よって結構早め? に投稿出来ました。
……この暇な時間、いつまで持つかな?
キオとコウタがゴッドイーターになった日から、早いものでもう1週間の時が流れた。
この間、2人は毎日のように訓練を続けてきた。
ランニング、筋トレなどの肉体的なものだけでなく、その合間には、今まで確認された主なアラガミとその特徴、攻撃パターンや短所。更に自分達の使う神機の種類や特徴などの勉強もした。
コウタはよく勉強中に居眠りをしては、後にそのことを聞いたツバキさんに怒鳴られていたが、概ね順調に訓練は進み、遂に今日からは、神機を用いた本格的な戦闘訓練に入ることとなったのだ。
初の戦闘訓練だ。流石に、いつもは怖いもの知らずと言った感じのコウタも、やや落ち着かない様子でツバキさんを待っている。
「なぁキオ」
「何?」
「戦闘訓練って何するのかな?」
「さぁ?」
「………………」
キオも緊張しているのだろう。コウタへの受け答えが、ついいつもより素っ気ない物になってしまう。
とは言え、さすがにこれからすぐ危険な訓練が始まるとは思っていない。
この一週間、ツバキの訓練はスパルタでこそあったが、休憩の時間はちゃんと用意されていた。
曰く、「体を壊しては元も子もないからな」とのことだったが、その言葉を告げた時のツバキさんの表情が、いつになく優しげだったのは、決して勘違いなどではないはずだ。
と、そんなことを考えていた時。
『聞こえるか? お前達』
マイクを通したツバキの声が、訓練場に響き渡った。
見上げてみると、以前適正試験を行った時、支部長が立っていた場所に、今は彼女が立っていた。
「あれ? ツバキさんなんでそこに?」
今までは直接訓練場に足を運び、俺達に指示を飛ばしていたツバキが、今日はあんなところにいるということにコウタが疑問の言葉を投げかける。
しかしその理由は、言われてみると至極当然の理由だった。
『お前達のような新米が神機を振り回す場所など、危なっかしくて近づけるか』
言われ、思わずキオは苦笑する。
確かに神機を振った時、もしすっぽ抜けでもしたら危険極まりないが、つまりはそれが起きる可能性があると思われているということになる。
早く信用されるくらいになってやる。とキオが心に決めていると、ツバキはそんな彼に早速指示を飛ばす。
『さて。早速だが、まずは射撃訓練を行う。キオ、お前は神機を銃形態に変形しろ』
「は、はい」
コウタの神機は、旧型の遠距離用神機、《モウスィブロウ》。
なので可変機能などなく、初めから銃形態だ。
一方新型のキオは、普段は剣形態になっているので、射撃訓練を行うには変形させる必要がある。
彼は軽く目を瞑り、神機に向け、念じるように命令を出す。
命令を受諾した神機が微かに震えたかと思えば、剣が柄の部分に半分ほど収納され、それとは逆に大砲のような砲身が飛び出し、変形が完了する。
この間、約2秒と言ったところか。キオが神機を変形させるのはこれが初めてだったために少々遅い。
しかし、慣れれば誰でも1秒程度にはなるとツバキから聞いていたキオは、特に気にせず彼女の方に向き直った。
『それでは、これからお前達が打つ“的”を出す。こいつはオラクル細胞で作られた擬似アラガミだが、まぁ、お前達を喰ったりすることはないし、今回のやつは動かないよう調整してある。取り敢えず、これで自分の神機の射撃感覚を掴め』
2人の正面、50mほど離れたところから、突然黒い塊が2つ飛び出す。
大きな尾を持ち、屈強そうな二本足をしたその姿は、《オウガテイル》というアラガミによく似ている。
ただ、オウガテイルは全身が白いのに対し、こちらはまるで黒いスライムを無理矢理オウガテイルの形にしたような、そんな姿をしていた。
最初はその異様な姿に躊躇した2人だったが、ツバキさんの言った通りその場から動かないことを確認すると、コウタは神機を持ってないほうの手をあげ、
