この話をまとめないとどうにも始まらない。
「ヒデェ、昼飯だった。」
「同じくだよ、クソ。」
ない胸を張りながらルイズは昼飯の感想を語る銀時と土方二人を他所に脚を止めた。
「ねぇ。ここ?からくり堂って。」
店のまわりには大量のガラクタや使えそうにない電化製品が並べられた江戸一番の発明家、平賀源外の家にようやくついたルイズと銀時は家の主、源外の姿を探す。
「おう、銀の字。・・・と、げ!!」
源外の目の前には江戸の守護者の一人、真選組の鬼の副長の土方がタバコをくわえ、源外を見据えて立っていた。
「わりぃーが、昔の小物の犯罪者を捕まえるほど、俺は暇人じゃねぇ、政府のお偉いさんにはあんたに手を出すなって通達されてんだ、じゃーな。」
煙を吐くと、土方は銀時に一瞬目を向け、真選組のジャケットを肩に背負い、そのまま逆の道に引き返した。
「ほぼ時効だとよ、まぁなんか裏がありそうだけどよ?」
「ふーい・・・心臓が止まるかと思ったぜ。」
「なに?もしかしてワケあり・・・?」
「過去の傷ほじっくってやんなよ、お前も。邪魔するぜ?ジーサン。こいつがジーサンに聞きたいことがあるってんで連れてきたぜ?」
「あーん?、なんでぇ、外国の娘じゃねぇか。」
「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールです、えーっと今日は聞きたいことがあってお邪魔しました。」
「お前、そんな長い名前だったの!?」
銀時のツッコミを無視し、ルイズは目の前のまだ見ぬ使い魔の関係者であろう人物に丁寧にあいさつをする。
源外は腕を組み、もともとへんくつな性格ではあったが目の前の丁寧にあいさつをする少女に少しの好感とルイズの真剣な目に何かを直感で感じた。
「中に入りな、茶くらいなら出すぜ?丁度もう一人客が来てたんだ。」
「す、・・・・すばらしいいいいい!同じ発明家としてこの江戸に黙って観光に来てよかった、ん?これはエンジンというヤツですな?」
「・・・・・。」
ルイズは目の前にいる見知った禿頭に口をあんぐりとあけ目を疑った。
「コルベール先生?」
「む?・・・これはこれはミス・ヴァリエール!奇遇ですな!」
「いや、奇遇も何も、何してるんですか?」
「いやいや、ここ江戸には江戸一番という発明家がいると聞きましてな!同じ発明家としてここに出向いたまでですよ?」
「だれ?このハゲのおっさん。」
「なんでもハルケギニアの変わり者らしいや、朝からここに来ておいらの発明品について質問してくるからよぉ・・・。」
キラキラした目で発明品を見つめ、工具を借りては分解する、そんな奇行を朝からこの男は繰り返していたという。
コルベールとのやりとりで時間は少し経ち、源外に向かってルイズが話を切り出す。
「平賀 サイト、という名前に憶えはありますか?」
「いや、俺には三郎っつう息子一人しか覚えはねぇ、同姓じゃねぇのかい?」
話は以上で終わりだった。ルイズはその後いくつか質問をしたが、源外は首を横に振るばかり、ルイズは そうですか、と言い、失礼しました。と振り返る。一瞬見えたその顔は暗いものだった。銀時もその表情に何かかける言葉はないかと文句を考える。
コルベールもルイズの肩に手を置くくらいしかできなかった。
「こんなとこに遠い国からわざわざすまねぇな、そうだ、ちょうど政府のお偉いさんからの依頼があってな・・。」
ルイズの顔を見て源外は三人を奥の作業場に案内する。
「ハルケギニアとこの国を直接つなぐ転送装置を今作っていてな、直通電話回線も兼用している、なにかわかったらこの端末でおまえさんに連絡してやるよ。」
銀時は直感で見回り組の佐々木が頭に浮かんだ。
ルイズの顔は少し明るくなり、銀時は源外に端末の使い方を教えてもらってる光景を見てどこか安心した。
「この町の人は暖かい人ばかりですな、うらやましい限りです。」
「まぁな、全員が腹に一物抱えてるけどな。」
「それは私も同じようなものですよ。」
コルベールは自分の過去を思い出し、苦笑いを銀時に見せた。
コルベールと源外とからくり堂で別れた帰り道。
「で?次はどうする?」
「どうもこうも、・・・どうしよっかな。」
銀時は元気のないルイズに自分の今まで思っていた疑問をぶつけてみる。
「姫様は虚無がどうの国がどうのと言ってたがよ、実際お前はどうなんだよ?その人間の使い魔ってのに対してよ?」
「・・・会ってみたい、それだけよ。」
ルイズはいや、・・・と首を横にふる。
「今ね、私の国、その周りの国も戦争一歩手前の緊張状態なの。」
「・・・。」
「一人前のメイジになるには使い魔が横にいなきゃ駄目なの、私は一人前になりたい、一人前になって姫様の女官として横に並べるようになりたい、もし戦争になってしまったら学生の私たちも参加しなきゃいけない、自分は剣が使い魔だから無力なんです、なんて言いたくない。私剣振れないもん、もし戦争になったら役立たずはいやよ。」
「戦なんざやるもんじゃねーよ、・・・勝っても負けても、死んでも生き残っても、自分に残るのは人を殺めた咎だけだ。」
自分の経験をルイズに言うと銀時は脚を止めた。同じくルイズも銀時の前で振り返り脚を止めた。
「戦争になれば平民も戦場に出るわ、私は貴族よ、戦場で平民の後ろになんて嫌よ。・・・ねぇ、貴族ってなんだと思う?」
「さぁな?」
「敵に背中を見せない、自分より非力な者に背中を見せて前に立つのが貴族なのよ。」
思えば銀時の前ばかりを歩くこの少女、銀時はふんと笑う。
「上等だよ、お前、いいぜ、乗りかかった船だ、お前の使い魔、探してやらぁ!」
「・・・ありがとう、でももし見つからなかったら?」
「あん?そん時はおめぇ・・・見つかるまで俺が使い魔にでも使いッパシリになってやるよ。」
「・・・・・その言葉、嘘じゃないわよね?」
「侍の約束に嘘はねぇよ。」
「・・・・・・。」
「・・・・。」
にっこりとほほ笑むルイズに銀時は無言で口角を上げ、答える、・・・が。
「その言葉を待ってたわよ!!」
凶悪な笑顔でルイズは銀時を睨む。
「は?」
突如銀時の後ろに強風が吹きすさむ、そして銀時の目の前には巨大な戦艦が一基。
「な!!」
「あんたには三日後の使い魔お披露目会に出てもらうわ、姫様とここの国の将軍様お墨付きって聞いたし、許可も得てるし。」
「な・・・・な・・・。」
戦艦のはしごにルイズは飛びつくように手をかけ、そして素早く鎖の首輪を銀時の首にひっかける
「じゃぁ、行くわよ!!、トリステインへ。」
「え、ちょ、おま!ぐああああああ!」
首を吊られたまま上空に舞い上がる銀時とそれを吊るルイズ、戦艦は一気に上昇し、一旦ターミナルに向かう、そこで銀時はアンリエッタともう一つの依頼をするのであった、くしくもその内容はルイズとの約束と重なっていた。
「ちきしょおおおおお!使い魔のヤツぜってー見つけてやっかんな!」
「あはははは!!」
ルイズはとびっきりの笑顔で銀時を笑う、銀時は締まる首にジェットコースター気分にルイズの顔が笑う悪魔に見えた。
約束と依頼の話でした、これで銀時とサイトの決着を書くのが見えてきた。