……何の、と聞かれても答えぬよ。
さて、今回はやっと主役とヒロインが出会って一日目が終了する。
種は(やっと)
後は育つのを水をやりつつ、待つのみだ。
さてさて、私の歌劇を引き続きみてくださる方には感謝の言葉を送ろう。
っ(魔名)
……冗談だ。
私はメルクリウスではないので、そんなことはしない。
では改めて……。
皆さま、私の歌劇をご観覧いただき、感謝します。
これからも精一杯盛り上げるつもりですので、どうかご声援をよろしくお願いいたします。
……さて、引き続き歌劇をご観覧あれ。
「……アサシン」
「何用でしょうか?」
「片づけを頼む。私は疲れた」
「承知しました」
呂布、陳宮、高順の三連星を退け、詠と月を満足させた私はそう言って、私は談笑している詠と月の向かいに座る。
……アサシンよ。私が呼んでおいてアレだが、水蓮を放置で良いのかね?
などと考えていると、2人がこちらに気付き、声を掛けてきた。
「あ、お疲れ様です。ライニさん」
「あんた料理も作れるのね、驚いたわ」
見ているだけで不思議と癒される月の笑顔と、素直に驚いている詠を見た私は肩をすくめる。
「あの程度造作もない。時間があれば、もう少し手間のかかる料理を作れるが……。所詮趣味の範囲だ。その道を
「あんたが一流じゃないなら、そこら辺の料理人は泣きながら店たたむ気がするわ」
私の言葉に対し、詠はあきれた様子でツッコむ。
「料理とは素材と、調理過程、そして料理人の腕で味が決まる。私の場合は素材と言う点で大幅に差がついただけのことだ」
「そういえば、城には食材があまりなかったような……。どこで手に入れたんですか?」
月が首を傾げて問いかけた。
「……詠、卿はどこまで話した」
「全部よ。あんたがボクに任せるっていってたから、洗いざらい全部いわせてもらったわ」
私は少し思考を巡らせてから、口を開く。
「ならば宝具のことも話したかね?」
「ええ。たしかそのサーヴァントにゆかりがある武器や逸話が昇華した、有形無形の武具や、祝福よね?」
「正確には祝福の類の大抵は宝具ではなく、スキルとして存在するが、その話は後にしよう。私は本来
すると詠と月は首をかしげる。
「私はある数奇な縁から、ギルガメッシュという神話の英雄の宝具を有しているのだ。今から逸話を交えて、その宝具の説明をするが良いかね?」
私の言葉に対し、2人は素直に頷いた。
「古の英雄王ギルガメッシュは、当時の世界の王であった。その王はあらゆるものを保有し、そのなかには、のちの英雄たちが手にする宝具の原型すら入っていた。それらは彼の支配する国、バビロニアの宝物庫にしまわれていたという。その逸話が昇華したモノが
私が一区切り付け、2人を見る。
「ライニさんも、それが使えるんですね?」
月の疑問に対し、私は首肯する。
「ああ。ちなみに卿らが食べたのは、そこから取り出した、採れたて同然の鮮度の食材で作ったモノだ。……あと、宝物庫の中身は持ち主の財に依存するが、私の財は英雄王と同等になっているようだ」
すると詠がジト目で私を見る。
「なにそれ、なら向かうところ敵なしじゃない」
私は肩をすくめる。
「残念ながら、世の中そう甘くはない。
「……あんた肉薄されたら手も足も出ないなんてことはないわよね?」
「卿がマスターとして未熟なおかげで随分と制約があるが、並のサーヴァントに遅れを取るつもりは毛頭ない」
「……言ってくれるじゃない。負けたら大笑いしてやるわ」
「では精々笑われぬよう、気を付けるとしよう」
私はそう言った後、立ち上がる。
「詠、これから政務をこなすのであろう?面倒事は速くこなすに限る」
「あんた、意外とせっかちね」
手厳しい指摘を受け、私は肩をすくめる。
「さっさと仕事をこなす癖がついているからだろう。
「ここはそこまで修羅の国じゃないわ。ねねとボク、月で回せるくらい下の文官はいるし、掛かっても半日くらいよ」
あきれ顔の詠に対し、月が口を挟む。
「でもライニさんがせっかくやる気を出してくださってるから、早く案内してあげようよ」
「……月、こんな奴を持ちあげる必要なんかないわよ」
「……詠ちゃんはマスターだから怖くないんだよ……」
