Libera   作:一松

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第1話

―――これは六人の少女のお話し。

 

 

「神父様」

 

 

「ん?どうした、シスター優歌(ゆうか)

 

 

「神父様にお話しがあるというお客様が・・・・・」

 

 

「そうか、わざわざすまないな。それでは話をして来る、少しの間頼むぞ」

 

 

「はい、神父様」

 

 

優歌と呼ばれた少女は神父を見送り、息をつく。優歌はステンドグラスを見上げ、思いにふける。

 

 

「・・・」

 

 

今から八年前、優歌はこの教会でシスターをやっていた。いや、正確に言うならばシスターを始めたと言った方がいいだろう。

 

 

「お姉ちゃん・・・・・」

 

 

彼女には双子の姉が居たが、八年前に行方不明となった。身寄りのなかった優歌はこの教会に引き取られ、それ以来ここで暮らしている。

 

 

「・・・」

 

 

「シスター様!!」

 

 

「!・・・・あ、天使様じゃありませんか」

 

 

「もう!璃亜(りあ)のことは、璃亜でいいの!」

 

 

「すみません。ですが、貴方様は天使様なので・・・・・」

 

 

「璃亜、見た目は優歌より年下なの」

 

 

二枚の純白の羽を持った少女・璃亜がそう言い、優歌は頭を抱えそうになっていた。璃亜は天使なのだが、よく地上に降りては優歌に会いに来る。前に助けられたことがある為、璃亜は優歌に懐いている。

 

 

「・・・・・分かった、二人きりの時は敬語とかはずす」

 

 

「やった!優歌、遊ぼう!」

 

 

「ごめんね、まだ仕事中なの。夕方には終わるから、また来てくれる?」

 

 

「そっか・・・・・ごめんね、お仕事の邪魔して。じゃあ、夕方にまた来るね!」

 

 

璃亜はそう言って、教会を出て行く。入れ違いに、神父が教会に入って来る。神父は優歌に今日の仕事が終わりだと言うことを告げ、再び教会から出て行った。

 

 

「意外と早く終わっちゃった・・・・・・璃亜、居るかな」

 

 

優歌は急いで着替えて、教会近くの泉に向かう。よく璃亜は泉に居ることが多いので、優歌はそこに来てみた。

 

 

「・・・・・あ、居た。璃亜」

 

 

「あ、優歌!お仕事、終わったの?」

 

 

「うん。ここに居るかなって思ったら、居たから良かった」

 

 

「遊んでくれるの?」

 

 

「うん」

 

 

「やったー!」

 

 

璃亜は喜び、いざ一緒に遊ぼうとしたその時だった。どこからか女の子の声が聞こえた。

 

 

「璃亜!」

 

 

「あ、女神様・・・・・」

 

 

「女神様?何故ここに・・・・・」

 

 

「まったくもう、また勝手に地上に来て・・・・・ダメでしょ?」

 

 

見た目こそは優歌より年下だが、彼女は女神なので見た目で判断してはいけない。

 

 

「でもでも!璃亜、優歌と遊びたい・・・・・」

 

 

「・・・・・ハア、一回だけ遊んだら帰って来るんだよ?」

 

 

「!はい!」

 

 

「あの、女神様」

 

 

「璃亜がいつもごめんね?結構気に入ってるの、貴方の事。天界じゃ、友達作らなくって・・・・・」

 

 

「そうなんですか?」

 

 

優歌が聞くと、女神・遊奈(ゆうな)は頷く。それを聞いた優歌は璃亜とずっと友達で居ようと密かに思うのだった。

 

 

「璃亜のこと、よろしくね」

 

 

「はい、分かりました」

 

 

遊奈はそのまま天界へと帰り、優歌と璃亜は日が暮れるまでずっと遊んでいた。そして、夕暮れ時の事だった。

 

 

「いい加減、付きまとうのはやめてくれないかな?」

 

 

「・・・」

 

 

「君が何者か分からないけど、私は嫌いなんだよね。嫌な匂いがしてる」

 

 

「・・・・・・それ、僕のせいじゃない」

 

 

「魔女である私に見破れない人なんて居ない、なのに君の正体が分からない」

 

 

「隠してるから、当たり前」

 

 

