ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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サイトの微かな記憶。

江戸、かぶき町での出来事。


「なにあれ?」

ルイズは繁華街の中にあるゲームセンターの入り口にやたら派手なブースを目にし、立ち止まった。

女子高生やカップルが入ってはポーズを取り、四角い紙を握って出てくる光景を見ながらルイズはサイトの裾をひっぱり興味を示す。

(あれはプリクラです、写真撮影記念にどうですか?)

「うお!なにこのバケモノ!?」

今思えばエリザベスという謎の生き物がここでバイトしてるのをサイトは見かけていた。

「プリクラだとよ。へー・・・シールにできんのか。」

「取りたい!!」

「・・・。」

ルイズはちょっとした興奮を覚え、サイトをブースの中に引っ張り込もうとする。

「ちょ!それカップルとか女子高生のやることだろ!」

「はぁ?ナニ?恥ずかしいの?」

「・・・・恥ずかしいに決まってんだろ!なんで俺が。」

「命令よ使い魔!私とプリクラ取りなさい!!」

気が付けばお互い頬を引っ張り合い、喧嘩交じりにフラッシュの焚かれたブースでプリクラを一枚とっていた。サイトは顔を真っ赤にさせ、そのシールが出てくるのを待つルイズを片目にやれやれとうなだれる。





「ねえ、デルフ。」

「なんだよ娘っ子。」

「あんたのどっかにコレ貼っていい?」

「んあ?なんだそれ?ちょ!やめろ!!」

「・・・・・ふふふ、これでいいんじゃない?」

ルイズは刀の鍔にこっそりとサイトの寝ている間にそのプリクラのシールを貼る。

「あーあ、相棒が怒っても知らねぇぞ。」

「気が付かないわよ、あいつバカだし。」

ルイズはそうつぶやくとごそごそと自分のベッドに潜り込む。

この記憶はサイトにはない。

だが、ルイズの記憶には微かに残る実在する記憶。





サイトは暗転した景色から目を開き、風を感じた。

微かな火薬の匂い。

騒乱の音。

立ち込める硝煙。

そして眼下に広がる兵が群がる大地。

サイトははるかアルビオンの上空に転送されていた。

「・・・・え?」

出た声はマヌケな物だった。なにせ気が付けば上空数千メーターの上だから・・・。


「はぁぁぁぁぁぁ!????」

自由落下と共に風に流され、見えるハヴィランドから遠ざかる。

ふと、サイトの首に下げられた三郎のお守り、形見が淡く光、振動する。


『うまくやったみたいだな、小僧。』

「!源外のジイサン??」

『お守りの中に超小型転送装置を仕込んでおいた、おめぇさんにはあの娘っ子の隣がお似合いさね。残念ながらあの娘っ子の持ってる転送兼、無線機はもう壊れちまったみたいだがな・・・。』

「・・・・。」

源外の言葉にサイトは何も言わずハヴィランドを上空から見据える。

宮殿のあちこちで爆破が始まり、兵士の群れが天人と戦い始めるのが見える。

『平賀の名に恥じねぇよう暴れて来な!』

源外の言葉にサイトは左手のルーンを光らせる。

心の高揚を感じ、紅桜を握りしめ、落下する先の天人の戦艦に向けて紅桜を鞘から抜く。


かつて似蔵がやった刀身を伸ばし、巨大な戦艦を切り裂く方法。サイトにはやったことがない戦い方でも紅桜本体にはその記憶も眠っている。ガンダールヴの武器を操る能力は紅桜の過去の戦闘情報をも引き出した。

「うおおおおおおおおお!」

咆哮と共に、刀身が伸び、天人の戦艦に渾身の力で刀身を叩き込む。

落下の衝撃を相殺するため、そして一機でも戦艦を破壊するため、サイトは目の前の戦艦を紅桜で切り裂いた。


驚いたのはサイトと地上にいる天人だ。

天人は目の前の巨大戦艦がいきなり真っ二つに割れ、そこから小さな人影が落ちるのを目撃する。

サイトは地上で銃器や剣を持った天人がこちらを見ているのに驚いた、何より自身が戦艦を切り裂いたことにも多少の驚きを感じる。

そして彼は叫んだ。


「どきやがれぇぇぇぇぇぇぇ!!」

次の瞬間、隕石のように天人の後衛部隊に上空から突っ込み、土煙を上げ、紅桜で戦闘員をなぎ倒す。






第六十五話 戦場へ

第六師団、戦艦内部・・・

 

