ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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「うぼろしゃあああああ!・・・・・あー・・・気持ち悪ぅ・・・で、どこに行きたいんじゃカイト君、好きなところに連れて行ってやるぜよ。」

坂本はサングラスを光らせ、ニヤリと笑う。が、すぐにきたろう袋に吐しゃ物を吐きながらサイトを見る。

「サイトです・・・。」

名前を間違えるわ船乗りが船酔いしているのわと、見ながら顔をポリポリと指で掻く。

しかも船長とか言ってるから呆れたものだ。

「どこ、・・・どこねぇ。」

サイトは首をかしげて坂本の問いに悩む。

「なんじゃ、どこかに消えて行ったと思ったらお前んいつ戻ってきたんじゃ。・・・・・うおぇぇぇぇぇぇ!クサ!クサいぜよ坂本ぉ!」

サイトの後ろから坂本のゲロ臭に悲鳴を上げる女性の声が聞こえ、サイトは振り返る。

「おい、ガキ、お前ん誰じゃ、ここは商船、お前んみたいなガキが来ていい場所じゃなか・・・はよ失せい。」

鼻をつまみながら陸奥という女性はサイトを見て手の平をヒラヒラと翻す。

「まぁまぁ、陸奥ぅ、わしゃぁ、このカイト君に恩があるんでのぉ、しばらくここにおいてやってはくれんかのぉ?」

「・・・・状況が変わったぜよ。」

「あん?」

「数分後、このユグドラシルの船の出入りが完全に封鎖される、なんでもアルビオンという国の内戦で今日、敵対勢力が宮殿に総攻撃をかけるようじゃ。空路に危険が及ぶ可能性もあるらしいとの知らせぜよ。」

陸奥と呼ばれる女性の言葉にサイトは固まる、真剣な表情で陸奥を見ていたが、眼が合った瞬間、サイトは眼を逸らせた。

「お前んその刀、どこかの兵士か?」

「・・・・。」

陸奥の質問にサイトは何も答えない。不審に思う陸奥はそのサイトの挙動に眼を細める。

「じゃから坂本、いますぐここを出るぜよ、時間はない。」

「ああ、まぁかまわんぜよ、カイト君、はよ決めてくれんか?」

行くつもりはない、行ってもこの戦艦でも着いた時にはもう戦は終わっているだろう。

それに最初からルイズに言っていた、俺は行かない。

その自分に浴びせられた平手、そしてかつての友人の涙。

頭の中でそれらが逡巡する。


「・・・・俺が行きたいのは・・。」







第六十四話 去るか、並ぶか

「宇宙を股にかける商人の戦艦、我々は快援隊じゃ、ハルケギニアの魔法アイテムは宇宙ではよく売れるぜよ。」

 

暗い宇宙の景色を見ながら陸奥は初めて宇宙を見ただろうサイトに戦艦の休憩室の一角でこの船の紹介をする。

 

「すげぇ、ホントに星の外に出ちゃったよ。」

 

サイトは窓にへばりつき、景色を眺める。本当に一瞬の間に大気圏を突き抜け宇宙に出たこの船の性能に驚く。

 

「で?小僧、お前んどこから脱走してきたんじゃ?」

 

「・・・・え?」

 

「トリステインか?それともガリアか?」

 

陸奥の質問にサイトはとぼけるそぶりをしながら無言で陸奥を見る。

 

「まぁ、いい・・・この船を案内するぜよ。見たところ・・・どうも考えなしにここに来たようじゃからの。」

 

何かを知ってか知らずか、陸奥はサイトをあごで呼ぶように休憩室の角を曲がる。

 

「・・・。」

 

「よぉ、相棒、本当にいいのかよ?このままで。」

 

デルフの声にもサイトは反応せず、考えがまとまらない頭のまま陸奥の後ろを追いかける。

 

 

 

 

 

 

 

ハヴィランド、中庭。

 

阿伏兎とルネの死闘が続いていた、頭に血が上った阿伏兎の拳を潜り抜け、ルネはレイピアを阿伏兎に突きつける、しかし、剣先は届かず、阿伏兎は不敵に笑うと壁にまで追い込んだルネに拳を全力で叩き込む。

 

壁がまるでおもちゃの様に砕け、拳を間一髪避けたルネはレイピアを阿伏兎の顔面目がけ、叩き付ける。

 

バキン

 

金属のへし折れる音を聞いて、ルネは戦慄する。

 

阿伏兎の口、強靭な歯でレイピアの刃は咥えられ、へし折れる。

 

