ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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今日は連投しよう。




第三十七話 大地に還る時

学院の外、オスマンは剣を構え、抜刀の構えのままのフーケを睨む。

 

「さて、終わらせようかの。」

 

オスマンはローブの上半身を破り、自身の体を身軽にする。その老人とは思えない筋肉を詰め込んだ肉体、そして無数の傷跡、オスマンはそれを一瞥し、フーケを見据える。

 

「フーッ・・」

 

フーケの獣のような息使いがオスマンの心に響く、なにもかも自分の責任、ここで彼女と地獄に行くのも友人との約束。

 

覚悟は決めた、あとは実行するのみ。

 

 

 

 

 

オスマンの記憶の回想。

 

「本気かの?このままウエストウッド大公に付き従うつもりか。」

 

オスマンは広い庭で長い自身の白鬚をいじりながら目の前の友人であり弟子のサウスゴータに質問する。

 

「ええ、オスマンさん、私の覚悟は決まっています、大公に仕え、死ぬ、それ以外のことは考えていません。」

 

グリーンブロンドの変わった髪の毛に鎧姿、そして口ひげを整える男は振り返りオスマンに頷く。

 

「話によればあの大公、エルフの妾の子をここに匿えと言っておったな、なにを考えそのような・・・。」

 

「大公の妾の子は・・・・虚無です。」

 

「な!!」

 

「彼女が王党派に渡れば、・・・もうわかっていましょうが、王党派と名乗る貴族派の一味に渡れば、この国は、いや、世界は悪い方向に変わってしまう。王党の中にも貴族派に協力する者がいる、貴族も王党も信用はできません。」

 

「お主・・・。」

 

「私は家族の事を考えてはいたが、妻の一言でこの考えに決意できました、私は娘と虚無の子を守って死ぬ、そしてこの場所で彼女たちが死んだことにする。」

 

「な・・・。」

 

「オスマンさん、長い事私に魔法を教えていただきありがとうございました、どうか・・あの子達をどこかでみかけた時があれば、今度は守ってやってください。」

 

自身の庭で外から聞こえる戦禍の音、それにサウスゴータはふうと息を吐く。

 

「子供達は森に遊びに行ってます、おそらく気が付くでしょう、妻は森に逃げた体を装い、子供達をギリギリまでここに近寄らせません。」

 

「・・・・なぜ、そこまでする。この国は・・お主達を!!」

 

「家族で逃げた先でも同じ事ですよ、このサウスゴータとウエストウッドの名前がある以上、それに、私の娘は強い、ティファニアはとても優しい、相性はいい、それにね、私が使えているのはもう大公ではないんですよ。」

 

「・・・・。」

 

「あの子が生まれた瞬間、私も妻もあの子の従者ですよ、親っていうのはそういうもんでしょう。年老いながら彼女たちの成長を見守り、時が来れば大地に還る、そういうもんですよ、・・・それが早まっただけの事。」

 

「わかった、ならば・・・せめてもの付き合いじゃ。ワシもこの戦、付き合おう。」

 

「ありがとうございます。」

 

外の門が破られた瞬間二人の眼は変わった、オスマンは庭にティファニアとマチルダそっくりの錬金魔法で作った偽の肉体人形をすかさず作り上げた。

 

「錬金、お見事、でももう少しカワイイですよ?マチルダは。」

 

「それは失敬。」

 

「サウスゴータ!!貴殿の裏切りもここまで!地獄にその罪を背負って死ぬがよい!!」

 

屋敷の中に乗り込んだ兵隊長を見据えると二人は弾丸のように杖と剣でとびかかった。

 

 

燃え盛るサウスゴータを見ながらオスマンは満身創痍で断崖に佇む、その視界には戦禍から逃げ惑う民の中にマチルダとティファニアが映る。

 

反対の森ではサウスゴータの妻の死体が血の海の中に横たわる。

 

「すまぬ、・・・・虚無の子よ、そしてマチルダ。」

 

 

 

その場を後にしたオスマンは数年後、酒場で働くマチルダを見かけた、すぐさま声をかけ、エロジジィと罵られながらも自身の学院に招く。

 

次はワシの番じゃな、やれやれ、大地に還るのはいつになる頃か。

 

 

そう心に秘めたまま彼女が怪盗フーケであると知った時はあまり驚かなかった。

 

 

サウスゴータよ、彼女は強い、じゃが、その強さも今では獣にまで落ちてしまった。

 

ワシのふがいなさを許せ。

 

彼女と相打ち覚悟でこの件は納める。すまぬな、サウスゴータよ。

 

 

 

 

 

 

過去の記憶を振り払い、オスマンは今、この時に集中する、眼前にはフーケの抜刀の態勢の姿、自分に抜かれたその刃が自身の首にかかる瞬間、オスマンは風の魔法で切れ味を増した、剣を突きでフーケの左胸を突き刺す。

