バカとテストと召喚獣~彼が変えていく世界~   作:隆斗

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出来れば「Aクラス戦四回戦」のアンケートに協力してくれると嬉しいです。
期限は変わらず清涼祭が終わるまでです。


清涼祭誘拐

清涼祭誘拐

 

明久SIDE

 

準決勝が終わった後僕達はAクラスに戻った。

客足は、まだ始まったばかりの所為か少ない。そのお蔭もあって僕と雄二は、店が一番混むであろうお昼時まで休憩をもらって屋上で寛いでいた。

最初は僕も雄二も仮眠をするつもりだったが、どうも朝からしていた嫌な予感が拭えなかったので僕は寝ていない。

雄二も理由は分からないが眠れないようだ。

 

雄「なあ明久」

 

明「何? 雄二」

 

雄二が頭の後ろで腕を組み空をボー、っと眺めながら声を掛けてきた。

 

雄「お前はさ、大和の王子だって言ってたがこんなとこに居て大丈夫なのか?」

 

放課後何する?、的な気軽な感じで話す雄二に思わず笑みが零れる。

 

明「大丈夫だよ。僕は己の修行の為にここに居るんだから」

 

雄「修行?」

 

明「そう、修行。人の上に立つ為には何が必要なのかとかを今は学んでいるんだ」

 

僕の返答に一言そうか、と返しただけで雄二はまた黙った。

 

雄「…………り、………な」

 

明「何?」

 

少しした後雄二は蚊の鳴く様な声で何か言ったけど僕には聞こえなかった。

 

雄「だから、勝手に居なくなるなんてしないよな?」

 

雄二にしては珍しく悲しそうな声音だった。

 

雄「俺は、お前にまだ何も返していない。お前には色々な事をしてもらった。悪鬼羅刹として荒れていた時に、俺が目を逸らしていた感情と向き合わせて、翔子との仲を取り持ってくれたり。普通の奴ならバカだと言って笑い飛ばすような試召戦争の話も、お前は真剣に聞いてくれた。……俺だけじゃねえ。秀吉も康太も恭二も、皆がお前に恩を貰っている。それなのに、俺達はまだその半分も返せていない。それなのに突然大和に帰る、なんて事はないよな?」

 

最後は縋る様な感じで僕の方に問いかけてきた雄二。まるで、恋人が離れていくのを必死で引き留めているようだった。

そんな普段は見せない弱気な雄二に、この場の雰囲気に似合わない穏やかな笑いを浮かべながらおそらく雄二が聞きたかったであろうセリフを言う。

 

明「大丈夫、僕は突然居なくなったりしない。それに大学卒業まではこっちに居るつもりだからね」

 

雄「そうか……」

 

雄二はそれだけ言うとまた空を見上げた。だがその顔は何処か嬉しそうだった。

 

 

 

 

康「……明久! 雄二!」

 

あれから少し経った頃、ドバンッ、という音と共に屋上の扉が開かれ、康太が慌てて僕達の所に来た。

 

雄「どうした? ムッツリーニ、そんなに慌てて。盗撮行為でもばれたか?」

 

……親友に対してその認識はあんまりだと思う。真面目な話をしている時は康太って名前で呼ぶのに、それ以外の時はムッツリーニって呼ぶし。

 

康「……ばれる様なへまはしない」

 

うん、君の発言もどうかと思う。卑猥な物は撮らないにしても、盗撮は立派な犯罪だし。

 

康「……そんな事より、誘拐事件が起きた」

 

瞬間、僕と雄二の表情が引きしまる。

 

雄「康太、誘拐されたのは誰だ?」

 

素早く体を起き上がらせいつでも動けるように、僕と雄二はストレッチをしながら康太に雄二が聞いた。

 

康「誘拐されたのは木下優子、小山友香、工藤愛子、霧島翔子、結城有沙、吉井百合子、明久の嫁達全員、それと島田と姫路と島田の妹らしき人物の14人だ」

 

誘拐させた者達の中にフィリ達がいると聞いて、激しく怒りが沸いた。

 

康「場所はおそらくここだ」

 

康太はそう言って俺と雄二に盗聴器が点滅している画面を見せる。

 

場所は……隣町のカラオケ店だった。

 

康「……凪はもう行っている。おそら————」

 

凪「明久! 早く来い!」

 

康太が言い終わる途中で下から声が聞こえたので見てみると。凪が校庭から俺を呼んでいた。

 

