恋姫✝無双 黄金の獣と聖杯戦争   作:月神サチ

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立場や自分の性格、そういうものが己を縛り、己を偽る原因となる。

だがそれでいいのかね?

素直になれぬと後悔する場面もあるだろう。

この1幕はそんな思いを込めたつもりだ。

――狂化EXのバーサーカー並にトチ狂ってる私に、表現できたかは大いに疑問だがまあいいだろう。


では皆さま、私の歌劇をご観覧あれ……。


第8話 霊帝と部下とツン子の……?

料理のできる3人とアシスタントのアサシンの手を借りたライニは、彼女たちを満足させることに成功した。

今はデザートとして、チーズケーキを4ホール分こしらえているところだ。

――1ホールは恋が食べるだろうと考えて作っているところがまたライニの気遣いというところだろうか。

そして王の財宝(ゲートオブバビロン)の存在は今や所帯と化しているのだった……。

 

 

 

 

一方、黄金の獣の料理に満足した一同はと言うと……。

 

「やっぱりライニさんが作るご飯はおいしいね、詠ちゃん」

 

月の笑顔に対し、詠も満足そうな顔を浮かべている。

 

「そうね。それにライニの言葉じゃないけど、大抵の料理は作りたての方がおいしいわね」

 

「ライニの料理はやっぱうまいなぁ。酒は出してくれへんけど」

 

「こんな昼間から酒飲んでどうするのだ霞!」

 

少し不満そうな表情を見せる霞とそれにツッコミを入れる華雄。

 

「そういえば、出来立ての料理なんて初めて食べたもん……」

 

ふと今までの記憶を振り返った白湯の表情が、感動に似たモノへと変化した。

 

「あの獣は料理に関しては何もかもが一流ですからな。前に毒を持ってるのではとからかったら、激怒したのです。あの時ほど死を感じたことはなかったのですぞ。なので獣が毒を盛ることなど天地がひっくり返ってもあり得ないはずです。そのため、毒見いらずなのです。……ところで恋殿。何をしているのですか?」

 

身体を一瞬振るわせながら以前のやり取りを語ったねねは、尊敬する恋に疑問を投げかける。

 

「でざーと待ち」

 

『お預け』状態の犬を彷彿させる様子の恋の言葉に何姉妹は首をかしげる。

 

「でざーと?」

 

「それは一体何ですか?」

 

すると水蓮が恋に代わり答える。

 

「……食後に出てくる甘味。今日はなにかな……?」

 

「デザートですかっ!?」

 

目を輝かせるルーラ―の言葉に董卓軍のメンバーがハッとする。

 

「まさか今日も出すんか!?」

 

「何が出てくるか知らんが掛かってくるがいい。今度こそは気の抜けた顔になったりしないからな!!」

 

「デザートは特に気合を入れているあたり、やはりあの獣は甘味の鬼ですぞ!」

 

「甘味に関しては修羅になりそうな気がする」

 

「恋の分、多めに作ってくれてる……かな……?」

 

「へう……。ライニさんのデザートとってもおいしいけど、お腹周りが……」

 

「ラ~イ~ニ~、ボクと月が太ったらアンタのせいだからね~!!」

 

董卓軍のメンバーの態度の変化に動揺する3人。

 

「お待たせしました~。ハイドリヒ卿特製のチーズケーキでーす」

 

「飲み物の紅茶は甘くするとケーキの甘さと喧嘩しちゃうから、甘くないわ。もし甘くしたいなら、角砂糖を一粒ずつ入れて調整してね」

 

「ケーキの大きさはどれくらいがいいか僕に言ってくれれば、ちゃんと言われたとおりに切り分けるからね」

 

白い髪の少女(?)と濃い桃色の髪の少女がそれぞれカートでケーキと紅茶の入ったポット、カップに受け皿(ソーサー)、そして角砂糖入りのシュガーポットを運び、黒髪の青年はケーキを切り分けるための道具を持ってきた……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

「……ふむ、78点だな」

 

紅茶とケーキだけは私と、爪牙たちの分を残してあったため、現在月たちと共に食べている。

 

「ハイドリヒ卿、自己評価かなり厳しいですね。僕のいた頃の諏訪原市にあった一流のケーキ屋相手でも大差をつけて勝てると思うのですが……」

 

