ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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「お、ルイズ!また怒られたのか?」

「うっ・・・うう・・ワルドのお兄ちゃん。」

「まーた失敗魔法で庭荒らしたな?さてはぁ・・・よーし、一緒に兄ちゃんが謝ってやるからルイズ、一緒に来いよ。」

「お父様の彫像壊しちゃった・・・」

ワルドはルイズの手を掴み、庭の湖で泣くルイズの涙をハンカチで拭く。

「さぁ、行こうルイズ、なに、感謝するなら将来僕のお嫁さんになってくれればいいから。」

「うっ・・・・うう、ヤダ。」

「断るんかーい!」

二人はそんなやり取りをしながらヴァリエール邸の庭を歩く。

「将来ルイズはどんなお嫁さんになりたいんだ?」

「えーっとね、オーランドBルームみたいな旦那様に魔法も使えて床上手なお嫁さんになりたい。」

「・・・・床上手の意味知ってる?」

「知らない。でもすぐに分かるってちいねえさまが・・・。」

「あの人、ホントにいい人なのか?」





ルイズの記憶がよみがえる、そして目の前で吐きそうになりながら銀時と彼女の前に歩み寄るワルド。

「お・・・・お兄ちゃん・・。」

「は?」

「ワルドのお兄ちゃん!ひさしぶりいいいいい!」

「はァァァァァァ?妹キャラだったのお前ェェェェェ設定盛りすぎだろ!」


ワルドに飛びつき、抱き着くルイズの背中を銀時はツッコミを入れながら叫ぶ。






第五十九話 風の大陸

風の大陸アルビオン、風石の力で隆起し、浮遊する大陸。

 

そこへ向かう定期便も今は戦争中で全面停止、向かうにはグリフォンか他の手段で向かうしかない。

 

トリステインのラ・ロシェールには様々な舟が着く、そこには戦争中というどさくさに紛れてろくでもない連中が舟を停泊させ、アルビオンに出入りしているという、そのロクデモナイヤツ、俗にいう海賊。

 

「ってことは・・・海賊の船に乗り込もうってか?」

 

「イエス!よくわかってるじゃないか!銀時殿!!」

 

「お兄ちゃん、それ無理があるんじゃない?」

 

「ノー!為せば成る!ルイズ、僕たちには不可能なんてないんだ!今ここでただただお酒を飲んでいるのも情報を得る必要な仕事!決してロシェールの酒場のカワイイ女の子見たさに脚を留めているわけじゃぁない!断じて!あ!お姉さん、住所教えて!」

 

「明らかにナンパだろうが!お前ここに何しに来やがったァァァァ!」

 

銀時はワルドの頭をバーのカウンターに叩き付ける。

 

「ぐ・・・ぼ、僕は一体何をして、気が付いたら海賊の居場所どころか女の子の住所を聞いていた、・・・今起こった事を正直に話すぜ、・・・ポルナレフの名言なんだっけ?」

 

「・・・あのさぁ、お前、・・・ホントに大丈夫なの?ホントに隊長?学院でてもう半日、ここでぐーたら酒飲んで海賊の場所聞こうとしてるけどさぁ、海賊がそうひょっこり顔をだすのかよ?」

 

「正確には海賊とやりとりしてる商人ね、・・・そいつらからうまく海賊の船を聞いてそこに取り入る、でもって海賊目指してるバカに成りすまして船員に入れてもらう、そうよね?ワルド兄ちゃん。」

 

「あ、キミ実家はガリアなんだ、へー僕トリステイン、どう?パンツみせてくんない?。」

 

「話聞けやァァァ!っていうーかお前の作戦だろうが!」

 

再びワルドの頭をカウンターにたたきつけナンパ相手を追い払う銀時はワルドの頭を鷲掴みにする。

 

「いい加減にしろよ、にいちゃん、老けた顔してあんまナメてっとあのでっかい木に括りつけるぞ。」

 

バーからは巨大な世界樹、ユグドラシルが一望できる、そこに舟が停泊し、出港する。

そんな光景を半日見ていた銀時のイライラはマックスだ。

 

「まぁまぁ、おちついて銀時殿、僕はてっきりこういうのが好きなのかなーと思ったんだけどなぁ、すんまそんですわ!ゆるしてちょ!」

 

「なにコイツ、どんだけ軽いの?頭の中も風しか吹いてねーのか!?」

 

「まぁ、昔からこうだし・・。」

 

