恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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ようやく一つ目のターニングポイントに到着した。

物語は今回の終盤に起こるイベントが終わるとしばらく小康状態になるだろう。

だが、ターニングポイントと言うだけあり、その結果が、今後を大きく左右する。

ぜひとも最良の結果に収束して欲しいものだ。

心なしか急展開になっている気がするが、私は気にしない。

あと、ガチャは悪い文明(沖田ガチャ爆死)



まあ、それはともかく……。

――では、今宵も私の歌劇をご覧あれ――!!


第28話 黄金の獣の真意、そして……

~十数日後 虎牢関屋上~

 

「ふむ、そろそろ良かろう」

 

30里ほど離れたところに見える大軍を見据えながら私は口元を吊り上げた。

 

ねりこ2度目の襲来から数日のうちに汜水関にいた我が軍が合流し、虎牢関の兵力は6万ほどに膨れ上がった。

 

それから10日ほど遅れて虎牢関からそれなりに離れた場所に連合軍がやってきて、今日に至る。

 

その間に美花たちが洛陽でやらかしているとんでもないことの中間報告に対して本格的に頭を抱えたり、作戦の最終段階の舞台を整えるための逆算をしたり、西涼方面に向かった姜維たちとの連絡などをしていたが、割愛する。

 

そして最後に……。

 

「あの、本当に行くのですか?」

 

心配そうに問いかける明命。

 

数日前に孫伯符からの使者としてやってきた彼女が、ある手紙を渡したことをきっかけに私は連合の天幕へ赴くことにした。

 

手紙を渡したせいで危険な目にあうのではないかと心配する優しい明命をなでたくなったが、私は諸々の理由からそれをやめた。

 

「むだよ。こいつ一度決めたらそう簡単に意見曲げないから」

 

私の隣に佇み、ジト目で私を見るマスターに対し、私は少しあくどい笑みを浮かべた。

 

「無論。どう転ぼうと私に不都合な結果にはならない。しかし今のままでは転ぶことなく留まっている状況が長続きしかねない。それは私的には問題ないが、それでは困るものも多いのは事実。ならば私が多少引っ掻き回すのもやむなしだ」

 

「……連合にはあんたの天敵がいるけど、大丈夫なわけ?」

 

心なしか不安そうな表情の詠に私は笑いかける。

 

「案ずるな。あの2人は私の天敵ではあるが、私のやることに積極的な横槍を入れぬからな」

 

「……あんたがそういうならボクは信じるからね」

 

「ああ。では行って来る」

 

私はそういってそのまま虎牢関から飛び降りた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

しばらく歩いていると、連合の天幕群が見えてきた。

 

それと同時に兵士たちの姿も見えてきた。

 

私の姿を兵士たちが確認したのを見た私は、兵士たちの行動を待ったが……。

 

「……何故動かん?」

 

なぜか遠巻きに見ているだけでこちらに近寄ろうとも、逃げようともせずにこちらから一定距離を保ったままでいる兵士たち。

 

私がしばらく首をかしげながら、この兵士たちが自分の兵士なら給料何割カットするか考えていると、諸侯の集まる天幕の方向にいた兵士たちが左右に移動し、その向こう側から寧が現れた。

 

「隊長。こっちでーす!!」

 

まるで向こう岸にいる相手に声をかけるような無駄に大きな声の寧に半ば脱力しながら私は彼女の元へと歩み寄った。

 

「して、状況は?」

 

「汜水関の一件で肩透かし食らってるみたいですね。なんか調子狂ってるみたいですよ?」

 

「まあ、妥当なところだろう」

 

普通重要拠点をたった一人の確保のためにあっさり放棄させたり、実質の総大将が何食わぬ顔で敵軍の天幕にやってくるなどおかしいにもほどがある。

 

しかもおそらく連合は気がついているが、汜水関には大量の食料を初め、汜水関防衛のための準備が念入りにされており、撤退時にはそれを全て放棄させてある。

 

無論毒などは混ぜていない。

 

もっとも、日持ちの関係上、素で腐ってるものがあるかもしれないが、全てちゃんと食べられるものを用意してあり、連合は確実にそれを利用しているはずだ。

 