私の右側で私の言葉に驚きを見せるカイン。

 

「それだけハイドリヒ卿は向上心があるってことだよ、カイン」

 

カインの隣でシュライバーはニコニコしながらケーキをほおばっている。

 

「ハイドリヒ卿と融合したって人、相当料理上手よね」

 

私はフォークをそっと置いた後、左側にいるマレウスに反論した。

 

「そんなことはない。何故なら材料が良いからな。作り方を理解しており、人並みの腕があれば、これくらいは作れる。……卿らに作ってもらった方が、よりおいしく出来たかもしれぬな」

 

私がそう言うと、3人が目を丸くする。

 

「……ではハイドリヒ卿。僕は一足先に城に戻ります」

 

カインが立ちあがると、私に一礼する。

 

「また呼び出すやもしれん。その時は頼む」

 

「了解しました」

 

その言葉と共に、カインは陽炎のごとき揺らめきと共に消える。

 

「じゃあ、僕らも帰ろうか、アンナ」

 

「まだ食べてる途中なんですけど」

 

シュライバーの言葉に対し、ジト目で答えるマレウス。

 

「じゃあ、ハイドリヒ卿。僕も城に戻りますね。あんまり暇だとなにするか僕にも分からないですから」

 

「ご苦労だったな、シュライバー。近々卿の満足する場を設ける故、ベイと共に待っていると良い」

 

するとシュライバーは目を細める。

 

「それは楽しみです。じゃあ、とりあえずベイをからかいながら待たせてもらいます」

 

シュライバーもカイン同様に姿を消す。

 

「それじゃあ私も――」

 

「貴様ら何者だ!!」

 

マレウスも丁度食べ終わり、城に戻ろうとしたとき、男の声が響いた。

 

声のする方へ私を含めた一同が顔を向けると、複数人の男(おそらく宦官)と白丹を少し成長させた感じの少女、あと色々な意味で危険な香りを纏う女性が佇んでいた。

声の主は、男の一人のものらしい。

 

「ここは皇帝陛下とその伴侶、あとは侍女と宦官以外立ち入りを禁止している後宮なるぞ!!」

 

先ほどの声と同じ声の男が一歩歩み出てこちらに対し高圧的な態度を見せる。

 

「劉協様に邪魔の入らぬ場所で話し合いがしたいからよい場所を教えてくれ、と尋ねたらここの使用を許可してくれたのだがね。そうだろう?白湯」

 

私の問いかけに白湯はすかさず反応する。

 

「私が許可したんだもん。文句あるの?」

 

すると宦官たちがざわめきだす。

しかし約一名はそんなことお構いなしに問いかけてきた。

 

「……お前たちは一体何を食べてるの?」

 

美少女が怪訝そうな顔で問いかける。

するとチーズケーキを食べていた一同はそろってこちらを見る。

 

「チーズケーキという、大秦の甘味だ。私が作った。……まだ残っているが食べてみるかね?」

 

「食べる!!」

 

「「「陛下!!」」」

 

美少女の返事に対して、宦官たちが止めに入る。

 

「いけませんぞ、陛下」

 

「毒を盛ってるやもしれません」

 

「あんな胡散臭い人間の作ったものなど、信用してはなりませんぞ」

 

宦官たちの言葉に呆れる一同。

 

「毒が盛られていたらすでに我々は死んでいるぞ。」

 

バカバカしくていうのも面倒そうな傾。

 

「まあ、卿の取り巻きがそこまで言うのだ。卿は食べぬ方が良いだろう。恋、残りは全部食べて良いぞ」

 

私の言葉で触角がピンと伸びる恋。

すると霊帝は慌てて口を挟む。

 

「私も食べる。ほら、白湯もおいしそうに食べてるじゃない。大丈夫よ!!」

 

白湯を指さした後、そう言って私の元へ駆け寄る霊帝。

私はケーキを大きめに切り分けて皿に載せたたあと、カインが座っていた席に座るよう促す。

 

「わ、私も後学のために頂けませんか?」

 

霊帝の取り巻きの中で紅一点だった美女が問いかけてきた。

 

「構わんよ。作るにはそれなりの設備と、材料、あと作り手の技量が必要だがね」

 

私はそう言いつつ、ケーキを切り分けて差し出し、シュライバーが座っていた席に座るよう、促した。

 

二人は他の者のフォークの使い方を見つつ、一口食べる。

 

「「……」」

 

二人は無言になり、俯く。

 

――口に合わなかったか?

