光り輝いていたカボチャは次第に大きくなり、人型になりました。光が収まると、そこには一人の少女が立っていました。
少女は驚いたように周りを見渡し、呟きました。
「急に視界が……高くなったわ…。」
☆
急に視界が明るくなったと思ったら身体が人間になっていた。そんな話大抵の人が鼻で笑うでしょうね。私もそうしたいわ…。でも当事者となった以上信じるしかないわね。
申し遅れたわ。私はさっきまでカボチャ……だったものよ。さっきまで育って食べられるだけの存在だっものが今となっては喋れるし動ける。私がカボチャだと分かっても食べる勇者はいないでしょうね。居たら引きます。逃げます。
……にしてもどうしてカボチャが人間になったのかしら。
「それは私のおかげじゃよ……ふぉっふぉっふぉ。」
?!何?この爺臭い台詞は!
「え、爺臭い?嘘~。」
その声と共に私の前に若い男が現れた。なんかパジャマみたいなの着ててダブダブしててダサい。
「これはパジャマじゃない!ローブだ!まぁまだ人間になって間もないから知らないのも無理はないだろう。その空っぽの頭に詰め込んでおくがよい。(ドヤッ)」
うわぁ、この人どや顔してムカつくことをいってきたぁ。私の頭が空っぽ、ですって?言い返そうとする前に男が続けた。
「まぁまずは自分の姿を見ろ。」
そういうと男は平べったいものを取り出して私に突きだした。
「これは鏡。これに写っているのは今のお前の姿だ。」
私は言われたとおりに写っている者を見た。黄色い瞳、オレンジから緑のグラデーションのロングヘアーはツインテールの巻き毛になっている。腕には蔓が巻き付いていて、オレンジのパンプキンドレス……。人間では美少女の部類に入ると思うわ。
「そうだろう。では本題に入ろう。今からお前にはこの屋敷に住んでもらう。」
突然の宣言に私ははぁ、と間抜けた返事しか出来なかった。
「ちゃんとライフラインは通してある。自由に使うが良い。」
この無駄に大きい屋敷に住めばいいってのは分かったわ。でもどうして?
「私の娯楽のためさ。」
へ?娯楽?そんな事のために私を人間にしたの?
「そんな事?私はこうみえて1000年の時を過ごしてきた。退屈なのだよ。だからお前に魂を込めて人間にした。暇を潰すためにな。」
ふーん。で、退屈になったら私をどうする気かしら?
「カボチャに戻して食べる。」
……そう。私、今ので確信したわ。
「なにを?私の偉大さか?」
──貴 方 に だ け は 食 べ ら れ た く な い っ て こ と よ 。
「そうか。私の暇潰しになってくれるか。(ニコニコ)」
……まぁそういう事よ。(都合良く解釈しやがって。)
「何か思ったか?」
いいえ、何も。
「そうか。ではくれぐれも私を退屈させないようにな。まずは自分の名前を決めるが良い。」
そう言うと男は消え去っていった。後には私とたくさんの仲間(カボチャ)。ほんと、最後までムカつく人だったわね。
さて、私の名前を決めることになったのだけれど、どうしようかしら。自分の名前を決めるのか何だか不思議な気分ね。もういっそそのままカボチャにしようかしら。
サワサワ……ザワザワ……
あら、人間になっても仲間と話せるみたいね。あいつにしてはやるじゃない。えーっと、何々?…ダサい?ですって?流石にそのまま過ぎたかしら。え?パンナコッタ?それ別の食品じゃないの。そっちこそダサいわ。
ザワザワ…
……パンプ?へぇ、シンプルで良いじゃない。それにしましょう。今日から私はパンプよ。
満足した私は早速屋敷へと足を踏み入れる。そして中を見た第一声は──
「……中々いいわね。」
本当はとても綺麗だったのだがあいつを素直に褒めたくなかった。それ故の辛口評価よ。でも結構広いわ。まずは間取りとかを確認しなくちゃね。
そう1人ごちると私─パンプは足取り軽く屋敷の探索に入った。
男はパンプの様子をスクリーンでずっと見ていた。このスクリーンは特定の人の様子を見ることができるのだ。本当は水晶の方が雰囲気が出るのだがスクリーンの方が大きいし映画みたいだから、という理由でスクリーンにしたのだ。もちろん部屋は暗くして、ポップコーンも用意している。ムキュムキュとポップコーンを食べながら男は1人呟いた。
「1人目は屋敷を気に入ってくれたようだ。ツンデレってやつかな?(違います)さて次は二人目を連れてくるか。」
そういい立ち上がる男。その顔は怪しく笑っていた……
登場人物1人目登場です。閲覧ありがとうございました。