――このように不定期更新だが、完結までちゃんとやるつもりなので、応援していただけると大いに励みになる。
では、今回の一幕についてお話しよう。
――第七話の伏線(?)をやっと回収した。
そしてエンディング分岐に使われることもある宝具がやっと獣殿の手元に来た。
そして2つ前の話で言っていた約束は守った(3分の1だけ)。
なので、ねねと恋の攻略はインターミッション2で進めることになる。
楽しみにしてもらえると幸いだ。
――では、皆さま私の歌劇をご観覧あれ……。
「幽霊を見た?」
執務室にて宮城警備の隊長の報告を聞き、首を傾げる。
「はい。正確にはここ数日で複数の部下が目撃したもので、私自身が見たわけではありませんので、断定は出来ませんが……。――詳細はこの報告書をご確認いただければ、問題ないかと」
警備隊長から渡された報告書を受け取った私は、警備隊長を下がらせた。
「……」
私は報告書を見ながら要点をまとめていく。
特徴としては
透けた身体で、皇帝のような絢爛豪華な服を着ている美形の青年。
声は男にしては、少し高いような気がする。
とても気さくで、主に今の生活はどうかなどを聞いてくる。
ある程度話をすると、満足そうにして姿を消す。
しかし、消えた直後と思われる時間に別のところで出現し、夜明けまでそれなりに繰り返される。
場所はまばらだが、後宮の近くには現れていない。
「ボクはダメだったけど、劉家はここまで国を栄えさせた。――ボクが見ているのは、一度滅んだ後再建した後のもので、おまけに爛熟期を過ぎて滅びゆくところだけど、それでもすごいよ」
のようなことを3人ほど聞いた。
「君たちの上司によろしく」
と別の数名が聞いた。
などなどだ。
「……寧、すまぬが卿の見解を聞かせてくれぬか?不明な点が多いので、確信が持てん」
「それが何者かは分かりましたが、何故いるのか分からないのですが、それでもよろしいのでしたら……」
腑に落ちないと言いたげな顔で寧が私の隣で書簡を処理しながら反応した。
「構わん。答え合わせは夜にすればよいのだからな」
私がそう言うと、寧は憑き物が落ちたように穏やかな顔をする。
「それもそうですね。――彼は始皇帝で、扱いとしてははぐれサーヴァントの可能性が高いかと……」
「ふむ、味方に出来るかね?」
「断定は出来ませんが、少なくとも話し合いを向こうは望んでいるようですから、対談はできる余地がありますね」
「――大方私と同じ見解か。なら問題なかろう。――念のため、洗礼詠唱が使えるルーラ―と、即座に無力化できるようハサンにも来てもらうか」
「それが妥当かと。――とりあえずこの書類の山を始末してから、ですが」
十常侍たちの嫌がらせか、他の部署の書類まで混ざっている書簡の山をみて、寧は目を虚ろにさせる。
「案ずるな。――昼までに終わらせる。終わらせたら昼食後に一回だけだが、相手しよう」
私はそんな寧に笑顔で励ました。
「……!!頑張りましょう!隊長!!」
現金だな、と私は内心で思いながら、書簡の処理を始めた……。
――*――*――*――
寧が珍しく頑張ったので、予定よりも早く終わり、二人で行きつけの店で昼食を取ることに。
かなり込んでいたが、幸運にも空いている4人席に私たちは座ることが出来た。
「店長、いつもの二つ」
「へい!!了解しやした」
もはやいつもので通じるほど通い慣れた店だ。
「つ、疲れた……」
机に突っ伏したままの寧の分も注文した私は、寧の頭を撫でる。
「よく頑張ったな」
「た、隊長が閨以外で素直に褒めてくれた……!?明日は槍が」
「ほう?よほど命懸けの訓練をしたいと見える」
「すみません増長しました許してくださいこの通りです」
寧は一度上げた顔を再び下げた。
これが女神の触角なのだから世の中分からんものだ。
「――安心するといい。半分は冗談だ」
「それって半分本気ってことじゃないですかヤダー」
顔を再び上げた寧はいやいやと顔を振る。
「――相席、良い?」
声のする方へ顔を向けると、眠たげな眼をした水蓮がこちらを見ていた。
「――構わんよ」
私はそう言って、隣の席に座るように促した。
「ありがと」
水蓮はそう言って私の隣に座った。
「……代金は自分持ち?」
「私が持とう。存分に食べておくといい」
「やったね」
彼女はそう言って採譜を確認し始めた。