「な・・・・。」

 

壁際から脱し、ルネは右足に痛みを感じる。

 

折れたレイピアを素手で掴み、阿伏兎はルネの右足に刃を突き刺していた。

 

「あばよ、クソガキ!」

 

動きが鈍った瞬間、ルネの顔面に拳が再度叩きつけられる。

 

ルネの体ごと地面に叩き付けられた拳から鮮血が飛び散る。

 

折れた刃のレイピアを盾代わりにし、ルネは阿伏兎の一撃必殺の拳を抑え込んでいた。

 

「さっきからちょろちょろと動きやがって・・・まぁいい、このまま押しつぶしてやるぜ、ガキぃ・・・。」

 

阿伏兎はルネの顔面を地面にめり込ませる勢いで折れたレイピアに拳から全体重をかける。

 

「ぐ・・・く・・。」

 

阿伏兎の笑みを見ながら、ルネは徐々に息苦しさを感じる、盾代わりに使ったレイピアの柄の部分が自身の喉を抑え込んでいく。

 

「窒息か・・・それとも生き埋めか・・・。」

 

阿伏兎はどんどん力を加えていく。ルネは地面に頭がめり込むのを感じ、窒息しそうになるのを逆にニヤリと笑った。

 

「平民上がりの竜騎士なめんな・・・最初から真っ向勝負なんて臨んでねぇ。」

 

「あぁ?・・・・・。」

 

突如音もなく、ルネの目の前から阿伏兎が地面から掬い上げられ、外壁よりはるか遠くに落下する光景が見えた。

 

「なぁ!!?」

 

阿伏兎の背中に食い込んだ大きな爪、風竜が阿伏兎の眼に入った瞬間、阿伏兎は上空に上昇させられ、そこからふり落とされる。その間はほんの数秒。

 

「はぁ・・・はぁ・・・。」

 

生き埋めと窒息から逃れたルネは右足に食い込んだ刃を抜く。

 

痛みに顔を顰め、上空のはるか遠くまで姿を消す阿伏兎を見て血を唾と一緒に吐く。

 

「竜は訓練すれば音もなく獲物を上空から掻っ攫う。ましてや風竜、スピードは他の竜に比べて段違い・・・。」

 

ルネは指笛で他の風竜を呼びつけ、それに跨る。

 

「待ってろ、ウェールズ。・・・。」

 

ルネは風竜で上空を旋回し、当たりの光景を見渡す。

 

前線部隊がこの宮殿に突撃するのを見ながら宮殿の船の停留所に向けて竜の手綱を操る。

 

「あそこか・・・!」

 

ルネはそうつぶやくと全速で目的地に向かう。

 

 

 

 

 

 

宮殿前入り口。

 

「門を閉じろ!天人共を中に入れるな!!」

 

貴族派の兵士が宮殿の中に突入と同時にまるで打ち合わせをしたかのように王党派と結託し、天人の侵入を拒むかのように門を閉じ、バリケードを築く。

 

その光景を見ていた天人の前線部隊も最初は首を傾げていたが、事態を飲み込み、天人の戦闘員は宮殿の門のバリケードに銃撃を浴びせていた。

 

 

「ど、どうする、あっちの火力はこちらの比ではない・・・。」

 

「王党派には火の秘薬があると聞いていたがあれはどこにやった!?」

 

「そ・・それがいつの間にか消えていて・・・。」

 

「はぁ??」

 

王党派と貴族派の兵士のそんなやりとりを他所に突如外が爆音に包まれる。

 

粉塵と土煙の中、王党派の兵士が双眼鏡で櫓の上から外の天人が爆破に包まれる光景を目にし、驚く。

 

「火の秘薬、・・・いつ外に持ち出した。・・・。」

 

爆発に残る微かな硫黄の匂い、兵士は櫓の上から土煙の中で動く一人の人影に眼を凝らす。

 

「あ、・・あれはあの捕虜共か!?・・・前線の天人を階段ごと天人を吹き飛ばしやがった!!」

 

 

 

「捕虜ではない・・・。」

 

長髪の黒髪の男は球体の爆弾を手に弄び、土煙の中眼前の天人を見据える。

 

「この攘夷志士、逃げの小太郎の手にかかれば目の前の道を敵もろとも吹き飛ばすなぞ容易い事・・・。」

 

桂は爆破で分断された階段の回廊の先端に立ち、腕を組む。

 

「天人共よ、ここからはこの桂が相手を致そう、なに、・・・貴殿らがここまでたどり着ければの話だがな・・・。」

 

