ダンジョンに救世主っぽい何かがいるのは間違っているだろうか   作:泥人形

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テスト期間中に俺は何をやっているんだ…会話させんのむずかしーねー・・・

まあそんなことより自分はエルフが好きです、はい。



ギルドっぽい何か

 ―ギルド―

 それは迷宮都市オラリオの中心に位置し、数あるファミリアの中でも絶対中立を保つ神ウラノスを主神とししたファミリア…のようなものである。

 ようなものである、というのは全ての構成員には恩恵が刻まれていないからだ。

 これは、ウラノスによる『中立』であるという意思表示なのだろう。

 

 このギルドという組織は冒険者たちのサポート、管理や魔石の換金、そしてオラリオとダンジョンの管理を主にしている。

 つまり冒険者のレベルが上がればここに報告することで自分の名声が上がるし、犯罪者が出ればここを通すことで指名手配もできるし直接捕まえてくれば牢屋にぶち込むこともできる。

 そして、現在一人の男が数人の冒険者によってギルドに強制連行されてきていた。

 

「この人私の財布を盗んだ上に何故か襲ってきたんです!」

 

「違うって言ってるじゃん!?落としたから渡そうと追っかけただけだって!」

 

「そんな怪しい風貌してそんな言い訳が通るかよ!」

 

「理不尽ここに極まれりだぁ!?」

 

 まあ、分かっていただろうが何を隠そう俺のことである。

 いや本当に何もしてないんだって、財布落としてったから拾って渡そうと思ったら歩くのが滅茶苦茶早くて思わず一瞬だけ全力ダッシュしちゃっただけなんだって。

 いや基本アドリブに弱い俺だから変に力んでしまってすごい勢いで近づいてしまったのも悪いし?その女性が結構な美人さんで思わずにやけささってしまった俺が悪いのかもしれないけど少しくらい話を聞いてくれても良いんじゃないかなぁ…

 

「いや本当に盗った訳じゃないってばぁ!」

 

「嘘つくんじゃねぇよ!」

 

「本当だって!大体金になんか困ってねーし流石に公の場で発情するような人間してねーよ!これでもレベル6だぞ!?」

 

「はぁあ!?お前がレベル6だぁ?そんなら二つ名言ってみやがれ!」

 

「オッフ…あーあれだよ、救世主だよ!」

 

 羞恥心に顔を赤らめながらそう言うと一人の男が俺の顔とレベルが上がった際に撮られた顔写真を確認しにいった。

 ふぅ…これで助かったな、よかったよかった。

 そう安堵し息を吐くと

 

「何嘘ついてんだてめぇ!確かに少しは似てるが決定的に目が違うじゃねーか!お前の目は死にすぎなんだよ!」

 

 俺の顔が載った紙を突き出し男がそういう。

 割と傷つくからそういうこと言うんじゃないよ、というかそれこそこんな特徴的な目をしてるんだから間違う訳――。

 

 そうして写真を見た瞬間、絶句した。

 なぜならそこには目をキラキラと輝かせたイケメンがいたからである。

 あ、あっれぇ…?おっかしいぞー?確かに二つ名は救世主って書いてるのになんで目が死んでないんだぁ…?

 

「ったく、下らねぇ嘘つきやがって…」

 

 男がため息交じりにそういうが俺としてはそんな言葉耳に入ってこない。

 いやほんと何でだってばよ…つーかこの状況マジでどうしよう、どうすれば良いんだ…

 今ここで強引に抜け出すことも可能だがその際絶対に怪我させてしまうだろうしそれだとリアルな罪ができてしまう…

 やばいぞこれ地味に詰んでいるんじゃ――

 

「あれ?カンラ君?何してるの?」

 

 瞬間、天使が降臨なさった。

 

 

 

 

 

 

 

「全く、君はいっつも私を驚かせてくれるなぁ」

 

「いや好きで驚かしてる訳じゃないですからね?いやホントに」

 

