恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

34 / 52
――ああ。

今日も私は狂している。

8月上旬まで生き残れば、とりあえず問題ないが、生き残れるか心配だ。



そんなことはどうでもいいか。

今回は霞&華雄の拠点回(?)的なアレを進めていこうかと思う。

推敲したが、まだまだ粗削りの状態の気がする。

そんな一話だが、楽しんでいただければ幸いだ。

――では皆さま、私の歌劇をご覧あれ――


その6 とある雨の一日 ~チキチキ 王さまゲーム/微睡む獣 ~

――晴れの日があれば、雨の日があるのが日常だ。

 

今日はたまたまその雨の日がバッティングした。

 

ただ、それだけのはずだった……。

 

「なあ、暇なんやけど」

 

「なにかね、藪から棒に」

 

リビングでソファーにもたれかかって瓦版を読んでいたら、霞が私をあすなろ抱きしてきた。

 

――ちなみに瓦版は私が立ちあげた会社のもので、実態はシュピーネ率いる諜報部隊の隠れ蓑だ。

 

そのため、下手な諜報機関より情報が正確だ。

 

新聞を読む癖がある私の趣味もあるが、洛陽の民に自分たちの周りについて意識してもらう目的もある。

 

――試みは、成功すれば御の字と思っているので、そこまで期待していないが。

 

「今暇しとんねん。雨やし外で身体動かせんやんか。なんかせんと退屈で死んでしまいそうなんや~」

 

「――霞さん!!つきあってもいない方とそんなことして恥ずかしくないのですか!?」

 

霞をたしなめるのは、花音だ。

 

「ええやん。別に減るもんやないやろ?――それとも、こんなことライニにしたことないんか~?」

 

おそらく小悪魔的な笑みを浮かべている霞に対し、私の正面に立つ花音は胸を主張するように腰に手を当てて返す。

 

「そ、そんなことなんてかすむくらいとと、とても過激なことしてます!!――って、そうではなくて!!」

 

「どうどう、花音ねえ。落ち着いて」

 

暴走し始めた花音を止めたのは、隣のソファーに座ってルービックキューブで遊んでいた三女の晶。

 

「私は馬ですか!?」

 

ショックを受けた様なリアクションをとる花音。

 

「まあ、朝から暴走気味の姉は置いておいて」

 

「おいておくって、貴方姉に対する敬意と言うものが――」

 

急に説教を始めた花音を晶が遮る。

 

「姉さんっていっても、産婆さんに取り上げられた順番程度の差しかないでしょうが!!」

 

「……」

 

彼女は涙目になった後、無言で私の膝までやって来て、机の上で寝る要領で私の膝に顔をうずめた。

 

「あ、花音ねえずるい!!」

 

「――我慢しろ、晶。話が進まん」

 

私が窘めると、彼女はふくれっ面になるも、ちゃんと続けた。

 

「花音ねえの言いたいことは理解できますよ。好意を持っていない異性にそんな過激な触れ合いするのは、女性としていかがなものかと、私も思いますもん。――あと、ハイドリヒ卿は無二の親友の呼び名通り、『獣』なので、襲われても知りませんよ?」

 

「……私は節操なしの獣ではないのだがね」

 

「え?」

 

「えっ?」

 

晶、花音が驚いて私を見た。

 

「――今夜は確か卿らの番だったな。……後で覚えておくといい」

 

私は微笑みながら、脅しておいた。

 

「それはともかく、花音や晶の言う通りだ。――異性を不用意に意識させるような行動は慎んだ方が良い。――男と言うのはかなり単純で、勘違いしやすい生き物だからな」

 

「意識させたいから、やっとるに決まっとるやろ。こんなことは男に一度もしたことあらへんで。――ライニはめちゃくちゃ美味い酒仰山持っとるし、頭ええし、頼りになる。――ライニはウチのことどう思ってるかしらへんけど、ウチはライニのこと、好きやで?」

 

「……」

 

耳元で囁かれた霞の言葉に呆然としていると、華雄がやってきた。

 

「――また酒をもらうために色仕掛けか?」

 

あきれた声の華雄に、霞は噛みつく。

 

「そんなことしたことあらへんやん。暇やったから、暇つぶしの方法ないか聞いてたんや」

 

「――ほう?以前美花から教わった上目遣いでのおねだりで溺れるほどの酒をもらったのはどこの誰だったかな?」

 

