「おい、トシ!トシ!!」
「う・・・うーん・・・近藤さん?」
土方は重い体を起こし、近藤の顔を寝ぼけ眼で見る。
「どうした!トシ!なにがあった?なんでお前ら寝てた!?」
「・・・・。ここどこ?」
虚無の忘却の魔法にかかっていた土方に記憶はない、近藤は早口で土方にいきさつを説明する。土方ははっと、し、斎藤に自分の思い出した記憶を離す、斎藤も思い出し、あたりをキョロキョロしながら標的のミシェルを視界に納める、ミシェルも斎藤を見た瞬間自分の任務を思い出し、剣を抜いた。
「誰がアバズレだァァァァァチェリー野郎!!」
[うるせえ!アバズレ○○○女!]
「はーいそこまで、おふたりさんッ!」
沖田は斎藤とミシェルがぶつかる寸前に両者に足払いをし、地面に叩き付ける。
「任務はもう終わってますぜェ。」
沖田の指さす方向を両者が見る。
そこにはマチルダとティファニアが泣きながら抱擁する二人の姿が。
アニエスは己を縛る縄を簡単にほどき、土方に眼を合わせる。
「・・・・帰るぞ。」
「は?・・あの、隊長?」
「ティファニア殿は真選組一同に保護、怪盗フーケは・・・。」
「フーケ殿は騒動に巻き込まれて死亡。ロングビル秘書はその場に巻き込まれるも無事生還。後日何があったか調書は取る。」
状況をあらかじめ山崎に調べさせておいた報告書を見ながら近藤はそうつぶやくと何も言わない。そのつぶやきを聞いたアニエスが馬に跨り、ミシェルにこくり、と頷く。
「そ、・・・そうっすね!そのとおりでしたァ!」
ミシェルは斎藤を一瞥すると、斎藤もミシェルに踵を返し、風の吹く草原の先のティファニアとマチルダを眺めた。
その直後、巨大な戦艦が轟音を上げ、爆発し、炎上する戦艦の炎の中からシルフィードに跨ったタバサが上空を旋回する。あたりにあの高杉の一味の姿はない、とっくに逃げおおせたようだ。
タバサは無表情に舌うちをし、シルフィードの高度を下げる。
「んでさァ・・・土方さん。」
「何だ総悟・・・。」
「あの土塊・・・・岡田じゃね?」
「・・・・・・。」
火のつきかけたタバコをポロリと口から落とし、ゆっくりと動くゴーレムに土方は驚愕する。
「なんじゃありゃああああああ!」
「な・・・・。」
マチルダは驚きのあまり、ゴーレムを見上げたまま動けない。ティファニアは最後の最後に訪れた恐怖に腰を抜かす。
「はぁ・・・あの岡田って奴、最後の悪あがきで知能の一部を前のおれっちの剣づてにゴーレムにうつしやがったな。」
デルフの言う通り、ゴーレムの顔は怒りの形相の岡田似蔵のものになっていた、ゴーレムの動きは緩慢、マチルダの魔法でもなく解除は彼女の力ではできない、人の形をし放置されたゴーレムに人工知能の一部を乗せ換えた動く巨大ゴーレムを前に銀時は正直あきれていた。
「あーあ。ったくよぉ。」
「ホントにやってらんねーわ。ストーカー野郎。」
「ホントよね、だってあのゴーレム。」
ルイズを先頭にサイトと銀時がゴーレムにあきれながら歩を進める、まるで恐れをなしていないその態度にティファニアとマチルダはぽかーんとその三人の後ろ姿を見る。
「白夜叉ァァァァァァ!!!!」
騒音にも近い似蔵の叫びをあげるゴーレムはその巨大な拳を銀時達に振り上げる。
「「「あいつ、後ろの状況よくわかってないじゃん」」」
三人が声をそろえて言葉を発するとゴーレムの動きが急に止まる、いや、止められる。
ゴーレムの首は後ろにねじれ、背後の状況を見て驚愕する。
「ふんぬうううううううおおおおおおおお!」
神楽を先頭に、ゴーレムの両肩に絡みついた鋼鉄製の錬金で作成した注連縄を引っ張る真選組隊士と学院生徒達が全員渾身の力を込め、ゴーレムの動きを封じるため、綱引きをしていた。
そこにはキュルケやモンモン、シエスタや新八、ギーシュにヴィリエにマリコヌルの姿がある。
「コンサートの締めは学生全員の数十キロマラソン大会と綱引き合戦だ!!」
「コンサートって運動会だっけ??」
新八のツッコミとギーシュの叫びに、死にそうな顔の生徒全員と真選組隊士全員がゴーレムの体を一気に引っ張る。いくら巨大なゴーレムでもその勢いに拳のうごきは封じられる。
ゴーレムの顔面はルイズの爆破により轟音と土煙を上げ、その顔に巨大なヒビを走らせる。
ルイズの両隣をサイトと銀時が悠然と通り、木刀と紅桜を振るう。
「「さっさとひっこめや!ストーカー野郎ォォォォォ!」」
二人は走り出し、一気にゴーレムの顔面に向かって跳躍する。ルイズは両者の脚元を爆破させ、ロケットのように二人をさらにゴーレムの顔面に躍進させる。
「「おおおおおおおおおお!」」
二人の咆哮と共に、ゴーレムの顔面は木刀と紅桜の突きで派手に砕け散る。
両者の突きの先には赤い宝玉のようなコアが光る、コアもまた、紅桜と木刀によって粉砕される。
ゴーレムは後ろにゆっくりと倒れ、土砂のように音を立てただの土塊に戻る。
巻き込まれまいと、生徒と隊士達が蜘蛛の子を散らすように逃げる。
土塊の頂点に着地した銀時とサイトは燃える戦艦を背景にティファニアとマチルダの眼にはこう映った。
「すごい・・・まるで。」
「ああ、二人のイーヴァルディじゃないか・・・。」
次がエピローグです。