GOD EATER~砕かれし記憶~   作:ダオラ

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今回すごく短いです。ええ、恐らく今後合わせても最も短い話となるでしょう。
正直飛ばそうか本気で考えましたけど、そうするとサクヤさんの出番が遥か先になってしまうので書きました。
……カノン達の出番はいつになるんだろう? というか、第三部隊の方々に関しては出番がある話のネタすらない始末。←マテ
……なんとか頑張って話のネタを捻り出そう。


第四話 破戒の繭

「よっ、新入り」

 

 オウガテイル討伐任務から数日がたったある日。

 リンドウは、キオの部屋を訪れていた。

 

「あっ、リンドウさん。おはようございます」

 

 キオが丁寧に挨拶するが、リンドウはやけに辺りを警戒するようにキョロキョロ見回すと、囁くような声で言った。

 

「新入り、例の物……」

 

「ああ、ありますよ」

 

 「ちょっと待っててください」と言い残し、キオは部屋の中へと戻る。

 そして、一分ほどたった頃、キオは一つのダンボール箱を持って現れた。

 

「よいしょっと……これでよかったですよね?」

 

 言われ、リンドウは地面に置かれた箱の中身を確認する。

 そこに入っていたのは、いくつもの缶ビールだった。

 それを見たリンドウは、途端に破顔して親しげにキオの肩に腕を回す。

 

「いやぁ、やっぱり持つべきものは優しい後輩だな! これで俺も、しばらくはビールに困らなくてすみそうだ」

 

 そう、リンドウがわざわざキオの部屋を訪れた理由とは、キオに届けられる配給ビールをもらうためだったのだ。

 本来なら、未成年であるキオに配給ビールはないのだが、今の時代は特に未成年の飲酒が禁止されているわけでもないので、一応頼めば届くのだ。

 だからと言って、決してキオ自身が欲しかったわけではなく、当然、リンドウに頼まれてのことである。

 

「何か欲しい物があったら遠慮せず言ってくれ。ビールとタバコ以外の配給品ならなんでもやるよ」

 

「別にいいですよ。特に欲しい嗜好品があったわけじゃないですし」

 

 キオの言葉に、リンドウは「遠慮するなって!」と言いながら乱暴に頭を撫で回す。

 そんな彼の行動にキオが戸惑っていると、2人の背後から突然声がした。

 

「朝っぱらから何をコソコソしてるのかと思えば……そういうこと、リンドウ」

 

 その声に反応し、リンドウはビクッと体を硬直させる。そしてゆっくりと振り向いたそこには、予想通り、一人の女性が立っていた。

 

「全く……後輩にまでビールをせびりに来るなんて、上官のすることとは思えないわよ?」

 

 呆れ顔でそう言う彼女に、リンドウは慌てて反論する。

 

「いやあの、これはだなサクヤ、お互いの同意の上での正当な取引であってだな? 決して俺がせびりに来たわけじゃなく……ほらアレだよ、この新入りがどうしても例のジャイアントトウモロコシを食べたいって言うから……」

 

「えっ、ジャイアントトウモロコシってなんですか? 美味しそうですね」

 

 リンドウの必死の弁明も、キオの何気ない一言で完全に無意味と化す。

 もはや呆れを通り越し、軽い軽蔑の眼差しを向けられ始めたリンドウは、わざとらしく「そうそう! 肝心なこと忘れてた」と声を上げる。

 

「お前ら2人にミッションだ。イカンイカン、すっかり忘れてた。ほらほら、急がないと教官殿に怒られちまうぞ。じゃ、そういうわけだ新入り、ジャイアントトウモロコシはとっといてやるから、ちゃんと2人で生きて帰って来いよ」

 

「あ、ありがとうございます」

 

(うまく逃げられたわね……)

 

 2人を急かすや否や、そそくさと退散するリンドウの背を見て、大きな溜息をついたサクヤは、キオとともにエントランスで待つツバキのもとへと急ぐのであった

 

 

 

 

 

 

 

 そこは、一言で言えば異常だった。

 中央部は隕石が落ちたかのように抉り取られており、上空は常に重い雲に覆われている。

 また、アラガミによる影響なのか、その場所では決して収まることのない竜巻が轟轟と唸り続けており、もし巻き込まれたらと思うと一刻も早くアナグラへ帰投したい衝動に駆られてしまう。

 《嘆きの平原》と呼ばれるそこは、巨大なアラガミの頻出区域として知られ、ゴッドイーターも特に気を引き締めて向かわなければならない場所の一つだ。

 そんな場所でも比較的安全な高台の上にたどり着いたサクヤは、早速ブリーフィングを行うべく、キオに向けて口を開いた。

 

「今回の相手は《コクーンメイデン》よ。1度現れればその場所からは一歩も動かない砲台型のアラガミだけど、遠距離ではレーザー、近距離では殻の奥に仕込んだニードルで攻撃してくるやっかいな相手よ。くれぐれも先行しすぎないように、私の援護出来る射程内で行動すること。遠距離型の神機使いとペアを組む場合、これが基本戦術だから、覚えておいてね?」

 

 サクヤの言葉に、キオは素直に頷く。

 すると、彼女は笑顔で言った。

 

「うん、素直でよろしい! 頼りにしてるわ」

 

 そうは言うが、果たして新人の自分がどれだけ役に立つのだろうかとキオは苦笑する。

 すると、彼女は優しくキオの肩に手を置くと、言った。

 

「ちょっと緊張してる? 肩の力抜かないと、いざというとき力が出ないわよ?」

 