 

私が首を傾げていると、2人はいきなり顔をあげ、こちらを見る。

 

「私に作り方を教えてください!!」

 

「あんた私専属の甘味料理人にしてあげるわ!!」

 

2人の反応に対して、私は答える。

 

「作り方は教えよう。だが卿の専属料理人は辞退させてもらう」

 

すると霊帝が理解できないという顔をする。

 

「どうしてよ!!給金ならたくさん出すし、宦官にならなくても後宮に出入り自由にしてあげるのに!!」

 

「……私は気に入った主以外に仕えるつもりはない。少なくとも今の卿は気に入った主とは言えん。卿が私の主に相応しいと思ったら考えなくもない」

 

もっとも、マスターの鞍替えはするつもりはない。

故に卿を主と仰ぐことはないだろう。

 

すると霊帝が騒ぎ出した。

 

「やだやだやだ!私のために料理作ってくれないとやだ!!」

 

空丹(クゥタン)様、私めが料理作りますから……」

 

すると白湯が笑いだす。

 

「何がおかしいのよ、白湯!」

 

「お姉ちゃんがあまりにも子供っぽいんだもん。自分の思い通りにならないと駄々をこねるなんて、昔の私みたいみたいなんだもん」

 

「……!!」

 

妹の言葉でハッとする霊帝。

 

彼女はわざとらしく咳をした後、こちらを見る。

 

「……私は黄巾党鎮圧に同行する予定だ。これでも一応、本職は武官なのでね。それまでの間、宦官を含めた他の者が私のやり方に口出ししない、董卓軍の主要な人物や卿の妹、何進、何太后と同じ卓で良いならば、昼食、夕食は私が腕を振るおう。……どうかね?」

 

私の提案に対し、霊帝はすぐさま反応を示す。

 

「分かった。お前たち、この男に口答えは禁止!良い!?」

 

宦官たちはほとんどが動揺を見せるが、約2名はそうでなかったのを、私は見逃さなかった……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

チーズケーキを堪能した空丹(ケーキのお礼で預けられた。真名とは一体……)は(ファン)(先ほど宦官の中にいた女性である趙忠の真名。料理のレシピをいくつか教えると約束したら預けられた。真名とは(略))を連れて自身の部屋に戻っていき、自然と流れ解散の空気に再びなった。

私は詠、月、水蓮、白湯にまとまっているよう命じ、ルーラ―、アサシン、ついでに城に戻っていないマレウスと共に、彼女らの護衛することにした。

ルーラ―は霊体化しており、アサシンは気配遮断で姿を消しているため、見える護衛は2人である。

そして現在は廊下を経由して、今のところ一度も使っていない私の部屋に移動している。

……なぜそうなったのかは私にもわからん。

 

「そう言えばあんた、部隊を率いてみる気はない?」

 

「藪から棒に何だね?」

 

私が問いかけると、詠が私をじっと見た後答える。

 

「あんたのカリスマってスキルが部隊の統率に大きく影響するって情報に載ってたからよ。それにボクは軍師だから戦場に出ることもある。その時は霞あたりの部隊と一緒にいることが多いけど、ボクを守る代償としてその部隊の攻撃力は格段に下がる。恋も、霞も、華雄も、攻撃に重点を置いていて、消耗戦向きの部隊じゃないの。水蓮もどちらかっていうと攻撃よりだがら、守りに向いた部隊がないの。だから新しい部隊を新設しようと思って……」

 

何故か気まずそうな様子で理由を述べる詠。

私としては特に問題ないので詠に委任する回答を返す。

 

「……構わんよ」

 

「そうよね、構わないわよね……。え?本当に?」

 

目を丸くして問いかける詠。

 

「ああ。だがサーヴァントが出現した場合を想定し、私の爪牙以外で副官を選定する必要がある。万一の場合は爪牙たちを城に戻して一時的にステータスを戻せるようにな」

 

あと卿の護衛も出来る武官も選定せねば、と付け加えると前方から声がする。

 

「これも運命なのでしょうか……?」

 