明「今行く!」

 

大声で俺も返事をすると屋上から飛び降りる。

 

雄・康「「なっ!」」

 

雄二も康太も俺の行動に驚いていたが気にしない。

俺は空中で素早くサモンフュージョンすると腕輪の能力を使い空気の足場を作り、凪の横に降り立つ。

 

明「行くぞ」

 

凪に一言だけ告げると俺は走り出した。気配で凪が付いて来るのが分かる。因みに現在の速度は音速並だ。人間離れしていると思うが、大和にはこのくらいはできる奴が沢山いる。

 

 

 

 

隣町まで五分という一般の人から見れば驚異的な時間でついいた俺と凪は、チンピラ達がいるカラオケボックスの部屋の前で康太から借りた(奪った)盗聴器の受信機で部屋の中の会話を聞いていた。

 

チ1『で、確か坂本と吉井って奴を呼び出せばいいんだっけか』

 

チ2『ああ。だがあんまり事を大きくはしたくないな』

 

チ3『確かに。吉井って奴は聞かないが、坂本って確か悪鬼羅刹って呼ばれていた奴だろ? そんなのとはやりたくねえな』

 

チ4『だがそれは2、3年前だろ。今はもうザコじゃないのか?』

 

チ3『かもな』

 

チ5『それよりこのネーチャン達どうする?』

 

葉『お姉ちゃん、助けて!』

 

島『葉月を離しなさい!』

 

チ6『お姉ちゃんだってよ、可愛い~』

 

チ7『ギャハハハハハ』

 

此処まで聞いた時点で俺は我慢の限界が近かった。そしてまだ喋ってはいないものの気配であと7人は居ることが分かる。

 

チ8『なあこの子達ヤッていいんじゃね? そこら辺は言われなかったし』

 

チ9『だな。じゃあ俺このピンクの巨乳チャン』

 

チ10『じゃあ俺金髪の子~』

 

チ11『俺黒髪巨乳チャン~』

 

チ12『じゃあ俺全員いこうかな~』

 

チ13『おっ、欲張るね~』

 

チ14『まあ全員レベル高いからその気持ちも分かるけどな~』

 

舞『気持ち悪い目で見ないで下さい。気持ち悪い』

 

有『離れなさ!』

 

チ6『うるせーよ、大人しくしろ!』

 

美『クッ』

 

その後パンッ、って音と共に美弥の苦痛に呻く声が聞こえた。

その声で僕の中の何かが切れた。

 

ドガァァァァァァァァン

 

そんな音と共にドアを蹴破ると、中には手を振りぬいた姿勢で固まっているチンピラの一人と残りのチンピラ、そして縄で縛られているフィリ達と一人だけ縄で縛られていない百合子の姿があった。

 

三人称SIDE

 

チ1「なんだテメェは」

 

一人のチンピラの言葉を皮切りにチンピラ達が明久と凪に寄っていく。しかし明久はそんなのは眼中にないように素通りしてフィリ達の所に寄って行く。

 

チ3「おい、ちょっと」

 

凪「明久の邪魔するな。お前らも動くなよ」

 

明久の肩を掴もうとしたチンピラを、凪がサモンフュージョンして手に持った剣をのど元に当てて牽制し、他のチンピラの動きも制する。

 

明「……」

 

無言でフィリと舞依とルナと美弥とリエの縄を解く明久。

 

明「……ごめん、お前達を守るってあの時誓ったのに。……ごめん」

 

明久は五人に聞こえる声で言った。その顔は悔しさと怒りの感情が渦巻いていた。

彼女達五人を守れなかった事に対する自分への怒り。

彼女達五人に危害を加えたチンピラ達に対する怒り。

彼女達五人を守れなかった未熟な自分に対する悔しさ。

その感情が明久の中で渦巻いているのをフィリ達5人は分かった。

だから五人は———————

 

フィ「……心配するな、私達はいつも明久に守られている」

 

舞「そして、私達はいつもあなたに助けられたわ」

 

ル「そして、いつも僕達を支えてくれた」

 

美「辛い時も悲しい時も拙者達はいつも明久に支えてもらっていた」

 

リ「だから今度は」

 

フィ・舞・ル・美・リ『私達(拙者達)にこれからもあなたを支えさせて下さい』

 

感情の整理が出来ていない明久の事を抱きしめてそう言った。

 

明「分かった。これからは互いに支え合っていこう」

 