「じゃ、コウタ撃ちまーす」
と宣言するなり、モウスィブロウを構えて照準を合わせ、いきなり引き金を引いた。
鈍い発射音とともに放たれた弾丸は、赤色の軌跡を描きながら擬似アラガミに向けて疾駆する。
しかし、直撃するかに思えたその弾丸は、僅かに右上に逸れ、奥の壁に僅かな焦げ跡を残すに終わった。
「あー……おしかったね、コウタ」
てっきり当たらなくて悔しがっているかと思い、そう声をかけたのだが、コウタは何やら顎に手をつけ、ブツブツと呟いているのみで、キオの声は届いていない様子だった。
「コウタ?」
「よしっ、もう一発! 行け!!」
気合の一声とともに、コウタは再び引き金を引く。
するとどうだろう。先ほどは僅かに逸れた弾丸が、今度は狙い違わず擬似アラガミの中心を射抜く。
「まだまだ!」
続けざまに、彼は3度引き金を引く。
そのどれもが最初に当たった弾丸とほぼ同じ軌跡を描き、吸い込まれるように擬似アラガミの傷口に命中していく。
そして計4発の弾丸を受けた擬似アラガミは、そのまま黒い塵となり、消滅した。
「よーっし、決まったぜ!」
「すごい……」
5発撃ち、最初の一発以外は全て命中。しかも、ほとんど着弾地点がズレていなかった。
とても初めて撃ったとは思えない正確さだ。
『ふむ……なら、次はキオ、お前が撃て』
「はい!」
俺も負けてはいられない、と気合を入れ、キオは神機を構える。
銃口を擬似アラガミに向けて揃え、狙いを定めて、一気に引き金を引き絞る。
通常の銃では考えられないほどに大きな反動を腕に感じると同時に、火の属性を持った赤い弾丸が銃口より放たれる。そして真っ直ぐに、
バチィン! という音とともに、ツバキの目の前で、ガラスにブチ当たった弾丸が弾け飛ぶ。
『………………』
「あーあ……やっちゃったな、キオ」
「わ、わざとじゃないよ!? 誓ってわざとじゃないっ!!」
わざとじゃない、と言っても、コウタの呆れ顔は増すばかりだ。
それもそうだろう。何せ、擬似アラガミからツバキのいる位置までは、5メートル近い距離があったのだから。
いくら初めてとは言え、このズレはないだろうとキオ自身も思った。
「だ、だったらもう一回……!」
コウタだって一発目は外したのだ。きっと、次こそは……!
そんな、祈りにも近い思いを込め、キオは再び引き金を引く。
そして放たれた弾丸は、不幸にも
「………………」
恐る恐る、歯車の壊れた機械人形のようにキオは顔を上げる。
そこには、絶対零度の微笑を浮かべる、ツバキの姿があった。
『一応聞いておく……今のは、狙ったのか?』
「いいえっ!! 断じて違いますっ!!」
ツバキを神機で狙い撃つなどという恐れ多いこと、キオにはとても出来るはずがない。
なので彼は全力でツバキの言葉を否定し、それでも足りないかと首を千切れんばかりに左右に大きく降る。しかし彼女は、一言『そうか』と言うと、表情を変えぬまま、言った。
『つまりお前は、予定していた射撃訓練では到底実戦に出られぬほど射撃は下手くそですと、そういうわけだな?』
え? と、何か嫌な予感がキオの頭をよぎったと同時に、ツバキは冷徹に言い放った。
『お前の射撃訓練の量を、取り敢えず倍に増やす。……今日は休む暇はないと思え』
「え~っ!?」
悲痛な叫びを上げながら、キオは、ツバキさんを怒らせるとやっぱり怖い、と再確認するのだった。
「はぁ~……」
深い溜息を一つ吐き、キオはベッドに身を投げる。
反動で少し跳ね上がるほど柔らかな感触が心地よいが、それすらも彼の憂鬱な気持ちを和ませてはくれなかった。
というのも、
「元気出せよキオ。射撃なんて、そのうち上手くなるさ!」
コウタの楽観的な言葉に、キオは更に深々と溜息をつく。
そう、あれから何時間と訓練をしたのだが、キオの射撃技術は一向に改善されないのだ。
