今回からMUGENテイストがきつくなりますがお気になさらず。
ROUND8 大学のジョジョ
とある大学の隅の方。
「だから何回も謝ってるでしょう!」
眼鏡をかけた線の細い青年が年上の、いかにも不良!と言う外見の男に叫んでいた。
「謝るんだったら誠意を示せよ。例えば…お前さんが後ろに庇ってる彼女、俺に譲るとかさ。」
「出来るわけないでしょ!そんなこと!」
「志貴くん…」
ツインテールの気の弱そうな彼女を後ろに庇いながら志貴と呼ばれた青年は男を睨み据える。
(やるしか…ないのか…)
「おい!」
「なんだァ?」
男が呼ばれたので振り返るとそこには長身で頑健な体つきをした帽子の青年が立っていた。
「あー、その、なんだ…そいつは俺のダチでな。だからその…そいつも彼女も放してもらわんと困る。」
ロングコートの裾を揺らしてそういう青年に男は
「ほう?じゃあダチの名前を言ってみな。この学内で俺様に嘘つくんじゃあねーぜ。」
と言って鼻くそをつける。
「一つ聞かせてくれ。何故こんな事をする?この行為になんの意味がある?」
そうきく青年に男は苛ついたように
「意味なんてねー!スカッとするからしてるだけだ!聖書にもあるぜ右の頬に鼻くそつけられたら左の頬にも…」
ギャゴン!
「図に乗るんじゃあねえ!このクソ豚野郎がッ!」
ドギャ!最初の鉄拳で指で鼻を貫通してしまった男を無慈悲に蹴り飛ばすと気を失った男を放っておき
「さあ、こいつが復讐に来る前にさっさとズラカルとするぜ。」
そういって鼻くそを拭き取り歩いて行く青年。声も出せずに成り行きを見守っていた志貴ははっと我に返ると
「すみません、助けて頂いて。僕は遠野志貴、こっちは幼なじみの弓塚さつき。あなたの名前を聞かせてくれませんか?」
志貴の質問に青年は振り返って言う。
「承太郎…空条承太郎だ。入学したばかりの19歳なんで分からん所も多いが、ま、仲良くやろうぜ。」
「なんだ、私達と同い年なんですね。」
「なんだそうなのか?だったら敬語はいらねえぜ。」
そういうと帽子を少しだけ直して承太郎は午後の講義を受けるために歩き出した。
・・・・・
黒金家は現在承太郎ただ一人。
親類はおらず、ならばと役所にかけあった結果、半ば強引に改姓に成功、かつての名前を手に入れ、
大学にもその名前で入学、新しくできた友人達からはジョジョと呼ばれるようになっていた。
黒金承太郎ではなく空条承太郎。それが今の彼の名だ。
・・・・・
「ただいま。」
玄関の戸を開けると志貴によく似た顔立ちで豊かな黒髪をたなびかせた少女が駆け寄ってきた。
「お帰り兄さん。零児さんが来てたよ。居間にいるから会ってきてね。」
「ありがとう秋葉。」
妹に礼を言うと自室に鞄を置き、居間へ向かう。
居間には赤い髪を無造作になでつけた男が待っていた。
名を大神零児と言う。三種の神器―現在においては草薙京、八神庵、神楽ちづるの三人―を守護する立場にある十種神宝のリーダー的存在だ。
「久しぶりですね、零児さん。」
「悪いが俺は遠野に用はないんだ。」
零児の応えに志貴は軽く苦笑すると眼鏡を取った。茶色い瞳が緑に変わり、表情もがらりと変わる。
「七夜、話がある。」
「聞こうか。」
遠野志貴、またの名を七夜志貴。十種神宝最弱にして最強の暗殺者である。
「KOFが開催されることは知ってるな?」
「ああ。まさか俺にあんたとチームを組めと?」
そうじゃないと頭を振って零児は続ける。
「俺達は戦えないちづるちゃんの護衛でいっぱいいっぱいなんだ。お前には独自にチームを組み、大会の中で草薙と八神を守って欲しい。」
「了解した。」
「それに、俺と同レベルといやあ今ン所療養中の忍しかいないからな。壬羽ちゃんもそっちにかかりきりだし、辛いもんだよ。」
独り者だからな。そういって皮肉げに嗤うと七夜は会話を打ち切るように眼鏡に手をかけた。
「その話、たしかに引き受けた。安心しろと神楽に伝えといてくれ。」
「OK。任された。」
元通り眼鏡をかけると志貴は少し頭を抱えて
「とはいえ、誰をメンバーにしよう…」
と思案した。
・・・・・
学食の一隅に重い空気を纏ったテーブルがある。
「ほう…悪いが俺はお前とは組めん。」
カレーうどんの汁をコートにはねさせないように気をつけながらいう承太郎の前には拝み倒す志貴の姿。
「どうしてだよ。」
「先客が居るからな。」