声の方を向くと、そこには一組の男女が佇んでいた。

男は黒髪に赤い瞳の青年で、恋姫の呂蒙を彷彿させる服装(色は黒で袖は腕の長さになっており、帽子は被っていない)で文官のような印象を持たせる。

女の方はシルバーブロンドのロングヘアーをポニーテールにしている、金色の双眸の娘で白を基調とした服を着こなしている。

得物は腰の双剣だろう。

 

「私たちを貴方の旗下に入れて頂けますか?」

 

「……卿らは?」

 

私が問いかけると、男の方が片膝をついて頭を垂れた。

 

「私は姜維。字は伯約と申します。今日まではここで文官をしておりましたが、長安の噂を聞き、貴方様のお力になりたく、こうして参上しました。ここに仕官する前は農業の傍らで涼州にて自警団の指揮官を務めていましたのでお役に立てるかと」

 

それに続き、娘の方も頭を垂れた。

 

「私は李奉、字は幽遠と申します。姜維の知己であり、先日までは町で用心棒をしておりました。本日、姜維に誘われて貴方の元へ仕官しようと思い、馳せ参じました。この仕事を始めてから今日まで、護衛対象を守り切れなかったことは一度もないことが私の数少ない自慢です」

 

2人を見た後、私は口を開いた。

 

「渡りに船とはこのことだろう。……卿らの仕官を認めよう」

 

「ちょっとライニ!!」

 

詠が慌てて口を挟む。

 

「どうした、詠」

 

「いきなり出てきたこの2人を二つ返事で登用するのはどうなのよ」

 

「……マレウス。この2人の脈をとれ」

 

私が指示すると、マレウスがするりと二人の間に立ち、それぞれの首筋にそっと手を当てる。

 

「卿らに簡単な質問をしよう。……なに、卿らが信用できるかどうかを調べるためだ」

 

「……構いませんが」

 

「どうぞ、何なりとご質問を……」

 

2人の同意を得たので質問を開始する。

 

「十常侍と何らかの関係を持っているか?」

 

「……いいえ」

 

「私は十常侍と兵士たちの間で情報を中継する役目をしていました。しかしそんな役目は本来の仕事ではありません。本来は財務処理を行う文官の一人でした。先ほど仕事をやめてきたので、十常侍とは関係を持っていません」

 

姜維の言葉に対し、こちらに振り返ったマレウスが目で嘘は言っていないと伝えてきた。

目線の動きからみても嘘ではないだろう。

 

「では次だ。私、または私の周りにいる人間に対し、恨みを持つ人間を知っているかね?」

 

「私は存じ上げませぬ」

 

予想通り李奉は知らぬと答える。

姜維からも同様の答えが帰ってくるだろうと思ったが、私の予想は裏切られた。

 

「何進様、何太后様、そして貴方様は、十常侍の者たちから排除の対象にされています」

 

「……私もかね?」

 

「はい。ここに来る途中で耳にしました。寧……李奉は聞いていなかったので知らないと思いますが……。」

 

――私まで排除の対象か。詠たちを人質に取られぬようせねばな……。

 

「ねえ、ライニ」

 

これから起きるであろう出来事の予測と、それに対応した行動に修正を入れていると、詠が声を掛けてきた。

 

「何だね?」

 

「これ本当に意味あるの?」

 

「ああ。何なら月に試してもらえばいい」

 

私は月の手を取り、詠の首筋に当てさせる。

 

「月、何か詠に聞きたい質問をしてみるといい。卿の指先に感じる鼓動の変化が嘘か本当かを教えてくれる」

 

月は少し考えるそぶりを見せた後、質問した。

 

「長安にいたとき、ライニさんが仮眠を取った後のベッドにこっそり入ってたよね?」

 

――魔力の消費を押さえるために空いている時間は自室のベッドで仮眠をとっていたが……。

 

「入ってるわけないじゃない!!」

 

必死で否定する詠に対し、月は死刑執行人さながらの気配と共に告げる。

 

「……嘘。脈が速くなった」

 

「……!!」

 

事実をつきつけられ、詠はがっくりうなだれた。

 

「月、そこまでだ。詠、卿も分かったのではないか?」

 

「分かったわよ……」

 

私は姜維達の方へ向き直り、答える。

 

「卿らを正式に私の部下とする。ところで詠、私の部隊の編成はどうなる?」

 