 ええー?と軽く頬を緩ませそう言うのは我がアドバイザーことエイナさん。

 ヒューマンとエルフのハーフである彼女の容姿は正に最上レベル、つまりは超美人さん。

 さらには見た目クールそうなだけに人懐っこく親しみやすいので冒険者の中では大人気だ。

 そんな彼女がアドバイザーになった時は思わずテンションが上がったものだ。

 まぁ今でも会うと軽くテンションは上がるのだが。ちなみに緊張しない数少ない人物である、もうそれなりの付き合いだからね。

 

「にしても本当に助かりましたよ、あのままじゃ更に大事になってたと思うんで…」

 

「あはは、大丈夫だよ。それより、これで何件目だっけ?」

 

「今月入って3件目ですね…」

 

「…君も大変だね」

 

 そう、3件目である。俺が冤罪かけられてギルドに連れ込まれるということを今月入って既に2件も経験しているのだ。

 1件目はストーカー疑惑(俺とは似ても似つかぬ人が犯人だった、なぜ間違えたし)

 2件目は傷害罪(レベル2同士の喧嘩を止めに間に入ったらいつの間にか俺が悪役になってた、マジあの二人許すまじ)

 全く、世の中腐りきってやがるぜ…確かに俺は目は死んでる上にかなり目つきが悪いしコミュ障ゆえに知らない人だと態度悪いけどさぁ…あれ?これ完全に俺に非がないとは言えなくね?…いやいやいや、そんなことはない。俺は悪くない世界が悪いんだ!

 というか転生の際にこの目どうにかできなかったの?あ、無理ですかそうですか…

 もうなんか前の人生でも一緒だったこの目に愛着湧いてきたな、なんてとち狂ったことを考えていたら声がかかる。

 

「今日はこれからダンジョン行くの?」

 

「んー…いや、今日はもうそんな気分じゃないんでパス…あーでもこの鬱憤を晴らしに行くのも良いかな…」

 

「もし行くならしっかりと準備していくんだよ?」

 

「あーはいはい、大丈夫大丈夫分かってますよっと」

 

「絶対分かってないよね君?」

 

「いやホント分かってますって!大丈夫大丈夫、これでももうレベル6なんだから!そこら辺はしっかり分かってますって!」

 

 聞きあきた言葉に思わず適当に返すと端正な顔を歪ませ怒気をあらわにする彼女。

 それをなだめるように慌てて言葉を並べ立てると彼女は難しい顔をして言葉を吐き出した。

 

「信用できないなぁ…」

 

「何でですかねぇ…」

 

「だって君私のダンジョンの講座もサボってたし言うこと聞かずに下へ下へ行っては死にかけてたじゃない」

 

「それもう何年も前のことじゃないですか…あの時はいろいろあったんですよ」

 

 仕方ないじゃない、自分の存在がかかってたんだからそんな講座聞いてる暇なんかなかったのだよ。それに悪いとは思うが俺はエイナさんの冒険者は冒険をしてはいけない、ってやつに賛同できないしな。冒険者はやっぱ冒険するものですよ。

 むしろ冒険しない冒険者とかいるなら一言聞きたいものだ。

 何のために冒険者になったの?と。

「全然前のことじゃないわよ…レベルアップの間隔が短すぎるし毎度毎度ボロボロじゃない」

 

「い、いやそれは俺の名誉のためにも仕方なくですね…」

 

 もう課題を果たしたのに好きで傷つきにいくやつとかいねーよ!レベル4辺りからは全部必要に迫られてのことだったんだからぁ!