呆然とする天人は一斉に叫ぶ。

 

「か・・・桂ァァァァ!?」

 

「かまうな!前線部隊、足場を確保しながら前に突っ込め!!」

 

天人の兵士は全員で武器を手に桂に飛びかかる。しかし・・

 

いきなり地面が陥没し、地上を走る天人がアリジゴクのような地面の落とし穴に飲み込まれていく。

 

「な、なんだぁぁぁぁ!」

 

そこはヴェルダンテとエリザベスが地下を掘り起こし作った特製のアリジゴク。

 

回廊と階段を吹き飛ばし、柔らかい地面をむき出しにさせた結果、桂をおとりに天人達を飲み込む作戦が成功した。

 

(作戦成功)

(やったっすね、エリー先輩)

 

なぜかヴェルダンテもエリーと同じプラカードの会話を交わす。ってか喋れたのか?モグラ・・・

 

 

「おのれ!銃だ!銃を撃て!!」

 

その声に反応した天人が銃を構える、桂、エリザベス、ヴェルダンテは再び土煙の中に逃げ隠れる。

 

「無駄だ!土煙の影を撃て!!」

 

銃撃音が鳴り響き、フルオートの連射が始まる。

 

土煙の中の影の動きが止まり、緩慢になる。

 

当たった、天人の誰もがそう思った、しかし・・・

 

「ワルキューレ!飛んで切り倒せ!!」

 

土煙からの影から現れた弾丸を浴びた青銅の戦乙女達が一斉に煙から姿を現し、天人達を斬り倒す。

 

「な!!なんだ!あの人形は!!」

 

「撃て!・・・な、なんだ、この・・・硫黄の匂い?。」

 

そう叫んだ瞬間アリジゴクは炎に巻き込まれる。

 

「ハァァァァァァ!?」

 

硫黄に炎が回り、回転するアリジゴクの範囲が広がる、そのアリジゴクに一人でも巻き込もうと青銅の人形が天人を引きずる。炎は上昇気流を生み、回転する地面と一緒に炎の竜巻を発生させた。

 

「もろくなったアリジゴクの周囲の土に硫黄を混ぜて・・・。」

 

「私の魔法で着火!」

 

「火の中でもかろうじて動ける僕のワルキューレで天人を少しでも切り伏せる!・・・やれやれ、こんな作戦成功するとはおもわなかったよ。」

 

エリーの上に跨るキュルケとヴェルダンテの上に立つギーシュ、アリジゴクに飲み込まれる形で炎の竜巻に飲み込まれるが二人は高温を苦しく感じる事もなく得意げに上空を見る。

 

「の・・残りの前線部隊!!どこへ・・・。」

 

天人の兵のリーダー各の男が後ろを振り返った瞬間、青ざめる。

 

ことごとく氷漬けにされた兵士達、上空を見れば竜巻の周りを竜が旋回し、杖を握る少女、タバサがキュルケとギーシュをレビテーションで竜巻から救い上げ、桂の隣に着地させる。

 

氷漬けにさせたのもこの少女と悟った瞬間、天人のリーダー各の男の脳天に巨大なこん棒が叩き付けられる。

 

「前線部隊はこれで全滅、・・桂とやら、よくやった。」

 

身の丈を超える巨大な鉄のこん棒をふりあげ、ホーキンスが得意げに笑う、巨体をひねり、氷漬けにされた天人をこん棒を振り回し、砕く。

 

容赦のない攻撃をしながらホーキンスはまだまだ迫る、後衛の兵士と上空の天人の戦艦を睨む。

 

「さぁ、あの桂曰く、夜叉の子よ・・お前たちの武勲を見せて見よ。」

 

 

 

 

後衛、戦艦内部。

 

「ほあちゃあああああ!」

 

神楽は戦艦の操舵室でむちゃくちゃに暴れまわっていた。天人に蹴りを放ち、脚を掴み振り回し、押さえつけようとする天人の顔面を殴り、机を放り投げ天人ごと窓ガラスを割り、地面に落とす。

 

戦艦の一つを乗っ取ろうとタバサのシルフィードに新八と二人で先に乗り込み、戦艦の操舵室まで一気に神楽の暴力の嵐で制圧する。

 

「新八ぃ!早くするネ!!」

 

「ちょ!僕カラクリの操作なんてできないよ!これかな?これ?・・えーっと。」

 

むちゃくちゃにボタンを押しまくる新八、しかし、その一つのボタンを押した瞬間に戦艦が大きく揺らいだ。

 