一応、マシにはなっている。
最初は5メートルズレていた弾丸も、取り敢えず5メートル弱の範囲には必ず入るようになったのだ。
もっとも、彼がこのことをコウタに言ったところ、「それ、全然変わってないじゃん!」と笑われたのだが。
「はぁ……もうちょっとツバキさんからアドバイスが貰えればいいんだけど」
ツバキは、今でこそ教練担当者を行っているが、かつては凄腕の遠距離神機使いだったという。
なので、もっと彼女から直接アドバイスを貰えればマシになるかもしれないのだが、やはりそう暇な人ではないため、あまり長く訓練場にいられないのだ。
では訓練はどうしているのかと言うと、普段は2人に何かしらの訓練メニューを渡し、それに従って自主訓練をしているような形を取っている。
しかし、やはりそれではあまりアドバイスを貰えないので、体力云々の訓練はともかく、こういった技術的な訓練は少し困るのだ。
ならばとコウタにアドバイスして貰ったりもしたのだが……
「だからさ、こう神機を構えて、擬似アラガミがいるだろ? そっちに銃口を向けてだな、後はそのままドーンと撃てばさ、ちゃんと当たるんだよ!」
この通り、抽象的過ぎてあまり参考にならないというのが本音だった。
「いや、その……もっとこう、コツみたいなのないの?」
「そう言われてもなぁ……」
なんともバツの悪そうに頭を掻き、コウタはそっぽを向いてしまう。
なんでも彼が言うには、「なんとなく、こんなもんかな? って撃ってみたら、普通に当たった」だそうで、具体的にどうすればいいかはよく分からないらしい。
「まぁ、そんなことは置いといてさ、気晴らしにバガラリーでも見ない? 俺、これまでの話全部持ってるからさ! オススメはやっぱり234話かな? あの話はさ……」
コウタが嬉々とした表情で勧めてくるバガラリーというのは、一言で言えば単なるドラマだ。
最近ちまたで凄まじい人気を誇っているのだが……キオにはあまり興味がなかった。
しかし、コウタはこのドラマの熱狂的なファンで、1度語り出すとゆうに3時間は話してしまうということは、キオはこの一週間で嫌というほど分かっていた。
そんなコウタのお誘いをやんわりと断ったキオは、そのまま彼の部屋を後にすると、エントランスへと足を運んだ。
特に用事があったわけではないが、何もない自室に一人でいる気にもならなかったので、自然と来てしまったのだ。
「よぉ兄ちゃん、あんまり見ない顔だけど、新米かい? 良かったら買ってかない? 安くしとくよ」
そんなキオを目ざとく見つけたのは、エントランスでゴッドイーター相手に商売をするよろず屋だ。
ちなみに、まだ実戦に出ていないキオには給料が入らないので、当然物を買う金などない。
「ごめん、俺まだ訓練生だから、お金ないんだ」
正直に言うが、よろず屋は「まぁまぁ、見るだけ見てってよ!」と商売人らしく食い下がってくる。
特にすることもなかったキオは仕方なくその場にしゃがみ込むと、布の上に並べられた品々を一つずつ手にとっては確認していく。
「……何これ? 鉄?」
「いんや、マグネシウムさ。神機の強化に使えるらしいぜ?」
「こっちの錠剤と薬品は?」
「回復錠とОアンプルだな。回復錠は一錠飲めば、たちまち体内のオラクル細胞が活性化し、傷が癒えるという優れ物。Оアンプルも、口から摂取することで遠距離型神機が放つオラクル細胞が腕輪を介して補充されるっつー一品よ。どっちも便利だぜ?」
「え~……」
他にも、やれアラガミから取れた体液だの、対アラガミ用のスタングレネードだの、更には、遠距離型神機がオラクルエネルギーを弾丸に変化させるのに使われる、《バレット》まで置いてあった。
なんだか胡散臭い商品が多い上、どこから手に入れたんだと言いたくなる物まであり、本当に効果がある物なのか非常に疑わしい。
