レコンキスタの墜落現場から少し離れた森の片隅で神威と阿伏兎は一人の女性とコンタクトを取っていた。
「今回は楽しかったね~またやりたいな、あの子たちと。」
「よく言うぜぇ・・・おかげで俺は股間の息子があともうちょっとで台無しになるところだったってぇのによぉ・・。」
「いいじゃない、次はそっちも愚息も義息に変えれば?」
「おいおい、俺の大砲をなめるんじゃねぇぜ?あっちの方はバーリトゥード、道具には頼らねぇ、なぁフーケの姉さん、いっちょ試してみるかい?」
「遠慮しとくわ、でも、今回のあんたたちの騒動で簡単にこいつを盗むことができた、感謝するよ。タカスギと手を組んで正解さね。」
そこには一振りの刀があった、その刀身を半身抜くと、フーケの眼に見えたのは真っ赤な刀身。
「改良型、紅桜。・・・これで次はどうやって遊ぼうか?」
神威の眼は大きく見開き、崩壊した学院に目をやり、楽しそうに笑う。
「ここの国も面白いヤツがたくさんいるからね、次なにかやるときには言ってよ今回の戦いはけっこう満足できたし。」
神威と阿伏兎はそういうと、森の中を歩き、姿をくらます。
フーケは紅桜を握りしめ、無言でもう一つのお宝を見た。
赤い宝石が光る指輪、その名は、アンドバリの指輪。
クロムウェルが死ぬ寸前、あの侍二人の猛攻の中、目を盗んでこの宝石を奪い返すのはかなり苦労した。
「待ってな、テファ、あんたの願い、絶対にかなえてあげるわ。」
夜・・・・
戦いが終わればワン○ースばりの大宴会!
とはいかずにサイトは崩壊した学院の広場で寝そべっていた。デルフを無防備に地面に置き、上空に浮かぶ満月を見ながら何かを考えるわけでもなく、ただ月を眺める。
「よぉ、眠れねぇかい?」
銀時は右手に日本酒の瓶を持ち、サイトの頭の前に立つ。
「マルトーっつうおっさんにもらった、こっちの酒は葡萄酒だろ?日本人はやっぱ日本酒に限るからな。」
銀時は隣の座りなおしたサイトに一杯注ぐ、サイトも銀時に一杯注ぐ。
二人は黙って月を見てぐいっと日本酒を飲み干す。風が吹き、自国の桜にも似た木から花びらが舞い落ちる。
「・・・うまい、な。久しぶりにうまいと思ったぜ。」
「そうかい、・・・で?お前のご主人様はどうした?」
「寝てるよ、ない胸ほっぽりだしてグースカ・・・呑気なもんだ。・・・あいつはイイ奴だよ、さっきもあんたは使い魔だから一緒に部屋に来て寝なさい、勘違いしないでよね、あんたは使い魔なんだから寝食一緒にするのは仕方がなく、なんだからね、だってよ。」
「ツンデレここに極まり、だな。」
「絵に描いたツンデレだな、まぁ、今日のところはやんわり断ったけどな。」
「意外と紳士じゃねぇか、最近の若いモンは犬のように今頃盛ってるだろうよ。」
「わりぃな、実は草食系なんだ。」
「そうかよ、そいつは意外だな。」
たわいもない話をしながら銀時はサイトに日本酒を注ぐ、サイトも再度、銀時に返杯する。
サイトは自分の内ポケットをまさぐり、一つのボロボロの布きれを出す。
「物心ついた時におれに渡された名前だ、平賀 才人。おれはこれだけで生きて、これだけでいいと思ったけどよ、あんたと戦ってもっといろんなものが欲しいとおもったよ。」
「まぁ世の中生きてれば色んなモンがみえてくらぁ。」
「・・・戦場でいつも思ってた、あと何人俺は斬るんだろう、次の戦場で俺はどうなるんだろう、国の為、家族の為、恋人の為、仲間の為、金の為、いろんなモンを担いだヤツらを俺は何も担いでないまま迷いなく斬ってきた。もし神様がいるなら、俺は今頃即天罰モノだろうな。」
「・・・。」
「あんたはすげぇと思ったよ、ルイズの約束を背負って戦って俺を最後に使い魔にしてくれた。・・・感謝するぜ。」