なぜなら食料の補給が、諸侯の半分弱に対して十全に渡りきっていないからだ。

 

さて、ここでおそらく黄巾党征伐で出会っていない知恵者たちは疑問に思うはずだ。

 

ラインハルト(わたし)は何を企んでいるのかと。

 

積極的に敵対するにしては、連合側に利する行為ばかり行っている。

 

しかし味方と見るには証拠が足りない。

 

さて、ラインハルトは敵なのか、味方なのか。

 

私の思惑を理解していなければ、私の行動がちぐはぐ過ぎて何を考えているのか分からないだろう。

 

「もっとも、私を知っている者たちから見たとしても、分からぬだろうが」

 

「隊長のこと理解できるのは、たぶん姉さんか私、あとねりこでしたっけ? あの女狐と美花さん、あとメルクリウスあたりでしょうか」

 

「……もし私の計画がうまくいったら、私の名は歴代最狂の謀臣と歴史書には書かれるのだろうな」

 

「まあ、是非もないかと」

 

私たちはそんなやり取りをしながら、諸侯のいる天幕前にやってきた。

 

「……どうやら、きたみたいです。同行者は愚妹だけみたいなので、別に多少の罵倒などは問題ありませんが、彼の話の腰だけは折らないでください。下手すれば今日の朝食が人生最後の食事になりますので」

 

変なところで沸点の低い人物にされていることに困惑しつつ、寧の後に続いて天幕へと入った。

 

一同からの視線が集まるが、私は机を挟んで向かい側にいる劉弁の隣に佇む結衣を見た。

 

「……あ、座るのはその席で」

 

「では、失礼しよう」

 

劉弁の対面にあり、長方形の机の短い辺に用意されていたイスに私は腰掛けた。

 

「……さて、軍師泣かせも同然な行動をとるハイドリヒ卿は、いったい何用でやってきたのでしょうか?」

 

ジト目の結衣に私は肩をすくめる。

 

「何用も何も、私は孫伯符からの使者が来て用があるから連合に正式な使者として来いと言われたから来ただけだ。まあ、何人かに対して個人的な用が無いわけではないが、反劉焉連合迎撃部隊の総指揮官としてきた理由はそれ以外ないと言っても良い」

 

「孫伯符さん、私たちに何も伝えずにどういうつもりですか?」

 

私の言葉に張勲が孫伯符に問いかけた。

 

「……ラインハルトの目的が、そろそろ聞かせてもらえると思ったからよ。独断なのは認めるけど、今しか機会は無かったからね。汜水関の一件のときに一時人質になった司馬建公や李幽遠に聞いても『今の私にはその資格は無い』、『虎牢関の戦いが始まったら、もうその機会は無いでしょう』って言われたからね。それに彼はよほどのことが無ければ教えてくれるし。……そうよね、ライニ?」

 

孫伯符は挑戦的な笑みを浮かべて問いかけてきた。

 

「……私の目的か。それは簡単だ」

 

私はそういったあと、劉弁を見据えて答える。

 

「亡き先帝の意思を継ぐものを皇帝する。そしてそのための障害である劉焉を討伐することだ。あとはどのような結果になろうと、どうでも良い。正直劉岱の引渡しも、単純に先帝の墓前で詫びさせる目的が主であり、私自身の怒りは二の次だったからな」

 

「なら何故貴方は劉焉に組しているのですか!?」

 

田元皓は理解できないと言わんばかりの顔で問いかけてきた。

 

「理由は3つだ。ひとつはあの男やり方こそ過激だが、私の行動方針、そして先帝の思い描いた国のあり方とさして変わりは無いからだ。不正、悪逆を裁き、無辜の民に平和をもたらす。そのあり方は名君の統治だ。……もっとも、人であることをやめた時点で、人の上に君臨するのは間違っていると思うがな」

 

私は人差し指を立てて説明し、中指を立てて続ける。

 

「2つ目は敵として合間見えることで見えるものがある。故にあえて敵として立ちはだかり、卿らを試している。漢を存続させるに足るのか、否か……などをな」

 

