階下に広がる日本庭園、江戸城の庭園の池に征夷大将軍、茂茂が錦鯉にエサをやる。
「兄様?外国のお客様ですよ?」
「ああ、・・。」
茂茂は軒下に脚を運び、その客人に礼をする。
「この度はご苦労でしたな、アンリエッタ殿。」
「いえ、こちらこそ、会談でのこちらの要求に応えてもらいましてありがとうございます。」
「いや、こちらの国の技術の提供など、安いものだ。」
「それに、私の女官の件でも・・・。」
「生涯のパートナーを探すのは大切な事だ、それにはこちらで頼りになる友人・・・いや、ダチ公を紹介しよう。」
「ダチ?」
「・・・いや、失礼、こちらの言葉だ、何、ともだち○こともいうのだが。」
「兄上様??」
「何だ小夜。」
「外国のオヒメサマに何いってるんですか?」
「?そうダチ公に教わったのだが、まぁいい。この国は長い間他国との接触を拒んできた、今の時代、あらゆる思想、価値観が跋扈する時代だ、国の中だけならず他国との接触をすることでその個人が考えられる幅を広げることができる、そうなれば私の存在もいずれ不要になろう、いや、もう不要になるのならば・・・私は民にあらゆる物を選べる時代にしていった後に消えて行きたい。それに、貴殿の国は信用ができそうだ。」
茂茂は小夜の入れたお茶を持ち、軒下に座る。
「あなたは王をやめたいのですか?」
「民が不要と思うならば私はすぐにでも王を止めよう、だが、恥ずかしいことにこの国はまだ王を止められるほど甘くはない、貴殿も同じだろう。」
「私は女王ではないので・・・。」
「そうか、なら、そなたが女王になった暁には、民の声をよく聞いてやるといい、貴殿にはそれは簡単そうに思える。」
小夜はアンリエッタにもお茶を渡す。
「できるでしょうか?」
「貴殿の女官は古くからのダチ公だと聞いていたが、隣にダチ公がいればたやすかろう。隣の隣は友人だ。それに、私も今日から貴殿のダチ公だ。」
アンリエッタはルイズを頭に浮かべる、ダチ公、・・・それは今もそうなのか、いつからかよそよそしくなったルイズにアンリエッタは少し苦笑いをする。
「ともだち○こ、ですか・・・。」
「いや、それ、国に帰って使っちゃだめですからね?」
そんな事を思い出しながらアンリエッタはぼーっとカフェテラスに頬杖をついていた。
着物に着替えたアニエスは神楽に耳打ちする。
「おい、姫様はどうなされたのだ、ここに来てからずっとあの調子だぞ?」
「知らないアル、たぶんあの日ネ。」
「神楽ちゃん、言っていいこととダメな事って知ってる?」
アンリエッタを他所に神楽はケーキを頬張る。
「それにいいの?結野衆の所に行かなくて・・・。」
テラスでお茶を飲みながら4人はくつろいでいる最中、だが肝心の結野の屋敷は現在清明と道万が出払っており話が聞けない状況だった。
「べっつにいいアル、この作者が話広げられないから不在ってことにしとくのが一番ヨロシネ。」
「なに言ってんの神楽ちゃん。」
「それより姫様とアニエスを観光に連れまわすネ!次はどこ行くアルか?」
「よぉ~チャイナ娘、昼間からサボリかィ?旦那はどうした?」
新八の眼の前には真選組一番隊隊長、沖田がテラスの外側から神楽を呼びつけた。
「ドS侍に用はないアル、あっちいけよ。」
「それより土方さん見なかったか?そろそろ昼の見回り終わりそうなんだがねぃ・・・そちらさんはおたくらのお客さんかィ?」
沖田はアンリエッタとアニエスを見た。アニエスは警察に素性がばれるのはまずいと思い、心配そうにアンリエッタを見た。
「外国の娘さんかィ、旦那も仕事の手がはやいねィ。」
「あ、アニエスです、よ・・・よろしく。」
「で?そちらさんは?」
「アンリエッタネ。」
「か、神楽ちゃん!!ああ!アンさんですよ沖田さん!。」
