…まあハーメルンは二次創作良いんだし、雰囲気と表現パクった1.5次創作(僕称)もいいよね?それに西尾維新大先生の文を完全に真似る文才は僕には無いし…
では、これからどうなるかは分かりませんが、宜しければご覧ください。
1〜4
000一
紅い。紅い。
…何処までも鮮烈に紅く、そして黒い。
果たして僕の暮らす町は、ここまで、いやこんなに明るく艶やかで異彩を放つほど紅で満ちていただろうか。
そして所々に深く色を染める黒。周りを飲み込み、躙り、侵食していく黒。穴という穴がそこかしこに跋扈し始め、溢れ出た黒が全てを侵し壊し無に還す。
そんな目を疑う光景を極めて冷静に、冷酷に見てきた僕だがそれには1つの理由がある。
交差点だった場所、その横断歩道の真ん中で彼女は立ちはだかっていた。容姿は小学生のようだが、その美貌は完全に浮世離れしていて、全体的にも子供の背丈とは不釣り合いなほど整っている。この世のモノとしては歪で狂ってる、彼女は口を歪めながらカラカラと嗤っており、この状況はそんな印象を僕に与えるのには十分過ぎた。
状況は突然変わり、僕を観察するかのように見回しながら嗤っていたのを止め、瞬間僕の周囲の空気が一気に張り詰めるのを肌で実感する。それはまるで僕の体を捕まえるかのようにピアノ線がそこら中に張り巡らされているかのようだった。
「君はやらなくてはならない。それはそれは絶対で、必然で、明確なことだから」
その口調はとても愉快であったが、音色は凛と張り詰めていて、どこか僕を責め立てているように感じてしまう。否、責めてはいないのだろう。しかし、童女ながら堂に入った威圧的にも感じるその立ち姿、僕の存在を否定するかのような冷徹な声音、そして何よりも彼女自身が纏う怪しく妖しいオーラ。これら全てが僕の神経を何かと紛らわせ誤まらせているみたいだった。
「…ぼ、僕に何をやらせる気だ」
懸命に僕は声を震わせる。当然今まで少し変わった一般市民程度の僕では、そのまごうと事なき圧倒的強者のオーラを前に滑舌は上手く回らず、更に足元も震え立っているのもやっとである。
その言葉に彼女は再び嗤い、群青で青より青いその髪を手でなぞった。その色が輝きこの場で目立っているのは、足元の紅とは真反対の保護色だからというサイエンス染みた理由だけではなく、きっと彼女自身の風格にもあるのだろう。全てを曲げ、全てを正す。そんな佇まいがそこにはあった。
嗤いながら、彼女は僕の元へと近づく。
異質で、この世のモノとは思えぬ空間。紅が滴り落ちる音と、黒が穴から溢れ出る音。それ以外の音が再び響いたのは僕のちょうど、後ほんの少し手を伸ばせば届きそうになるくらい近くまで歩んできた、その時だった。
「決まってるじゃないか。私も手伝う、だから始めよう。
…世界の破壊、そして再生をさ」
000ニ
スポーツをする男は良くモテる、と言うがそれは当たり前のことである。なぜなら、単刀直入に言わせてもらうとスポーツ自体に人間に魅力をもたらす力を備えているからだ。
スポーツをするに当たってまずどこにスポットライトが当たるかを考えればそれは自ずと分かるだろう。
個人競技だろうと、団体種目だろうと、そこには必ず人がいる。そうプレイヤーだ。
プレイヤーが居ない競技はスポーツ足りえない、まあ当たり前の事だができれば軽く緩く聞いて欲しい。
例えばある男がバスケをしようと思い、仲間を集めた。しかしそこには本来無ければならないバスケットボールが無かったとする。
だがその男はどうしてもバスケがしたかった、なら話は簡単である。適当にバスケットボールくらいのサイズで重さのボールを見繕って使えばいいのだ。
仮に無かったのがバスケのゴールだとしても、洗濯かごを高い場所に置けばゴールの代わりとなることができる。備品はどれも代用できるものが多いのだ。
つまり僕が言いたいのは、スポーツの主人公はいつだってプレイする人間なのだ。道具や物がたとえ有名ブランドの一級品であったとしても、使うのは人間である以上使われない道具に価値は無い。使ってこそ道具、そこに心理的駆け引きなどは存在しない。
そんな訳で、スポーツをすると必ずプレイヤーに注目が行くことに理解が至ったところで更に簡略的に本題を説明しよう。