「そんな厚かましい奴がおったんか~。世の中にはいろんな人間がおるな~」

 

華雄の反撃を喰らった霞は、棒読みをしながら、さりげなく顔を逸らしたようだ。

 

ちなみに、華雄の指摘は間違っておらず、先日霞がお酒をおねだりしてきたので、宝物庫にあった八岐大蛇を酔わせた酒(八塩折乃酒だったか)が入った樽を送っておいた。

 

その翌日、霞が使いものにならんと華雄に怒られたので、よく覚えている。

 

もう一つの証拠として、押し付けられる豊かなアレから聞こえる鼓動が、急に早くなったのもある。

 

「――では、暇つぶしでもしようか」

 

私は宝物庫から番号と、王と書かれたくじを取りだした。

 

「……なんや、それ?」

 

目を丸くして問いかける霞。

 

「これは王様ゲーム……簡単に言えば、王とかかれたくじを引けば、無理のない範囲で、他の番号がかかれたくじを引いた相手に命令できるという遊戯だ。王は1回ごとに引きなおすゆえ、誰が王で、誰が何番になるか分からないという偶然性を秘めている。――私のいたところでは、初めて会う人同士の友好を深める手段として使っていた。なにせ、王になった相手の意外な一面や、知らない者同士の人間性を見る手っ取り早い手段だからな」

 

私はそういいつつ、今暇しているはずのメンバーを脳裏にリストアップした。

 

「少し待っているといい。暇しているはずの者たちを連れてくる」

 

私はそういって、霞の抱擁を解き、花音をソファーに移動させ、暇人たち捕獲に向かった……。

 

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

 

一刻後、私は連れてきた一同をあらかじめ追加で設置したソファーに適当に座らせていた。

 

「ずいぶんと集まったな」

 

我ながら、人数に驚いている。

 

兵の訓練をやっているだろうカイン、見回りに回っているはずのレオンハルトとマキナ、姜維と共に政務をしているはずのバビロン。

 

夜間の警邏に回ってるため、絶賛睡眠中のベイとおそらく街を放浪して善行(?)をしているであろう聖餐杯。

 

そして現在進行形で暗躍中のシュピーネとカールを除けば、屋敷にいる全員が集まっている。

 

あと楼杏と傾が通い妻のように、今日も屋敷に来ていたので連れてきた。

 

――良く考えたら、私とイザーク以外、参加者に男がいない……。

 

メンバーを確認していて気付いたが、完全に後の祭りなので、このまま続ける。

 

むしろ変に男がいたら緊張するだろうからな。

 

……頃合いを見て、イザークと共に撤退しよう。

 

私は行動方針を固めた後、まとめる。

 

「――以上。このゲームのルールだ。簡単だと思うが、何か質問はあるかね?」

 

私が簡単なルール説明をし、質問の受け付けを始めると、詠が手を挙げた。

 

「王の命令が過剰な場合はどうするの?」

 

「――良い質問だ。それを防ぐため、追加のルールを説明する。まず命令をあげた後、その該当する番号の者を確認。外付け良心回路のハサンと、私が命令と、その対象について吟味し、どちらかが問題ありと判断したら、王は別の命令に変えなければならないと言うものだ。ただし、3回問題ありと判断された場合、その王様の命令は果たされたとなり、次に移る。――なお、命令が考えられないと思ったものは、ハサンがテンプレート……。このゲームで出される命令を書いた紙を持っているため、適当な番号などを付けて命令すればよい。――他にあるかね?」

 

私は確認のために見渡すが、誰も反応しなかったので、早速始めることにした。

 

 

~~~

 

【現在の参加人数:20名】

参加者

ラインハルト、ヴァルキュリア、イザーク、マレウス、ザミエル、シュライバー

 

月、詠、恋、霞、ねね、かゆう、美花、傾、楼杏

 

花音、聆紗、晶、水蓮、寧

 

~~~

 

 

 

 

「「「「王様だ~れだ!?」」」」

 

全員の問いかけに答えたのは……。

 

「……私です」

 

やや戸惑っている花音。

 

「……思いつかないのでてんぷれーとから選んでみます」

 

花音の言葉に反応し、ハサンがすかさず箱を差し出した。

 

箱から一枚紙を引いた彼女は、首を傾げながら、口を開いた。

 