「……!?」

 

諸侯は動揺しているが、私はそれを無視して続ける。

 

「最後の理由はそちら側にいた場合、色々都合が悪かったからだ。彼の劉岱を連合内で殺してしまえば士気の低下は不可避だろう。それに、そちらに組していたら、このようなのんきな内ゲバ……。身内での権力闘争なぞやってる場合ではなかっただろうからな」

 

私の言葉に周公謹が何かに気がついたらしくハッとする。

 

「……いつからだ!?」

 

「何が、かね?」

 

私が白々しくとぼけると、珍しく感情を高ぶらせて問いかけてきた。

 

「西涼の情報を隠蔽し始めたのはいつからだと聞いている!!」

 

「……少なくとも、私が投獄されてからは自主的な情報の取引をしていない」

 

「……そういうことですか」

 

「そんな」

 

「「「「……」」」」

 

私の言葉にピンと来た軍師たちが各々の反応を示した。

 

「……朱里ちゃん。私たちにも分かるように説明してくれる?」

 

理解が追いつけない者たちを代表するように劉玄徳が諸葛孔明に問いかけた。

 

「ラインハルトさんは西涼が蛮族に襲われてる、あるいは以前から襲われてると言ってるんです。……違いますか?」

 

すこし気圧された状態で彼女は私を見たので、私はそれに敬意を表して素直に答えた。

 

「ああ。現在、涼州は完全に五胡の占領下にあり、雍州が現在の対五胡防衛戦線の最前線にして、反攻作戦の起点となっている。そして奪還に洛陽軍8万を動員し、韓雍州牧、逃げ延びた西涼の連合軍を編成し、涼州奪還作戦を実行中だ。順調に行けば、私があの男の頸を取るころには元の領土まで押し返せるだろう」

 

私はそういったあと、ため息をつく。

 

「……私からも質問よろしいですか?」

 

「ああ、構わんよ麗羽。可能な限り答えよう」

 

私がそういうと、彼女は意を決したように問いかけてきた。

 

「前に司馬建公様が貴方様と契約したといいましたがその内容を差し支えなければ教えていただけますか?」

 

「……『私が三公および尚書令の権利・権限を使用する代わりに、外戚、宦官の権力を可能な限り削ぎ、宮城内の腐敗を一掃し、格官職に次の担い手が現れるまでその穴埋めをしろ』 ……それが私と彼らの契約だ。もともと先帝から与えられた執金吾と皇帝契絆支はあの皇帝との一代限りの約束で受けることにしていた。だからこそ、彼女の存命のうちにカタをつけるつもりで契約をしたのだ。最も結果はごらんの有様だがな」

 

「……」

 

私は一通り話し終えたので立ち上がる。

 

「さて、私はそろそろ戻らせてもらうが、何か言うことはあるかね」

 

私は劉弁を見ながらそういうと、彼は震える手を握って口を開いた。

 

「そなたの話を聞く限り。そなたは義と契約を重んじているようだが、それは事実か?」

 

「無論。義は可能な限り優先し、一度交わした契約は履行不可能か、反故にする相当な理由が無ければ守ることにしている。もっとも、そもそも履行できぬ契約や、内容に問題がある場合、相手が契約を履行するつもりが無い場合は契約などしないがな」

 

私がそういうと、劉弁は静かに問いかけた。

 

「……私がそなたに劉焉の頸を取れと言い、私がそれ相応の条件を飲んだのなら、契約を果たすつもりはあるか?」

 

「……先にも述べたが、劉焉はもはや人であることをやめている化け物だ。だがアレの行うことは名君の統治。それを倒すのは気が進まん。こちらの出す条件はそれ相応になるだろうな」

 

私がそういうと、寧が懐から書簡を出して、机の上を滑らせた。

 

「その書簡の出番がなくなるかと思ったが、そうならずに良かったと思う」

 

「用意周到ですね」

 

結衣が呆れながら書簡を手に取り、書簡に仕込みの毒針などが無いか見て、劉弁に渡す。

 

