ベルさんがダンジョンに挑むのは間違っているだろうか   作:ハガル_ゴールド

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スランプ気味なので悪い癖発動(別の話書き始める)


本編
その1


少年、ベル・クラネルはダンジョンにはやはり出会いを求めていた。

祖父から聞いた英雄譚に胸を高鳴らせ、その道筋に憧れ、祖父がよく言っていたハーレム(洗脳のようなものだが)を目指そうと思った。

だからこそ、祖父の死後に冒険者が集う迷宮都市オラリオに行きそこで冒険者として経験し、その先にある誰からも認められる英雄となろうと思ったのだ。

というよりもベルが持ってるおかしな力を持っている事を知ってる祖父がもしもの時に勧めていたのだが。

 

「でもこんな出会いは求めてないいいいいいいい!!?」

 

「ブモォオオオオ!!!」

 

街にたどり着き、親切な冒険者の先輩に連れられて迷宮に入ったのだが、その際に途中ではぐれてしまい、いきなり強そうな存在とかちあった。

牛の頭を持つ人型の魔物であるミノタウロスに追いかけられていた。

この時のベルは知らなかったが、本来ミノタウロスはこの第一階層には存在しない魔物だ……何らかの原因で上の階層にまでたどり着いてうっぷん晴らしで目の前にいた弱そうな存在を標的と定めたのだ。

 

「追いかけてくるのが美少女なら良かったのにいいいい!!」

 

祖父に言われていた追いかけてる美少女の事が出ている当たり教育(洗脳)はばっちりなのかもしれない。

それはそれとしてミノタウロスは嬲る意思でも持ち合わせているかのように、わざとベルの動きに合わせた速度で追っていた。

その事に薄々ながら気が付いているが、今は逃げるしか手段が無い。

 

「って、行き止まり……!?」

 

逃げまどっている最中、とうとう行き止まりに突き当たり、もはや逃げる事すら不可能になってしまった。

来たばかりの場所でやみくもに走ったせいでなんとか覚えていた道へ進めなかったのだ。

後ろを振り向くとミノタウロスは嗜虐の笑みを浮かべているように見えた……まあこれは錯覚かもしれないのだが。

 

「……あの、おいしくないですよ?」

 

「ブゥウウウウウ」

 

会話を試みたが当然通じる筈もなく、ミノタウロスはベルににじり寄っていた。

ベルの白髪赤目の様子からウサギを追い詰める肉食獣の構図になっていた。

完全に絶体絶命であり、もうどうにもならないのだが―――

 

「……やるしかない、やるしかないんだ」

 

「ブモオオオオオオオオオオオオ!!」

 

ベルが気合を込めて何かに変わろうとし……風が吹き荒れた。

それと同時にミノタウロスも強者から弱者になるという生命本能からくる危険に勢いよく迫り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「天井が、白い……?」

 

少女、アイズ・ヴァレンシュタインが逃がしてしまったミノタウロスを追って第一階層にまで到達すると、途中天井のところどころがが白くなっている異様な光景が広がっていた。

それでも足を止めず他の下級冒険者では狩れない対象を探して走り、微かながらも雄たけびが聞こえた方向へ走っていく。

それは白が出てきている方向であり、疑問に思いながらも駆け出し――――そして見つけた。

 

「え……?」

 

ミノタウロスとそれに相対している白い髪の毛を長く伸ばしている大柄な男が。

上半身は生身の肉体が露出されている状態であり、下半身は今にもはち切れそうなほどにズボンが悲鳴を上げているように見える。

大柄という姿なのだが、決して太っているという訳ではなく筋肉が大きく発達しているだけのように見受けられる。

そして同時に天井が白くなっていた理由も理解した。

 

「この白……あの人、の……?」

 

道中見かけていた白がその男から伸びている髪の毛の一部だと知ったが、ますます混乱していた。

 

・何故、防具などを纏っておらず、一般市民の格好であるのか?

 

・何故、武器を持っていないのか?

 

・何故、髪の毛を切っていないのか?

 

色々と混乱しているのだが、それでもこのような下層に居る冒険者なのだからミノタウロスには敵わないだろうと思ったが、それにしてはミノタウロスの腰が引けているのがおかしい。

そして、混乱はしていたが……同時に少し冷静になると……ミノタウロスの方がまだ大きい筈なのにミノタウロスが酷く小さく見えていた。

 

「ブモァ!!?」

 

「!?」

 

アイズが見えないほどの速度でミノタウロスが蹴り上げられていた。

蹴った瞬間が見えなかったが、蹴ったと判断したのは片足が上に向いていたからだ。

蹴り上げられたミノタウロスはその勢いのままダンジョンの天井にたたきつけられ、そのままめり込んでしまっていた。

 

「……ふぅ」

 

それをなした後、急速に天井の白が男―――ベル・クラネルに収束されていく、いやこの場合は元の長さに戻っていくというのが正しいのだが。

そうして体の大きさも縮んでいき……小柄な少年へと変わっていった。

 

「はぁ、はぁ……なんとか、なっ……」

 

元の姿に戻った後、荒々しく呼吸を繰り返し今にも倒れそうな状況になりつつも他に危険が無いかベルは周囲を見渡していた。

アイズは天井にめり込んだミノタウロスと消えていった髪の毛の行方を追って改めてベルを見た。

―――そうしてちょうど視線が交差する。

 

「……え?」

 

「はぇ……?」

 

アイズはベルの姿が先ほどの大柄な男と違う事に驚いた―――だけでなく、今のベルの姿に幼い頃の自分の姿を幻視していた。

そして、ベルはアイズに視線を向けて固定してしまい―――アイズの姿に見惚れていた、端的に言って一目惚れである。

が、その硬直も長くは持たなかった。

 

「……あ」

 

「―――っ!?」

 

気を張ってたベルは他の人が居たという警戒をし無さそうで済むという安堵と見惚れた事による脱力で前のめりに崩れてしまい、そんなベルの様子で我に返ったアイズは上から聞こえてきた音を認識したこともあり全速力でベルの元に駆け寄り……横抱きの状態で抱えてその場から離れた。

その直後に物言わぬミノタウロスの亡骸が落下しており、そのままの状態であればベルは下敷きになっていたところだった。

 

「……大丈夫、ですか?」

 

「あ、だだだ大丈夫ですぅ」

 

(ちちち近い近い!?顔がこんな近くに、というか今抱えられて……!?)

 

アイズ・ヴァレンシュタインは美少女である、美少女である……大事な事なので何度も言うが美少女である。

そしてベル・クラネルは男の子なので美少女も美女も好きである、それも先ほど一目惚れしたばかりかつ潰される状況から助けてもらったので吊り橋効果もあわさり何とも言えないほどの衝撃が心臓を襲っているのだ。

とはいえ、じたばたと暴れたりする体力もなくただただ混乱しているだけだ。

 

(おじいちゃん、初めてのお姫様抱っこはされる方だったよおおお!!?)

 

ただ思考の方から察するに非常に余裕はありそうである。





命にかかわるリスクなしな模様
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