学園長との対話
明久SIDE
凪「それにしても、カヲルが俺たちを呼び出すなんて……嫌な予感しかしないな」
雄「全くだ」
今僕と雄二と凪は、学園長室に向かっている。理由は、先程放送で呼ばれたからだ。そしておそらく内容は清涼祭に関する事だろう。
雄「明久、『アレ』は持ってきたっか?」
明「うん、持ってきたよ」
そう言って僕は黒いトランシーバーの様な物をポケットから取り出す。これは盗聴器を見つける機械だ。
カヲルがいる学園長室には、常にこの学園を良く思わない者たちによって盗聴されている。だから僕が行った時は盗聴器を取り除くようにしているんだけだ、それでもまた仕掛けられてしまう。だから学園長室に行く時は、この機械を持っていくようにしている。
凪「着いたみたいだな」
雄二と話していたらいつの間にか着いたみたいだ。
?「—————————で、—————だから、——————さね」
?「—————は———————なので、—————しょう」
凪「中から話し声が聞こえる。一人はカヲルでもう一人は男だ」
一番扉の近くにいた凪が小声で言ってきた。
明「だったら任せて」
僕はそう言うと、雄二と凪を邪魔にならない所に退かす。そして————————
明「しっつ礼しまーす」
————————思いっ切りドアを蹴り飛ばした。
?「ん? ぶべらっ!」
するとドアはその勢いのまま飛んで行き、中にいた男の人を巻き込んで壁に埋まった。
カ「騒々しいさね。もっと静かに入ってこないかいクソジャリ共。(よくやったよ吉井)」
僕たちが中に入るとカヲルが、口ではそう言って目では本音を僕にぶちまけた。
そして僕たちはドアと壁にサンドイッチされている、竹原教頭(ここは予想道理)を取り出して学園長室の外に放り出した。そのついでに部屋の中に在った盗聴器も壊した。
カ「よく来たねお前たち」
雄「前置きは良いからさっさと本題を話せババァ長」
雄二の口調はいつもの事なので、カヲルも何も言わない。
カ「やれやれ、少しは落ち着きな。『慌てるナントカは貰いが少ない』って言うよ」
凪・雄・明「「「乞食だよ(だろ)」」」
カ「…………」
恐らくわざと間違えたんだろうけど、僕たちが律儀にツッコムとカヲルは微妙な表情になった。
カ「まあともかく、本題を話すさね」
その言葉を聞くと僕たちの体が自然と緊張する。
カ「清涼祭の時に召喚獣大会があるのは知ってるさね?」
僕たちは頷くと、カヲルは結構と言って続きを話す。
カ「じゃあその大会の優勝賞品も知ってるさね?」
雄「確か白金の腕輪が二つと文月グラウンドパークのプレミアムオープンチケットだろ」
カ「その通りさね。実は腕輪の方なんだけどね」
凪「欠陥でも見つかったのか?」
カ「ちょっと違うさね。欠陥が見つかったという偽情報を流したんだがね」
カヲルがそこで一旦言葉を切ると同時に、僕たちはそれをした理由をなんとなく分かっていながらも思った。
明・雄・凪「「「(何やってんだこのババア)」」」
カ「……言っておくが、これは敵を誘き出す為の作戦さね」
明「いや、そんな事は分かってるけど……」
雄「俺らを此処に呼び出したってことは、魚が網にかかったんだな?」
カヲルが念の為に言って来るのに、僕が口ごもってると雄二が先を促した。
カ「ああ、どうやら魚は教頭の竹原だった様さね」
凪「それで、俺たちに何させようってんだよ」
カ「召喚獣大会に出て腕輪を死守するフリをしてほしいさね。それまでに竹原の野郎を追い出す証拠を掴んでおくさね」
雄「良いだろう、その話乗ろうじゃないか。だがタダでとはいかねえぞ」
雄二が意地の悪い笑みを浮かべる。
カ「……何が目的さね」
雄「なぁ~に簡単な事だ。先ずはFクラスの設備の改善。次にAクラスの望む者に椅子から畳に変える事」
カ「後者の方はいいが、前者は無理さねそれは学園の方針だからね」
雄「畳が腐っててもか?」
カ「……そんんなに酷いのかい?」
雄「ああ」
カ「はぁー、まさか設備の事を竹原に任せていたツケがこんな事で回って来るとは。いいさねどちらの条件も受けようじゃないか」
雄「交渉成立だな、帰るぞ二人とも」
雄二に続いて僕と凪も出口に向かう。
カ「吉井、桐ヶ谷」
その途中でカヲルに呼ばれたので、振り返ると何かを放られた。
難なくキャッチすると、それはちょっと凝ったデザインの指輪だった。
明「これは?」
カ「それを付けておくと、教師の承認なしにサモンフュージョンが出来るさね。普通の召喚獣は召喚できないがあんたらにはその方がいいだろう?」
凪「何故これを?」
カ「おそらく清涼祭中は竹原からの妨害がある筈さね。だから用心の為だよ」
明「ありがとうございます」
凪「サンキュー」
カヲルにお礼を言って僕たちは学園長室を出た。
清涼祭中は何も起きない事を願う。