「……? こんな条件で良いのか」

 

思っていたことと違ったのか、面食らった様子で劉弁は問いかけた。

 

「口では何とでも言えるが、実行するのは存外難しいものだ。さて、その条件を承諾するかね?」

 

「……承諾しよう」

 

劉弁がそういうと、どこからとも無く声がした。

 

『なんだ。全部無血で終わるのかい? なら予定を早めて粛清を今から始めるとしようか』

 

「「「「「!?」」」」」

 

「何だね? 卿は洛陽前で私を殺すつもりだと思っていたが……? 劉焉」

 

私がそういって劉弁の隣を見ると、そこには劉焉がニコニコとした顔で佇んでいた。

 

彼は私の言葉にため息をついて答える。

 

『残念だけど、始末したいのは君だけじゃないんだよね。戦乱の元になる王の資質を持つ者たち……。彼女たちも対象なんだ。騙して悪いがこの大陸の人間のためなんでね。私の理想のために死んでもらおう』

 

そういうと、すぐに消えた。

 

「……寧、全軍を虎牢関から出撃させろ。指揮は卿と司馬建公に任せる。ザミエルたちには予定が早まった、奴は虎牢関より東100里にいるとな」

 

私は即座に劉焉の居場所を特定し、すぐに命令する。

 

「りょ、了解です!!」

 

あわてて天幕を後にした。

 

「結衣。卿は連合を纏めて私の軍と合流し、迎撃の態勢を整えろ。2刻以内に劉焉が呼び出した化外の群れの先遣隊がやってくるぞ」

 

「ちょっと、まて!! 何がなんだか分からないんだが!?」

 

至極全うな意見を出した公孫伯珪に答えようとしたが、別のモノが代わりに答えた。

 

――AGaaaaaaaaaa……。

 

「……劉焉がとうとう本腰を入れて私もろとも卿らを殺しにくる。人の姿から新たに得た姿でな。ついでにその姿で洛陽を襲い、自分の分身に倒させるふりをさせて奇跡を起こしたように見せる。そうすれば民は劉焉を畏れ、私がいなくなろうと問題なく統治できるというわけだ。神代の奇跡を再現したような相手にけんかを売るものなどなかなかおらんからな」

 

「逃げると言う選択肢は?」

 

劉表があわてて問いかけたが私は肩をすくめた。

 

「逃げても構わんが、たぶんそれでは遅いだろうな。……アレを見ろ」

 

私はそういって東のほうを指差した。

 

「何アレ……?」

 

そこには形容しがたい化け物が翼を生やしてこちらに向かって飛んできているところだった。

 

「劉焉が生み出した化け物だ。おそらくここにいた諸侯を優先して狙ってくるだろう。ほらな」

 

私が言い始めると、同時に、こちらに急降下をし始めた。

 

「アーチャー」

 

「言われるまでもない」

 

私の言葉に赤い弓兵はニヒルな笑みを浮かべて弓に矢を番え、放つ。

 

やはりと言うか当然と言うか、彼の矢は化け物の体に刺さったが、致命的な一撃とならなかった。

 

しかし――

 

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)

 

彼の言葉と共に、矢は爆発し、それと同時にその化け物は爆発四散した。

 

「さて、どうするかね? 醜くあがき、わずかな勝機に賭けるか、大人しく化け物どもの餌になるか、それとも勝つよりも可能性の少ない『逃げ切れる』ことに賭けて逃げるか。幸いにも、化け物自体は兵士が数人がかりで挑めば何とか倒せる程度ではあるようだ。信じるか否かは卿ら次第。私は劉弁との契約を履行するため、劉焉を討つが、その間は卿らは自分自身を何とかせねばならない。健闘を祈ろう」

 

私はそういって天幕を後にした……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「き、君!! 私を守りたまえ。金ならいくらでも出そう」

 

「何を言っている、そんなやつを守るくらいなら、私を守りたまえ」

 

「私は孔子の子孫だ。絶やしてはいけない血筋だと馬鹿でも分かるだろう!!」

 

かの黄金の獣がいなくなった瞬間、むさくるしい諸侯の男たちは我先にと私にすがってきた。

 

