ROCK!〜李衣菜と俺とロック?〜   作:オッ亭

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お待たせしました!その8です。
しばらく忙しくなるのですが、できるだけ書きますね!


その手を取る。

「さて、そろそろ本題に戻ろうか?」

 

表情を引き締めたプロデューサーさんが切りだす。

 

「はい。…申し訳ないです、思わず取り乱してしまって。」

 

「いやいや、構わないよ。シンデレラプロジェクトが人気になっていることがよく分かったからね」ハッハッハ

 

「きょ、恐縮です…」アハハ

 

プロデューサーさんは大分器が広い人のようだ。…当然か。そんな人で無ければこんな若造には見向きもしてくれないだろうしな。

 

「さてと、いくつか確認してもいいですか?」

 

そろそろ話をすすめるべきだろう。

確認するべきことはしっかりせねば。

 

「ああ、何でも聞いてくれ」

 

「聞きたいことは2つです。具体的な仕事内容と、なぜ俺なのか、です。」

 

「ふむ、もっともな質問だね。では仕事内容から説明させてもらおうか。君に頼みたい仕事は主に2つ。ライブやレコーディングでのエレキギター演奏と」

 

ふむ、それは予想出来ていた。

自分にやりきれるかどうかは不安だが、なんとかなるだろう。

もう一つは…?

 

 

「――李衣菜に、ギターを指導してほしい」

 

「「えっ?」」

 

声が被った。先程から黙って俺らの話を聞いていた李衣菜にとっても、意外な話だったようだ。

 

「プ、プロデューサー!?聞いてませんよ!?」ガタッ

 

李衣菜が机に手をついて立ち上がる。

大分興奮しているようだ。

 

「李衣菜。」

 

プロデューサーさんが静かにたしなめる。

 

「うう…!聞いてませんよぉ…!」

 

力が抜けたように座り込む。

 

「そりゃあ、言ってないからな」ハッハッハ

 

「笑い事じゃないですよぉ…!」

 

「悪い悪い。こういうのはサプライズがいいと思ってな。」

 

李衣菜の非難の目線を軽く受け流して笑うプロデューサーさん。うん。李衣菜よりロッカーっぽいな。

 

「プロデューサーさんって意外と茶目っ気あるんですね…」

 

「ん?ああ、仕事一辺倒のつまらない人間に年頃の女の子をまとめられると思うか?」

 

なんかすごい説得感だ。

と、また話が脱線してしまった。

 

「それで、やってくれるかい?」

 

「…一つ目の仕事は、ぜひやらせて頂きます。李衣菜の指導は…正直荷が勝ちすぎていると思います。」

 

「ほう?なぜだい?」

 

「プロのギタリストとして活動はしていますが、俺はまだ若輩です。経験も足りません。そんな中で、人に教えるというのは多分無理だと思います。」

 

「それは―「ロックじゃないよ!」…え?」

 

「李衣菜?」

 

プロデューサーさんの言葉を遮って李衣菜が口を開いた。

 

「ロックじゃないよ。自分にはできない、できないからやらない。そんなの、全然ロックじゃないよ?」

 

ロックは分からないが、言いたいことはなんとなくわかる。

 

「…確かにそうだ。でもこれは「仕事」なんだよ。遊びや練習とは違うんだ。」

 

「関係ない!」

 

「関係ないって…お前なぁ」

 

李衣菜は良くも悪くも子供のようだ。なんにでも立ち向かっていく力強さがあるが、責任の重さを分かっていない。

 

「蒼汰くんの言いたいことはわかるよ。お仕事だから成功させないといけない。上手くやりたい。それは私だっていつも思ってるんだよ。」

 

「…!だったら」

 

「でも!誰も「失敗するな」とは言わないでしょ?」

 

「それは成功するのが当たり前だからだろ?」

 

「違うよ!失敗にも価値があるから誰も「失敗するな」とは言わないんだよ。」

 

「だからそれは練習の話で…!」

 

ああもう。今日の李衣菜は嫌に饒舌だ。

そんなにも俺に対して思うところがあるのだろうか?

 

「蒼汰くん、私ね、いっぱい失敗してきたんだ。」

 

こちらに語りかけてくる李衣菜。

先程とは違って諭すような優しい声だ。

 

「練習だけじゃないよ。LIVEでも、撮影でも何回も失敗しちゃったんだ。」

 

「…!」

 

初めて聞く、李衣菜の独白。

いつもとは違う雰囲気に思わず息を呑む。

 

「やっぱり失敗するのは悔しいよ。怒られちゃうこともあったし、ファンの人たちもガッカリさせちゃったこともあったしね。」

 

「だったらなおさら」

 

「でもね、その失敗を次に繋げるんだよ。

そうすれば、失敗も無駄じゃないっておもえるんだ。」

 

「!」

 

さっきから李衣菜に対する反論は山ほど思いついている。でも、言い返せない。

口が動かない。

 

「失敗を繰り返して、乗り越えて、また失敗して。その度に私は成長できたんだ。それって、すごくロックじゃない?」

 

「…」

 

ぐうの音も出ない。

どうやら子供だったのは俺の方だったようだ。

…言い訳していちゃ始まらない。まずは、やってみなければ。そうすれば、俺も成長できるかもしれない。李衣菜の言う「ロック」に近づけるかもしれない。

 

そう、思った。

 

「だからさ!一緒に失敗しようよ!蒼汰くん!大丈夫!本当に大変なときはみんなが助けてくれるよ!」

 

いい笑顔で手を差し出してくる。

臭いセリフだったが、悪い気分ではなかった。

 

「…ああ、ならお前が満足するまで失敗してやるよ!」

 

李衣菜の手を取る。

その手はとても小さくて、それでも強い鼓動を秘めていたんだ。

 




最終回くさい?
知らんなぁ…?
ご指導お待ちしてます!
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