「……ハイドリヒ卿、申し訳ありませんが『ぽっきーげーむ』とはなんですか?」

 

「――ヴァルキュリア、マレウス。卿らは説明だ。ザミエル、卿は私と共に実演しろ」

 

「「!!」」

 

「!?」

 

ニヤニヤし始めたヴァルキュリアと、マレウス、そしてシュライバー。

 

そしてあからさまに困惑するザミエル。

 

私は宝物庫内で生産された件のブツをカップにいれた状態で取りだし、チョコがついている方を咥えた。

 

そして、空いているソファーに座り、隣をポンポン叩く。

 

「…………」

 

口を開くと落とすので、目で早くしろと訴えてみるが、当のザミエルが困惑して視線を右往左往させていたので、目線での訴えは届かなかった。

 

「少佐~?上司の命令ですよ?」

 

「軍人なら上官の命令には絶対服従よね~?」

 

「どうしたのザミエル。まさか命令にしたがわないつもりかな~?」

 

ニヤニヤするヴァルキュリア、マレウス、シュライバーによるアイコンタクトすら取らずになされる、見事な連携の畳み掛けに、ザミエルは覚悟を決めたようだ。

 

(――いや、別に実演だから適当なところで折ってしまえば良いのだが……)

 

私はザミエルが恐る恐る隣に座るのを見ながら、心で突っ込む。

 

顔を赤くする彼女は、ギリギリのところを咥えた。

 

「ポッキーゲームとは、このように2人の方が棒状のお菓子を咥えて少しずつ食べ進めていくゲームです。ハイドリヒ卿、少佐。実演してください」

 

ヴァルキュリアの言葉に従い、私たちは少しずつ食べ進める。

 

「まあ、2人とも食べ進んでいけばどうなるかは――皆さんお分かりですね?はい、チューしちゃいます」

 

ある時点から完全に固まってしまったザミエルの唇が咥えていた分も私は奪った。

 

そうすると距離の関係もあり、私と彼女の唇は一瞬ながら触れてしまう。

 

「――――――――!!!???」

 

完全に真っ赤になってしまったザミエルはそのまま後ろに倒れそうになったので、私は彼女の背後に手を回してソファーに身体を預けられるように彼女の身体の位置を動かしてもたれかけさせた。

 

ザミエルは言うまでもないかもしれないが、気絶した。

 

「え~。キッチリキスまでしておいてもらった方がおもしろ……ちゃんとした説明になったと思うんですが――痛っ!!」

 

ふざけ過ぎたヴァルキュリアにハリセンで叩いた後、マレウスとシュライバーを一瞥すると、2人は慌てて追加事項を伝えた。

 

「まあ、無理にとは言わないわ。途中で折っちゃうこともありだから」

 

「ある意味度胸試しみたいなところもあるからね。でもギリギリまでやった方が盛り上がるから、無理ない範囲で限界まで挑戦してみようね」

 

2人がそう言うと、花音は少し考えた後、命令を出した。

 

「5番と13番でポッキーゲームをおやりなさい」

 

「5番……ってウチかいな」

 

「13番……私だな」

 

私は13と書かれたくじを見て、そう呟いた。

 

「――ハサンさん。命令の撤回は――」

 

「命令に危険が伴う点がない場合、撤回は認められておりません。ハイドリヒ卿も特に撤回の必要がないと判断なされたようです」

 

花音がすかさず命令の撤回をしようとしたが、キッチリ事前にこの手の戦法で自分の思い通りの結果を手に入れようとすることを阻止するルールをハサンに伝えて置いてあったため、それはかなわなかった。

 

「――大丈夫かね?霞。卿が嫌ならば、適当なところで――」

 

「――やるなら最後までキッチリとやらんとあかんやろ。それともウチとチューするかもしれへんのが、嫌なんか?」

 

私の隣まで移動してきた霞は少しふてくされているような態度で問いかけてきた。

 

「――私は構わない。卿こそどうなのだ?」

 

私が問いかけると、彼女はいたずらっ子のような笑みを浮かべる。

 

「ウチは大丈夫やで。――言ったやろ?ウチはライニが好きってな」

 

「……こそばゆいな。人前でそのように言われるのは……」

 

少しばかり動揺した私は、頬を掻いて答える。

 

「ほらほら、さっさとやりなさいよ、もう」

 