 そう言われ、キオは大きく息を吐き、知らず知らずのうちに入っていた力を抜く。

 そう言えば、とキオは初陣の時を思い出す。

 あの時は、リンドウのやけに軽い態度や言動のせいか、ほとんど緊張することなく戦えた気がする。

 ああ見えて、やはり新人の自分のことを気遣ってくれていたのか、とキオが考えていると、サクヤはそれまでの温和な表情を引き締め、告げた。

 

「さぁ、行くわよ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その名の由来ともなった『鉄の処女』という拷問器具によく似た姿をしたアラガミであるコクーンメイデンは、オウガテイルと違って動き回らないため、すぐに見つかった。

 最初は一歩も動かないその様子から、楽に倒せるかと思っていたキオだったが、流石にそこまで甘くはなかった。

 

「危ない!!」

 

「っ!?」

 

 サクヤの声を聞き、キオはコクーンメイデンから距離を取る。

 その直後、コクーンメイデンの体から、無数の棘がキオめがけ高速で飛び出してきた。

 あと一瞬判断が遅れていれば、今頃体が穴だらけになっていたことだろう。

 しかし安心したのも束の間。コクーンメイデンの頭がパックリと割れたかと思えば、そこから光の弾丸がキオめがけて発射された。

 

「くっ……!」

 

 キオはそれを横に転がりながら回避すると、即座に神機を変形させ引き金を引く。

 しかし体勢が悪かったためか、相手は動かない的であるにも関わらず、弾丸はコクーンメイデンを掠めもせず虚空へ消えた。

 

「やっぱりモルターの方が爆風の分当てやすいかな……あれ?」

 

 バレットを変更し、再び引き金を引くが神機は何の反応も示さない。

 どうやら、弾切れのようだ。

 

「撃ちすぎた……」

 

 コクーンメイデンの放つ光弾は、注意さえしていれば躱すのはそう難しくない。しかし一方で、体から伸びるニードルの方は目で追えないほど速いため、キオはオウガテイルの時のように、銃撃でまず隙を作ろうと試みたのだ。

 しかし、やはりそこは極東支部最低を誇る射撃精度。一発も当たることなく、遂には弾切れを迎えてしまったらしい。

 どうしようかと思案していると、キオの背後から一発の弾丸が飛来し、コクーンメイデンを貫いた。

 

「ほら、早くとどめを!」

 

「あ、はい!」

 

 キオは慌てて神機を変形させると、サクヤの射撃による痛みなのか、うめき声を漏らすコクーンメイデンに斬りかかる。

 それに反応したコクーンメイデンは、すぐさま自らを切り刻む不埒者を追い払おうとニードルを伸ばすが、その時には既に、キオはコクーンメイデンの背後へと回り込んでいた。

 

「その棘が真後ろに出せないのは分かってるんだよ!」

 

 叫びながら、キオは無防備な背後めがけ、これまで録に近づけなかった鬱憤と、ついでに射撃が全く当たらなかった腹いせも含めた全力の斬撃をお見舞いする。

 更にその勢いのまま、二撃、三撃と次々繰り出される斬撃に、コクーンメイデンは後ろに向き直ることすら叶わず、そのまま沈黙する。

 それを見たキオは、辺りに別のアラガミがいないことを確認すると、コアを回収すべく神機を捕食形態へと変形させる。

 

「やるわね。新人とは思えないくらいいい動きだったわよ」

 

 すると、キオに近づいて来たサクヤがそんな事を言う。

 

「そ、そんなことないですよ。サクヤさんの援護のおかげです」

 

 キオが慌てて否定すると、サクヤはフフフッと笑みを零し、言った。

 

「確かにあなた、射撃は素人以下だったわね。それと、欲を言えば私の射線上にはあまり入らないで欲しいかな? いくら射程内でも、援護出来なくなっちゃうから」

 

 サクヤの神機であるスナイパー型の銃身は、射程と貫通力に秀でた《レーザー》というバレットを得意とする。これは、弾丸自体が小さく威力が落ちる代わりに、アラガミの強固な外皮すらも容易く貫くのだが、そのアラガミの奥にいる味方に誤射してしまう可能性があるのだ。

 そのため、今回のキオのように、アラガミとの射線上で当りもしない射撃を繰り返したりされると困ると言うサクヤの言葉に、キオはうっ、と言葉を詰まらせる。

 そんな彼の様子がおかしかったのか、サクヤはまたしてもひとつ笑みを零すと、言った。

 

「それじゃあ、帰るわよ」

 

「あっ、はい! ……?」

 

「どうしたの?」

 

 突然足を止めたキオに向け、サクヤが疑問の声をかける。

 すると、キオはやや浮かない表情で言った。

 

「いや……今、何か聞こえませんでしたか? 獣の咆哮、みたいな……」

 

「まさか、アラガミ?」

 

 真剣な表情で尋ねるサクヤだったが、キオは曖昧に首を傾げるだけだった。

 

「分かりません、オウガテイルのじゃありませんでしたし。……すいません、気のせいだったのかも」

 

 謝るキオに、サクヤは「気にしないで」とだけ言うと、彼を伴って再び歩き出した。

 

(……まさか、ね)

 

 嫌な予感を、胸に秘めながら。

 




ただサクヤさんを出すだけの話にするのも個人的にダメ。またしても予定より敵アラガミが多いなんてワンパターンなのもツマラン。
というわけでどうしようか悩んだ結果が最後のフラグ立て。
さぁ最後のフラグがなんなのか予想してみるがいい! えっ、バレバレ? そそんな馬鹿な……(汗
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