ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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第三十四話 私は盗人、あの子は女神、ジジィは敵。

私は父と母が大好きだった、父はサウスゴータの大公の忠臣を務め、厳しい人だった。

母は優しく、料理が得意で日曜に作るクックベリーパイが大好きだった。

 

私が学生の頃、父がある少女を連れてきた。

 

今日からお前の妹だ、仲良くするんだ。

 

まだ幼い少女の耳は長く、尖っていた。

 

その子はエルフだった。

 

名前はティファニア。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

沖田とサイトの放つ攻撃をフーケは紅桜で刀、剣を激しく打ち合い、自身の身が押されているのに気が付く。

 

沖田は勘づく、このフーケ、体術や魔法には長けるが剣術は素人、踏み込みも、間合いも、打ち込みも甘い。

 

「ゴーレムとやらを作る暇は与えねェ・・・!」

 

沖田は突きを繰り出し、懐からフーケが出した杖を砕く。

 

「ち!!」

 

魔法はもう使えないフーケは紅桜を横薙ぎに振るう、サイトはその横薙ぎを打ち払い、彼女の眼前にまで間合いを詰め、デルフの柄でフーケのみぞおちを撃つ。

 

「ぐあ・・・。」

 

「観念しな!大泥棒さんよ!」

 

サイトはダメ押しに呼吸が困難になったフーケの一瞬の隙をつき、彼女の顎にめがけデルフを握った拳を打ち付ける。

 

沖田とは比ではない脳への振動、フーケは膝を地面につき、そのまま前のめりに倒れる。

 

 

 

 

 

 

私の村はその晩、焼き尽くされた。

 

王党派の騎士が村に火を放った。

 

私はティファニアと逃げる。

 

どこまでも、どこまでも。

 

父は死んだ、母も死んだ。

 

必死に逃げる。彼女の手を繋いで。

 

 

 

 

 

「う・・・・。」

 

フーケは地面に倒れ、低く呻く。

 

「お縄につきな、フーケさんよ。」

 

沖田はフーケに近寄る。

 

 

 

 

村が焼かれた理由はティファニアが原因だった。

 

彼女は大公の妾の子、エルフとの間に生まれたハーフエルフ、王党派はそれに眼をつけ、生かしておいては危険とみなし、彼女を探し、殺そうとした。

 

大公に忠誠を誓った父の館が怪しいと王党派は村に火をつけ、あぶりだそうとしたらしい。

 

私はティファニアを一時は憎む。

 

だが、そんな憎しみの心は彼女と逃げながら生活するうちにあっというまに掻き消される。

 

年月が経ち、彼女の綺麗な声で歌う唄は回りの人達を魅了することに気が付く。

 

ずっと逃げながら生活していた私たちは逃げた先で戦争孤児を拾い、お金にも困っていた。

 

ティファニアの優しい性格上、孤児たちは見捨てられなかった。

 

そこにある男が現れた。

 

一人は左目に包帯をした和装の男、もう一人はサングラスをかけた怪しい男。

 

彼らはティファニアを外で活躍できる場を知ってるといった。

 

彼らの国、芸能とかいうものだ。

 

サングラスをかけた男はそれをプロデュースする仕事をしているという。

 

ずっと逃げながら生活していたティファニアにはせめて外の世界を知ってもらいたい。

 

孤児たちの生活にかかるお金はその芸能で工面できる、それでも足りない時はどうするか。

 

包帯の男は私に仕事をくれた。

 

嫌いな貴族から金を奪う。

 

簡単な事だった。トライアングルクラスの魔法と体術でどうとでもなった。

 

自分たちからすべてを奪った貴族への仕返しと思えば罪悪感など微塵も感じない。

 

ティファニアとの再会は数年後だった。

 

私は質問をした。

 

貴族に仕返しをしたくないか?

 

ティファニアはこう答えた・・・

 

 

あ、・・・あれ・・・。

 

なんて答えたっけ?

 

なんて言ったっけ?

 

あれ?

 

あ、・・・私

 

ダレダッケ?