ルイズはどこかウキウキした気分で任務も忘れ、バーのカウンターの飲み物を飲む、完全に今はいつものツンデレではなく、妹キャラだ、この状況なのに。

 

「・・・・銀時殿、来た。」

 

「あん?」

 

いきなり鋭くなったワルドの眼にルイズと銀時が視線を後ろにやる。

 

荷物を持ったひげ面の商人、彼らはワルドの情報を元にずっと、彼を待っていた。

 

「交渉は僕がしよう、・・・まかせてくれ。」

 

急に頼もしくなったワルドは商人に気軽に話かけ、酒をおごろうと話をする。

 

「あいつ一体ナニモンだよ、おちゃらけたり、急に頼もしくなったり。」

 

「ワルド兄さん、お父様の旧友の子爵の息子よ、幼いころからよく私と遊んでて、面倒見てもらったわ。・・・・家は没落したって話は聞いたけど、騎士で隊長やってるなんて今日知ったわ・・。」

 

「没落ねぇ・・・お前らの社会も厳しいのな。」

 

ルイズは俯き、言葉を詰まらせる。

 

「・・・・他所の貴族の謀殺よ、あんなの。」

 

「・・・・ろくでもねぇ話は今度だ。」

 

銀時は目の前で商人に話をすすめるワルドを見ながらルイズの話に耳を傾ける、誰でも生きていればいろいろある、あの男もその性格の裏にはいろいろと抱えているんだろう。

 

そう考え、再びユグドラシルに眼を向ける銀時。

 

「この分じゃ順調に行けそうだな。・・・」

 

ルイズはポケットの水のルビーを握り、取り出すとそれを見つめる。

 

心の中で昨日の使い魔とのやりとりを必死に振り払い、ルビーを握りしめる。

 

 

大丈夫、使い魔なんていなくても私はできる。

 

 

そう心で何度も自分に言い聞かせ、ルイズは今回の任務のスタート地点。

 

ラ・ロシェールのユグドラシル、海賊の船が止まる停泊所に向かう準備を整える。

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、海賊船と思われる舟の前で銀時達はたむろしていた、正確には仲間に入れてもらう交渉をしているのだが・・・

 

「んで?仲間に入れてもらいたいってか?なにあんたら、なんでこんなとこで海賊しようとかおもったの?」

 

「ワンピースにあこがれて。」

 

「ジャック・スパ〇ウになりたくて。」

 

「すしざんまいに就職したくて。」

 

「いや、帰れ、お前の夢と全然ちがうからここ。」

 

銀時はルフ○のコスプレ、ワルドはジャック・スパ〇ウ、ルイズはすし職人の恰好で目の前の海賊の船員に中に入れてくれとせがむ。

 

「ちょ、まてまて、そうはやまんなって!ちょっとは俺らの話聞いてくんない?」

 

「はいはい、わかったわあった、んじゃそこのルフ○答えて。」

 

簡易な面接がその場で銀時の交渉により始まる。

 

「昔から俺は有名になりたくてな・・・どうすれば有名になれる?そう自問自答した結果、有名漫画の主人公の恰好で同じ職についてありったけの夢をかき集め、探し物を探しに行こうと思った次第なんだよなぁ。」

 

「・・・・次。そこのジャック・スパ〇ウ。」

 

「僕、田舎者でおしゃれを学びたくて、ついついこないだ入ったイ〇ンモールでジャック・スパ〇ウ専門店の服買っちゃって、勢いでオウムまで肩にのせちゃったからこの際本職にしちゃおうかと思って・・・。」

 

「つぎ、そこのお嬢さん・・・。」

 

「ソマ〇アの海賊はすしざんまいの社長が買い取ってマグロ漁船員にしたとか、私もその精神を見習って心機一転、海賊になってすし職人目指そうかと思って、・・・か、勘違いしないでよね!海賊になろうなんてこれっぽっちも思ってないんだから!」

 

「不採用だァァァァァ!最後に至っては実話でも海賊ほぼ夢に見てねぇじゃねぇかァァァァ!」  ※すしざんまいの社長の話は事実です。

 

 

「まぁまぁ、今なら俺たち雇うとオプションですし職人とまな板ついてくるよ?お得だよ。」

 

「誰がまな板じゃぁ!!」

 

ルイズの鉄拳が銀時の頭に叩き付けられる。

 

「はぁ・・・まだやってんの?」

 

「助けてくれよ、お頭にどやされるよ、こんなヤツら採用しちゃったら。」

 

海賊の船員は同僚どうしで銀時達を怪しみ、訝しげに見ながらヒソヒソと話す。

 

 

 

 

ねぇ、ほんとにこれで成功するんでしょうね?