確かに競技によって魅力は違うのかもしれない。サッカーは華やかで純粋にカッコいいイメージを女子に与えるし、ボクシングや柔道は粗野っぽくはあるがワイルドで逞しく、野球も泥臭くても情熱に熱く熱中しててとにかく熱い…野球に関する知識はあんま無いから少し適当っぽくなってしまった。でもまあ、ここから大きく外れることはないとは思う。
そう、気づくとは思うがどのスポーツも拡大解釈をすればカッコいいのだ。頑張っているところや競っている所、総じて現在に結果は実らなくともスポーツをやってる人間は大概カッコよく見える。オリンピック選手などを見ると、初心者ながらにもそれは誰しも分かることだろう。泥臭くとも努力が報われなくとも明日に望みを託して練習に励む姿勢はどのスポーツも同じであり、だからこそアスリートはきっと前向きなのだ。
しかし、異性にモテるには一つ、条件がある。
それは観客の存在だ。更に言えば見る人が居なければモテるも何もあったもんじゃない。観客の存在しないスポーツなど、まあほぼ無いが、しかし有るにはあるのだ。
「…あぁ、彼女が空から落ちてこねえかな…」
真剣を使った武道、つまりは剣術。
刃先が煌めいている、ちゃんと物も人さえも斬れてしまう、僕の修めている剣を扱う術である。
これは見世物ではなく、試合など以ての外、やったら最後相手が死ぬ可能性も大きいからだ。そこまでにして技は危うくして危ない、何処かの抜刀斎の使う殺人剣とまでは行かなくとも十二分に危険な代物だ。そんな物を観客有りで振り回す奴は図に乗った馬鹿以外居ない。見たことはないが。
…とまあ、ここまで僕は長々と心情を吐露した訳が、すなわち何が言いたいかと言えばつまり、彼女欲しいなぁ…の一言であった。
…つか武道って、スポーツじゃなくね?…剣道、やろうかな。
000三
朝。
目覚し時計が無機質なアラーム音を奏でると共に起床。何となく頭を触ってみれば髪の毛がツンツンとしており、鑑みるに今日の寝癖の調子も絶好調のようだった。面倒臭いが直してとかないと恥ずかしいし、忘れないようにしないと。
取り敢えず再び横になり目を閉じながら、今度はメイドイン僕の脳内妹目覚し時計を起動。
『お兄ちゃん…お兄ちゃんったら…!もう朝だよ…?…ぉ、起きなかったら…そ、その…いのり…悪戯しちゃうよ…?』
「よっしゃぁぁあああ元気出てきたぜぇぇええ!!」
布団の上に妄想妹が乗っかりマウントポジションを取られる所まで想像し、その光景に朝からこれでもかと叫ぶ学生の姿がそこにはあった。
と言うか僕だった。現実は虚しい。
「祈ちゃんマジで愛してるぜぇぇ!」
「兄ちゃん朝から五月蝿いっ!」
「ぇぇって危ねっ!!」
唐突に僕の部屋のドアがバタンと開き、瞬時に投げ込まれた何かが僕の顔面スレスレを通り過ぎ、ガコンッ!というかなり大きな音を壁に響かせる。恐る恐る後ろを振り返って確認すれば、正体不明だったそれは普段から妹が使う目覚し時計であるということは容易に理解が及んだ。
「何しやがんだお前!?思わず僕の顔面がギャグ漫画みたいに凹むとこだったぞ!」
「むしろ兄ちゃんはそのままぶつかって出血多量で死ね!氏ねじゃなくて死ね!」
「それ普通逆だろ!何堂々と殺害宣言してんだよ!こえーよ!」
この妹、生意気なことに妹の癖僕をリスペクトする気0である。妹は兄を尊ばなければならないと小学校で学ぶはず(僕主観)なのにこいつは今まで何を学んできたんだ。
「兄ちゃんは嘆かわしいぞ…妹ならもっと僕を敬い扱うべきだ」
「兄ちゃんを尊敬…?…何か鳥肌が1mくらいぞわぞわ立ってきた…」
「お前の肌荒れ酷すぎないか?ほれ、僕のハンドクリーム貸してやるよ」
「物事の例えに決まってるじゃん!!…こうなったら今日の朝ごはんに一年前から室温保存してるジャムを仕込むしか…」
「すみません!僕が悪かったからそれだけは勘弁して下さい!!」
そこには確立された家庭内ヒエラルキー上位を前に頭を擦り付ける長男の姿があった。これだけは数少ない威厳のために僕であるとは思いたくない。
000四