「あった!これだ、主砲のボタン!?・・・かな?」

 

新八は赤い大きなボタンを迷わず押した。

 

 

 

 

 

戦艦から放たれた主砲は後衛の天人の群れに直撃した。

 

戦艦の群れは乱れ、後衛の天人の兵は炎に包まれる。

 

「なにやってんだぁぁぁ!」

 

「戦艦が乗っ取られたぞ!」

 

「はぁぁ!?」

 

もはや連携も減ったくれもなくなった混乱の渦に飲み込まれる後衛部隊の天人達の叫びを聞きながらホーキンスはゆっくりと桂に振り返る。

 

戦艦の群れの一機が爆破し、その中からタバサのシルフィードにギリギリ救われる新八と神楽を確認できた。

 

桂は腕を組み、アリジゴクの向こうにいるホーキンスを見る。

 

ここまでやれば後続の部隊もこの前線に向かうのには兵を整え、時間もかかる。

 

時間はこれで稼げた。

 

「よくやった、異国の革命家よ。」

 

ホーキンスはその巨体と重い鎧を傾け、勢いの収まったアリジゴクと炎の竜巻の跡の荒れた陥没した大地を飛び越える。

 

どズンと音を鳴らせ、桂の横に着地し、鋼鉄のこん棒を肩に担ぐ。

 

「行くのか?将軍よ。」

 

「他の兵は王党派と手を組むだろう、・・だがこのホーキンスは違うぞ、皇太子の首だけを狙いにあの城に行く。・・・・」

 

「そうか。」

 

「・・・・ほう、止めぬのか?」

 

「止めてもムダだろう、貴殿のような将軍でありながら凶悪な戦闘狂を止める術など無い。」

 

「よく見ておるな、革命家のリーダーと唄っておるが、どうやら本物らしい。」

 

得意げな表情でそう言い残すとホーキンスは宮殿に脚を運ぶ。

 

「だが・・・一言言わせてもらうぞ、将軍殿、・・・中にいるのは皇太子を守る夜叉、・・・貴殿がその牙を掻い潜り皇太子殿の首を掻っ攫うことができる可能性はこの桂、少ないと考えるのだが・・。」

 

「ふ・・・フハハハハハハハ!面白い!その夜叉とやり合うのも一興よ!・・・戦争なんぞただの殺し合い!このワシはその殺し合いを楽しめればそれでいい!!。」

 

ホーキンスは笑いながら宮殿に脚を運ぶ、その頭にはその夜叉との戦いに興じる事も悪くないと心躍らせ、階段を一歩、一歩と踏みしめる。

 

 

「ああ、死ぬかと思ったぁ・・。」

 

新八が桂の隣に舞い降りるシルフィードの背中の上からタ神楽とで顔を覗かせる。

 

タバサはヨシ、といいながらシルフィードの働きを褒める。

 

「上出来だ、新八殿、さて、もうしばし、ここで天人共の脚を止めるとするか。」

 

「そうね、ここまでやっちゃったら、後戻りできないわよね。」

 

キュルケは唇を舐め、得意げに杖を遥か先に見える天人に突きつける。

 

「・・・・・ホーキンス将軍、亜人の怪力を持つ男・・・放っておいていいの?」

 

「我々はここを守ると言った、だから今生かされているんだ、・・・生き残る事だけを考えようよ、ミス・タバサ。」

 

ヴェルダンテの上から降り、ギーシュも杖を前に構える。

 

その表情からは余裕は感じられない。

 

「銀ちゃんなら大丈夫ネ!どんな怪力男でも一刀両断アル!」

 

神楽の声に桂は不敵に腕を組み、うむ、と頷く。

 

「それに、トリステインの貴殿らの友、もう一人の夜叉を招く準備もしておかんとな。」

 

その言葉に桂を含む、全員が頷く。

 

「来るよ、なんか、そんな気がする・・・・。」

 

ギーシュは青空を仰ぎ、友、サイトを思う。

 

 

 

迷いなんか吹き飛ばしてここに来るさ。

 

 

だって君は。

 

 

ルイズ(ゼロ)の使い魔だろう?