「そんな顔しなくても、この人の店不良品は滅多に置いてないから、心配しなくていいよ」
そんな考えを見透かしたような言葉に驚き、キオは反射的に顔を上げる。するとそこには、一人の少女が立っていた。
銀色の髪にゴーグルをかけ、服はおろか顔にまでオイルがついた彼女の姿は、キオは確かに見覚えがある。
「そうだ。君、あの時の……」
「ん。覚えててくれたんだ」
そう、キオがゴッドイーターになった日、研究室への道を教えてくれたあの少女だ。
自己紹介はしていないので名前は知らないが、彼女もキオのことを覚えていたようだ。
「そう言えば、自己紹介まだだったね。私、楠リッカ。整備班で、主に神機のメンテナンスを担当してるんだ」
彼女も同じことを考えたのか、丁寧に自己紹介をしてくれた。
ならば自分もと、キオは口を開く。
「俺は神崎キオ。一応、ゴッドイーターだよ。まぁ、まだ見習いみたいな感じだけどね」
ははは、と笑うキオに、彼女――リッカもクスッと微笑むと、言った。
「知ってるよ。君、有名人だもん」
何か有名になるようなことしただろうか? と、キオは頭を捻るも、中々思いつかない。
すると、そんなキオに対しリッカは一瞬ニヤリとした表情を浮かべ、言った。
「この支部初の新型神機の適合者にして、恐れ多くもツバキさんを神機で狙い撃った初めての人でしょ? そりゃあ有名にもなるよ」
「ぐはっ!?」
リッカの一言は神機の放った弾丸よりも深くキオの心を抉り、彼は地面に突っ伏した。
まさか、今日あったことがこうも早くこの極東支部――通称《アナグラ》に広まるとは思ってもいなかったのだ。
しばらく部屋に篭っていたい衝動に打ちひしがれていると、流石に見兼ねたリッカが優しく彼の肩を叩き、助け舟を出してくれた。
「まぁ、最初はそんなこともあるよ。いつまでも気にしないで、次はちゃんと当たるように練習すればいいじゃない。……あっ、そうだ」
何かを思いついたかのように、リッカは手を打つと、キオにこう提案した。
「ちょうど今、訓練場で君と同じタイプの銃身パーツを持った遠距離神機使いの人がいるからさ、彼に聞けば、少しはいいアドバイス貰えるかもよ?」
「俺と同じ……?」
キオの神機は《新型神機》等と銘打ってはあるが、実際に神機に取り付けてある刀身パーツと銃身パーツは、旧型神機の物と別段変わりはない。
もちろんキオの神機に取り付けられた、ショートブレード型刀身パーツ《ナイフ》と、ブラスト型銃身パーツ《20型ガット》も、神機使いの間ではごくありふれた物だ。
つまり、キオと同じブラスト型の銃身パーツを持つ遠距離神機使いがいるならば、話を聞いて損はないはずだ。
「……よし、なら早速行ってみるよ。いろいろとありがとう、リッカさん」
恐らくリッカは、ツバキさんあたりから訓練の状況を聞き、わざわざ励ましに来てくれたのだろう。
そう思ったキオはリッカにお礼を言うが、彼女は「そうじゃなくて」と言うと、笑顔でこう言った。
「リッカでいいよ。私も君のこと、キオって呼ぶからさ」
そう言って、ウインク一つ。
顔がオイルで汚れていることなど、どうでもいいと言えるほど可愛らしい仕草に、キオは思わず視線をそらす。
そんなキオの様子に、またしてもリッカはクスッと微笑むと、「またね、キオ」とだけ告げ、その場を後にしたのだった。
「うん、またね、リッカ」
去っていくリッカの背中に向けてそう言うと、キオも訓練場へ向けて歩き出した。
訓練場に着いたキオは、そこで壮絶な光景を目にした。
一人の若者が、4体もの擬似アラガミを相手に戦っているのだ。
キオとコウタの2人が的として使った擬似アラガミと同じ姿。しかし、素早く動き回りながら彼に襲いかかるそれは、もはやアラガミそのもの。
そんな擬似アラガミの内1体が、ちょうど彼に向けてその全身でもって体当たりを仕掛ける。
「ふっ!」