不満げにポッキーを差し出す詠。

 

「……」

 

ポッキーの端を加えた私は、霞に向かって出すと、彼女は少し恥ずかしそうに反対側を咥えた。

 

向かい合う彼女の頬には朱がさし、目は心なしか潤んでいる。

 

少しずつ近づく私と霞。

 

近づくほど彼女の顔は紅くなる。

 

そしてついに――

 

「~~ッ!!」

 

ほんの刹那の接触に顔を赤らめる霞。

 

「なかなか可愛らしい反応だな、霞」

 

私の少しばかり意地悪な言葉でゆでだこのように顔を赤くする霞。

 

「――――!!」

 

完全に混乱している彼女は何と

 

「――んっ……」

 

私の唇を奪った。

 

「――ああああ、こ、ここここれは何かの間違いや、そうやそうに決まっとる。ウチはこんな人前で堂々とチュー何てできるわけあらへん!!」

 

急に我に返った彼女は、私から後ずさりした後、全力で逃走した。

 

「旦那様」

 

「何かね、美花」

 

美花が唐突に声を掛けたので、私は返事をした。

 

「少々お戯れが過ぎませんか?」

 

「……最後のアレは私がやったのではないのだがね」

 

約数名からの嫉妬に近い視線と、残りの過半数からの生暖かい視線を受けつつ、反論した。

 

「――では、2回目行きましょう」

 

 

 

 

 

「「「「「王様だ~れだ!?」」」」」

 

「……あ、私ですね」

 

ヴァルキュリアが手を挙げる。

 

「ん~と、じゃあ……。15番と1番が鬼ごっこ。15番が鬼で、1番は逃げる。制限時間は4分で逃げきれたら15番が腕立て伏せを限界まで。捕まったら1番が限界までやるで」

 

「(嫌な予感しかしないけど……)15番は誰かしら?」

 

何故か冷汗をかいているマレウスに、シュライバーが満面の笑みを浮かべた。

 

「……」

 

「……」

 

対照的な2人は、一定の距離を保ちつつ、移動している。

 

「じゃあ始めますね。――始め!!」

 

「いーーーやああああああああぁぁぁぁぁぁ……」

 

「あはははははははっ!!」

 

超人的な速さで逃げるマレウスと、まるでなぶるように追いかけるシュライバー。

 

オチは見えたが、私はこれ以上考えるのは不毛だと判断したので、思考を放棄した。

 

 

 

 

~~~

 

【現在の参加人数:17名】

参加者

ラインハルト、ヴァルキュリア、イザーク、シュライバー

 

月、詠、恋、ねね、かゆう、美花、傾、楼杏

 

花音、聆紗、晶、水蓮、寧

 

~~~

 

 

 

 

「「「「「王様だ~れだ!?」」」」」

 

「私です」

 

手を挙げたのは月。

 

「そうですね……4番と16番のひとは、猫の真似をしてみてください」

 

そう言われて恥ずかしそうにするのは、イザークと詠。

 

「にゃ、にゃ~ん」

 

恥ずかしそうに猫の鳴きまねをするイザーク。

 

それと同時に、何かが折れる音がしたので、イザークを撤退させた。

 

「にゃ……にゃ~ん」

 

詠は何故か膝を地に付けた四つん這いで私の方へやって来て、ゴロゴロと喉を鳴らしながら私の服に頭をこすりつけた。

 

「……猫の仕草を真似したのよ、何か文句あるの!?」

 

顔を赤くしながら問いかける詠。

 

「いや、なかなか猫らしくてな、猫かわいがりしようか一瞬悩んだ」

 

「――――////!?ばばばばばか~!!」

 

真面目に答えたら、ぐるぐるパンチを始めたので、よしよししておいた。

 

 

 

 

 

「「「「「王様だ~れだ!?」」」」」

 

「やっと私の番ですね」

 

喜んでいるのは楼杏。

 

「では、5番が2番にひざまくらをしてください。そしてそっと髪を撫でてください」

 

「……2番は……」

 

「……私だな」

 

私は2と書かれたくじを確認すると、華雄は諦めて自身の膝をポンポン叩く。

 

私は大人しく彼女の膝に頭を預ける。

 

すると華雄は私の髪をそっと撫でてる。

 

「――さらさらだな。髪を長くしてみたいと思ったことがずいぶんと昔あったが、長くすると髪が絡まって大変だから、泣く泣く短い状態を維持するようにしたが……」

 

