今回は閑話の様なものです。
それとこの話から本格的にFate勢が参戦しますが、独自解釈を多く含んでいるかもしれません。そこの所はご了承ください。
夜の六時。まだ日も完全に沈みきっていないこの時間、俺の屋敷の大広間にたくさんの人影があった。
その中でここの屋敷の主である俺がみんなの前に立つ。
「ゴホん。それじゃあ雄二達の大和王国来日と侵入者撃退を記念して、カンパーイ‼」
『カンパ—イ‼』
俺の音頭に合わせてそれぞれが手に持っていたグラスを掲げて近くの者とぶつけ合った。大広間の至る所でカチンというグラスのぶつかり合う音を皮切りに賑やかで騒がしい宴会がスタートした。
「なあ、明久あれは誰だ?」
宴会が始まって暫くした頃に雄二が明久に問いかけた。そんな彼の視線の先に居るのはギルガメッシュと仲良く一緒の机を使っている緑髪で長髪の中性的な顔をした人物がいた。因みにアルトリアと幽々子は一人で食べる量が凄いから、ギルガメッシュは————
「王である我(オレ)が何故雑種と席を共にせねばならん」
と言って大きなテーブルに他の者と一緒に座ることを拒否したから、三人は個別に専用のテーブルに座っていた。
「……雄二、浮気はダメ」
「イテッ、浮気じゃない。浮気じゃないからその抓っている手を離せ翔子」
先程の雄二のセリフを浮気と思った翔子が雄二の足を抓った。此処でスタンガンが出ないあたり彼女も常識を身に付けつつあるという事だろう。
「ああ、彼女はエルキドゥ。ギルの奥さんだよ」
『………』
明久の一言で人間組の面々が固まった。恐らくあれだけ傲慢で偉そうだから彼女すらいないと思っていたのだろう。
「明久よ、我(オレ)は麺類が食いたい。持って参れ」
「はいはい、ちょっと待ってろ」
ギルガメッシュからの要求により一旦その場を離れる明久。その際エルキドゥが明久に申し訳なさそうに頭を下げた。
宴会の時彼女は殆どギルガメッシュの傍に居る。その理由はギルガメッシュが酔っぱらった時などに穏便に事を収めることが出来るのが彼女だけだからだ。無論明久も出来なくはないが、アフターケアが面倒なのでエルキドゥに丸な……一任している。だから明久は彼女の大変さを思って苦笑しながらも、大丈夫だよとジェスチャーで返した。
明久が台所へ向かうと、そこは大広間とはまた違った意味で忙しかった。
シロウは鍋を使って何か煮込み、妖夢は包丁で野菜らしき植物をみじん切りにしており、玉藻はその細腕からは考えられない程の力で中華鍋を振るっていた。
今回集まったメンバーの中には他にも料理が出来る者がもっといるが、面倒くさい等の理由で参加していない。
「お前らも追加を作りに来たのか?」
「ああ。アルトリアが酒を飲んでしまったのでね」
「幽々子様もです」
「ああ……」
幽々子とアルトリアの二人は、酔っぱらうと食欲が増すというある意味最凶な酒癖がある。その為いつもは二人が酔わない程度に酒を飲むのだが、今回はたまたま飲み過ぎてしまったらしい。そして食欲が加速し、既存の料理だけでは足らないので二人の世話係のシロウと妖夢が追加を作りに来たという訳だ。
「それで玉藻は何してんだ」
「これを作ってたんですよ。はい、明久」
先程まで作っていた料理を明久に渡す玉藻。それはミートソーススパゲッティだった。
「……これを俺にどうしろと?」
彼の反応は当然と言える。行き成りミートソーススパゲッティなど渡されても扱いに困る。
「先程あの慢心王から麺類が食べたいと言われていたので、私が代りに作っておきました」
ハニカミながら言う玉藻は明久にはとても愛おしく見えた。それと同時に、流石自称良妻狐だな、と関心もしていた。
「……ありがとう。とても助かるよ」
