比企谷八幡の日常
高校の頃は土曜日と日曜日とは休むためのものだと心底思っていたので外に出ることはほとんど無かった。ほかの人に連れ出されることは多々あったが。
それは今も変わらないのかもしれない。だが、もう一つの意味があると思う。俺は休日を返上し、バイトを入れている。今までの俺だったら絶対にありえない。
「お兄ちゃんがバイト?!熱でもあるの?安静にしてなきゃだめだよ!」
小町がこんなことを言っていて全く信じてもらえなかった。信用させるのに1時間ぐらいかかってしまったが。最後まで信じきってなかったような気がするが…。
俺がバイトをするのは2つぐらい理由がある。
1つ目は雪乃へのプレゼントを自分が働いたお金で買うためだ。彼女のためにプレゼント買うからお金頂戴!って言えばいくら家の親でもくれる。でもそれでは意味が無い。俺が汗水垂らして稼いだお金を自分なりに悩んだプレゼントを渡した方が自分としてもいい気持ちになれる。プレゼントのセンスは追求しないでもらいたい。
2つ目は喫茶店で働くことによってコーヒーの入れ方を学ぶことだ。正直MAXコーヒーでも俺は全く構わないが、俺にだってたまには砂糖を入れずに飲みたい時だってある。その時に飲むコーヒーが不味かったら嫌だから理由がある。
あともう1つあったな。雪乃の喜ぶ、幸せそうな顔が見たいのだ。バイトをするという理由が全てここにつながる。奉仕部に行ったらあいつら必ず紅茶を入れてくれた。俺個人として周りに認識されているという想いがちゃんと伝わってきて本当に嬉しかった。その恩返しをしたいと思ってるから喫茶店にバイトする事にしたと思う。
今から始めようかなと思っていることの最後にはいつも雪乃が一緒やっている想像が容易につく。それは恋人という関係を超えて、家族という概念で…。
高校の時は雪乃から告白されて返事をしたが、次は俺からしたい。上手く言葉が纏まらなくてもいい、カッコ悪くてもいい。でも、雪乃への想いをちゃんと本人に伝えたい。プロポーズをいつか自分でしたい。そのためには俺はもっと雪乃に見合う男にならなくてはならない。今では到底かなっていない。それは俺自身ちゃんと分かっている。だか、そのままでは意味が無い。おそらく大学在学中の婚約はないと思う。だから大学在学中は自分を高められるだけ高め、雪乃の事を今以上にたくさん知り、これからも雪ノ下雪乃のことを愛していたい。ずっと隣にいたいと心の底から思う。
俺は雪乃のことを考えつつ、喫茶店で黙々とコーヒーを入れるのであった。
番外編はこれからちょいちょい書くことになると思いますが、本編より短くしようと思っているのでご理解頂けると嬉しいです。