「――何か隊長ってちっちゃい娘には甘いですよね」
「……五月蠅い。変態」
寧の言葉を聞いて、ジト目を向ける水蓮。
「誰が変態ですか!!」
顔をがばっと上げる寧。
「あんなところでライニを誘ってた寧に決まってる。その誘いに乗ったライニもライニだけど」
「む。こちらまで被害が」
静観に徹すれば面倒事は起きぬと思ったが、失敗だったようだ。
「まあ、男を知らないちんちくりんの戯言として、年上の私は寛大な心で赦してあげましょう。大人の貫禄と言う奴です」
「熟しすぎて腐り落ちてそうなBBAが何か言ってる」
「あ゛!?」
(――寧と水蓮はなんか仲が悪いな。いや、水蓮が一方的に嫌っていて、寧に嫌味を言っているな)
「あ、あの……炒飯と拉麺大盛り叉焼追加を二つお持ちしました」
怯えた様子の店員が注文したものを持ってきたので、私はそれを受け取った。
「寧、水蓮、喧嘩はそこまでだ。――すまんが追加注文だ。水蓮、自分で注文するといい」
「分かった。――炒飯と、回鍋肉、焼売に……」
水蓮が注文してる間に私と寧は食べ始めた。
「……へい、りょうかいしやした。少々お待ち下せえ」
店長がそう言って足早に去っていった。
「……」
拉麺を食べていると、水蓮がこちらをじっと見ていた。
「……拉麺、食べるかね?」
私が問いかけると、彼女は頷いた後、さながら雛鳥のように口をあけた。
私は肩をすくめ、彼女に麺を食べさせた。
「……(ドヤッ)」
「……」
水蓮のドヤ顔に寧が怒りの表情を見せた。
「隊長、私にもあ~んしてください」
「……良かろう」
私は味玉を寧に食べさせた。
「――じ、実際やってもらうと恥ずかしいですね。こんな公衆の面前でだと特に……」
顔を赤らめる寧。
「――卿にまだ恥じらいと言う概念があったのか」
「それはどういうことですか隊長。――あ~。私は大いに傷つきました。昼の分とは別で、夜にたくさん慰めないと後で怖いことになりますよ」
「――安心するといい。後でたっぷり可愛がってやろう」
ふくれっ面の寧に私がそう言うと、嬉しそうな顔を寧は見せた。
――だが、水蓮はそれが面白くないようで……。
「……」
急激に水蓮の機嫌が悪くなっていく。
「――ライニ。今夜ライニの部屋に行くけどいい?」
「――え~。今夜は私の順番って知ってて言ってる?それ」
「……さっきまで知らなかったけど、なんとなく得した気分」
「何でしょうね。絶対仲良くなれる気がしません。幽霊騒ぎを解決した後でいいなら今夜は譲りますけど」
「ん。絶対仲良く出来ない気がする。――お礼だけは言っておくけど」
(……絶対仲良くはなれないが、互いを認めてる、と評するのが妥当か)
私がそう思っていると、水蓮が問いかけてきた。
「ところで、幽霊騒ぎって何?」
「ああ。ここ数日宮城で幽霊が出たという話があってな。それの真相を確かめに行くつもりだ。――ハサンにも、来てもらいたいのだが、構わぬかね?」
私が問いかけると、ハサンの声が聞こえてきた。
「私は問題ありませぬが……。主殿、よろしいですか?」
「……私もついてく、それが条件」
「良かろう。では、夕食後に屋敷の玄関に集合だ。」
私はそう言って、食事を再開した……。
――*――*――*――
寧をベッドに沈めた後、私は後宮に向かい、説明をした。
「――と言うわけだ白湯。着いてこい」
「私の扱いが雑すぎるもん!!嫌!」
寧をいじめてたせいか、Sっ気を引きずったまま来たせいで、発言がそれに引っ張られたようだ。
おかげで白湯にへそを曲げられた。
私は膝を折り、彼女に傅くようにして、言葉を紡いだ。
「……すまん。寧をいじめていたせいで、かなり思考がそっちに引っ張られていた。訂正させてくれ。――白湯。ルーラ―の力が必要になるかもしれぬ。私が卿を守るゆえ、共に来てくれ」
「分かったもん。一緒に行く」
「――って言っても、宮城の中よね。外出にすらなってないわよね……」
空丹が何故か複雑そうな顔をする。
「――ラインハルトさん、ついでと言ってはあれですが、例の計画の進捗状況を教えて頂けませんか?こちらに情報が共有されていないので」
「……?寧に任せていたのだが……」
黄の言葉に私は首を傾げた。
「すみません。一向に情報共有されてません」
「……こちらの不手際だ。卿が謝ることではない。今度からはマレウスに任せる。できうる限り情報を提供するゆえ、上手く使って他の十常侍から信用を得てくれ」