突然だが僕の家には小さくない道場がある。何でもこの道場は何百年も前から開かれており、有名な歴史に残る人物は輩出していないもののほそぼそと経営をしてきたらしい。だからと言うべきなのか、一度県の役員が来て県の歴史文化財にするよう要請もあったほどだ…親父がそれを全てを突っぱねたが。
そんな歴史のある道場で僕は毎朝剣の朝稽古をしている。
当然真剣での稽古なので、あまり大掛かりなことはできない朝は型に習って剣を振るうことしかできないのだが、それでも剣を扱う者として十分に集中をしなければならない。剣を振るい、自分でその姿勢と太刀筋を確認し、修正する。この全てのステップを踏んで繰り返すのにも集中力は結構いるものだ。
ひたすらに僕は道場で剣を繰り返し振るう。汗は飛び散り、または流れて道場の床に水溜りを作ってしまうが仕方ない。後で雑巾で拭いておくとしよう。
そうして僕は今日の朝のノルマを終えた。
経験上300回ほど確認しながら振ると、家を出る時間まで残り50分ほどになるのを知っているので、急いでシャワーで汗を流してリビングへと向かう。その前に道場で流した汗を雑巾で拭くのも忘れない。
「あ、兄ちゃん終わったんだ」
リビングにはテレビを見ながらゆっくりと朝飯を食べる妹の姿があった。既に制服に着替えており、僕の通っていた中学の目印でもある翠靂の2文字がブレザーの上に銀色で刺繍され、そこはかとない存在感を放っている。
「ああ。じゃあ僕も頂くとするか」
プレートを見ると、今日は食パンに加えて目玉焼き、ベーコン、トマトにレタスが乗っかっていた。簡素な物ではあるが、この妹が作るとなぜかしっかりと色合いが調和されていて凄く旨そうに見えるから不思議だ。
「そういや親父とお袋は今日何でいないの?」
妹は口をハムスターみたいにモグモグさせながら合間にそう動かす。今ハムスターみたいに、とは不覚にも思ってしまったが別に深い意味合いは無かったりする。訂正するとしたら「でかい」ハムスターのように、であることは間違いない。別に妹に可愛い表現を使ってしまったことが悔しい訳では決してない。本当に。マジで。
「昨日からまた出張らしいぞ。今度は両親共に一ヶ月だと。後お前その呼び方止めろ」
「えー別に良いじゃん、親父は親父だしお袋はお袋だよ」
「そんなんだから普段無口の親父が最近俺にまで愚痴ってくるんだよ…お袋はなぜか何も反応せず受け入れてるけどな」
「それはきっと私が幽寂閑雅な人柄だと理解してるからだね!至極当然のことだよ!」
「んな訳あるか!お前が幽寂閑雅だったら全国の数千万人の女性がそれ以上になっちまうだろうが!」
「いやいや私ほど静かで淑やかで趣があって風格のある女性ってのは早々いないよ?このカテゴリに関してなら全国でも五本の指に入る自負があるよ」
「マイナス五本の指の間違いじゃねえかそれ…。まあ安心しろ、見紛うことなくお前はその真反対の極に住んでるから。騒がしくて五月蝿くてけたたましい女性ランキングには多分五本の指どころか四本切り落としても生き残ってるから」
「それ暗に私が五月蝿いって言ってるよね!煩わしいし気持ち悪いし本当にウザイ死ね兄ちゃん死ねって思ってるよね!」
「前者はともかく後者はお前の罵倒じゃねえかよ!」
「違うよ!これは全世界90兆人の総意だから仕方のないことなんだよ!」
「僕の存在は世界クラスで否定されてるのか!?」
「でも大丈夫…私はずっと兄ちゃんのこと認めてあげるから」
「さっき死ね死ね言ってた奴が言っても信用性がねえよ!」
ーーー閑話休題。
あれやこれやと我が妹と何でもない朝のやり取りをしていると時間とは直ぐに過ぎ去るもので、気づいた時には家を出なくてはならない5分前になっていた。
僕と妹は急いで朝飯を掻き込み、カバンを持って外へと出ると僕は妹と適当に別れの挨拶をして逆方向へと歩いていく。妹は中学生だが僕は歴然とした高校生だ、通学路も高校の位置も全く異なるのは普遍的であると言えるだろう。と言うかあの騒々しい妹と登校するのは今後も勘弁願いたい。学校着く前にスタミナ切れ起こしそうになるから。
「よっ、七瀬」
履きなれたスニーカーで同じ高校の制服を着た集団に混じり歩いていると、後ろからポンッと僕は肩を叩かれた。
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