明久も抱き締められたことで落ち着き彼女達にそう返した。

目から涙が出そうなのを必死に抑えた。抑えなければ涙が溢れて来そうだったから。

明久達がそうしている間に雄二と秀吉と康太と恭二もきてそれぞれの彼女の縄を解いていた。

島田と姫路は解かれた瞬間明久に襲い掛かろうとしたが、百合子が睨みを聞かせている為手出しができない。

二人は百合子の力を知ってチンピラと共に百合子を化け物呼ばわりしたのだ。

その事をフィリ達から聞いた明久は島田と姫路の方を睨む。

 

島「吉井、いつまでで抱き合ってるのよ! お仕置きが必要ね」

 

姫「OHANASIが必要ですね吉井君」

 

明「煩いぞお前ら。黙れ」

 

葉「あっ! あの時のカッコいいお兄ちゃん」

 

明「こんにちは久しぶりだね葉月ちゃん」

 

葉月に笑い掛けた後明久は、フィリ達に目配せした。

その意図を理解した彼女らは姫路と島田を抑える役、チンピラ達を抑える役、雄二達を学園に連れて行く役に分かれた。雄二達彼氏組はチンピラに一発かましたい様だったが渋々引き下がった。

そして明久は百合子の元に行き百合子を優しく抱きしめた。

 

百「ッ!?」

 

突然の事により驚きから体が強張る百合子。

明久は百合子の能力が効かない。効かないというより百合子が無意識のうちに明久に対しては能力を切っているのだ。世界で初めて自分を一人の人間として扱ってくれたから。一人の妹として接してくれたから。こんな能力を持っていても一度も自分の事を拒絶しなかったから。

だから百合子は明久の事を傷つけない。

 

明「……辛かったな、悲しかったろ。…………今は俺がいる。だから今は自分の感情に素直になれ。自分に嘘を吐くな。俺は、お前の事も守りたいと思っている。だからそんな辛そうな顔をするな」

 

百「ひっぐ、えっぐ、う、ウエェェェェェン」

 

明久の言葉が効いたのか百合子は泣いた。いつもは感情を表に出さない彼女が大声を上げて無防備に泣いている。恐らく今は能力も発動していないだろう。彼女の最強の鎧は今は無い。だが彼女が今いるのは彼女が最も落ち着く、兄の腕の中。

いつもは愚兄だなんだと言いながらも彼女は明久の近くに居ることが落ち着く。

もしかすると一人の女として明久を愛しているかもしれない。だがこの想いは伝えるべきではない。明久にはもう(大和での)妻もいる。いくら近視婚ができる大和でもそれは色々と不味い。だからこの想いは伝えない。

だが、この時ばかりは思いっ切り明久に甘えた。

 

 

 

明久SIDE

 

百合子が落ち着いた後俺は彼女達を帰らせた。今この部屋には俺とチンピラ達しかいない。

 

チ2「俺たち相手に一人でやろってのか?」

 

チ3「舐めやがって!」

 

チ13「やっちまえ!」

 

そう言うや否やチンピラ達は一斉に俺に襲い掛かってきた。

俺はそれを脛を蹴る等をして戦闘不能に(・・・・・)させていく。

そう、意識は奪わない。

全員を戦闘不能にした後質問をした。

 

明「お前らに聞きたいことがある。お前らを雇ったのは誰だ?」

 

チ1「た、竹原って奴だ」

 

リーダー格のチンピラが答えた。

俺はそれを隠しておいた録音機に録音する。

 

明「それに竹原との会話の内容を録音しろ」

 

録音機をリーダー格のチンピラに渡し指示する。そいつは大人しく指示に従った。

 

明「さてと、これからお前らの事を俺の気の済むまでボコボコニする。お前らは俺の大切な嫁と妹に危害を加えたからな。ああ、後有沙と霧島と工藤と木下と小山と葉月もな」

 

島田と姫路の野郎は無視する。

 

明「嫁バカと思われてもいい。シスコンと思われてもいい。俺は彼女達を守ると誓った。なのにできなかった。これはその腹いせだ」

 

あの時の誓いをもう一度心に刻み付ける様に呟く。

 

明「気絶できるとは思わない事だ。それじゃあ始めるぞ」

 

その時の俺は凶暴な笑みを浮かべていただろう。

その直後、チンピラ達の悲鳴が鳴り響いた。




バカテスの夏休みっていつからでしたっけ? 誰か教えて下さい。
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