最低と多忙
三人称SIDE
百合子と明久が二人で教室に戻ると雄二達からチンピラ達との事を物凄い心配された。ちょっとやり過ぎたかもしれないけど多分大丈夫って明久が言うと、呆れながらも良かった良かったと雄二達は安堵した。
そして明久には気になることがある。それは——————
明「……ねえ雄二、あれは何?」
明久の指差した方にはこっち(正確に言えば明久)の方を見て怯えている島田と姫路の姿があった。
雄「あああれか、あれは気にしなくて良い。其れよりも俺達はこれから決勝戦までは休憩無しだ。バテるなよ」
実は明久がチンピラ達にしていたことを雄二達は知っていた。康太がカラオケ店の監視カメラに侵入して部屋の中の様子を見ていたのである。
その時雄二達はこれから明久がチンピラを、徹底的に叩き潰すことをなんとなく予想していたので、そういうものを見たことが無い島田と姫路には刺激が強いと思い、見ない事を勧めた。しかし二人が食い下がったので仕方なく見せることにした。
案の定明久はチンピラ達をボッコボコにした。その光景はギリギリR18に行くか行かないかというほどにヤバかった。
それを見た島田と姫路が明久に対して恐怖心を抱いた(明久の事を良く知っている雄二達と大和組はやり過ぎた明久に対して呆れていた)。
其れだけだったら雄二達も自業自得だが少し同情する、といった程度で終わったかもしれないが、問題はその後に起きた。
島田と姫路が明久の事を罵倒したのだ。二人の言い方は違っていたものの共通の言葉が幾つかあった。
『狂人』『化け物』等々の言葉が二人の口から出た時、雄二達は怒り心頭だった。それでもまだギリギリ手は出さなかったのだが、フィリ、舞依、ルナ、美弥、リエ、凪、有沙そして百合子の8人はそうはいかなかった。
8人は雄二達よりも遥かに明久との付き合いが長い。それ故に雄二達よりも多く明久に助けられてきたし支え合っても来た。彼ら8人は普段は少々? 過激な所はあるものの人格者だ。しかし明久が罵倒されたり貶められたりした場合は別だ。相手が国家だろうと報復する。それ位の気持ちを持っている。つまり島田と姫路は触れてはいけない逆鱗に触れたのだ。
切れた8人が島田と姫路に何をしたのかは雄二達に多くは語らていないが、お仕置きの最中に明久に対するトラウマを植え付け明久に近寄れないようにした、と雄二達に8人は言った。
明久は勘で彼女達8人が島田と姫路に何かしたとは思っているが、彼女達が語らないので明久自身からは聞かないようにしている。
明久SIDE
もしかしたら昨日より楽なんじゃないか、と思っていたが希望は見事に打ち砕かれた。
昨日がまだ楽だったと思えるくらいに今は忙しい。
客1「すみませーん」
客2「こっちお願いしまーす」
客3「こっちもー」
席は満席になり、途切れることのない注文の嵐。その所為かクラスの皆のイライラも昨日とは比べ物にならないスピードで溜まっていく。
舞「アッ君これお願い」
フィ「坂本、これを頼む」
そして調理場もそれに比例して忙しくなっており、現在調理場を担当している舞依とフィリとあと数人は額に汗を浮かべている。
調理場は調理場で大変そうだなって思った。
決勝戦が始まるまであと30分程、これほど30分が長いとは思わなかった。