だってラスボスにふさわしい威厳がないんだもの・・・
あーあ。
「さて、ここからが本番だ…典明、ポルナレフ、腹ァ括れよ…」
承太郎が呟くようにいうと七夜もエリザベートチームの面々を振り向いて
「いよいよ大詰めだ。ここから先はチーム関係無し。呉越同舟で行こうか。」
といってニヒルに笑う。堕龍が何かに気付いた。
「来るぞ!」
シバッ!シババババッ!
彼等の目の前に現れたのは六人の男女。しかしそれが普通でないことは一目瞭然。止まった時の中で動くことが出来る時点でおかしい。
つまり彼等は時を止めたものの仲間ということになる。
「ヘッヘッへ…会いたかったぜ無界!」
シェンが先頭に立つ大柄な筋肉質の男にギラギラした視線を向けると、その視線を遮るようにして一人の男が現れた。
「時間がねえ。さっさと配置につけ。」
その言葉に無界を除く全員がどこかへ走り出そうとする。しかし…
「おっと、ここから先は通行止め、あそこまでの一方通行だぜ。」
刃引きしていない短刀を構えた七夜がそのうちの一人の進路を遮る。同じようにロックや典明、ポルナレフがそれぞれ二人ずつの動きを邪魔するようにたつ。
「まあそう慌てるな、時間は止まってるんだろ?」
「やれやれ、あそこで止まってるウィップに何て報告しようか…」
「それ以上こっちへ足を出すんじゃあねえ!俺がこっち、テメエらは向こうだ!」
それぞれが動き出したが、無界はどっしりと構えたままでいる。男はそれにいぶかしげな顔をして
「で、おまえはなにやってんの?」
と聞いた。
「サイキサマ、ここはワタクシメにおマカせを」
どうやら武人らしい無界がそう進言した瞬間、斎祁と呼ばれた男は振り返って無界の胸に貫手を突き刺した!
「時間ねーっつってんだろうが。」
ズキュン、ズキュン、ズキュン…斎祁の腕に宿った黒い炎がまるで脈打つように蠢き、その度に無界の体は細く、細く、ミイラに近付いていく。
「野郎…俺の一番嫌いなモンを…」
承太郎のこめかみに青筋が浮かび始め、拳がぶるぶると震えた。
「さて、と。あと一押し、テメエらの最高の感情をオロチに捧げてやろう。」
抜けるように白い肌に緑色の配線めいた光を宿した斎祁はそう言うと不気味に笑った。
「行くぞ人間!WRYYYY!」
斎祁の拳が承太郎にぶつかりそうになったその瞬間、彼は豪快に地面とキスをしていた。
「うるさい男だ…寝言が言いたいなら寝かしつけてやる…」
低く呟く承太郎の拳が起き上がった斎祁をしたたかに吹っ飛ばした。
「ム。今気付いたが…なんなんだ?あの扉は?」
承太郎がちらりと横目に見たのは枠と扉だけのもの。しかし扉の向こうには果てしない白が広がるばかりである。
上には彫刻のように球体がはまっている、しかしその球体が足りない。
そしてその状態が扉に異変をもたらした。
「扉が…閉じていく?チッ、時球を持ってかれたか。牡丹!俺は戻るぞ!」
ロックと戦う女に声をかけ、斎祁が最後に承太郎に顔を向けた瞬間、その体をネイルアートが施された爪が貫いた。
「そうそう思い通りには行かないヨ。あんた達はゆっくりと滅んでいくんだ。歴史どおりにネ。」
「アッシュ、貴様!」
牡丹と呼ばれた女の叫びも意に介さずにアッシュは手に持った斎祁の力と魂を見下ろすと笑って言う。
「ありがとね、お兄さん。おかげで事がうまく運んだヨ。なべて世は事もなし、アハハ…」
展開について行けず、唖然とする承太郎たちの目の前でアッシュはその裡に斎祁を取り込み、封印しようとした。だが…
「はうっ!」
アッシュの体を黒い炎がむしばんでいく。そして黒い炎のほとばしりがロックと戦うもう一人の男とポルナレフや典明と戦う四人に飛び火して焼き尽くした。
「ククク…」
「アッシュ…?」
エリザベートの半ば呆然とした誰何の声を承太郎は遮る。
「違う、このかんじ…斎祁だ。」
「これはいい…この体で過去へ戻れば…俺は何度でもやり直せる!」
アッシュの体で歪んだ笑みを浮かべ、斎祁は再び突撃をかける。
「だがこのまま行ったんじゃあ俺の気が済まんッ!それについてこられちゃあかなわんからな!」
そして黒い炎に包まれた拳を突き出した。
「まずここで貴様らを再起不能にし、ゆっくりと向こうに帰るとするかッ!」
「甘いぜっ!」
承太郎がその拳を受け止める。纏われる炎は鉄をも溶かすもののハズであるがそれすらも意に介さない。
「おらぁっ!」
ドボッ!ボディブローがアッシュの肉体を穿ち、続く蹴りで吹っ飛ばす。
「テメエはしらねえようだから教えてやるッ!」
その頭上から斬りかかるポルナレフ。辛くも躱した斎祁に向けてその手に持ったレイピアを投げつけた。
「人間の強さは力などではない」
典明のエメラルドスプラッシュがそこに撃ち込まれ、回転するレイピアによって角度を微調整されたそれが斎祁に撃ち込まれる。
「ぐあぁっ!」
吹っ飛んだ斎祁に向けて承太郎が波紋を込めた拳を放つ。
「恐怖を乗り越える精神力にあるッ!」
バチィッ!拳からの波紋で大きく吹き飛ばされる斎祁だが、その方向を見た七夜が警句を放つ。
「アイツをそれ以上飛ばすなっ!ヤツの吹っ飛ぶ先には…」
そう言いながら全力で疾走する。同じく暗殺者である堕龍も七夜のいうことに気付いた。
「あの扉があるッ!」
承太郎を除く全員がその言葉に顔色を変えるが、彼だけは動こうとしない。青い顔をして左肩に手を置く。
そして叫んだ。
「典明ッ!ワイヤーを貸せッ!俺じゃなきゃあ駄目だっ!」
「分かった!」
典明が一本ワイヤーを投げ渡すとすかさず承太郎が投げた。
「スタープラチナ…」
そしてその瞬間、斎祁が吹っ飛んで戻ってきた。
「何ッ!?」
「今、何が起きた!?」
エリザベートと堕龍が驚きの声を上げ、ロックが
「俺は見ていないッ!ヤツが何かの攻撃を喰らうところも!ヤツのうめき声一つ聞いていないッ!」
と疑問を呈する。
「一体どうなってやがる!?まるで時間が止められたように不可解だぜ!」
シェンがそうさけんだときだ。
さつきがスターダストクルセイダースの三人の様子に気付いた。
「承太郎君…?どうしたの?」
青い顔をして扉の向こうを見つめる承太郎は呟く。
「ヤツだ…間違いない…あの扉が時間を超えるものだとすれば…間違いない…」
それに続くように典明やポルナレフもいう。
「一つ前の宇宙における史上最大の化け物…人類の恐怖の象徴…」
「邪悪の化身…名はDIO!」
ちなみにいろいろ混ざったこの世界はあなた方読者が見た、高速回転していろんな模様が混ざったように見える独楽のような物です。
次回はさらにもう一回解説をば。