「分かりました。こちらとしてもメルクリウスさんからしか情報がもらえないのは正直厳しかったのでありがたいです。……あの人の渡す情報はすごい正確なんですが、話し方がすごく回りくどくてわかりにくかったので」
「……すまなかったな。(水蓮の用事が済んだら、向こうに行って折檻だな)」
私はひとりの女神の運命を確定したあと、屋敷を後にした……。
――*――*――*――
「夜の城って言うのは、なんか不気味ですね」
「わ、私は怖くないもん」
完全武装の寧に、私の左手をぎゅっと握る白湯。
私たちは夕食を終えた後、水蓮、寧、ハサンと共に後宮に立ちより、白湯とジャンヌを拾い、まず四阿に移動し、今に至る。
「――仮にも女神が怖がる要素ないと思うんだけど……」
「あの身体は今は生身の人間と同じらしいので、人並みの恐怖を抱いているようですな」
「……正直ライニさんがいれば別に私たちが行く必要がない気がするのですが……」
困惑する寧に、補足説明するハサン、そして自分が同行することに疑問符を浮かべているジャンヌ。
「とりあえず、目標の発見だが……」
「呼んだ?」
声のする方を向くと、そこには報告書の内容と合致する人物が佇んでいた。
「「「「「……」」」」」
「ああ。といっても、卿が呼んだのだからな、用件を聞かせてもらいたい」
私がそう言うと、彼は私の向かい側に座る。
そして白湯を隣に座らせ、残りを私の後ろに配置した。
「さて、自己紹介をしよう。――ボクはアーチャーのサーヴァント……になるはずだった、なりそこないの霊体だ。一応、真名は
「「!!」」
驚きを隠せない水蓮と白湯。
「私はラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ。おそらく卿の席を奪ったアーチャーのサーヴァントだ」
私が平然とそう言うと、それを皮切りに他のメンバーも自己紹介した。
驚いていた2人も、最後に自己紹介したので、おそらくサーヴァントとの出会いのおかげで異常な存在に耐性が出来たのだろう。
「なるほどね。さて、本題に入ろう。――ボクはもう消える。だから君にささやかながら贈り物をしたくてね。だけど屋敷はサーヴァント対策が万全で、おまけにこっちは不完全なサーヴァントで、召還枠から外れてるから、
「……世界の修正力が働いている上、人喰いしたわけではないのに、よく今日まで生き残れましたね」
寧がそう言うと、彼は苦笑をしながら、懐からあるモノを取りだした。
「正直この宝具がなければ、ボクは消えていただろうね」
「……!!伝国玉爾!」
白湯が驚いた表情でおかれたものを見る。
「これはボクの宝具の一つさ。『皇帝』の称号を示す為の象徴であり、人々の信仰と歴史が凝縮された祈りの結晶。形を失っても尚“皇帝”の証明として残り続けた『玉璽』。これは持ってるだけで、世界からのバックアップと、幸運を得られるんだ。――もっとも、今のボクの立ち位置のおかげでこの世界の修正力とほぼ相殺されてるから、世界から得られるものなんて、微々たる魔力くらいだけどね。それと面白いのが、これは誰かに託すことが出来る、少し変わった宝具である点だ。――これを君に託すよ、黄金の獣さん」
「……何故私に?」
私が問いかけると、彼は笑って答えた。
「一つは覇道の資質を持った君なら、きっと世界をよい方向に導いてくれると確信してるからさ。もう一つは君は色々ぶっ飛んでるけど、外付け良心回路がたくさんあるから、道を踏み外すことはないだろうからね。あと君にサーヴァントの座を奪われた嫌がらせに、重圧をかけたくて」
「……」
私が反応に困っていると、彼は真面目な顔をする。
「――君には何が何でも聖杯戦争に勝利してもらわないとダメなんだ。――君が敗退したら、取り返しがつかなくなる。確実にね」
「……何を知っている?」
「……皇帝特権で一瞬だけ聖杯と奇跡的にアクセス出来たから色々と。でも今真実を知ったところで、なにも出来ないから、慢心したりして死なないようにくぎを刺すだけにとどめておくよ」
「……」
彼はどこか儚げな笑みを浮かべた。
「さあ、受け取っておくれ。皇帝特権とともに、世界の命運を君に託す。――君なら未来を切り開けるから……」
彼はそう言って、私に伝国玉璽を渡した。
