今回のオスマンは大分オリジナル要素満点にしてます。
お気に召すと幸い。
時間は遡り、埋もれた地下倉庫。
「この通路を出口に向かって行くといい。そうすれば厩の近くに出れる。」
「・・・・ジィさんはどうすんだ?出れるだろう。」
「・・・・・ワシの仕事はこれまでじゃ、フーケをこちらに仕向けさせ、お主達に止めてもらう。ワシの最後でくだらない仕事は終わりじゃ、事が済めばワシはこの学院に不要な存在、次の学院長は今は長期休暇中のコルベールかの?」
銀時はオスマンに言われたもう一つの出口に向かって歩き出す。
「そうかい、じゃぁ俺は行くが。」
「・・・頼む、彼女を・・・。」
「先生っていうのは何も影から見守るだけが教育じゃねーだろ。あんたがあの二人にどんな感情や考えをしてるのかはしらねぇ・・・。」
バキンとオスマンの檻が鍵ごと破壊される、銀時はふう、と木刀を肩に担ぎ、オスマンに眼をやる。
「あの巨乳娘を守るのは引き受けた、フーケはあんたに任せる。俺は分身の術なんざ使えねーよ。」
オスマンは俯き、苦笑いを表情に浮かべ、腰をトントンと叩く。
そういえば何かを思い出した、遠い日の友との約束。マチルダの両親との約束。
その約束を守るのを忘れておったの・・・
オスマンはそうつぶやき、鋭い眼で銀時を見る。
「出る前に、・・・少し寄って欲しい場所があるのじゃが・・・。」
時間は再び現在。
オスマンは自身の身長と同じくらいの大きな杖を握りしめ、フーケの前に立つ、いつも身に着けている一張羅のローブの腕をまくり上げる。
「銀時殿、ティファニアを任せる。ここから数十㎞先に彼女の気配がするのでな。」
「・・・おいおい、どこまで見えてるんだ?あんた。」
「お、オスマン学院長?・・・ホントに学院長?」
「なに、あのジイサン、瀞霊廷の隊長か?」
眼鏡を外し、地面に捨て、オスマンはフーケに歩を進める。オスマンが初めて武器を握り、鋭い視線と異様な様子に銀時やルイズ、サイトは驚きの表情を浮かべ、しばらく動きを止めたがオスマンの睨むような視線に厩の馬を使おうと走り出す。
「行け!!小僧共!!。」
オスマンの怒号交じりの合図でフーケがオスマンにとびかかり、ルイズ三人は馬でティファニアの元に向かう。
金属音が響く、オスマンは杖を根元から引き抜き、素早くフーケの一撃を弾いた。
杖は仕込杖のように刀身を隠していた。
「やはり、紅桜の暴走か、そうなってはお主をあの娘の眼に見せるのは毒。」
「フーッ・・・フーッ。」
獣の息使いのフーケにオスマンは何かをあきらめた。
「せめてこの老体と地獄に落ちてもらうぞ。」
オスマンは剣を構え、短く詠唱を唱える、フーケの足元がうごめき、巨大な鉄製の鋭利な刃物の波が飛び出す。
フーケはそれから身をひるがえし、避け、オスマンとの距離を開ける、オスマンはまたも短く詠唱を唱え、体に風を纏わせる。
「ふん!!」
弾丸のようにフーケに間合いを詰め、剣の刃を彼女に突き立てる、フーケは空中で一撃、二撃、三撃と刃を交え、着地。オスマンは空中に浮いたままフーケを見下げる。
また短い詠唱、その直後に火炎がオスマンの剣に宿る。
「燃るがよい!!」
巨大な火柱がフーケ目がけ、振り下ろされる、フーケはその炎に巻き付かれ、オスマンは地面に着地する。
「・・・やはり無駄かの。」
オスマンの視線の先には炎の中でうごめく土のゴーレムが見えた。
そのゴーレムは赤く、フーケを炎から守る。
「やれやれ、スクウェアクラスのワシの魔法も効かぬのは厄介じゃの。」