夕暮れ時、茶色の背中まである少女がその場にそぐわぬ全身黒いフードに身を包んだ何者かと会話をしていた。

 

 

「君の性別、どっち?」

 

 

「・・・・・教えない」

 

 

「声からして、たぶん女だとは思うけど・・・・・」

 

 

「性別は教えない。絶対に。けど、僕が何者かって言うのだけは・・・・・教えてあげないこともない」

 

 

「随分と上から目線だね・・・・・気に食わない」

 

 

「僕は死神、人の魂を狩るのが僕の役目」

 

 

そう言って自らを死神と名乗った人は鎌を掲げ、目の前の魔女・十歌(とおか)にそう言った。

 

 

「死神?」

 

 

「これ以上は、教えない。君に、探られたくない」

 

 

「魔女の私に、出来ないことはない。絶対に正体を突き止めてあげる、覚悟して」

 

 

「・・・・・とんでもない奴に目をつけられた、面倒」

 

 

死神はそう言い、身をひるがえす。一瞬だけ後ろを振り向き、十歌を見る。それ以降は振り向かず、どこかへと消えて行った。

 

 

「死神・・・・・ねぇ。少しは、期待させてよね。この私、十歌に興味をもたれたことを光栄に思って。ね?」

 

 

そう言う十歌の両目は、金色になっていた。十歌はくつくつと笑い、その場を去ろうとした。

 

 

「あらあら、これはこれは・・・・・魔女・十歌様ではありませんの?」

 

 

「・・・・無粋な悪魔の話し相手はしないよ」

 

 

「釣れませんわねぇ、本当に」

 

 

「黙れ、私は貴様などに用はない」

 

 

「やめて下さいまし、本気モードになられては困りますわ。さすがの(わたくし)でも、太刀打ちできませんわ」

 

 

十歌の前に現れた少女の姿をした悪魔はそう言い、黒いドレスをひるがえす。十歌は警戒しながら、悪魔を見ていた。

 

 

「それにしても、面白い方を見つけたようですわね?」

 

 

「あれは私の獲物だ、貴様に手を出させはしない」

 

 

「あら、独り占めは許しませんわよ?」

 

 

「・・・・・・手出しするなら、容赦はしない」

 

 

そう言い、十歌は去っていく。悪魔は肩をすくめ、やがてその場を去っていく。さぁ、役者は揃った。物語の歯車を進めよう――――――。




キャラ紹介


花宮 優歌(はなみや ゆうか)

18歳。八年前から、小さな教会でシスターをやっている。双子の姉が居たが、現在も行方不明状態である。
エクソシストでもあり、天使や女神の姿が見えるほどの力を持っている。
璃亜とは仲がよく、一緒に遊んであげることが多い。



璃亜(りあ)

六枚の羽を持つ天使。地上に降りる時は羽が二枚になっている。
うっかり地上に落ちた時に優歌に助けられて、それ以来優歌のところに来るようになった。
女神の遊奈に黙って地上に行く為、よく怒られる。



遊奈(ゆうな)

女神。基本天界に居るが、遊奈が地上によく行く為に人間の姿で地上に行くこともしばしば。
優歌のことは気に入っており、璃亜とずっと仲良くして欲しいと思っておる。



十歌(とおか)

魔女。神出鬼没で、いつどこで現れるかは不明。かなりの魔力を持っており、彼女に出来ないことは何もない程である。
死神の事を気にかけ、正体を突き止めようとしている。
本気モードになると、両目が金色になる。



志乃(しの)

悪魔。何かと魔女の十歌にちょっかいを出しては、追い払われる。
死神の事を密かに知り、後をつけているがいつも逃げられる。
最近はどう魔女にいたずらしてやろうかと考えている。



死神

自らを死神と名乗る人物。性別不詳で、一人称も「僕」や「俺」と言うことがある為に判別がつかない。
普段は全身黒いフードに骸骨のお面をかぶっている為、顔が見えない。
よく教会の近くをうろついている。



神父

本名・(まもる)。見た目年齢21歳ぐらいで、優歌が住んでいる教会の神父。
何かと優歌のことを気にかけている。



花宮 芽歌(はなみや めか)

優歌の双子の姉。八年前に行方不明となり、現在も行方は分かっていない。
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