銀時ははるか上空の飛行船の甲板にいた、空飛ぶ船は坂本の船で慣れているがどうも周りの視線になれない、今まで交流のなかった異国の人間からしてみれば銀時の恰好は異国である自分からしてみれば変わった物だった。
「はぁ、なんで俺がこんなことしなきゃなんねーんだよ。」
「・・・・・仕方ないじゃない、私だってこんな死んだ目をした侍だかなんだかを自分の国に持っていきたくはないわよ。」
「おいおい、娘っ子、そんな言い方はねぇだろう。」
銀時の隣にはルイズ、そして不自然にそのルイズの後ろから声が響く。
銀時は一瞬怯えた目でルイズの後ろを見る。
「おいおい、まだ慣れねぇのか兄ちゃん。」
「あ、ああああんましゃべんじゃねぇよ、べ、別に怖くないけどさ?」
「インテリジェンスソードになにびびってんの?こんなのこっちにはたくさんあるわよ?」
「あぁ?怖い?ビビってる?何それ?その感情がよくわかんねぇけど・・・。」
そういうと銀時はそっぽむいてその剣から目を離す、定期的にルイズの背負った背後の剣から わ! とか おら! とかデルフリンガーがおちょくるごとに銀時はびくついていた。
「はぁ、姫様も何考えてんだか・・・・。」
時はさかのぼり・・・
歌舞伎町の万事屋銀ちゃんでのやりとりだった。
爆破された銀時の頭が収まった後、ルイズとアンリエッタはたまのお茶に口をつける。神楽は新八と一緒に客人である二人の後ろに立ち、銀時と目を合わせる。
「話に入る前に、質問していい?」
眼を閉じてあからさまにイラついた態度のルイズが片目を開けて部屋の片隅でお座りをしている定春を指さす。
「それ、なに?」
「定春は万事屋のマスコットネ!定春はオス犬アル。」
「い、犬?ホントに犬なの?」
「そうネ、犬ネ。」
「・・・・さ、さわっていい?」
ルイズは立ち上がり、その非常識なサイズの犬、定春に関心を示す、新八はハラハラしながらその光景を見る。
犬・・・犬?なわけないでしょ、これ完全に熊よね?なんで熊がいるの?でもなんでこんなにかわいいの?・・・ああ触りたい、このモフモフに毎週日曜日に顔を突っ込んで何もかも忘れたい。
そんな事を考えながらそーっと手を出すルイズ、が。
がぶ
「ぎゃあああああ!噛んだ!?ちょ!離して!!離しなさいよこのバカ犬!!」
「定春はバカ犬じゃないアル!ちょっと噛み癖が治ってないだけネ!!」
「そこ一番に治せや!!チャイナバカ!!」
「あーん?同じ声で何ぬかしてやがるアルか!?定春、しばらく噛んでてもいいアルよ~。」
パニックを起こしたルイズに新八が必死に定春の口をこじ開けようとする。
そんな騒動で数分が過ぎる。・・・
定春のよだれでベタベタになった手を拭きながらルイズはイライラマックスで銀時を睨む。
「で、依頼ってのはなんですかねぇ?」
「本来は不敬で死罪よ?あんたわかってんの?」
「まぁまぁ、ルイズ、おちついて。」
「へー、おたくらの世界では挨拶は爆破から始まるってのがよくわかりましたよ。寝るときにはどうすんの?もしかして○○○ム国出身?」
「ちがうわよ!あんたが姫様に失礼な事言うし犬は私の腕かじるからでしょ!?」
ルイズと銀時のにらみ合いに新八はまぁまぁと場を納めようとなだめる。
頭をフっ飛ばされた不機嫌な銀時はアンリエッタを見る。ルイズはその視線に杖を抜こうと懐に手を伸ばす。
「依頼はどちらかというとルイズの方にあります。私の忠実な女官、このルイズの使い魔を探してほしいのです。」
アンリエッタの治めるトリステインという国には魔法学院というものがあり、
その2年に上がる春の儀式に学生は自分の使い魔を召喚するという課題をクリアするという。
「その際に召喚されたのがこの剣よ。」
机の音にゴトンと置かれたその剣、銀時はそれを見て首を傾げた
「使い魔ってのは生き物ってわけでもねぇんだな。」
「結野さんのとこの外道丸さんみたいな感じですか?」
「これ触ってもいいアルか?」
どうぞ、とどこか親近感の覚える声にルイズは神楽に剣を渡す。
「お、結構重いアル。それになんか文字も掘ってるアル。」
「ん?えーっと・・・サイト? ヒラ・・・。」
「サイトヒラガ、この剣の持ち主だ、勝手にさわんじゃねー小娘。」
一瞬別の声が聞こえ、銀時は玄関を見る。
「おい、どこ見てんだ、こっちこっち。」
「・・・・・おい、まさか。」
アンリエッタはにこりと笑い、銀時を見る
「それはインテリジェンスソード、知能を持った武器ですわ。」