その瞬間、彼の身体から光の粒子が漏れだし始め、その粒子は天へと上り、消え始めた。
「ああそうだ。それ別の人に託せるけど、託すときはちゃんと考えてね?今僕が渡した皇帝特権以外のスキルや宝具を誰かに託したりできるけど、渡したらそう遠くないうちに君が消滅するとおもうから。まだその宝具が2回以上誰かの手に渡ったことがないから実例はない。だから断定出来るわけじゃないけど。――じゃあ、後は頼んだよ……」
彼は言いたいことだけ言って、消え去った。
「……」
私はその宝具に込められた想いを受け止めた後、宝物庫へしまった……。
――*――*――*――
「う~。今日は寝るもん。また明日」
「では、ライニさん。また明日お会いしましょう」
「じゃあ、私は念のため白湯ちゃんを送った後、屋敷に戻りますね。お二人はしっぽりどうぞ」
私はどうせ都合のいい女~、と奇妙な歌(?)を謳いながら寧は白湯たちと共に去って行った。
「……申し訳ないが主よ、少し気になることがありますので、しばらく別行動させてもらいますぞ」
「ん、分かった。無理だけはしないで。危なかったら即撤退で」
「御意に」
ハサンもそう言ってどこかへ行ってしまった。
「……いこ」
「あ、ああ」
私は水蓮に手を引かれてその場を後にした……。
――*――*――*――
――街の外れの方にある住宅街
「……そこっ!!」
「ゴハッ!!」
ハサンのダークをくらい、絶命する細作。
「……これで全員か。――他愛なし」
周囲に散らばる死体を見て、ハサンはそう呟いた。
「おいおい、ハサン。てめえ皆殺しかよ。ちっとはオレが食い殺す分も残して置けよ」
そう言ってハサンの傍に現れたのは、白貌と赤い瞳が特徴の
「申し訳ない。逃げられる前に一網打尽にしておきたかったので」
「……まあいい。どうやら、別の奴がちょっかい出してきたみたいだからな」
何かに気付いたベイは、東の方へ視線を向けた。
「……」
「おっと、手だすなよ。今度はオレの番だ」
「……無論。されど後始末をせねばらなりませんからな。――マレウス殿か、シュピーネ殿に手を貸してもらうつもりですがよろしいですかな?」
「ああいいぜ、そっちは全然かまわねえ。むしろ手間が減るから大歓迎だ。――じゃあ、軽くひねってやるか」
ベイはそう言って素早い動きでその場を後にした。
「……さて、どちらの方が近かったか……」
ハサンはしばらく考えた後、周囲に溶け込むように、姿を消した……。
――*――*――*――
ライニの手を引いて、彼の閨に向かっている水蓮です。
「……」
――どうしよう。
――一切しゃべってくれない。
困惑していると、部屋までたどり着いた。
「待ってくれ、今開ける」
彼はそう言って手を私の手から放し、懐から鍵束を取りだして、鍵を開けた。
「入りたまえ」
彼はそう言って、私を部屋に入るよう、促した。
まず入ってすぐに目に入ったのが、複数の本棚が左右にある執務室のような部屋だ。
彼はその部屋の奥、仕事用の机の後ろにある扉を開け、私に手招きした。
そこを通り抜けると、左手側に簡易な仕切りで区切られた厨房らしきものがあった。部屋の真ん中には、食事がとれるように配置された机と椅子、そしてその奥にくつろげる用のそふぁーが置いてあり、右手側にもう一つドアがあった。
彼は当たり前のようにそふぁーに座り、くつろぎ始めた。
「――水蓮、こっちに来るといい」
彼はそう言って、自分の隣をぽんぽんと叩いた。
私は自分でもわかるくらいぎこちない動きで、彼の隣に座り、借りてきた猫みたいに大人しくした。
「――緊張しているか」
「――ひゃん」
彼はそう言っていきなり私の脇腹をつつーっとしたから上へなぞったのです。
自分でも始めて聞く自分の声に、私はびっくりしました。
「なかなかどうして可愛らしい声だ」
悪戯が成功したときの悪童に近い歓喜の表情を浮かべるライニ。
「さて、私はお茶の用意をしておこう。少し待っているといい」
彼はそう言って、簡易厨房の方へ歩いて行った。
私はここでやっと、霞さんたちの助言をまとめた紙のことを思いだし、懐から取りだした。
『 ライニに関する情報
基本的に来る者拒まず、去るもの追わず、関係ない相手は不干渉
告白するなら正面から当たって砕けるつもりで
下手に曖昧な言い方すると、からかわれた上で、ちゃんと言えるまでのらりくらりと躱されるので注意!