一方、土壇場になると女性のほうが肝が据わるのか、女性陣は比較的落ち着いていた。

 

「……桂花、稟、風。春蘭たちに急いで東側に陣を展開するように伝えなさい。私たちは戦うわ」

 

「「「……御意!!」」」

 

曹孟徳の言葉に3人の軍師は頷く。

 

「真直さん、斗詩さん、猪々子さん、そして青蘭さん。分かっていますわね!?」

 

「どうせ逃げても追われるなら、戦うしかないですよね。……こんなの策もへったくれも無いじゃないですか!!」

 

「本当に倒せるんですよね!? 私あの人のこと信じますよ!!」

 

「大丈夫だ斗詩。あたいが姫と真直と一緒に守ってやるからさ」

 

「では、私は前線で敵を倒し、兵たちを鼓舞しましょう。あの程度ならそうたやすく負けるつもりはありませんので」

 

華北袁家の当主と家臣団はどこかの副将軍を彷彿させる雰囲気で互いの意思疎通を図る。

 

「化け物退治なんて、なんかワクワクしてきたわ」

 

「……のんきなこと言ってる場合じゃないでしょう、雪蓮」

 

孫伯符と周公謹が緊張感を感じさせない会話をする一方で汝南袁家の当主とその部下は……。

 

「七乃、沙亜紗。妾を助けてたも」

 

「大丈夫ですお嬢様。この七乃、命に代えてもお嬢様をお守りします」

 

「まあ、出来る限りは守りますよ。(……袁紹のところには青蘭姉がいたから、あっちはまず大丈夫……。問題は私、桜花と、燐華。私と燐華は一応琥珀がいるから3人だけなら、大丈夫だとは思うけど桜花のほうは1人だし不安。……でもこんな可愛い子をみすみす見殺しにするわけには……!!)」

 

なにやらあの西洋鎧をまとう女性の妹らしい赤い目とシルバーブロンドの髪をツインテにした少女が困った顔でぶつぶつ袁術を時折見ながらなにやら言っていた。

 

「白蓮、騎馬はたぶん無理よ。馬が怯えているみたいだし」

 

「……仕方ない。なら歩兵で立ち向かうしかない」

 

公孫賛と、それに良く似た姿の女性のやり取りの隣で、ライトブラウンのウェーブがかかった髪が特徴の幼さを残す少女が公孫越に謝っていた。

 

「ご、ごめんなさい。私役に立たなくて」

 

「いや、そんなことは無い。俺が絶対に守って見せます。だからこの戦いが終わったら、お話があるんです。……聞いてくれますか?」

 

……あの男だけは何が何でも戦わせてはならない。

 

たぶん死んでしまう。

 

私はそう思っていると、その2人の傍にいた趙子龍が割り込んだ。

 

「いえ、公孫越どのは今回指揮してくだされ。貴方が前に出て万一負けたりしたら、士気ががた落ちですからな」

 

「……そうですか。では、趙子龍殿、よろしくお願いします」

 

「了解した」

 

……どうやら大丈夫そうだ。

 

私がそう思っていると、私のマスターが呼びかけた。

 

「アーチャー!!」

 

彼女はそれ以上何も言わなかったが、私は頷いた。

 

「……愛紗。悪いが力を借りるぞ。私が先陣を切るから、君は鈴々と共に兵士を鼓舞してくれ。あと、飛行するやつを打ち落とすから、その間に朱里たちとともに編成を頼む」

 

「了解した」

 

一通りのことを伝えた後、私はまだすがる者たちを見て告げる。

 

「申し訳ないが、私はあの化け物たちを倒しに行くのでね。私の傍で守れる保証が無いがそれでもよければ私についてくるといい」

 

私はそういって、天幕を後にした……。

 

 

 

 

 

 




いかがだっただろうか。

感想、評価、誤字脱字報告をお待ちしているよ。

さて、この山場を乗り切らねば全ては終わる。

全力を出せぬ獣殿の奮闘に期待したいところだ。

では、また次の幕にてお会いしましょう……。
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