともに、働くメイド姿の月を目撃した私は、開口一番に□□□□(わたし)の口調で感想を吐露した。

 

「えっと。なにもしないというのも、居心地が悪いので……。メイドなら、基本家の管理が主なので、丁度いいかなって……」

 

呆然としている私に気付いた月が少し居心地が悪そうに答える。

 

「あ、いや。卿が自主的に何かしようとする事を咎めている訳ではない。――メイドの仕事は大変だろうが、頑張ってくれ」

 

「――はいっ!」

 

実に良い笑顔で答える月。

 

「こうして、好色な獣の餌食になった人のうち、武と智にそこまで優れていない者は、皆獣のメイドになったのでした、まる。」

 

「――しっぺ」

 

いつの間にか隣にいた寧の二の腕に、私はしっぺした。

 

「いきなりひどいですよ!隊長!!むしろザミエルさんのキチった訓練から生還した私に何かねぎらいの言葉はないんですか?」

 

「今度はシュライバーを捕まえる訓練と、全力のマキナと一騎打ちも追加しておこう。涙して喜ぶといい」

 

「なんですかその死刑宣告。勘弁してください!!」

 

打てば響くので、ついついからかってしまうな、と反省していると、

 

「……いいなぁ」

 

月がそう言って何故か不満げな顔で、寧を見ていた。

 

「どこがいいんですか!?地獄めぐりを積極的に行きたい人なんて初めて聞きました!!」

 

「あ、違います」

 

笑顔の月は、冷静に返す。

 

「じゃあ、どこがいいんですか!?」

 

寧が問いかけると、彼女は頬を赤く染めて答える。

 

「ライニさんに、虐められて……」

 

「隊長?この儚げな少女に一体何をしたんですか?」

 

冷たい目で私を見る寧。

 

「――すまんが知らん――」

 

まったくもって心当たりがない私は、素直に答えかけて、あることに気付いた。

 

心当たりの対象を向くと、美花が蕩けた顔で答えた。

 

「旦那様との蜜月を、語っただけですわ」

 

私は頭を抱えたくなるのをこらえて、零す。

 

「メイドの新人教育は、美花以外にさせよう……」

 

――ついでに当番表の管理も……と私は考えつつ、夕食の支度のために、買い物へ向かうことにした……。

 

 

 

 

 




いかがだっただろうか?

感想、評価、誤字脱字の報告をお待ちしているよ。

ちなみに、黒円卓組以外で、強い順は、

恋≒司馬防>霞≒華雄>水蓮>花音

となっている。

ああ。

下のメモを今は気にしなくても問題ない。

何故なら、()()君たちがなにをしても、変化ないからだ。

メモ
現在の

・獣殿死亡率:?%

・収束END:?

では、また次の幕にて、お会いしましょう……。
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