 

 

 

「アアアアアアアアアアアアアアアアアア!」

 

絶叫と同時にまるで機械のようにフーケは起き上がり、サイトの顔面を怪物のような膂力で掴み上げ、地面に叩き付ける。

 

「おい!使い魔!!」

 

沖田は跳躍し、フーケに唐竹の一撃を見舞う。もはや人間ではない声にその様相、紅桜はフーケの腕に癒着するように絡まり、フーケの真っ赤な眼は沖田を睨み、沖田の胴体目がけて一閃の突きを放つ。

 

「がは!!」

 

紅桜の一撃は沖田の胴体をたやすく突き抜け、沖田を外壁に叩き付ける。

 

「うああああああ!!!」

 

叫び声と共に、彼女の指輪が光る、アンドバリの指輪、その能力は偽りの生命を彼女に宿していた。

 

今まさにフーケ、・・・紅桜の浸食によりマチルダは死んだ。生命は偽りの物となり、彼女の暴走が始まった。

 

 

 

 

私ハ思い出せナい。

 

これダけは思い出シた。

 

彼女を守ル。

 

ドンナコトヲシテモカノジョハマモル・・・

 

 

 

 

 

「・・・・?なに?」

 

ルイズは外壁から聞こえた衝撃音に首をかしげる。

 

キュルケ達と別れ、サイトを探そうと学院の広場を歩いていた最中、休日の日はよく使う馬の厩付近で脚を止める。

 

絶叫が聞こえ、ルイズは身をこわばらせる、突如の地響きと外壁になにかがぶつかる音、ルイズは杖を構え、そろりと厩への門に手を当てる。

 

「・・・・な、なにこれ。」

 

ルイズは地面に叩き付けられ、倒れているサイトと、まるで生き物のように剣とは言えないその刃に貫かれた銀時の知り合い、沖田が外壁にめり込み、苦しそうに痛みに耐えながらその刃を振りほどこうともがいている。

 

ルイズは咄嗟に自身の失敗魔法を沖田を貫く刃に放つ、轟音と一緒に刃は砕け、その刃の持ち主はルイズを睨む。

 

「え、・・・・ミス・ロングビル?」

 

沖田はまずいと血が流れる腹を抑え、立ち上がる。

 

フーケは折れた刃を即座に再生しようと紅桜の折れた個所に眼をやる。

 

刃はゆっくりではあるが自己修復機能で元に戻ろうと蠢く。

 

「ジャマヲスルナァァァァ!!」

 

フーケはルイズに跳躍でとびかかる、ルイズはフーケの様相の異常さと恐怖にかられ、尻もちをつく。

沖田は震える手で刀をなんとか握るも間に合わない。

 

「きゃああああ!」

 

ルイズの叫びと同時にサイトが地面からむくり、と起き上がり、とびかかるフーケに振り返ると自身の上半身のバネだけで起き上がり、フーケの胴体に蹴りを見舞う、フーケはそれでも勢いを殺すことなく、今度はサイトに刃を突きつける、サイトは地面にフーケと墜落、そしてフーケの意志とは関係なくサイトの体に紅桜の触手のようなものがめり込んでいく。

 

「ぐあああああああ!」

 

紅桜の性質は複数ある、一つは自己修復、もう一つは改良された学習能力。

 

紅桜はサイトの戦い方を今学び、取り込んだ。

 

サイトの叫びと同時にルイズがはっとし、サイトとフーケに駆け寄る。ムダとわかっていても自分の使い魔をみすみす死なせるわけにはいかない。

 

「サイト!!」

 

「ばかやろう!!寄るんじゃねぇ!」

 

沖田の叫びもむなしく、フーケの眼はルイズをとらえる、デルフの形状をした紅桜の刃は無常にもルイズの脳天を・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいおい、コンサートの余興には間に合ったか?」

 

木刀が刃をルイズの脳天のそばで受け止めた。

 

バシィィィィ

 

木の乾いた音が響き、見慣れた木刀と銀髪、ルイズとサイトの目の前にはフーケの一撃をいなした銀時がフーケに立ちふさがる。

 

 

「やれやれ、変わり果てた姿じゃな、ミス・ロングビル。」

 

オスマンは悲しそうな瞳で目の前のフーケを見る、そしてその眼はいつものエロジジィとは違う、厳しく、そして何かを覚悟した鋭い眼に変わった。

 

「すべてはワシの責任、ならばここで終わらせるかの・・・。」

 

 

 

 

 

 




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