ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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第四十話 侵入

春の夜は心地よい、寒くもなければ、暑くもない、今宵は満月の月光に照らされて杯を一杯傾けるのにはちょうどいい、高杉はそう考えながら自分の足元で斬りあいに興じる昔の友人と今の仲間を眺め、煙管の煙を吐き出す。

 

「動かないで・・・。」

 

高杉の背後に立つタバサは無表情に彼に杖を突きつける、彼女の背後には戦闘不能の部下が転がる。

 

「船内の隊員は全部始末した、あとはあなただけ。」

 

高杉は思う、どんな人間でも見ず知らずのたとえ敵でも殺すのには躊躇するものである。しかしこの娘は始末という言葉を放った、なかなかの逸材だ。

 

 

 

 

 

「そうかい、で?」

 

「あなたの目的は何?前の学院を襲った連中と同じ匂いがする。」

 

無数の人間の血の匂い、それまではタバサは言葉を発しなかった。

 

タバサは同時にこう思う、今、まさに少しでも詠唱を終わらせればこの男は無事では済まない、だが、この男は悠然と煙管の煙を吸い込み、吐き出す、まるでそれが日常かのように、もしくは、自分の知る男、叔父のあの男と同様、感覚が狂っているのか。

 

振り返ったこの男の顔には不気味な笑みが浮かべられている。

 

同じだ、この男はあの叔父であり、王であり、憎き敵のあの男と同じだ。

 

「いい面構えの娘だな。お前さん・・・こっちについてくる気はないか?」

 

「冗談。」

 

「だろうな、お前さんは俺を殺すのに躊躇しない、俺から聞きたいことを聞き出せばそれで終わりにするんだろう?後ろの部下と同様にな。」

 

「・・・・。」

 

この男の言うことは当たっている、そして私は何かあの男との繋がりがあるようで聞き出したい。

 

「青い髪の娘を見たらこう伝えて欲しいと、友人から言われた。」

 

「!!」

 

「もう、待てない。・・・とな。」

 

タバサは杖を振り上げた、詠唱は終わった、その黒い瞳に高杉を捉え、鋭利な氷柱を放つ。

 

その鋭利な氷柱は高杉の頭に突き刺さる。・・・しかし、それはまるで幻影のように掻き消え、タバサの背後には奇妙な仮面をかぶった長身の男と高杉が刀をタバサの首筋にあて、にやり、笑う。

 

この仮面の男の魔法だろう。まるで本物と見分けがつかなかった、しかもいつ入れ替わったのかもわからない。

 

「まぁ、見てな、小娘。あの銀時の戦いっぷりを。」

 

高杉は刀をタバサから離す。鞘に納めた刀の音を残し、あとは船内の暗闇に消える、気が付けばあの奇妙な仮面の男もいない。

 

タバサの背中にはいやな汗が流れた、初めて無表情な顔を崩し、死ぬ一歩手前で人間が見せるような絶望の表情で甲板に膝をつき、四つん這いに伏せる。

 

「そう、・・・もう時間がない。」

 

高杉の最後に自分の耳元で言った言葉をタバサは再確認した。

 

 

次のターゲットはあの銀時だとよ。

 

 

 

 

 

「おい、本当にそれでいいんだな?」

 

「おうよ、俺にかかればイチコロよ。」

 

「ま、一番つらいのは俺ってことかよ。」

 

「いくわよ、合図したら・・・一斉に、・・3・・・2・・・。」

 

銀時とサイト、デルフ、ルイズが作戦の再確認をひそひそと話し合う。

 

「・・・・1!!。」

 

ルイズの掛け声と同時に二人と一振りが勢いよく悠然と佇むマチルダに飛び掛かる。

 

「「レッツ!パ~~リィ~~~~!!」」

 

銀時とサイトは歯を食いしばり、マチルダの両脇に着地し、互いの武器、木刀とデルフをマチルダの顔面にめがけ、放つ、マチルダは余裕の表情でその攻撃を紅桜ではじき、避ける。

 

「どんな作戦かと思ったら只の特攻かねぇ。」

 

「「おらああああああ!」」

 

銀時はマチルダの左側から攻め、サイトは右側から攻める。

 

一撃二撃と銀時の木刀はマチルダの頬をかすめる、サイトの抜刀も躱し、マチルダは地面に紅桜を突き立てる。

 

「あ!!」

 

「ちきしょう!」

 

地面が隆起し、サイトはとっさにマチルダの持つ紅桜の刃を掴む。そのままサイトは隆起する大地が形成する巨大ゴーレムの右肩に乗った形で血のにじむ手のひらをぬぐい、再度デルフを掴んだ。

