第四十四話 女教師とは言わずに最近は女性教諭と言うのは確実にアレを意識しているからでしょ、絶対。
フーケの騒動から数日後、銀時は魔法学院の迎賓室に呼ばれていた。
「おお、英雄のご登場じゃぞ。」
「うっせーよ、ジジィ、今度は何?左手ロケットパンチにでもしてもらいたいのか?」
銀時はまたも鼻をほじりながらオスマンの座るソファーの前にどっかりと座る。
包帯も取れ、顔に付けられた斜め一文字の刀傷が痛々しく残ってはいるが元気な様子だ。
「久しぶりだなぁ、ロング風呂先生。」
「ごほん、・・・・ロングビルだよ、あたしゃ長風呂は好みじゃないんだ。」
オスマンの隣には学院の教師を務めるロングビルが教育用の冊子を片手にオスマンの隣に佇む。
「お主も元気そうじゃの、まぁお主には少し依頼があってじゃなぁ。」
「はー・・・依頼ねぇ、あの巨乳娘のパンツでも取ってきてほしいのか?隣の女教師がゴーレムの代わりにゴジラ召喚するぞ?そのうち。」
「そんな事一言でも言ったらすぐにでもこのジジィ左手もぎ取って肛門にぶっ刺してあげますわ。」
オスマンと銀時はロングビルの言葉に青ざめる。
「む、・・・ま、まぁそういう話ではなくてじゃな、今、ミス・ロングビルにはティファニアの孤児たちの為に作った初等部の授業を見てもらってるんじゃが。」
「ほー、だから秘書から教師にねぇ、・・・いいじゃねーか、ガキには授業を受けながら授業をどうサボるかを試行錯誤する知恵をつけるのが必要なんだよなぁ。」
「えらく方向の違う教育を受けたんじゃな・・・じゃが、まぁ問題はそこじゃ、今の今まで孤児として生きてきたあの子供達、どーにもミス・ロングビルは厳しくできないらしくてのぉ。」
「あーん?厳しくできないだぁ?」
「そうじゃ、講義室一時間を授業しようと思っても、皆ミス・ロングビルに甘える子供やセクハラする年長者の子供、おまけに授業中にティファニアちゃんに会いに行く子供もおっての、おまけにこのミス・ロングビルも気丈な性格のくせに強く言えないこともあってのぉ。」
「だ、・・だって、あの楽しそうな顔見てたらつい、さぁ。」
今までティファニアの事もあり、戦争孤児でもあった生徒達は日常に本当の意味で気が休まることがなかったのだろう、今になっては身の保証もあるこの日常を満喫するのも時と場合によって切り替えなければいけないという事を教えてやらなければならない、とオスマンはそう銀時にあと付ける。
「しゃあねぇ、んじゃちょっと揉んでやるか。」
銀時はいつになくやる気でその依頼を飲んだ。
「ちょっと!乱暴するんじゃないよ!女の子の生徒もいるんだからね!」
「おいおい、暴力を振るうわけじゃねーんだ、子供の時から人生の厳しさをちょろーっとおしえてやるだけだっつーの。」
「お主は世界史を頼もうかの、何、ヌシの国の歴史を教えてくれればいい、これからは外国の歴史も知る必要があるからのお。」
「あ、あともう一人教師を頼んだ人物がいての、今日は二人紹介ということで授業を進めてくれんか?」
「なんでも哲学を昔専攻してたらしいのよ、国語、道徳がいいと思ってトリスタニアで知り合った人に頼んだわ。」
「ほーそいつは面白そうだ、んじゃまぁ言ってくらぁ。」
オスマンとロングビルの話をある程度聞いた銀時は肩をぐるんと回しながら迎賓室を出る。
「・・・・大丈夫かの、頼んではみたが。」
「さぁ、・・・あたしゃ知らないよ、どうなっても。」
とある講義室の一室、教師の登場に生徒たちは机に座り、初めて見る他人である教師に緊張感を持ち、授業を受ける。
しかし、どこにでもふざける子供はいる。
黒髪の和装の男。
教壇に立つ教師にむかってにやけ顔で子供は言葉を発した。
「センセー、早退していいですか。?」
子どもたちはクスクスと笑いながら教師の反応を伺う。
それでも教壇に立った教師である男は神妙な面持ちで子供達を見つめる。
子供達もその真剣なまなざしに改めて目の前の教師に緊張を走らせる。
「先生じゃない!桂だ!!」
そう大声で言い放つ桂に銀時は踵落としをお見舞いした。
桂は教壇の机に頭をめりこませ、その隣のエリザベスはプラカードをかかげ自己紹介をする。
(エリザベスです、科目は体育です。)
「何してんの?お前。」
「久しぶりだな銀時、お前を追いかけてトリスタニアという都市に脚を運んだのだが、その時に教師のアルバイトがあると聞いてな、ここに赴いた次第だ。」
「あ、あの、先生、授業・・・。」
「見ろ!銀時、何も言わずとも授業をしようとする子供達の眼差し!話に聞いているよりずっといい子達ばかりではないか!」
「お前、変な授業したら学院に言いつけるからな。」
「うむ、・・・おほん!さて、私はさっきも言った通り、桂 小太郎、彼は坂田銀時だ、今日から諸君らに授業を見る教師である。」
簡易な自己紹介を終え、桂は教壇に立ち、生徒に向かってとある教材ビデオを取り出す。
「まずは諸君へ道徳を説きたい、何、簡単な人間関係についてのものだ、まずはこの資料を見て私の質問に答えてほしい。」
銀時はなかなかの授業の仕切り方に関心する、攘夷浪士の長、腐っても大勢の人間を率いるリーダーとしてこの職業は似合っていると心でそう思う。
教材のビデオをスクリーンに映し出す。
そこはある一室の映像だった。
ねぇ、ちょっと?サイト!私のパンツ知らない?