「俺が背負ってたモンは、たかだか安い死神だったってよくわかったぜ。」
サイトはそういうと立ち上がり、デルフを眺める。
「よぉ、相棒、本当にいいのかい?」
「ああ、もう悔いはないさ。」
「・・・・おい、?お前、何を。」
「犯罪者が自ら出頭とはいい心がけですな。」
銀時とサイトの背後には佐々木が見回り組を従え、後ろに手を組み、両者を見据えていた。
「てめぇ・・・。」
銀時の怒りの視線を受け、佐々木はふむ、と顎に手を置く。
「戦場での殺し合いには口を出しませんが、彼は先刻、この国の大衆酒場で人を数人殺めています、ましてや未成年でありながら飲酒。これはおまわりさんも普通は黙っていないでしょう。」
銀時の背後で殺気を感じるのもつかの間、信女が長刀を銀時の頭上に構え、その暗い瞳を銀時に殺気を交え、浴びせる。
「それに我々の国とトリステインは同盟を今後結びます、その上で未成年の大量殺人者を我々の国から出したとなればこの同盟も危ぶまれるでしょう。言ってみれば、両者の国の民の幸せを考えれば、彼はここで我々に裁かれるのが常識、といったところでしょう。」
「・・・・。」
「てめぇ前からクセェと思ってたが裏でどこまであいつらと繋がってやがる!」
「はて、何のことだか・・・我々エリートは凡人の知る事のない繋がりが多すぎて見当がつきにくのですが、・・・・一つ言えるのは今回、彼をしょっ引く指示を出したのは天道衆と言っておきましょうか。私はその指示に従っているだけ、ですよ。公務員とはいえ、仕事ですから、私の意志は関係ありませんよ?」
「・・・デルフとルイズを頼むわ。」
「おい!!」
「こんな人殺し、使い魔にしてたらあいつは碌な人生送れねーよ。」
サイトはそうつぶやくと佐々木の前に歩を進め、両手を出す。
「どこへでもつれてけよ、エリート様。」
「・・・本当に、潔いですね、元オリック○の○原も見習ってほしいものです。」
「待ちなさい!!」
サイトに手錠をかけようとした時、崩壊した建屋の中から見覚えのあるピンクブロンドの少女が大声を上げて、飛び出した。
「私の使い魔をどこに連れて行く気?」
「我々の国に連行するのですよ、あなたの使い魔はスネに傷どころの話ではない大罪人です。未成年でありながらワイドショーもびっくりの犯罪人をこの国で好きにさせておくほど、我々の国は甘くありませんよ?」
佐々木は自身を睨みつけるルイズに冷静に言葉を発する、しかし、何かの異変に気が付き周囲に目を配る。
「局長・・・生徒達が・・・。」
見回り組を取り囲むようにこの魔法学院の生徒全員が杖を構え、サイトを連れて行こうとする他国の警察に抵抗しようと睨みつけている。
「・・・・はぁ、これだから子供というのは手が焼ける、いいですか?我々は今仕事中なのですよ?それを邪魔しようというのならばしかるべき措置を我々は行うだけ、ひと昔前の学園ドラマのように、子供が大人の仕事を邪魔して許される世界ではない、という事をお忘れなく。」
佐々木は右手をあげる、見回り組の全員が刀に手をかける。学院の生徒と見回り組はにらみ合い、膠着する、その時・・・
「それは、我々の国の騎士の仕事に文句をつける、ということですか?」
佐々木の目の前にアンリエッタとアニエス、そして黒いマントと何かの書状を持ったマザリーニが姿を現した。
「・・・・今なんと?」
「シュヴァリエ、サイト平賀殿は今朝この国の違法薬物の取引を一人で取り押さえた、抵抗激しいため、あえなく処断、サイト殿が手を下した男達の指名手配書だ。嘘ではない、これが事実だ。あの酒場も違法薬物の取引現場として使われていたところから即時、店主を取り押さえの命を出した次第だ。」