そう言って明久は優しく玉藻の頭を撫でた。彼女も気持ち良さそうに撫でられている。
「………あっ」
「? どうしたんですか明久? はっ! もしかして今夜私と寝る時にどうやって私をメチャクチャにするかで、いいアイデアが浮かんだと。いいですよ、いいですよ。私は明久にならどんなことをされてもウェルカムです! さあ!」
「いや違うから。百歩譲って今夜お前と一緒に寝るとしても、今日は色々と疲れてるからそういう事はしない。そして台所でそんな事するか」
明久の間の抜けた声を自分の都合のいいように解釈した玉藻が、ものすっごい笑顔で鼻息を荒くしながら両手を広げてハグの恰好をするが、明久は彼女の解釈を否定しその脳天にチョップを喰らわせた。
「〰〰〰ッ⁉ い、痛いじゃないですか! いきなり乙女の頭にチョップするなんて酷いじゃないですか!」
「今のはお前が悪い。それより真剣な話だから御ふざけは終わりだ」
明久はそう言うと玉藻の手を引いて台所の入り口に向かう。玉藻は明久と手を繋ぐのは嬉しいが先程の事もあるので、渋々と言った感じで彼に付いて行った。まあ、彼女の内心は周囲にバレバレだったが。
「シロウと妖夢も大広間に来い。今から結構大事な話をする」
明久と彼のハーレムメンバーとのイチャイチャは何時もの事なので無視していたシロウと妖夢だが、明久にそう言われたことにより作っていた料理を中断し、台所を出ていった彼の後を追った。
四人が大広間に着くとそこは未だに宴会状態だった。いや、酒が入って入り乱れている分(もちろん人間組はジュース)開始時より酷い。
「お前ら、真面目な話だから聞け」
大広間を見渡して、ここに大和の主要メンバーがある程度そろっている事を確認した明久は、良く通る声でそう言い注目を自分に集めた。
「今から結構大事な話をする。だからそこの腹ペコ王と腹ペコ姫食うのやめろ」
未だに食べつずけている幽々子とアルトリアを注意した後、その場に居る全員が真面目に聞いているか確認する。そしてその間にシロウと妖夢も自分の席に着いた。
未だに状況をよく理解していない雄二達だけは、訳が分からずキョロキョロしたりしていたが今はそれどころではないので放置。
「俺とフィリ達が言った文月学園の元教頭の竹原って奴がいるだろ、そいつがどうやったのかは分からないが『守護五聖獣』に俺らの事をチクってな、それで俺達大和王国の者が文月学園に居るのがバレた」
『…………』
『???』
明久の行き成りの告白に、雄二達は話の内容が良く分かってなく首を傾げ、その他の者は何やら固まっていた。
「? 明久それってどういう」
『何ィィィィィ‼』
疑問に思っていることを恭二が明久に聞こうとした時、明久の言った事から受けたショックより立ち直った大和王国のメンバーが絶叫した。それもその絶叫だけで衝撃波が出るレベルで。幸いにも雄二達は明久が対処したから無事だった。
「……やはり私達が無暗に正体をさらしたからだろうか」
ポツリと呟いたフィリの言葉に、その場に居た百合子、舞依、ルナ、美弥、リエそして彼女達に加担した凪と有沙も目に見えて落ち込んだ。
「……正体をさらしたって、どういう事なのかしら?」
「ああ、それはな」
いつも以上に真剣に聴いて来た紫に、未だ立ち直れていないフィリ達の代わりに俺が説明した。
「……そう、そんな事があったのね」
明久が説明し終えると、彼の説明を聞いていたメンバーは各々様々な反応を見せた。紫はそれを真剣に受け止め思案顔になり、永琳や白蓮などの年長者はフィリたちを宥めていた。
「なあ明久、その守護なんとかってなんなんだ?」
先程はタイミングを逃してしまったため聞けなかった恭二が改めて明久に質問した。
