Bクラス戦決着
明久SIDE
雄「明久、Cクラス対策は大丈夫か?」
朝、いつもより早く登校してFクラスに行くと、雄二が唐突にそんなことを言ってきた。
舞「あら、アッ君を信用してないの?」
雄「信用して無い訳じゃないが、一応の確認だ」
そう言って雄二が、もう一度僕の方を向いたので僕は、笑顔で親指を立ててグーサインをしてやった。するとそれを見た雄二も笑顔でグーサインを返してきた。
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秀「敵を教室内に押し込むのじゃっ!」
昨日の試召戦争で中断されていたBクラスの辺りから、今日はスタートした。そして今は秀吉を司令塔にFクラスの約半分の戦力をつぎ込んで、Bクラスの入り口付近でBクラスと対峙していた。
さすが秀吉。演劇部をやってるだけあって声がよく通っている。
須「後方の扉の教科が古典に変わりましたっ!」
明「あれ? 数学の先生はどうしたの?」
須「Bクラス内に拉致されたもよう」
須川君の報告を受けて、僕は秀吉を見る。秀吉は僕の言いたいことが分かったのか、コクリと頷いた。
秀「姫路よ、後方の扉を任せられるかの?」
姫「あっ、は、はい。わかりました」
秀吉の指示にビクッと、ビクつきながら返事を返して持ち場へと向かう。
姫「っ!!??」
するとその途中で、Bクラス内を見た姫路さんがその表情を強張らせる。そしてその場で立ち止まってしまった。
その場から動く気配がない姫路さんに、痺れを切らした秀吉が一旦姫路さんをさがらせた。そしてさっき姫路さんにしたのと同じ指示を今度はフィリたち三人に出した。
フィ・舞・ル「「「……………」」」
しかし三人は、秀吉に返事をせず、かと言って指示に従うわけでのなくBクラス内を睨みつけていた。
明「僕が行くよっ!!」
秀吉にそう言い目的の場所に行く。そしてBクラスの生徒たちを一掃すると、さっきからBクラス内を、にらみつけているフィリたちの方に向かい声を掛ける。おそらく三人に聞けばさっきの姫路さんの行動と、彼女たちの行動そして朝からずっと感じていたこの胸騒ぎの正体もわかるだろう。
明「フィリ、舞依、ルナ」
僕が声を掛けると、彼女たちは体をビクッと震わせてからこちらを向いた。そしてその顔には……悲しみの表情が浮かんでいた。
ル「ア、アキ」
いつも陽気に振る舞っているルナなんて今にも泣きそうだ。
彼女たちのそんな表情に胸を締め付けられそうになりながらも、どうしたの? と質問する。
フィ「……」
フィリが無言でBクラス内を指さす。その先にいたのは、何やら可愛らしいピンク色の封筒と三つの金属の輪、つまり指輪を見せびらかしながら持って、ニヤニヤ笑いながらこっちを見ている根室君の姿があった。
ピンク色の封筒の方に見覚えはなかったが、指輪の方には見覚えがあった。というより、あれは僕がフィリと舞依そしてルナと大和王国(むこう)で結婚した時に送ったものだ。
その事実を認識すると、とてつもない怒りが込み上げてきた。おそらく殺気がダダ漏れだろう。
明「舞依とフィリとルナは姫路さんを連れて下がってて」
舞「アッ君?」
明「大丈夫。必ず……必ず取り戻すから」
不安そうに俺(・)を見つめる三人にそう返しながら、順に頭を撫でていく。すると彼女たちは顔を赤くさせながらも、コクリと頷いた。
そして俺(・)は三人に頷き返しながら雄二のいるFクラスへ向かった。
ところで、三人の頭を撫でてた時姫路さんから殺気が出てたけど、どうしたんだ?
〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰Fクラス〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰
雄二SIDE
明「雄二っ! 頼みがあるっ!」
俺がFクラスの教室で指揮を執っていると、明久がものすごい形相で教室に入ってきた。明久のそんな様子を見たFクラスの奴らは、恐怖で震えていた。
正直俺も怖い。明久の子の表情を見たのは、今回が初めてではないが何度見ても怖いし慣れない。
雄「お、落ち着け明久。取りあえず落ち着くんだ」
興奮状態の明久を何とか落ち着かせると、明久が落ち着いた様子で(口調は変わらずに)話し始めた。
明「(説明中)という理由で姫路とフィリと舞依とルナを前線から下げたいんだが、いいか?」
説明が終わった後、明久は上目遣い(という名のガン付け)をしながら俺を見る。
正直に言えば、断ると言いたかった。だが、明久に聞いた理由と明久の心情、そしてこれまでに明久から(本人は無自覚に)貰った恩や教訓があるため、そんな選択肢を取らずにこう言った。
雄「いいだろう。ただし、姫路達がやる筈だった役割をお前がやるんだ。やれるか?」
俺がそう聞き返すと明久はフッと微笑んで言った。
明「俺を誰だと思ってるんだ? 絶対に成功させるさ」
明「だから安心しろ」
そう言い残して明久は作戦の準備のために、教室を出て行った。その時見たアイツの背中は、とても頼もしかった。
雄「……まったく、カッコイイじゃねえか」
明久が出て行った直後の俺の呟きは、窓から入ってきた風の音に流されて周りの奴らには、聞こえていなかった。
〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰Bクラス前の廊下〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰
明久SIDE
雄二から許可をもらった俺は、すぐに最前線のBクラスの教室前まで戻った。そして俺を見つけた秀吉が声を掛けてきた。
秀「雄二は何と言っておった?」
俺が雄二のところに言った理由路聞かないで、話を聞いてくれる秀吉に心の中で感謝しながら作戦を話す。
明「(説明中)という事だ。もう少ししたら俺が合図を送る。それに合わせて作戦開始だ」
秀「(明久の口調が変わっておる。本気(マジ)モードじゃな)了解したのじゃ」
秀吉が頷いたのを確認して俺は、持ち場である後ろ側の扉に向かう。
そして数回深呼吸した後に、こちらを前側の扉から見ていた秀吉に右手を挙げて合図を送った。すると秀吉も頷いて指示を出す。
秀「後ろ側にの扉にいるものは、こちら側に来るのじゃっ!」
それを待ってましたと言わんばかりにFクラスのみんなが、一斉に動いた。そのことに呆気に撮られているBクラス生を一瞥しながら、俺はいつものセリフを口にする。
明「この教室内にいるBクラス全員に勝負を申し込むっ!!」
明「サモンっ!!」
総合科目 Fクラス吉井明久 7862点
VS
Bクラス代表根本恭二 4631点
Bクラス根室ウロ 3561点
Bクラス約三十人(近衛隊含む) 平均1984点
俺がこの行動をとったことに対する周りの連中の反応は、様々だった。
恭二は、やっと来たかって言う顔してるし、根室君は憎しみで顔を歪めながらこちらを睨んでいる。他の生徒たちは、皆一様に驚いていた。一方でFクラスの連中は、事前に話を聞いていたためニヤニヤと笑みを浮かべている。
熊本「な、舐めるなぁ~!」
佐々木「死ねぇぇ~」
俺の近くにいた数人が、いち早く我に返り叫びながら召喚獣を仕掛けて来る。
明「邪魔だっ!!」
襲い掛かって来る攻撃を躱しながらカウンター気味に、腹や首などの人体の急所を狙い一撃で戦死にさせる。その光景を見ていた他のBクラスの生徒は、躊躇いその場に立ち竦む。だがそんなのは関係無しにと、近くの生徒たちに斬りかかる俺。
〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰十分後〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰〰
俺がBクラスに特攻(という名の殲滅)を仕掛けてから十分が経った。Bクラス生はもう恭二と根室しか残っていなかった。
明「恭二、もう少しで終わるからあとちょっとだけ待っててくれるか?」
恭「(いくらか落ち着いたようだが、まだ怒ってるようだな)ああいいぞ。俺もそいつのやってる事には、いい加減我慢の限界だったからな。ここいらでお灸を据えてやってくれ」
了解と恭二に返し、根室と向かい合う。
根「何で、何で観察処分者なんかにっ! くそっ!」
独り言をつぶやいた後、西洋剣で斬りかかってきた根室の攻撃を躱し、話しかける。
明「何でかも分からないのか?」
根「分かる訳無いだろうっ!!]
イケメンだった顔を歪めながらそう叫ぶ根室。大体予想できていた答えだとはいえ、改めて聞くとそんなことも分からない根室に、呆れてため息が出る。
過去に恭二に似たようなことを聞いた時彼は、分からないながらも考えこれかもしれないというものを言ってきた。だから恭二は改心させたし、させるために頑張った。今回も根室が「分からない」以外の具体的な答えを言ってきたら、改心させるつもりだった。だが返ってきた答えはあれ。こいつは本当に愚図だなと思った。
根「何だよっ!! 溜め息なんか吐いて。俺はなんか悪い事したのかよっ!!」
いまだに何かわめいてる根室。正直言ってもう聞きたくない。
明「お前の罪を教えてやる。ひとつ、人の物を盗んだ事」
そう言って召喚獣で戦死しない程度に根室の召喚獣を斬りつける。
明「ふたつ、人の想いを踏みにじった事」
もう一度斬りつける。
明「そして最後に、俺の嫁を泣かしたことだぁぁ〰〰」
根+一部以外のFクラス『結局それかよっ!!』
根室と俺の性格を知らないFクラスの奴らが、ツッコミを入れてきたが気にせずに、恭二に向き直る。
明「待たせたな、恭二」
恭「いやそれ程待って無いさ」
明「じゃあ、やろうか」
そう言って召喚獣に武器を構えさせる。すると恭二は——————
恭「いや、根室がしたことのせめてもの侘びと、この人数じゃさすがに勝てないからな」
一拍おいて————————
恭「Bクラスは降伏するっ!」
高らかにそう言った。
それを確認した、高橋先生のFクラスの勝利宣言で、俺たちのBクラス戦は終わった。