アニエスは昨晩、サイトが一刀の元に切り伏せた男達の指名手配書を佐々木の前にほおり投げた。
「我が女官のルイズの使い魔、サイト殿はそれだけでなくこの学院を襲った賊を討伐し、他国の侍と協力し、逆賊レコンキスタの討伐に貢献してくださりました。彼はもはやこの国の英雄ですわ。その英雄を連れて行くなら、私アンリエッタは同盟を破棄します!!」
「召喚の儀式のときにちょっと喧嘩しちゃって、使い魔が逃げたからそこの天パー侍に見つけるように依頼したのよ!!」
マザリーニはルイズの言葉と同時に書状を佐々木に手渡す。
「・・・・召喚の儀式の日付・・。」
佐々木の手にした書状には・・・・平賀サイト、本日をもってシュヴァリエの称号を与える、と書かれていた、日付はくしくも、召喚の儀式の春の日付。
「・・・・なるほど、そういうことですか。」
「どうかお引き取りを、佐々木殿。」
よく見ればマザリーニの顔はどこか歪み、誰かの手の跡がくっきり残っている。
「・・・・一人の男に国を挙げての隠ぺい工作ですか、なかなかの悪ガキ姫様ですね。」
ルイズはつかつかとサイトの後ろに歩み、サイトの襟首をつかみ、地面にしりもちをつかせる、マザリーニはサイトの背中に黒いマントを彼に近寄り、丁寧に着用させる。
そのままルイズは佐々木の眼の前までずかずかと足を運び、佐々木を睨む。
「私の使い魔は連れて行かせないわよ!帰りなさい、そしてその天道衆に伝えておきなさい。」
ルイズは右手の中指だけを伸ばし、低い声で佐々木に言った。
「サイトに手を出すつもりならあんたらのキン○マ蹴り潰してやるってね・・・。」
佐々木はそのルイズの表情を無表情に眺めていたが、やがて口角を上げ、怪しい笑みを浮かべる。
「・・・・帰りますよ、信女さん、刀を納めなさい。」
「・・・・。」
「今回は我々の取り調べミスです、また謝罪の連絡を入れますのでどうぞこれを。」
佐々木は携帯をアンリエッタに手渡そうとする、アンリエッタはその携帯を握り、そのまま握力に物をいわせ、笑顔で握りつぶした。
その光景にサイトと銀時は顔面蒼白になる。
「何、あれ、・・・ゴリラ?」
「いや、姫様だよな?」
「お帰りください。佐々木殿、謝罪はいりませんわ。」
「同盟破棄は聞かなかったことにします、私ではどうにもならないので・・・・では。」
佐々木と見回り組が去ったあと学生の間に歓声が響いた、アニエスはふう、と溜息をつき、アンリエッタは腰が抜けたように広場に腰を落とし、マザリーニがそれを心配する。
ぽかん、とその光景を見ていたサイトに銀時は背中を叩く。
「行きな、お前の本当の日常の始まりだ。」
サイトはルイズと目が合い、そのまま脚を一歩進め、ルイズのほうに歩く。
ルイズは何かサイトに怒ったような口調で物を言うがそこをキュルケやギーシュが加わり、キュルケがサイトに誘うような表情で何かを言い、抱き着いているのを見てルイズがサイトの脚に蹴りを入れる。
その光景を見ながら、銀時は日本酒の瓶に手をかける、ふと、こちらを見るルイズと目が合う、
本当にありがとう。
ルイズの口がそう動き、ルイズは銀時に微笑むと、再び、同級生との喧噪の中に割って入る。
銀時の仕事が終わり。
サイトの日常が今から始まった。
「ま、一件落着、ってとこだな。」
銀時は日本酒を一口飲み、月を見ながらつぶやく。ひときわ強い風が吹き、一斉に花びらが舞い、月の光が差し込むその広場でルイズとその仲間、そして使い魔のサイトが笑う光景が銀時にはまぶしく瞳に映りこむ。
ちょっとごちゃごちゃしすぎたかなぁ・・この話。
オチは難しい。