 

 そう、俺が課題を果たしたのはレベル4前後の間のことである。

 ならなぜ必死になってレベリングに熱を上げたか?それはレベルアップする際に神々につけられる二つ名が関係してくる。

 今でこそ「アイタタタタタ」で済むような二つ名だが前までは違い、それもう泣けてくるほど酷いものであった。

 まず、初めてレベルが上がりレベル2になった時の二つ名が生無き者(ゾンビ)

 レベル3になった時のが人ならざる者(グール)

 レベル4になった時のが黄泉返りし者(リビングデッド)

 レベル5になった時ので救済怪物(ゾンビヒーロー)

 

 おいてめぇら絶対に目で二つ名決めただろぉ! …いや本当にちょっと酷すぎない?悪ノリにも程があるだろ、傷つくよ?いくら俺の鋼メンタルでも粉々に砕けちゃうよ?勢い余って神殺ししちゃうかもだよ?ってくらい酷いものであった。そりゃ必死になってレベル上げてまともな二つ名に変えてもらおうとしますわ。

 その際にことごとくレベル更新の新記録を打ち立てたがそんなもの興味はない、あるのは少しでもまともな二つ名のみ。本当、死にもの狂いでダンジョンに潜ったものだ。

レベル6になって救世主の二つ名を頂戴した時はその場で男泣きをして周りを反応に困らせたのは記憶に新しい。

 

「ま、まあでももうそんな無茶はすることはないんで大丈夫ですよ、本当に」

 

「ホントかなぁ?」

 

「ホントホント」

 

「何で片言なのか小一時間問い詰めたいんだけど…あ!」

 

「ん?」

 

「ね、この後…て言っても夜になっちゃうんだけど、時間ある?」

 

「え、ええ。基本暇人なんで時間はいくらでも」

 

「そっか!それじゃあ夜の七時くらいにちょっと付き合ってくれない?」

 

「ほえ?別に良いですけど何しにいくんですか?」

 

 湧いた疑問を考えることすらせずに口に出すと彼女はにっこりと笑った。

 

「君のレベルアップのお祝いと、君が今まで無視してきたちょっとした説教!」

 

 あなたお説教大好きですね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―迷宮都市オラリオ 現在時刻午後7時25分―

 

「来ねぇ…」

 

 すっかり暗闇に包まれあちこちの店や家から光が灯った頃、オラリオ北部の半円形の広場にて一人で佇んでいた。

 エイナさんにああ言われた後俺は都市内にて適当に時間をつぶし日本人らしくきっちり十分ほど前に指定されたここに来たのだが、待ち合わせの時間から既に30分ほどが過ぎようとしている。

 自分で時間指定しておいて遅れてくるとか人としてどうなの…とも思うがきっと自由奔放な冒険者と違ってお仕事が大変なのだろう、30分どころか1時間でも耐えてみようじゃないか…!

 そんなことを決意しつつも口からは相反するように「文句言ってやらぁ…」という言葉が出てくる。この口最近反抗期なのよね、特に見知らぬ人の前と一人の時。

 そんな風にアホなことを考えては一人でにやけてしまったりしながら時間をつぶしていたのだが不意にお腹が虚しい音を立て現実に戻ってくる。

 時計を見たら既に短針は8と9の間にあった。

 …これ実はドッキリ的なやつで俺が帰ろうとすると数人の人が出てきてドッキリでしたー! とか言われて馬鹿笑いされるあれじゃないのかな…

 妙にリアルなそんな光景を想像したせいで恐ろしい虚無感に襲われた。

 そうだよな、エイナさんほどの美人さんが俺を誘うわけがなかったんだよな…

 死んでる目を更に死なせてもう帰ろうかな、と思うがしかし希望を捨てきれず9時まで待つことにした。

 

 チクタクチクタクと進む針、それをぼけらっと眺める俺。こうしてると時間って進むのが何て遅いんだ、と思う。ダンジョンに入ってる間とか楽しい間は光速で過ぎ去っていくのにな。

 しっかし…こりゃあれだな、たぶん来ないわ。明日からギルドに行くのが憂鬱になるな…まあ良い帰ろう…

 そう思ってベンチからゆっくりと腰を上げる。

 

「ご、ごめぇええん、仕事長引いちゃったぁああ!」

 

 キ、キタァアアアアアア!なんかあれだな、凄い嬉しいのと凄い文句言いたいのが合わさって頭の中がよくわかんなくなるが取り合えず嬉しいわ。

 しかしなるべく出さずに努めて冷静な声をだす。

 