「歩兵1000で、恋が自分の部隊のついでに面倒見てるわ……」

 

顔を伏せたまま答える詠。

 

「恋が見ているならば基礎は問題なかろう。では明日一日で調練すれば問題ない水準まで兵の質を引き上げられるだろう。……2人の分の部屋は今から手配しに行く。すまぬがマレウス、そして姜維、李奉、彼女たちを頼む」

 

私はそう言って何進のところへ行こうとして足を止めた。

 

「……詠」

 

「何よ」

 

「私はどうも気遣いが足りんようだ。言葉にせねば気付かぬことも多い。卿は私のマスターなのだから、不満なことなどは遠慮せず言うといい。私を求めるならば、それもまた良かろう……」

 

「さっさと行ってきなさい!!」

 

何かを投げつけたそうな返事を返した詠に対し、私は微笑ましく思いながらその場を後にした……。

 

 

 

 

 

――*――*――*――

 

 

 

 

 

――同日の夜

 

戦場さながらの厨房を潜り抜けた後、何姉妹の誘いをやんわりと断り、自室にて読書をしていた。

 

すると、扉を開けて寝間着の詠が訪れた。

 

「どうしたかね、マスター」

 

私が問いかけると、詠はもじもじしながら問いかけてきた。

 

「あんた魔力まだ足りないんでしょ?魔術師のその……は魔力の塊だって本に書いてあったから……。」

 

「……卿は無理をする必要はない。それにこの程度の制約など取るに足らんよ。少なくとも、王の財宝(ゲートオブバビロン)だけで戦うならば、十分といえる魔力を貯蓄してあるのだからな」

 

――そもそも卿は魔術師ではないだろう、という野暮な指摘をしようとしたが、やめておく。

 

「そ、そう……」

 

目に見えて落ち込む詠に対し、私は本を閉じて立ち上がる。

そして彼女を横抱きにし、私はベッドの端に座る。

 

「あ……」

 

顔を赤くする詠を無視し、私は彼女を膝の上に座らせる。

 

「仮にもサーヴァントとは言え、寝間着で男の部屋に来るなど、卿は誘っているのかね?」

 

私がいたずらっ子のように問いかけると彼女はキッとこちらを見て答える。

 

「そうよ!悪い!?」

 

「……」

 

私は予想外の言葉に少なからず動揺していると、詠が俯いて私の服をつかんだ。

 

「ボクは怖いの……。聖杯戦争ではサーヴァントが死んでも、マスターはまた他のサーヴァントと契約を結べるから、殺されることが多いって本に書いてあったから、私も殺されるんじゃないかって。だからライニが傍にいないと不安になって少しでも感じられる場所を捜してたらそれで……。それにライニには色々してもらってるのに、ボクは何も出来てない……」

 

「卿は私が守る。真名に誓ってな」

 

私は彼女をそっと撫でた。

 

「それに私は卿のおかげでここにいられる。それ以上のことがあるというのかね?」

 

彼女の手の震えは徐々に収まっていき、顔をあげた彼女の頬を優しく触る。

 

すると詠が私の顔を両手で挟み……。

 

私たちの影は重なった……。

 

「……でもボクはライニとのつながりが欲しい……。サーヴァントとマスターって関係じゃないつながりを……」

 

恥ずかしがる詠に対し、私から一言。

 

「なかなか素直になれぬというのは困ることが多いのではないかね?」

 

「ーーっ!!うるさい!痛くしたら承知しないんだからね!!」

 

顔を真っ赤にした詠を私は抱きしめる。

 

「なかなかどうして難しいが、マスターの命令だ。精一杯努力しよう」

 

――さて、今夜も長い夜になりそうだ……。

 

 

 

 

 

 




いかがだっただろうか。

いやはや、獣殿はなかなかどうして婦女子諸君に人気のようだ。
やはりそのあふれるカリスマとその黄金比ともいえる姿が惹きつけるのだろうか……?


さて、感想を毎回くれる方もいるようだが、ほかの方からも頂けると実に励みになる。

来たる狂宴(カーニバル)(別名はホロウ、又は萌将伝)のための前座であるこの歌劇を無事終わらせるため、声援を頂けると幸いだ。


それでは皆さま、また次の幕でお会いしましょう。
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