はぁ?知るかよ、つーか、なんでお前はパンツの所在を俺に聞くんだよ、俺はお前の引き出しですかぁ?
あんたにいつも洗濯頼んでるでしょ!?どこに仕舞ってるのよ!
引き出しの三番目だよ!
ちがーう!パンツは引き出しの四番目!いつになったら覚えるのよ!!
へいへい、細かいこって、ルイズお嬢様は使い魔にパンツの洗濯頼んでも恥ずかしくないんだってよ・・・。
・・・だってあんた私の使い魔じゃない。
へー、じゃぁなんであの時キスをためらったんですかねぇ・・。
な!・・・あ、あんただってちょっと抵抗あるような態度するから!!
そりゃ、・・抵抗あるだろうが、・・お前、その、女だしよ。
へ?
まぁ、別に特に意味はねぇけどよ、俺だってそんなに女の子にキスされたことないんだぜ、・・・思春期の男にしたらよ、そりゃぁ・・まぁ。
な、・・・なななな!何言ってんのよ!あんたいきなり!
・・・・・
・・・・ま、まぁ私も悪かったわよ、あんた使い魔の前に男だもんね、これからは私が自分のは洗うから。
あ、ああ。わりぃ、変な事言っちゃって。まぁ、そういうことだからよ。これからこの部屋で二人で暮らすわけだからよ、ちょっとはお互い気を付けようや。
うん、・・・・わ、わかった。でも、勘違いしないでよね、あんたはこれからも使い魔、私はご主人様、わかった?言う事は聞くのよ?
はいはい、ご主人様。
よし、・・・・じゃぁお詫びとこれまでのご褒美に
なんだよ、・・・。
日曜日はトリスタニアに行くわよ、服でも買ってあげる。
満面の笑顔のルイズの顔でその映像は止まる桂は神妙な顔で生徒達に口を開く。
「さて、この二人はABCどこまでヤった仲でしょう。」
「「ちょっと待たんかいッィィィィィ!」」
ルイズとサイトのダブルの飛び蹴りが桂の頭に直撃した。
「な、なによ!これぇ!!いつ撮ったの?今日の朝じゃない!!」
「なんで教師が生徒の会話盗撮してんだよ!しかも教材扱い??」
桂は顔面血まみれで腕を組み、
「いや、たまたま寮の見学をしていたらこれでもかとツンデレルイズ殿の寸劇を見かけた物でな、良い教材になるかと・・・。」
「つーかお前ら同じ部屋でくらしてたんかよ。」
銀時は飽きれた顔で二人を見つめる。
そして銀時はサイトの肩をぽんと優しくたたく。
「サイト、お前、ゴムは使えよ。」
「じゃぁかましぃわ!ボケ!優しい言葉かけんなよ!うっとおしいんだよ!!」
「はーい、先生、みんなCだって言ってます!」
「うるせぇクソガキ!こんなもんに応える必要ないわよ!!」
サイトとルイズが顔を真っ赤にして子供と銀時の質疑応答にツッコミを入れる。
気が付けば教室中がサイトとルイズの関係についてひそひそと話しをしている。
Aだろ、いやC・・・いや、ご主人様とか、・・・なんか不潔。
サイトは教壇の上でワナワナと拳を握り、バシン!と教壇を叩く。
教室は静まり返り、サイトに注目する。
「お前ら、いい加減にしろよ、ちょうどいい、・・・こんなクソ教師より俺が直々にお前らガキに教えてやらぁ・・・。」
生徒達はサイトの迫力に緊張し、手に汗握り、唾を飲み込む。
「いいか!男に威張り散らす女は最低でもおっぱいCくらいになってから物いいやがれ!こっちだってこんなまな板に毎日毎日しょうもないことでこき使われて下半身のテンションダダ下がりなんだよ!!特にお前ら女生徒はまずティファニアを見習いやがれ!!」
サイトの説教と同時に廊下の講義室のドアが轟音でぶち破られ、ルイズ以外の銀時、桂、エリザベスとサイトが巨大なゴーレムの拳に直撃し、外への窓から屋外に放り投げられる。
ロングビルはゴーレムをひっこめ、教壇を叩く。
「いいかい!あんな大人になりたくなかったらこれからあたいの言う事をよく聞いて授業を受ける事!授業中ティファニアに会いに行くのも禁止!!わかったかい!?」
生徒達は全員起立し、ロングビルの言う事に大声で応える。
「「はい!ミス・ロングビル!!」」
「いい?あんたら、私はまな板じゃないわ!着痩せするタイプなの!」
「「いや、どう見てもまな板でしょ。」」
講義室には爆撃音が響き、今日の授業は一日中止になったとさ・・・
教師は今日限りで解雇になりましたとさ・・・・