華雄の声は、かなり小さく、私も聞き取るのが大変だった。

 

「も、もうそろそろいいと思いますよ」

 

楼杏の言葉で、我に返った華雄。

 

「――ふむ、時間的に。もう2~3回で終わろうか」

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

結果だけ言うと、傾がパフェをあ~んをしあいながら、完食するという罰ゲームを水蓮と恋にやらせ、美花がポッキーゲームを晶とやったり、寧の命令で聆紗がねねを抱きしめるという、ややゆるゆりな結果となった。

 

このゲームで数名の尊い犠牲が出たが、昼食時に全員いたのでおそらく大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

 

――昼食後

 

「――ここにもおらへん。どこにおるんやろうか……」

 

空き部屋を片っ端から確認する霞。

 

――どうやら誰かを捜しているようだ。

 

彼女は首を傾げながら、隣の物置となっている部屋をあけた。

 

「――ん?誰かが良く通っとる見たいやな」

 

そこの入り口から、ある本棚まで草原に出来た道のように埃がない部分出来ているのを発見した霞は、本棚まで近づいた。

 

「……」

 

なにやら難しそうな本がたくさん並んでいる。

 

おまけにみたことない文字なので、これを進んで読むのはライニか、その爪牙の誰かだろう。

 

試しに本を手に取ろうと取りだそうとするも、なかなか出てこない。

 

「……引いてだめなら押してみるしかないやろ」

 

彼女はそう言って一つ一つ本を押してみると、ある本がうまく押し込めることが出来た。

 

カチッという音と共に、本棚が右にスライドし、地下に通じる階段が現れた。

 

「――隠し扉っちゅう奴やな」

 

彼女はそう言って階段を下りた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「な、なんやここ」

 

それなりの時間居り続けてたどり着いた先にあったのは、明かりに照らされている数々の植物たち。

 

――言わばここは、植物園と言ったところだろうか。

 

「こんなけったいなことできるのはライニくらいしかおらんはず……。ってことは、ライニがいるかもしれへんな」

 

彼女はそう言って、周辺を散策し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

「――いた」

 

植物園の奥の方にあった空き地の真ん中にそびえる大樹の根元で寝ている獣殿。

 

その姿は、荘厳さをまといつつも、どこか張りつめたモノはなく、自然の雄大さと似た印象を抱かせた。

 

「……」

 

きょろきょろと周囲を確認した霞は、そっと獣殿の隣に移動する。

 

そして彼の者の肩に身体を預ける。

 

「……ええ匂いやな」

 

首を動かして獣殿の匂いを堪能する。

 

「……ライニ、起きんと何されるか分からんで?」

 

「…………」

 

霞はそう冗談半分で獣殿に声を掛けるが反応はない。

 

少しばかり迷った霞は勇気を出して獣殿の唇を奪った。

 

「―――?」

 

ようやく意識を覚醒させた獣殿は、霞の行動を見て驚く。

 

霞は獣殿が目を覚ましたことに気付き、慌ててはなれる。

 

「――何故此処に入ってこれた?」

 

「ん?どういうことや?」

 

霞の反応に、獣殿は少し考えるそぶりを見せた後、ため息をつく。

 

「ああ、いや。こちらの話だ」

 

彼は一度頭を整理するかのように頭を軽く振る。

 

「――霞。卿は私をどう思っているのかね?」

 

「……頼りになって、気前のいい上司で、同時にウチの大好きな人や。――ちゅうか、ここまでやってるのに、まだ疑問があるんかい」

 

そう言って彼女は人差し指で獣殿の方をツンツンする。

 

「――強いて言うなら、弄んでいるだけだ」

 

「ひどい男やね。それでも好きになったんはウチや。自業自得やな」

 

「ひどいとは心外だ。――愛の対極は無関心というぞ。構っているだけまだ救いがあると思うが?」

 

「せやろか?」

 

「ああ」

 

獣殿はそう言って霞の唇を奪った……。

 

 

 




いかがだっただろうか。
感想、評価、誤字脱字報告をお待ちしているよ。

恋、ねね、水蓮の話は第二章の後にしてもいいだろうか……。

最近応援のメッセージが少なくて、ダレてきているので……。

まあともかく。

――また、次の幕にてお会いしましょう……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。