それを横に転がりながら躱した彼は、飛びかかった勢いを殺すためにその場で停止している擬似アラガミに向け、神機の引き金を引く。
放たれた弾丸は、キオやコウタが訓練で使っていた弾丸と違い、重力に従って弧を描きながら擬似アラガミへとぶつかった、その時。
とてつもない爆音とともに、赤い爆炎が立ち上り、一撃で擬似アラガミは沈黙する。
あれは、ブラスト型の遠距離神機が得意とする《モルター》と言う名のバレットから放たれる、『破砕』属性を持った弾丸だ。弾丸が何かに触れた瞬間爆発し、その高い威力で持ってアラガミを粉砕する。
しかし、爆発元である弾が重力に逆らえないために射程が短い上、オラクル細胞の消費量が多く長期戦に向かないという欠点がある。
だがその威力は、そんな短所を補って余りある効果があった。
そして若者は擬似アラガミを倒せた事を確認するや否や、すぐさま前転して場所を移動した。その直後、2体の擬似アラガミが横から彼の元いた場所に飛びかかってくる。
見えていたわけではないだろう。しかし、彼は初めから擬似アラガミがそう動く事を分かっていたかのように、躊躇いなく神機を構えながら振り向き、間を置かずにすぐさま2度引き金を引く。
放たれた2発の弾丸は、どちらも狙い違わず擬似アラガミの頭を吹き飛ばし、残りは一体のみとなる。
しかしそこで、最後の一体は意地を見せた。最初の1体を若者が倒した時のように、神機で射撃をした際に生じる僅かな隙をつき、彼に飛びかかったのだ。
「くっ」
不意をつかれた若者は、あわやというタイミングで前方に身を投げ出し、ギリギリで回避に成功する。
そして起き上がった彼は、擬似アラガミが再び攻撃を仕掛ける前に、素早く倒す。
「すごい……」
最後は少し危なげだったが、それまでの動きは完璧だった。
キオが感嘆の声を上げると、それに気づいたらしい若者が、派手な赤髪を横に払いながら近づいて来た。
「君は……ああ、君が例の新人クンかい? 噂は聞いているよ。……って、どうしたんだい?」
「……いえ、なんでもないです」
やっぱり噂広まってるのか……と、本当にしばらく部屋に篭っていようか真面目に考え始めていたとは言えず、キオはそう誤魔化すと、若者は「そう、ならいいけど」と軽く流した。
「ところで、僕に何か用かい?」
「あ、そうだ。実は……」
キオは彼に、自分は射撃が苦手であること、今日一日訓練して、一向に改善されないことを告げ、その上でアドバイスが欲しい、と頼み込んだ。
話を聞いた彼は、ふむ、と一考すると、キオに向けて口を開いた。
「まぁ、アドバイスくらいは構わないけど……射撃技術なんて物は、一朝一夕でそうそう上達する物じゃあない。そんなに焦らなくても、じっくり訓練すれば、誰でも上達すると思うよ?」
確かに彼の言うとおりだろう。いくら一日中訓練したとは言え、まだ初日。いくら酷い射撃精度であっても、まだまだ焦るには早いかもしれない。
だが、それでも。
「俺は……早く強くなりたいんです。早く強くなって、アラガミと……ちゃんと、向き合わなきゃいけないんだ!」
擬似アラガミのようなマガイモノでなく、れっきとしたアラガミと。
そう告げると、若者は突然笑い出す。
バカにされたのかとキオは憤慨するが、どうやらそうではないようだ。
「その心意気、気に入ったよ。僕はエリック。エリック・デア・フォーゲルヴァイデ。その心意気に免じて、君の訓練に付き合ってあげるよ。ま、君も僕を見習って、早く人類のため華麗に戦いたまえ」
そう言って、エリックはキオに手を差し出す。
そして、キオは彼の手を握り返すと、言った。
「ありがとう。俺はキオ、神崎キオだ。よろしく」
こうしてその日は、時間の許す限り、2人は訓練場で射撃訓練に勤しんだのだった。
戦闘は2話先までないと言ったな? あれは嘘だ。エリックつえー
そして次回はようやく実戦! 最後のキオのセリフは特に関わらないけどね!