トントン
「プロデューサー?聡太くん連れてきましたよ!」
応接室のプレートがかかった部屋の扉をノックして李衣菜が呼びかける。
ちなみに尊敬語さんはログアウトされたようだ。
「…はぁ…入ってくれ」
あ、多分今、李衣菜に呆れた。
「失礼します!」
「失礼します」
軽く礼をして入室する。
李衣菜は…な?なんか勢いよく入っていったけど気にしない。
部屋に入ると、壮年の男性がいた。
背は低くも高くもなく、ガッチリとしている。
おそらくプロデューサーと呼ばれていた人だろう。
「ようこそ、赤坂聡太くん。本日はわざわざおいでくださり、ありがとうございます。多田李衣菜の担当プロデューサーです。」ペコッ
礼をされる。すげぇ、ぴったり45度ぐらいだ。
できる大人って感じの雰囲気だな。…っと、こちらも挨拶を返さねば。
「李衣菜のクラスメートの赤坂聡太です。
ギタリストをしています。本日はお招きいただきありがとうございます。」ペコッ
「…なんか、プロデューサーと聡太くんが真面目だ…!シュール!」
「「おまえは少し黙ってろ。」」
「…はい。」
大人しくなった。忙しい奴だ。
「というかさ、やるべき時はちゃんとやるんじゃないのか?ロックじゃないぞ?」
「んー、そうなんだけどさ、なんか「違う」感じがしてさ?」
「違う…?」
意味がわからない。
「なんていうか、プロデューサーと聡太くんは、いつもどおりでいるのが一番ロックな感じがするんですよね!」
「わかるような、わからんような…?」
「つまり、堅苦しくていつもの俺らの良さが出てないってか?」
「そんな感じです!」
プロデューサーさんが上手く要約してくれた。すげぇ、李衣菜語が通じてる。
「だそうで。…聡太くん、もし無理がなければ、いつもどおりに話して頂いて構いませんよ?」
プロデューサーさん、ええ人やな。
李衣菜のよくわかんない希望にもちゃんと答えようとしてる。
「…わかりました。もしよければ、プロデューサーさんも楽な口調でお願いしますよ?」
流石に李衣菜にする位砕けることはできないが、無理のないくらいの口調に戻す。
「了解です。…いやぁ、実はこの丁寧な口調、だいぶ疲れるんだよな。」ハハハ
「わかります。ちょっと肩凝りますよね」
「うん!二人とも表情が柔らかくなりましたね!」
(もしかして狙ってたのか…?)
「やっぱりそっちのほうがいいですね!」ニコニコ
(いや、考え過ぎかな)
李衣菜の笑う顔は朗らかで、そんな含みは感じられない。
「全く…仕方ないやつだ」
プロデューサーさんはそう言いながらも、慈しむような目を向けている。
うん、やっぱりいい人だ。
さて、そろそろ本題に入ろう。
「さて、今日、俺を呼んだ目的を聞かせてもらえますか?」
「おっと、そうだったな。…李衣菜、お前も座って聞け。お前にも関係のある話だ。」
「ん、わかった。じゃあ、聡太くんの隣にっと」ポフン
「…まぁ、いいけどな」
「すいませんね…さて、今日来てもらったのは他でもない。私たち「シンデレラプロジェクト」から君に依頼があるんだ。」
シンデレラプロジェクト、聞いたことがある。
たしか李衣菜の所属するプロジェクトだよな。
「光栄です。それで、内容は?」
プロデューサーさんは横にあったカバンを探ると、1枚の紙を取り出した。
「それは…?」
「契約書だ。…赤坂聡太くん。君を、我がシンデレラプロジェクトの専属ギタリストとして、雇いたい。」
「…え?」
「…えええ!!??」
予想外のことに唖然とする。
隣ではが俺よりもいい反応をしていた。
空は少し暗くなり、登りはじめた月が何かの始まりを告げるように光った。
しばらくとまりそうです。
許してください。
ではでは!