新八は迷うことなくばらしそうになる神楽の口を両手でふさぎ、その行動に沖田は眼を細める。
「ふーん、なんか、喘ぎ声っぽい名前じゃねぇかィ。」
「貴様!失礼だぞ!!」
アニエスは条件反射で 姫様といいそうになるのをこらえながら沖田に怒鳴る。
沖田はアンリエッタに近寄り、考え事をするアンリエッタに顔を寄せる。
「おーい、聞いてんのか?お姉さん?・・・・。」
「あの、沖田さん、何してるんですか?」
「いや、考え事してる女ってのは大体Mが多いんでェ、どうせ昨日の夜の行為にでも不満があったんじゃねぇかって考えてたんでね。」
「おい!何自分の勝手な妄想見知らぬ女の子にぶち込んでんだ!」
新八のツッコミもよそに、沖田はふーんとアンリエッタに顔を寄せる。が・・・
ガッシ・・
「あ・・・?」
アンリエッタは沖田に眼を向ける事もなく虚空に眼をやりながら沖田の顔をつかんだ。
「・・・・姫、・・じゃなかった、アンさん?」
新八と沖田はアンリエッタの謎の行動に首をかしげるが・・・
「ぎゃああああああ!ナニコレ?なにこの握力。」
「アン、さんは昔から考え事の時には握り癖が付いているんだ、城・・・じゃなかった、周囲の人間もそれに注意してるんだが・・。」
沖田の顔がどんどん潰されていく、よく見ればテラスの机にアンリエッタの手形があちこちについている。
「握り癖ってなに!?ゴリラなの?この娘ゴリラなの?!」
「ちなみに悪く言うと握力はどんどん上がる、姫、・・アンさんは昔鉄道の楔を素手で考えながら曲げていた。」
「いや、それどこのグラップラー刃牙??ビスケットオリバ?」
「あぎゃああああああ!」
ゲキョ
生々しい音を立てて顔の砕かれた沖田をほっておいて4人はカフェテラスから逃げるように去っていった。
「またやらかしたのですね、・・・私は。」
暗い顔でアンリエッタは街道を歩く、神楽は酢昆布をたべながら
「別にあんなクサレポリ公の顔握りつぶしたところで何にも変わらないアル。」
「いや、ふつう公務執行妨害で捕まるよ?」
そう言い終わらないのもつかの間、新八の前に猛スピードで白いパトカーが止まる、気が付けば四人の回りに白いパトカーが停車し、完全に四人は包囲されていた。
神楽と新八は真っ青な顔で現状を悟る、そしてパトカーから出てきた人物にさらに顔面を蒼白させる。
「失礼、電話で通話中にどこぞの一番隊隊長の顔面がつぶれる音を拾ったんですが、なにか知ってることはありませんか?」
そこには見回り組組長 佐々木異三郎が姿を現した。その助手席から部下の今井信女も長刀を携え車から出てきた。
「い、・・いや、しりませんけど、ていうか通話中に音拾うってなんですか?」
「知らないネ、まんじりともしりませんネ。」
「・・・おかしいですね、偶然カフェテラスを盗撮してたらこんなものが・・・。」
佐々木の携帯にはアンリエッタが沖田の顔をつぶす瞬間がありありと映し出されていた。
気が付けば新八と神楽の前には信女の刀の刃が突きつけられていた。
「それでは公務執行妨害でおまわりさんについてきてもらいますよ?・・・・トリステインの王族さん。」
この言葉で完全に自分たちは最初からこの男の手中にあったと新八、神楽は理解した。
最初からアンリエッタとアニエスは尾行されていたのだ。
見回り組の屯所で神楽、新八は暗い顔で牢屋に入っていた、その隣でアニエスとアンリエッタが申し訳なさそうな顔で佐々木の前に立つ。
「こまりますね~勝手に出歩いてもらっては、私がエリートじゃなければあなた達、他国で路頭に迷うところでしたよ?」
「いや、それはないかと・・・失礼しました、まさか最初から尾行されていたとは・・。」
アニエスはそういうと、鋭い眼で佐々木を睨む、佐々木は涼しい顔で