 

ああ、面接にはまず第一印象、インパクトが大切だ。俺に任せろ。

 

この恰好けっこう時間かかったんだけど失敗したら次キャプテン・ハーロックとかでいい?

 

 

 

 

ルイズと銀時、ワルドはひそひそと相談する。その様子を見ていた別の海賊が舟の奥から仲間の肩を叩き、三人をまじまじと見る。

 

「お前らお頭に直接言いな、お頭に任せよう。」

 

 

 

 

 

うおおお!なんだかんだで成功じゃねーか。

 

ホントに成功?これこのまま殺されるんじゃない?

 

あーどっちかというとハーロックよりラピュタのあの海賊のほうがいいかな?40秒で支度できるし。

 

 

 

 

 

三人は海賊に連れられ舟の甲板まで誘導される。

 

「お頭ぁ!新人を希望する連中連れてきましたぁ。」

 

 

お頭と呼ばれる海賊帽子の男はオウムを肩から降ろし、悠然と舟の先を見て、佇む、

オウムは空に舞い、羽を散らせる。

 

「新人?この状況で?」

 

そのお頭を見た銀時含め三人は驚愕する、そのお頭の姿に・・・

 

「船長のジャック・スパロウだ、よろしく。」

 

その姿は顔までそっくりそのままジャック・スパロウだった。

 

丁寧に眼のあたりには黒い帯がかかっている。

 

 

 

 

 

モノホンのジャック・スパロウ出て来たァァァァァァ!

 

 

 

 

 

 

三人は心で叫ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海賊船は停泊所をゆっくりと離れ、上昇する。

 

 

時間は流れ、銀時達の目の前では・・・

 

 

 

「貨物を奪えェェェェェエ!」

 

「「「うおおおおおおおおおおお!!」」」

 

 

貴族の船を襲い、貨物を強奪し、貴族の首を刎ねる海賊の姿があった。

 

血が飛び散り、返り血に濡れるルイズ。

 

貨物の強奪を手伝わされる銀時。

 

マストの上で謎のチェストを奪い合いながら剣戟に応じるモノホンとパチモンのジャック二人と謎のタコみたいな貴族。

 

「ナニコレ、・・・モノホンの海賊じゃん。」

 

「ぎゃあああ!臓物がとんできたぁぁぁぁ!もういやぁぁぁぁ!」

 

ルイズは眼を両手で覆うもさらに返り血を浴びる。

 

 

 

 

 

 

 

「皆の者、ご苦労、ゆっくりアルビオンに着くまで休め。」

 

「はっ!ジョニー〇ップ提督!!」

 

「ジョニー〇ップ言っちゃったよ、この人たち。」

 

銀時のツッコミも風に掻き消え、海賊船はアルビオンを目指す。船はぐんぐん加速し、風を切り裂きながら突き進む舟の上で銀時三人は甲板でへたりこみ、本当にこの作戦は今、成功しているのか自問自答する。

 

「本当にこれ、成功してるの?この勢いじゃ私達、本当の海賊になっちゃうんじゃ・・。」

 

「大丈夫さ、ルイズ、言っただろう、君を・・・・ブラックパールの一員にするって。」

 

「いや、趣旨間違えてるから。」

 

そんなやり取りを三人は交え、ふと、ルイズはポケットに隠していた水のルビーを甲板に落とし、指輪が転がった。

 

「あ・・・。」

 

ルイズは転がる指輪を四つん這いで追いかける。指輪は目の前の人の足元、ブーツに当たり止まる、ルイズが拾うよりも先にその海賊の男、ジャックがそのルビーを拾い、まじまじと見つめる。

 

「始祖の・・・秘宝。」

 

そうつぶやくとジャックは指笛を鳴らし、船内の海賊を呼び寄せる。

 

いかつい顔の海賊たちはジャックの指にある水のルビーを見ると顔つきを厳しいものに変え、一斉に銀時、ルイズ、ワルドを囲み、剣を突きつけた。

 

「「「え??」」」

 

「なぜこれをお前が持っている。」

 

「はえ?」

 

剣をいきなり突きつけられルイズは変な声を出す。

 