「お前ら、”四獣”って知ってるよな」
「ああ、あれだろ———朱雀とか白虎の事を言うんだろ。でもそれがどうしたんだよ? まさかそれらが実在するのか?」
信じられないといった感じで明久に問う恭二。
「そのまさかだ。ついでに言うと、青竜・朱雀・白虎・玄武の四獣に麒麟を含めた五匹の事を『守護五聖獣』って言うんだ」
淡々と説明する明久に、人間組の面々は驚きを禁じ得ないようだ。
「だ、だがなぁ……、だからって大和王国(ここ)とそいつ等と何の関係があるってんだよ」
先程の恭二の質問に対する明久の答えで、自分の知りたいことが得られなかった雄二が再度明久に問いかける。
「い、いやそれがな…………あいつらと仲が悪いのは俺の所為なんだ」
『………は?』
予想外の明久の告白に人間組の面々は間抜けな声を上げた。
「実はな、大和王国(ここ)ができて少しした後俺と紫達古参メンバーとで暇つぶしに世界中を旅してたんだよ。その旅で日本に寄った時に偶々『守護五聖獣』と会ったんだが、その時に色々あって俺達とそいつ等との間でいざこざがあったんだよ。無論俺達が負ける事は無かったがあいつらも伊達に大層な二つ名がついてなくてな、結構苦戦したんだよ。でまあ結局それ以来大和王国(俺達)と『守護五聖獣』……ってより日本妖怪との仲が悪くなったって訳だ」
語り終えた明久は何処か満足気だった。
「それで彼らに対する対策はどうするんですか?」
そんな明久に玉藻が問いかけた。
「それはもう考えてある。これから言うメンバーは教師及び生徒または他の生徒達の護衛として文月学園に来てもらう」
『はい!』
明久のセリフを聞いて、フィリ、舞依、ルナ、美弥、リエ、百合子以外の明久を想っている女性陣が一斉に手を挙げた。
「気合の入ってるとこ悪いが、もうメンバーは決めてある」
が明久のこの一言によって手を挙げた全員が不満気な顔になる。
「そう不満そうな顔をするな。埋め合わせは後でする」
明久は彼女達に一言詫びた後、新たに文月に行くメンバーを発表していく。
「まず最初に生徒だが幽香、魔理沙、妖夢。世界史と日本史担当で慧音、保険医で永琳、数学で紫。そして最後に護衛のメンバーはハサンの分身の内五体、文、玉藻、クー、ディル(ディルムッドの事)だ。以上のメンバーが文月に行く。何か意見等がある者はいないか?」
「妾は行かなくてよいのか?」
質問したのはネロ(赤セイバー)だった。
「ああ、今回こいつらを連れて行くのは主に情報収集と自陣の強化、それともし先頭になった時の一般人を退避させることだ。それのもしものことがあってお前らが必要になっても俺が召喚(よ)ぶから問題ない」
明久がそう言うとネロも納得した。確かに明久の言う通りこのメンバーでは『守護五聖獣』相手に互角には戦えるだろうが、周りに被害を出さずというのは難しいだろう。だから明久は考えた。まず戦闘時は、クーやディルを中心とした俊敏の高いものに一般人の避難をさせる。そしてその間五聖獣は明久が抑えておくと言った物だ。そして残りの幽香や魔理沙などは流れ弾を防ぐといった役割である。そして、何もない時はハサンと文等に情報収集をしてもらうと言ったものだ。
「だから基本的に文とハサンには情報収集をしてもらい、玉藻には文月学園と向こうにある俺ん家等を聖地化してもらう」
明久の言った事に彼らは頷く。
「それじゃあこれで話は終わりだ。どんちゃん騒ぎに戻っていいぞ」
明久のセリフにより大広間はまた喧騒が戻って来た。それを見ながら彼は——————
(……後片付けが大変だなこりゃ)
と主夫的な事を考えていた。
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