 

「どうよ、相棒。」

 

「ああ、いける、可能性はある!!」

 

一方の銀時は地面に転がり、木刀を構えなおすまで時すでに遅く、巨大なゴーレムの脚の裏が視界に映る。

 

「やべええええええ!」

 

轟音と共に、ルイズから見て銀時はゴーレムの脚に押しつぶされたかのように見える。

 

顔面蒼白のルイズは銀時に駆け寄ろうとするが。

 

「あ、あぶねえええええ!」

 

間一髪銀時はその脚踏みをよけ、木刀を咥え、ゴーレムの脚をよじ登る。

 

加速する銀時のよじ登りはやがて二本足で走る形になり、ルイズは銀時の身体能力に驚く。

 

「あんたホントに人間なの!?」

 

「うっせぇ!早くしやがれまな板女!!」

 

「じゃかましいわァァァ!!」

 

ルイズはマチルダの乗るゴーレムの頭上目がけて爆破を放ちまくる。爆煙の中、視界を奪われたマチルダは周囲を警戒する。

 

「そこだな!!」

 

マチルダの突きが放たれ煙が切り裂かれる、突きの感触はあった、マチルダの握る紅桜の刃の先には右肩を貫かれた銀時。

 

「よぉ・・・。」

 

銀時は歯を食いしばり、渾身の力でその紅桜を止める。

 

「な・・・。」

 

「つーかまえたぁ!」

 

銀時はニヤリと笑い、紅桜の刀身を掴む、その瞬間にルイズの爆破魔法が再度マチルダの紅桜の癒着部分をはがすように炸裂する。

 

「いよっしゃああああ!」

 

サイトが煙の中から現れ、紅桜に掴みかかる。

 

「紅桜とやらを砕くのは無理だ、頑丈すぎておれっちにはできねぇ、だったらよ。」

 

「デルフが乗っ取ればいいってわけだ!!」

 

「キサマァァァァア!」

 

紅桜を分捕ったサイトはデルフをマチルダの右腕を突き、左手で紅桜を握る。

 

「よっしゃこおおおおおお!」

 

突きの勢いは止まらず、銀時の左肩を貫く。

 

「いでぇぇぇぇぇ!!」

 

銀時は木刀を落とし、マチルダの首を両手でがっしりロックする。

 

サイトはデルフを銀時、マチルダの両肩から引き抜き、跳躍し、ゴーレムの右肩に戻る。

 

「な!!」

 

「まぁ仲良く飛ぼうや、ねえちゃん。」

 

紅桜と切り離されたマチルダの体の動きが一瞬止まり、銀時はそのままゴーレムから墜落する。

 

地面に叩き付けられた銀時は全身からいやな音を聞きながらマチルダの体を自分がクッションになりながら庇う。

 

「うがああああ!」

 

全身の痛みを耐え、それでももがく紅桜の支配の余力にマチルダの体が暴れるのを全力で抑える。

 

間近に墜落してきたマチルダと銀時に驚き、ティファニアは触手をかみちぎり、マチルダの元に駆け寄る。

 

「マチルダ姉さん!!」

 

「早くしろォォォォ!サイトォォォ!」

 

サイトは紅桜を左に握り、デルフを右に握り締め、両方をゴーレムの右肩に突き刺す。

 

「いくぞ、デルフ!」

 

「おうよ!!ここからが正念場だ、相棒。このクソッタレの刀に乗り込むぞ!」

 

この作戦を考えたのはデルフだった、ルイズの攻撃がなぜかマチルダの回復を遅らせるのは銀時が見ていた、ならばこの方法と、マチルダの体から紅桜を引きはがし、この紅桜をデルフが乗っ取る。乗っ取るにあたってはパソコンのケーブルのような役目が必要、接続に使うのはサイトのガンダールヴの能力。

 

あらゆる武器を使いこなす能力なら、紅桜の支配をサイトの体を使うことで乗っ取られるのに耐させ、逆にデルフが支配しやすくさせる。並みの人間にはできない作戦・・・・

 

 

 

サイトの視界が暗転し、いきなり現れたのは真っ赤な空の森だった、サイトは当たりを見渡し、何かの声を耳で拾う。

 

子どもの女の子の声、それは鳴き声だった。

 

「デルフ・・・。」

 

「ああ、この森のはあのお姉さんのイメージだ、・・・探せ、相棒、彼女とヤツはこのイメージの中に存在する、・・。」

 

 

紅桜の人工知能のイメージの中に侵入したサイトとデルフは森の中に脚を踏み入れる。

 

 

 

 

 

 




次回、ホラー展開。

あー長すぎた、マジ後悔。
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