「ち!やっぱばれたか、なんでばれた?」

 

「ルイズ、こっちに来るんだ!」

 

ルイズを二人で囲み、銀時、ワルドは変装用の衣装を一気に剥がす。銀時は木刀を構え、レイピアをワルドは抜く。

 

ルイズも戦う決心を決めたのか魔法学院の上に着ていたすし職人の衣装を引っぺがし、杖を構える。

 

ルイズを囲う侍と騎士の姿、その姿を見てジャックはほう、と首を縦に振る。

 

 

「王家の秘宝を貴様が持っているとは・・怪しいとは思っていたがお前ら貴族か。」

 

ジャックは水のルビーを握りしめ、ふふ、と笑う。

 

「お前ら、・・・アルビオンに何の用だ!王党派の人間か?貴族派の人間か!?」

 

海賊の一人が剣を銀時の額スレスレまで近寄らせ、質問をする。

 

「私が忠誠を誓うのはトリステイン王妃、アンリエッタ様だけよ!海賊船を寄越しなさい!さもなければこの二人が全員の相手になるわ!」

 

「お前そのセリフ言ってて恥ずかしくない?」

 

「ふ、・・でもまぁここまで来たんだ、海賊の船奪うのもわるくはないかな?」

 

銀時はワルドと目を合わせ、ニヤリと笑う。

 

「待て。」

 

ジャックは右手を掲げ海賊たちに剣を下させる、降伏か?銀時とワルドは訝しげに周囲の海賊の反応を伺う。

 

「すまないな、こんな格好で出迎えてしまって、そうか、君達がアンリエッタの手紙に書かれていたトリステインの英傑達か。」

 

「・・・・へ。」

 

「海賊は世を忍ぶ仮の姿、海賊の恰好のほうが国の内外で活動がしやすい。」

 

ジャックは声色を変え、ルイズの前に歩を進める。

 

銀時とワルドは構えを解き、ルイズはぽかーんとジャックを見る。

 

ルイズの目の前で水のルビーを指にはめる、するとジャックの指にはめられていた指輪と水のルビーが光る。

 

「風と水のルビー、なつかしいな、アンとはラグドリアン湖でこんなふうに誓いを立てた。」

 

ジャックは自分の顔に手を当て、ベリベリと顔をはがす、そして海賊の服も脱ぎ捨てた。

 

「な!!あ、あんた・・・じゃなかった。・・・あなたは!!」

 

金髪の美青年、白い王族の紋章の衣装にその青年はルイズに向かってほほ笑む。

 

「アルビオン皇太子ウェールズ・テューダー・・・アルビオン家は代々、変装するときはジョニー〇ップ一択だ。」

 

凛とした眼に金髪が風になびく。

 

ルイズ達三人はまたしても心で叫ぶ

 

 

 

 

 

             

          皇太子かよォォォォォォォォォ!!

 

 

 

 

 

 

 




舟はアルビオンの宮殿、ハヴィランドに到着する。

縦長の赤地に三匹の竜が並んで横たわる意匠の国旗が目に入る。

「ようこそ、アルビオンへ・・・。」

ウェールズはそう言い、ルイズの肩を叩く、回りの海賊達も気が付けば海賊の衣装を引っぺがし、王族の騎士の制服に変わっていた。

「えぇ・・・。」

銀時はそう言葉を漏らす。そうつぶやくしかなかった・・・。


「ま、まぁ、作戦は成功・・・ね?」

「そ、そうだな、・・・。」

ルイズと銀時はふう、と息を吐き、当たりを見渡す。

ワルドは舟のマストに上り、停泊所から見える宮殿の様子を見る。

激しい交戦の痕跡、ところどころに穴が開き、宮殿と言うよりは遺跡のようにボロボロだ。外から聞こえるのはおそらく貴族派の兵士の雄たけびだろうか。ちらりと見える城の外の光景はこの宮殿を囲うように広がる兵士の群れ。

日も沈み、夜を迎える。

「思っていたより、王党派はかなり追い詰められているな・・・長居はできなさそうだ。」


ウェールズを出迎えた騎士たちは貨物を見て感嘆する。

「硫黄が手に入ったぞ!!ウェールズ様!これで!!」

「ああ、作戦を実行できる、・・・今日は祝宴だな。」

そう騎士の肩を強く叩きながらウェールズはどこか暗い顔で配下の騎士達と宮殿の方へ脚を向ける。
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