「昔から友達が少なくて、ほら、学校で机に伏して寝ているフリして自分の事を回りが何か言ってないか聞き耳を立てる、今回も似たようなものですよ。」
「いや、耳ありすぎでしょ、佐々木さん。」
新八は檻の中からつっこむ。
「まぁ、大人というのは子供時代の性格を半分以上は引きずるものですからね、・・・して、貴殿の女官、ルイズさんの使い魔のことですが・・・どうですか?私に協力させてもらえれば情報は提供しますよ?もちろん無償で・・。」
アンリエッタの脳裏には完全にこの佐々木はなにか裏で糸を引いてるとしか思えなかった、使い魔の捜索を買って出るのも怪しい、初見からこの男はどこか怪しい、
「こちらからはなにも提供はしません、あなたがやりたいならどうぞご勝手に。」
「ではそうしましょう、なに、情報は要りません、なんならこちらが情報を得れば細かいことでもすぐに送りましょう、では、この携帯をどうぞ。」
佐々木はアンリエッタとアニエスに携帯を渡す。
時は過ぎ、いろいろあったこの侍の国から自国に帰還する舟の中でアンリエッタは佐々木からもらった携帯を溜息をつきながら眺めた。
「いい国、でしたわ。」
アンリエッタは神楽と新八、そして銀時を思い出し、ひさしぶりに充実した休日を送れた気分に浸っていた、・・・がその気分も一着のメール着信音に邪魔される
「?・・・佐々木殿?」
受信:佐々木
件名:こんにちわ
本文:帰国する前にお返事くださいお('◇')ゞ
また連絡します、ちなみに好きな食べ物
はなんですか?お返事待ってます ^^) _旦~~
「・・・・。」
その内容のなさに、アンリエッタは携帯を閉じる、そしてまた自分の手の中で着信のバイブが鳴り響く。
受信:佐々木
件名:部下の気遣い
本文:部下のノブタスが差し入れ~!(^^)!
また今度送りますよ?( *´艸`)
返事待ってます。
「・・・」
受信:佐々木
件名:お天気大丈夫ですか?
本文:船でお帰りになられるそうなので。
晴れを願って
テルテル坊主を作ったお('◇')ゞ
返事待ってます(*^^)v
「・・・・。」
受信:佐々木
件名:うさぎって・・・
本文:お返事待ってます。
うさぎってさみしいと死んじゃうんだお( ;∀;)
そこには後ろ向きで首を吊る佐々木の写真が添付されていた。
「ひ・・・・!」
アンリエッタは携帯を甲板の外に放り投げ、叫ぶ
「気持悪い!気持ち悪い!気持ち悪い!!!なんなんですかあの男!怪しいどころか完全なストーカーじゃないですか!!」
「姫様?・・・どうなされました?」
マザリーニが心配そうにその細い腕を姫に寄せる、アンリエッタははぁはぁと息を荒げに席に座りなおす。
「いえ、・・なんでもありません、ご心配・・・なく?」
足元からバイブの振動を感じ、アンリエッタは恐る恐るそのいつのまにか落ちていた携帯を拾い、電話の着信欄の佐々木と見て、通話を押す。
「・・・・・・壊しても無駄だお?」
「気持悪いんじゃああああ!なんなんですかあなた!?どこまで友達いないんですか!?つーかどこまで用意周到!?」
「ひ、姫様・・・おちついて。」
「落ち着いてられるかぁぁぁ!こっちはストーカーされてんのよおおお!」
アンリエッタはマザリーニの顔面を電話とは逆の手で掴む
「むぐう!!」
「いえいえ、情報をわたそうと思い連絡したまでですよ。・・・ルイズさんの使い魔さん、意外とあっさり見つかりましたよ?貴殿の国、トリステインにいます。」
「え・・・・!?」
「あ、あべし!」
マザリーニの顔から嫌な音が響き、アンリエッタはその使い魔の情報を最後に切れる携帯電話を落とした。
グラップラーアンリエッタとストーキング佐々木でした。
今回で番外編は一旦終了です。