間違っても火遊び感覚で手を出したらダメ。どっぷり嵌ってぬけだせなくなるので
たまによくあるけど、告白しても手を出してこない場合があるので、その場合は自分から唇を奪って、その気にさせましょう。
』
『 その他助言集
初めては緊張するかもだけど、緊張してたら入るものも入らないから、そういうときは深呼吸よ。
……ライニは上手だから、杞憂かもしれないけど。
もしそれが初めてなら、無理に奉仕しようとか考えなくてもいいですよ。
ライニさんの甘いささやきや、その手がもたらす快楽に身を委ねてください。
奉仕などは、余裕が出来たら、です。
最初は物足りないと思う方も安心してください。徐々に貴女の好みにあったプレイを旦那様はしてくださります。
もし抱かれたなら、董仲穎まで連絡を。
【ライニさんの恋人連盟】に参加しないと、夜の順番はまず回って来ません
』
(……)
私は近づいてくる気配に気づき、慌ててその二つの紙をしまった。
「茶と、軽い和菓子しかなかった」
「……ありがと」
私はそう言って、中央の机に移動して、彼の隣に座った。
お茶と一緒に出されたのは、白い和菓子だ。
たしか、ねりきりだったはず……。
黒文字という和菓子を食べるための楊枝を使って切り分け、食べてみる。
「……美味しい」
私はそう言った後、お茶を一口飲んだ。
「丁度いい」
ねりきりの味を損なわず、尚且つお茶の味も堪能できる絶妙な甘みのお茶はまさに丁度いい味かげんだった。
「喜んでもらえて何よりだ」
彼はそう言って、自分の分を食べ、お茶を堪能し始めた……。
――*――*――*――
私たちは、お茶と茶請けを堪能した後、寝室に移動した。
「……ら、ライニ……」
「何かね?水蓮」
さながら幼子を見守るような優し気な目で、私を見るライニ。
「……私、ライニのことが好き。優しいし、強いし、頼りにしてる」
「そうか。それはうれしい」
彼はそのまま微笑を浮かべていたので、前例を思いだし、その口をふさぐことにした。
「んっ……」
私はついばむような口づけをした。
先ほど食べた練りきりのせいか、とても甘く感じた。
「……水蓮、引き返すなら今のうちだが……」
「だめ、引き返さない」
私がそう言うと、彼は、その金色の双眸を微かに細めた。
「――良かろう。卿がそう望むなら、私は止めん」
彼はそう言って、私の唇を再び奪ったのであった……。
――*――*――*――
「モフッ」
「……なんだ、これは」
女神の空間に訪れたところ、私の服装と髪型をまねた、形容し難い獣が寧の傍でゴロゴロしていた。
「それがですね、前回隊長とした直後、いつの間にかここにいたんです。調べてみたら、私の使い魔扱いで、名前が『くびわつきけものどの』だそうです」
「あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅとぅー」
「人類虐殺しそうな気がするのだが、大丈夫なのか?」
どっかで聞いたことあるような鼻歌を歌いだしたけものどのに、私は少々困惑しつつ、問いかけると
「?」
けものどのには首を傾げられた。
「たぶん大丈夫だと思いますよ。たまにどっかから変なセリフを電波で受信して言ってるくらいで、特になにもしていないので」
女神がそう言ったので、一応信じることにした。
「そう言えば卿は黄に情報を提供する仕事を忘れていたな」
「――あっ」
「ということで、お仕置きの時間だ」
私は女神を組み伏せ、楽しいお仕置きの時間を始めたのだった……。
いかがだっただろうか。
感想、評価、誤字脱字報告をお待ちしているよ。
……次話投稿が最悪8月上旬ギリギリまで無理かもしれないので、気長に待っていて欲しい。
うまくいけば、来週も投稿できるかもしれないが、どうなるかは神のみぞ知るので、上手くいくよう願ってくれるとありがたい。
では、また次の幕にて、お会いしましょう……。