やはり私に対して月は怯えているのか。
私は立ち上がり、机越しに月の頭をそっと撫でる。
「……ぇ?」
「安心するといい。私は卿に害することはするつもりなどない。無論、卿の親友がさせんだろうから、いつまでも私に怯えないで欲しい」
「えっと……、その……」
ウェーブのかかった髪は撫で心地が良い。
「……へう……」
……む、やりすぎたか。
顔を赤くしている月を撫でるのをやめ、再び席についた。
「……あっ……」
名残惜しそうだが、卿の隣にいる詠が何か言いたげなのでな。
許せ。
「なに月を誑しこんでるのよ、この色魔!!」
「卿の傍にいる以上、月との接触は避けられぬ。そこで円滑な友好関係がなければ困ることもあろう。触れ合うことによって、相手に安心感を持たせるための行動に過ぎんよ。何を勘違いしているのか分からんが、色魔は心外だ」
「え、詠ちゃん。ライニさんは本当にそれだけだと思うよ。私が怖がってるのを見て、困った顔してたから……」
……半分は“
「……まあいいわ。ライニ、ついてきなさい。さっさと政務やるわよ」
詠はそう言って、部屋を後にする。
「ライニさん」
私もついて行こうとすると、月が声を掛けてきた。
「ライニさんを困らせてしまって、申し訳ありませんでした」
振り返ると、彼女が頭を下げていた。
「顔を上げたまえ」
私の言葉で、月はすぐに上げて、こちらを見る。
それと同時に、私は不思議と笑みがこみ上げた。
「……今の私は卿の友人である詠のサーヴァント。敬語など不要だ。そして先ほどの卿の弁護がなければ、詠は引き下がらなかっただろう。私は卿に感謝こそすれ、謝罪される理由は存在せんよ」
「でも……」
私は再び彼女を撫でる。
「コレでは詠にまたとやかく言われる。私に罪悪感を感じるならば、普通に接してくれるのが一番のお詫びになる。分かってくれるかね?」
「はい。分かりました」
実にいい笑顔だ。
「ライニ!さっさと来なさい!!」
詠の声にハッとする私と月。
「ふふっ。詠ちゃんなんだかんだ言って、ライニさんのこと気に入ってるみたいですよ?」
「ならばよいのだがね」
私は肩を竦めつつ、月と共に、詠の後を追った……。
――*――*――*――
今日は月がすでにある程度片付けていたことと、私が予想より処理能力が高かったことが幸いし、早く済んだ。
……そこまでは良かったのだが……。
「ちっ、更なる激戦となるのか……」
「アーチャー殿、次は何をすればよろしいか!!」
ため息つく暇も彼女らは与えてくれぬようだ。
「あんちゃん、天津飯追加で!」
「こっちは
「……肉まん」
「肉まん追加ですぞ!!さっさと用意するのです!!」
「ぱえりあ……だっけ?炒飯とは違うけど、結構おいしい」
「この丼、お肉が多いはずなのに、……手が止まらないよ、詠ちゃん。」
「……(モグモグ)。……ライニ、太ったらアンタのせいだからね……!」
半分くらいは私の趣味で出したモノだが、料理名を教えていないおかげで、そちらの追加注文は来ていない。
そして詠、私のせいにされても困る。
「アサシン。まずは肉まんを頼む。肉ダネはさっき作ったやつが残っているはずだ。生地はそこにある。同時並行で焼売を蒸しているから、どの段か間違えるなよ」
「御意!!」
――*――*――*――
「お疲れ様です、ライニさん」
董卓軍の主力メンバーが満足そうにしている中、月がわざわざねぎらいの言葉を掛けてきた。
「そう思うならば、私が料理をふるまう相手を卿が調整してくれんかね?流石にこの量を作るとなると、助手がアサシンだけではいささか厳しいものがある」
あと調理環境的にもきつい、と付け加えると、月は困った顔をする。
「そうですよね、華雄さんも水蓮ちゃんもたくさん食べますし、恋ちゃんに至っては、5人前くらいあっという間ですから」
「5人前があの体の中に納まってなお、外見に変化がないのは私は驚きを隠せん。人体の神秘とは摩訶不思議だ」
などと話していると、張遼が問いかけてきた。
「すっかり忘れてたんやけど、あんちゃんって誰なん?月と仲ようしとるみたいやけど」
華雄もハッとしてそれに呼応する。
「そうだ、お前は一体何者だ?料理はうまかったが、専属料理人か?」