「その持ち主を捜してほしいのよ、その剣が私の使い魔ってことで二年に昇格できたけど、知りたいことがあるのよ。」
銀時はソファーの後ろでガタガタ剣を見ながら震えた。
「すいません、銀さんこういうの慣れてなくて。」
「ば、バッキャロー!おめぇ、おおお俺がこんな剣にビビってるわけねぇだろう?俺が怖いものはまんじゅうとお茶くらいなもんだ!」
「銀さん、それ持って来いってことですか?」
「うるせぇ!つかその剣こっち向けないでくれる?死んだ人が今度仕事依頼しにくるだろうが!」
クスクスと笑うアンリエッタと対照的にルイズは顔をこわばらせた
「俺の名はデルフリンガー、虚無の使い魔の剣さ。」
「このデルフさんはこう言って聞かないんです、虚無は伝説の魔法とでもいいますか、その使い魔は人間という伝説もあるくらいハルケギニアでは有名なんです。」
「なんか勇者みたいネ!カッコイイー!」
「でもそんな剣がなんで召喚されたんですか?もしかしてルイズさんがその虚無っていう魔法使いなんですか?」
アンリエッタは突如真剣な顔をし、お茶を机に置いた
「それを、本人を探して確認してほしいのです、私たちの国トリステインでも捜索は隠密にしていますが、情報は入ってきません。もしルイズが虚無の担い手ならその使い魔も虚無の使い魔、ガンダールヴなのかもしれません。」
情報のごくごく限られた人物捜索となると骨が折れる。新八は顎に手を置き考える。
「もしかしたらその使い魔さんの関係者なら知ってるかもしれません。」
「本当ですか!?」
アンリエッタが新八に希望の込めた目で見つめる、新八は恥ずかしそうに頭を掻く。
「ええ、ですけどその人、指名手配犯です。」
「サイトヒラガ・・・平賀サイトってか?」
「行ってみましょうか、銀さん?」
「ああ、あともう一軒追加だ、魔法にはこっちでも専門家がいるだろう?」
そんなこんなで万事屋一行が調査に乗り出すがこの話はまた今度。
(長くなる)
でもって話は戻ります。
甲板で銀時はデルフをルイズから渡され、ようやく慣れたそのしゃべる剣を見る。
「源外のジイサンから聞いた話じゃ、どうやら息子以外に血縁者はいないらしい、となると、ジイサンの息子が攘夷戦争時代に知り合った関係者かもしれねぇな。」
「あんたのところでも戦争ってあったのね、しらなかったわ。」
銀時は一瞬、過去の幻影に目を伏せる、だが今はそんな感傷はどうでもいい。
ルイズは一瞬のその銀時の目に何かを感じ、口を噤む。
「まぁどこでも戦なんてのはあらぁな。・・・で?俺はトリステインってとこに行ってなにすればいいんだ?」
「・・・実演よ。私剣ふれないもん、あんた侍なんでしょ?デルフで三日後の使い魔のお披露目会にでてほしいのよ。」
「はぁ、んなもんその辺の騎士様にまかせとけよ。」
「しょうがないじゃない!姫様が交流の一環だって聞いてくれないもん!」
「まぁこっちは報酬がっぽりもらうからな、お前さん、いいとこの娘なんだろ?」
「・・・・・そうよ。」
「んじゃまぁ一仕事すっかな。つーかいいのか?ただの学生が外国出て男連れてくるなんてよ。」
「学院の許可ももらってるわ、親は・・・まぁ、関係ないわ。」
「・・・そうかよ。」
ルイズは銀時のなにも聞かないことに不思議に思った。
「親の事、聞かないの?」
「あ?俺は報酬さえもらえばそれでいーの。」
「はぁ、傭兵みたいなヤツね。」
銀時はゆっくりとデルフの刀身を半分抜く、古い剣ではあるがよく磨かれている。
「剣っていうより鍔の大きい日本刀みたいだな。」
「どうだい、おれっちの姿はよ。」
「いい剣だな。サイトってヤツはお前を大事にしてたみたいだな。」
「よく磨いてくれてたなぁ、おめーさん強そうだが俺の使い手にはおよばねぇよ。」
「そうかい、見つかったその日には一杯付き合ってもらいたいもんだな。」
剣を鞘に納め、銀時は甲板から覗くその景色を見る
「もうすぐトリステインよ、ようこそ、侍の国のお侍様。あんまり恥ずかしいマネしないでよね、あんたの歌舞伎町だっけ?けっこう荒くれものの巣窟なんでしょ?」
ルイズはうっすら笑みを浮かべ、そして甲板を後にした。
「はぁ・・・。」
溜息交じりに銀時はデルフを腰に携える。
「トリステインねぇ・・・・田舎じゃねーか。」
デルフはあんまし人の顔を覚えてないで脳内変換。
持ち主とは魂でつながってるから。
顔はよく見てない。
甲板でサイトと銀時が出会ってぶつかるでもよかったなぁ。