承太郎もまたKOFの招待状を受け取っており、すでに典明を通してハイデルンからの依頼を受けている。無論ポルナレフも一緒だ。KOFは三人一組。承太郎、典明、ポルナレフの三人でスターダストクルセイダースは決定しているのだ。
と、ふと思い出したように承太郎が
「そういえば、学校に来るときテリー・ボガードを見たな。」
どうせアンディ・ボガードやジョー東と組むんだろうが。と言う承太郎だが志貴はテリーの近くにいるもう一人の人物を思い出して顔を明るくした。
「そうだ、ロックが居た!」
「ロック?」
「ああ、テリーと一緒に旅をしてる金髪の美形だよ。あいつなら七夜ともうまくやれる!」
曰く、ちょうど一年前、高校に通っていた頃に偶然出会い、すっかり意気投合したのだそうだ。
主に七夜がであり、志貴の方はせいぜい仲の良い友人レベルなのだが。
「人の出会いは引力…か。分かった。テリーには俺が言っておこう。居場所の予想はつくからな。」
「助かるよ…」
ほっと一息つく志貴に承太郎はまあしかし、と水を飲みながら言う。
「三種の神器だけじゃあなく十種神宝まで俺の近くにいるとはな、俺の周りには一体どれだけの重力が渦巻いてるんだ?」
「人との縁も引力で重力って言うあれ?」
「ああ。やれやれだな。そのうち前世でとんでもない敵だったヤツまで出てきそうだ。」
承太郎の脳裏に浮かび上がる三人の男の顔。
端正な顔に世界を破滅させるような野望をのせた人類の恐怖そのものとも言うべき存在、ディオ・ブランドー、あるいはDIO。
どこにでも居そうな神経質そうな顔の後ろに狂気と殺人衝動を隠す男、吉良吉影。
敬虔な教義と危うい信念、そしておのが身を捨てても良いような覚悟に彩られた異端の神父、エンリコ・プッチ。
「全く、ゾッとしないな。」
軽く肩をすくめて苦笑すると承太郎は食べ終わったどんぶりを返しに席を立った。
・・・・・
翌日、いつも承太郎が受けている講義にて。
「あれ?ジョジョのヤツ、今日は休みか?」
一人の学生が言うと志貴が
「用事があるからしばらく休むって昨日言ってたろ?」
とあきれたように応える。あれ?そうだっけ?と言ってアホ毛を揺らすそいつに少しため息をつきながら
「全く、だからバカラギっていわれるんだよ。」
その台詞にカチンと来た学生は叫ぶ。
「阿良々木だ!」
「KOFだってさ。」
「聞けよ!」
・・・・・
所変わって羽田空港。
「あれ?黒金じゃねエか。どうしたんだ?」
「今の俺は空条承太郎だ。そっちで呼ぶんじゃあない。」
釘を刺された京は軽く肩をすくめると
「まあ、それよりもお前の目的だ。俺を待っててくれたわけじゃ、ないんだろう?」
あたりまえだ。ズバッと切って捨てられ、ちょっと傷ついたような顔の京に承太郎は
「むしろ待っているのはポルナレフと典明だ。これからあいつらとブラジルまで行かなきゃならん。次にお前と会うときは…
敵同士って事になるな。」
「KOFか。」
「ハイデルンからの依頼でな。怒やK'達だけじゃなく、俺達まで駆り出されることになった。」
軽く肩をすくめながら登場ロビーに向かう承太郎はふと振り返って言う。
「お前には護衛が居るし、うらやましい限りだな。」
「どういう意味だよ?」
聞き返す京の言葉には耳も貸さずに承太郎は搭乗ゲートをくぐった。
・・・・・
「ぎゃああああ!」
「なんでもっと早くに言ってくれないのよ!七夜君のバカ!」
「げふっ!?」
ブチギレたさつきに一方的にやられ、十種神宝最強の暗殺者であるはずの七夜志貴はズダボロになっていた。傍で見ていたロックは軽く青ざめて
「あ、あ、あのさ、弓塚。そ、それくらいで勘弁してやれよ…」
と言ってさつきをなだめている。ついでに言うと青ざめただけではなくて背筋も明らかにガクガクいっている。
「わるかったよ。でもこれはそれこそメディアに参加者名簿が発表されるまでは秋葉にも言っちゃいけなかったんだよ。」
七夜が必死で弁解するも今のところメンバーは七夜とロックの二人。正直言って一人足りない。
「正直に言いなさい。今何考えてるの?」
「いや…さつきが出てくれないかな…って思ったけど、駄目だよな。」
おそるおそるそういった七夜にさつきはニヒャリと笑い
「その台詞を待ってたのよ。」
と言って飼い猫のアルクを抱き上げた。
to be continued...→
やり過ぎた…しかしココまで来たら突っ切るしかないじゃあないか…
一応弁解させていただくと志貴ではなく先にあったのはロックです。ロックだからな!