「そういえばお前の名前聞いてないですぞ!」
「恋も、聞いてない……」
視線がこちらに集まったので、私は食器を洗っているアサシンに声をかける。
「アサシン。卿も彼女らに自己紹介しておらんだろう?私の後で良いから、自己紹介するといい」
私は改めて彼女たちを見つめた。
「私はアーチャー。わけあって詠のサーヴァント……従者をしている。料理はあくまで趣味の域を出ていないゆえに、専属料理人になるつもりはない。真名はラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒ。長いゆえに愛称のライニと呼ぶといい。あと私の口調だが、直せぬし、直すつもりもない。その点を了承してくれるとこちらとしてもありがたい」
すると、張遼、華雄、陳宮が奇妙なリアクションをとり、呂布は目を丸くした。
「いきなり真名預けるんかい!」
「口調直すつもりはないのか!?」
「従者の癖に偉そうですぞ!」
リアクションから復帰した三人は、それぞれのツッコミを入れる。
「恋は呂布、字は奉先。真名は恋。よろしく、ライニ」
ぼーっとしているようにしか見えない顔で呂布……恋が私に真名を預けた。
張遼はそれに倣ったのか、恋に続いて自己紹介をする。
「うちは張遼、字は文遠。真名は霞や。よろしゅうな」
「私は華雄だ。……真名はないから預けられん。すまない」
申し訳なさそうな華雄に対し、私は答える。
「私はそのあたりは特に気にせんよ。以後頼むよ、華雄」
「……気遣い感謝する」
私は最後に陳宮を見つめる。
「卿は陳宮のままで良いかね?」
「お前なんかに真名を預けるつもりは毛頭ないですぞ!預けてほしければ土下座くらいしてみたらどうですか」
「ねね……」
恋のジト目を受け、陳宮は諦める。
「ねねは陳宮、字は広台。真名は音々音!ねねとでも音々音でも好きに呼びやがれです」
「以後よろしく頼むよ、ねね」
「ふん、お前は恋殿のために料理を作ればいいのです!」
「では、食後のデザート……甘味を振舞おうか。恋、あまり量を作るつもりはない故、味わって食べるのだぞ」
「ん、分かった」
「さっきの料理もおいしかったから、楽しみやわぁ」
「ライニ、あとで覚えておきなさいよ」
私は彼女たちの声援(一部違う)を受け、再び厨房に立った。
――*――*――*――
即興で作ったバニラアイスを振舞うと、なかなかの高評価をもらった。
ただ、恋が一瞬で全部食べてしまい、うるんだ目でおかわりを要求されたのは、予想通りだったと言っておこう。
そして、各々は解散することになり、私、水蓮、月、詠、アサシンが残ったのだが……。
「ライニとアサシンの部屋、どうする?」
「ど、どうしよう。詠ちゃん」
困る月に対し、ハサンは左腕をあげて答える。
「私はなくても構いませんぞ」
「じゃあ、ハサンはなしで。私の部屋共有すればいい。」
「……主がそれで良いとおっしゃられるならば、それに従いましょう」
自身のマスターからの言葉に頭を掻くアサシン。
「私は基本日中以外使う予定はないが手配をお願いできるかね?夜間は聖杯戦争が進むことが多いからな。それに詠も年頃の娘だ。私のような男に部屋にいられると居心地も悪かろう」
私の言葉に対し、詠はどこか誇らしげな顔をする。
「まあ、そのくらいの気遣いは出来て当然よね」
「では、明日のうちに用意しておきますね」
月は笑顔で私に答えてくれた。
……まさか卿が用意するわけではあるまいな?
「卿の心遣いに感謝しよう。……詠、月、水蓮、おやすみなさい。良き夢を……」
口にまでせり上がっていた疑問を呑み込んだ後、私はそう言って、その場を後にした……。
その晩、アサシンと共に暗がりに紛れて盗みを働く唾棄すべき劣等を4人ほど始末したが、報告が面倒だったので、放置した。
死体は火葬したとだけ記憶しておこう。
ここまで来て感想が3つ(なお、感想を書いた人物は2人の模様)とは驚いた。
このような拙作に感想を書いていただけるとは思いませんでした。
願わくば、より良い作品になるよう、ご指摘を頂ければと思っております。
そして、私の励みになるので、ぜひとも、ご感想をお願いします。