長年生きたオスマンの魔法は短い詠唱で四つの系統を頭に思い浮かべるだけで発動、操作できる。その威力は詠唱の短い物であってもそこらのメイジの比ではない。
フーケは炎に巻き付かれたゴーレムをオスマンに仕向ける、オスマンは短く、息を吐き、剣を構えるとまるで豆腐でも斬るかのように、風の魔法を纏わせた剣でそのゴーレムを素早く叩き斬る。
風の魔法は剣を細かく振動させ、その切れ味を増している。
土に戻るゴーレムの上にオスマンは脚をつけ、剣を再度構える。
フーケは紅桜を納刀し、抜刀の姿勢に構える。サイトから学び取ったフーケに抜刀を再現するのはたやすい。
「あの小僧から学習したのか、やはり恐るべきは紅桜、その剣ごと叩き斬るしかないのう。」
オスマンはゆっくりと歩を進め、剣を下す。右手に握ったままオスマンはその歩をフーケに向け、止まらない、彼の口から短い詠唱が流れる。
風が流れ、オスマンの姿は徐々に歪み、そして三対の彼の姿を形成した。
「風のユビキタス、偏在。」
フーケは一人目に迷わずとびかかる、三対のオスマンの一人目は剣をフーケに向け、正眼に構え、上段から刃を振り下ろす。
フーケの背中から突如生えた刃の翼、オスマンの偏在の一人目は抜刀を打ち下ろした剣で止めた瞬間にフーケの刃の翼にあっけなく切り刻まれ消える。
オスマンの二人目の偏在も飛ばされた羽の一部に切り刻まれる。
三人目、・・・その姿はなかった。オスマンはいつのまにか沖田のそばにその姿を移し、左手に巨大な水塊を作る。
「ふん!!」
地面に倒れる、沖田の背中からその水の塊を流し込むように、左手を沖田に振り下ろす。
「・・・・あり?」
沖田の傷はあっという間に癒され、沖田は起き上がると目の前の老人に眼を疑う。
「あんた、あのエロジジィかィ?」
「沖田殿、いますぐこの学院の守りを近藤殿と整えよ、あのフーケがこの学院に危害を及ぼす可能性がある。」
「・・・・エロジジィがそんな顔で言うとなると聞くしかねェでしょうねィ。」
沖田は納刀し、オスマンから踵を返すと全速力で学院に向かう。
「そんな顔か、・・・エロジジィでも死ぬ前の顔は生意気な小僧に言う事を聞かせるくらいはできるのかのぉ・・・。」
苦笑いするオスマンの眼前にフーケが抜刀の構えのまま跳躍でとびかかる。
銀時は馬を全速力で走らせ、目的地に向かう、痛みを我慢しながらサイトもルイズを乗せた馬に跨り、胸の触手の入り込んだ傷を見る、傷は浅いが体力を抜き取られた感覚にサイトはふう、と溜息をつく。
「ちょっと、あんた大丈夫なの?」
「ああ?俺の胸よりお前の平べったい胸をあのティファニアにどうやって大きくするか聞くことに専念しろよ。」
「はぁ!?あんたご主人様に向かって何を・・。」
サイトの表情見た瞬間ルイズは口を噤んだ、痛いだけじゃない、主人を守り切れなかったサイトの悔しさに自身の表情を歪め、歯を食いしばり、おのれの怒りを抑えているサイトの感情を何となく察したルイズは何も言えない。
あの時、銀時が来なければ二人とも死んでいた。
「サイト!!」
銀時は馬上から声をかける。
「今は余計な事を考えるな!向こうにいる敵に集中しろ!!」
「なに?・・・。」
サイトとルイズは目の前の巨大な空中の影に眼を向ける。
そこには巨大な戦艦、そして銀時はその舟の甲板からこちらを見る一人の人影に注視する。
左目の包帯に煙管の煙をくゆらせ、和装のその姿は見間違うはずもない。
「高杉ィィィィィ!!」
銀時は声を荒げ、その戦艦が降りようとする場所に馬をさらに加速させる。
オスマンは実は瀞霊廷出身でした。(嘘)
めでたしめでたし。