 

 

 

 

 

 




快援隊、戦艦内。

「彼らは元々は奴隷じゃ。」

「・・・・奴隷?」

サイトの目の前で荷物の点検をし、戦艦の内部を行きかうスタッフに向かって陸奥はそう彼に言う。

「しかも私のな・・・・。」

「はぁ?」

陸奥はサイトの反応にも対して気にしたような表情もせず、スタスタと歩き、荷物の状態を聞く、それでもスタッフは嫌な顔をせず、陸奥に笑顔を浮かべ、言葉に応じる。

スタッフの一人が去ったあと、陸奥はサイトに振り返る。

「私はその奴隷たちをこの戦艦に詰め込んで働かせている、だが彼らは嫌な顔一つせず私を手伝ってくれている、どういうことかわかるか?」

「・・・・。」

「彼らは商品の石ころ・・・じゃが石ころもワシらという棚に並べれば立派な商品ぜよ。見るところ、お前んはその他所の棚からあぶれた石ころの一つ、というところかの?」

「な?何言って・・・。」

「お前んはワシらの棚には並べられん、お前んが並ぶ棚はもっと別の場所じゃき。」

サイトの脳裏にまたウェールズとルイズの顔が通り過ぎる。

だが、もう間に合わない。

戦はもう終わりに近づいている。

そう思った瞬間・・・

「誰かが必要としてくれるならば商品は決して棚からは零れん。彼らも同様、給料と言う名の対価を私が払い、働きたいと思う彼らを必要とし、私の棚にいつでも並んで働いてくれている。・・・それはどこの兵士でも王でも革命家のリーダーでも下らん万事屋の社長でも互いの気持ちは一緒ぜよ。」


突如サイトの後ろに緑色の光が輝く。

「ホレ、棚はまだお前んを欲しがっておるぞ。」

サイトの首に下げられたお守りが振動する。どうやらそのお守りから緑色の光は
放たれ、サイトの背後に召喚ゲートを作り出したようだ。

「な・・・。」

「一杯食わされたな、相棒、あのジイさん、そのお守りに細工したようだぜ。」

サイトの左目にいきなり映像が浮かんだ。使い魔としての主の危機を知らせる能力。

目の前の名前の知らない男がルイズの口を掴み、何かをしている光景。

そこに飛び込んできた銀時。

戦うウェールズの姿。

そして

あのフーケの時に見た見覚えのある和装の煙管を持つ男。


「兵は兵の棚に帰れ、棚はそこにある。・・お前んの場所はもうそこしかないぜよ。しかもコブ付きじゃ、そのけったいなプリクラを刀の鍔の裏に張り付けてお暑いことぜよ。」

サイトはハァ??と声を荒げ、紅桜の鍔を見る、確かにそこにはルイズといつの日か勢いで取ったお互いの頬をつねる様を映したプリクラのシールが張りつけられていた。

「いや、ちょ!いつの間に!?」

顔を真っ赤にしてサイトは陸奥と紅桜デルフを交互に見る。

「だいぶ前にお前さんが寝ている間にあの娘っ子が悪戯で張ったのよ。はぁ、気が付かないもんかねぇ・・・・で、どうするんだ?相棒、・・・このまま去るか、それとも・・・。」

デルフは再びサイトに問う。

「並ぶか・・・。」

陸奥は真剣な目でサイトを見る。


サイトは召喚ゲートに右手を掲げる。

ふと、サイトは頭に言葉がよぎった。


主に仇名し、その命を狙う者はどんな者でも切り伏せよ、それがたとえ主の父だとしても・・・・。



あんたは私の使い魔よ!だったら私に忠義を尽くしなさい!





「二人の主は今でも俺が棚に並んでもいいと思ってるのか?・・・必要って思ってるか?」

サイトはそうつぶやくとその召喚ゲートに勢いよく全身をつっこんだ。




並んでいいかこの眼で、・・・耳で・・確かめるのも悪くねぇ・・・か?



サイトはそう心に思いながら暗転する景色に眼を閉じる。




「いやー・・・源外のジイサンの頼み事を聞いてしまったもんでのぉ、酒場であの兄ちゃんを見つけた時、どうするか迷っておったんじゃ、すまん、陸奥ぅ、説得してくれたようじゃの?」

坂本は頭を掻きながらサイトの飛び込んだ緑色の光のゲートが消えたのを確認して物陰からひょっこり頭を出した。どうやらこの坂本、最初から源外とグルになり、サイトの気持ちを戦場に向けなおさせようと画策していたようだ、もちろん銀時はこの事を知らない。



「何、あんな小僧をここに置くより適材適所に送ってやったほうがいいと思っただけぜよ。」

陸奥はふん、と鼻を鳴らし、目の前に広がるくらい宇宙の景色を見た。

「ガキに宇宙はまだはやいぜよ。」


続く。


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