 

態勢の崩れたフーケの刃はオスマンの首から下の胸元を切り裂く、赤い血がフーケの顔面を濡らす。

 

フーケの左胸は剣が突き刺さり、肉体の活動は停止した。

 

 

が、オスマンは一つ見逃していた。

 

アンドバリの指輪。それが視界に入った瞬間、オスマンは自分の考えの浅はかさを思い知る。

 

オスマンの手から離れた剣を抜き取ったフーケはゆらりと紅桜を上段にやる。

 

そのままオスマンの右腕は切り裂かれ、オスマンの顔にもう一太刀が加えられる。

 

胸、腕、顔、オスマンは血まみれになりながら地面に倒れる。

 

フーケの心臓は紅桜で急激に再生され、そしてアンドバリの指輪はその肉体の生命活動を補う。

 

「フー・・・・フー・・・。」

 

フーケは赤い血まみれの顔で赤い眼で当たりをうかがう

 

コノナカニハイナイ

 

 

そしてはるか向こうの草原を見てフーケはオスマンの体に紅桜の触手をめり込ませる。

 

学習は完了、彼女の頭の中で学習されたオスマンの魔法。

 

フーケはまるで獣のような態勢を取り、四つん這いになる、

 

イタ・・・ソウゲンニイル。

 

ドン!!

 

弾丸のようにパンサーのような態勢で猛スピードでその場を後にするフーケ、目指すはティファニアのいる草原。

 

「すまぬ・・・サウスゴータ。」

 

オスマンは血の海の中で暗転する。

 

 

 

大丈夫ですよ、あの子は強いって言ったでしょう。

 

 

そうオスマンは幻聴を聞いた気がした。

 

 

 

 

 

時間は少し進み。

 

 

「マチルダ・・・・・姉さん?」

 

変わり果てたマチルダにティファニアは顔を青くする。獣のような息使いに血まみれの体、そして背後には刃の翼、そして癒着するように一体化した刀。

 

「テ・・・・。」

 

「??」

 

「テ・・・ファ・・・。」

 

「姉さん??」

 

「ふ、・・・ふふふ・・。」

 

「姉さん!!!」

 

「姉さんはいないよ?巨乳のお姉ちゃん。」

 

急に饒舌になったマチルダはゆらりとティファニアに脚を運ぶ。

 

「ようやくこの女の体と心を乗っ取れた、いやいや、魔法ってのはすごいねぇ、しかも俺の抜刀に匹敵する剣術や懐かしい敵とも出会えた。」

 

銀時はその声にまさか、と振り返る。

 

盲目の剣士、岡田似蔵・・・その姿がマチルダに一瞬重なる。

 

「・・・改良紅桜、俺の意志がこの刀に移植されたのは驚いたがねぇ、高杉さん、こうなる事を考えて俺をこの紅桜に閉じ込めてこの国にながしたのかぃ?」

 

「作った相手に聞きな、ゲルマニアだったか?俺は知らねぇな。」

 

「やれやれ、それでも元上司かねぇ・・・おっと、銀髪のにいちゃん、久しぶりだねぇぇ・・・。」

 

マチルダの姿のままの岡田に銀時は高杉に振り返る、もはやそこに高杉の姿はいない。

戦艦の甲板の上で優雅に月光の光を浴び、悠然と佇む姿に銀時は怒りを覚えた。

 

「テメェ!!降りて来い!!何考えてこの国にちょっかい出してんだ!!」

 

「おおっと・・・。」

 

マチルダ改め、岡田はティファニアの髪の毛をつかみ、馬から引きずり下ろす。

 

「きゃ・・・・!!やめて!姉さん。」

 

「だから姉さんはいないよぉ?」

 

ニヤニヤとマチルダの顔で笑う岡田がティファニアに映る。

 

高杉は無言で笑い両者を見る。

 

「なぁ、岡田、そいつら殺してその娘ここに持って来たら復帰させてやるぜ?」

 

マチルダの顔で岡田はくくくと笑う。

 

「イイネェ~最初の仕事としては上出来ダァ~。」

 

岡田は銀時に刀の刃をつきたて、乱暴にティファニアの髪の毛を離し、彼女を地面に紅桜の触手で縛り付ける。

 

「姉さん!!」

 

「さぁ、兄ちゃん、もう一回殺し合おうかぁ・・・。」

 

「ふざけんじゃねぇぇぇえぇぇ!!」

 

銀時の木刀とマチルダの刀が交錯し、火花が飛び散る。

 

銀時とマチルダの決戦の火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 




ああーあとは戦うだけ、いやはやもうすぐ終われるかな。
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