「え、エイナさん…お仕事お疲れ様です」

 

「ご、ごめんね!本当にごめん!」

 

 文句が出そうなのを押し込めねぎらいの言葉をかけると彼女は凄い勢いで謝ってくる。いやドッキリとか嫌がらせでもなかったし遅れたとしても来てくれたから別に構いませんよ、いや本当に。

 そう伝えるとありがとう、と言いつつもやはりしつこいように謝ってくる。

 まあ素直に謝れるのは良いことだと思うよ、うんうん。

 最早壊れたラジオのようにごめんを言い続けるエイナさん。軽く涙目な辺りとても可愛らしいなーと彼女の気が済むまで傍観し続けた。

 

 

 

 

 

 

「ほ、本当にごめんね?こんなに遅れるとは思わなくて…」

 

「いや本当に大丈夫なんで、謝るやめてください」

 

 ぶっちゃけ反応に困るんで。

 オブラート?何それ美味しいの?言わんばかりにどストレートに本音を言うとエイナさんは少しの間考えた後に納得したように何度か頷きこちらを見る。

 

「うん…そうだね。それじゃあご飯に行こうか!今夜はお姉さんが奢っちゃうぞぉ!」

 

「お、マジですかありがとうございます!」

 

 お前女性に奢らせるとかやるな、男失格だなおい。とか言われるかもしらんがそんなん知らん。今回はお祝いとのことなのだ、それにあやからないほうが逆に失礼なのではなかろうか。

 それに随分と待たされた上に説教までされる予定なのだ、問題はなかろう。

 そうして彼女に先導されたのは都市の南東、端でもなく真ん中でもない言うならば中途半端な位置にある小さめの酒場。

 酒場といっても俺が来たことのないような上品な雰囲気がする。豊穣の女主人も上品だとは思うがあそこは酒場を強く意識してるし粗暴な冒険者ばっかなのでいい感じに中和されてるがここは凄い上品さが漂ってる。なにこれ馴染める気がしねぇ…

 しかしそんな俺の心情を知るはずもなく彼女はほら早くーなんて言いながら入っていくので急いでついていく。

 

 見た目通りこじんまりとしたその店の内装はとてもお洒落な感じだった(語彙不足)

 従業員も二、三人で店長と思われる人は立派なお髭を生やしたおじいさんである。

 慣れない雰囲気にキョロキョロしてるとほら行くよーと腕を引っ張られ、一脚のテーブルを挟み対面に座る。

 

「ちょっと遠いけど、いい雰囲気のお店でしょ?お気に入りなんだ」

 

「そ、そうなんですか…ぶっちゃけ落ち着きません」

 

 せわしなく周りを見ながらそう言うとエイナさんはあはは、と笑う。

 

「でもこういうお店もその内行くようになるだろうから慣れといた方がいいよ?」

 

「それはわかってるんですけど…まあ良いや、お腹減ったんで何か頼みましょ」

 

 そう言い店員を呼び俺は取り合えずおすすめをお願いし、彼女はワインと聞きなれない料理を頼んでいた。やはり数年程度ではこの世界の細やかなとこまでは覚えられないな。

 そう思いながらも彼女と雑談すること十数分。

 さっきまではほとんど何も置かれてなかった卓は鮮やかな料理で彩られた。

 早速いただきまーす!とも思うがまずは赤ワインをグラスに入れ、カチンと軽くぶつけ乾杯し、長い夜が始まった。

 

 

 

 

 

 

「だからぁ~君はいっつもいっつも人を心配させるんだから~少しは周りのことを考えてよね~」

 

 数十分後、完全に酔っぱらってしまったエイナさんの相手に苦労したとかなんとか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―公開写真の秘密―

 

 ロキファミリア 黄昏の館にて

 手に持つランクアップリスト。その内自分の眷属の写真を見て一言。

 

「流石に目が死んだ写真を公開されるのは少し可哀そうやな…よっしゃ目だけかっちょよく加工したろ!」

 

 

 

 

 


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