 

ワルドは見誤っていた、この男の底知れぬ怒りが及ぼす力。

 

情報は持っていた、獲物はたかが木刀、そして彼の過去、戦場を生き残った一人であることは知っていたが、ここまで感情の起伏で戦闘能力が上がるとは思っていなかった。

 

ワルドはレイピアを杖替わりに床から立ち上がると、息も荒げに銀時を睨む。

 

先ほどからこの銀時には一方的にあの木刀で殴られすぎた。

 

真剣でなかったことに感謝したい。

 

ワルドは不敵に笑うとレイピアの刃を眼前に構える。

 

「卑怯、・・・と言うだろうね、この魔法を見て君は。」

 

銀時は木刀を正眼に構え、ピクリとワルドの言葉に反応する。

 

「なんでも使えよ、テメェがここでカエルみてぇに床にへばりつくのが見えらぁ・・・それによ。」

 

ワルドの周りがカゲロウの様に揺らぎ、銀時は半歩間合いを取る。

 

「ここにはお前と俺、・・・卑怯者しかいねぇよ・・・。」

 

その言葉と同時にワルドの姿が一気に七体に増えた。

 

「風は偏在する。これは実態を持った分身、・・・さしずめ七対一の状況だ。」

 

「・・・・。」

 

ワルド七体が一斉に銀時に飛びかかる。

 

レイピアの突きの嵐、そして後方からのエアカッター

 

銀時の腕や胴の肉を切り裂き、吹き飛ばす。

 

本体のワルドは分身した自身の体の影にかくれながら銀時の急所を狙う、

 

狙うは心臓。

 

銀時の体は風の魔法で吹き飛び、部屋から廊下への出口に落下する。

 

「くたばれ!!異国の侍よ!!」

 

「・・・・・くたばるのはてめぇの方だ。」

 

かつて銀時は素早い動きと広角な攻撃をする忍びと戦った事があった、数が増えようが人間はその狭い空間では身動きは採りずらい、今、銀時がいるのは部屋の入り口、七体のワルドの攻撃はどうしても広くではなく、細くなる。

 

「な・・・!」

 

気が付いた時にはもう遅い、本体のワルドは分身がお互いに密着するのを感じ動きが一瞬緩慢になるのを悟る、その眼前から振り下ろされる木刀の一撃を本体のワルドの脳天に叩き付けられた。朦朧とした意識の為、偏在の魔法はいっきに掻き消され、本体のワルドだけが残る。

 

「がはぁ・・・。」

 

呻きをあげ、ワルドは地面に叩き付けられる。

 

「トドメは本体がすると思ったぜ、テメェの性格からよ・・・。」

 

銀時はいつの間にか拾った戦艦内部の壁に垂れさがった中身が露出した電源コードのようなものをワルドのレイピアを握る腕に自身の腕に絡みつかせる。それに気が付いたワルドは揺れる脳を抑えようと立ち上がる。

 

「つーかまえたァー・・・。」

 

銀時は木刀でレイピアの動きを封じたワルドの左足に木刀を叩きこむ。

 

「ぐあ・・・!」

 

一撃で骨が砕け、ワルドは地面に片膝をつく。

 

「これで終ぇだ・・・。」

 

銀時の言葉と同時に、ワルドは地面に転がったある物を目にする。

 

この戦闘で破壊されたルイズの持っていた無線機、その残骸の一部。

 

その一部の中にこっそりと張り付けられていた一枚のシール。

 

ワルドはそれをプリクラという名のものとはしらない。

 

だが、・・・そこには幸せそうに映ったルイズと使い魔であろう男の姿。

 

頬をお互いつねりながら映るその写真を見てワルドの眼はさらに黒いものになる。

 

迫る頭上の木刀を後目にワルドの口は高速で呪文を紡ぐ。

 

それはこの状況ではありえない魔法。

 

露出したコードの一部が自分の腕に絡みついている、それでも放つ。

 

風の摩擦によって生まれた特大の静電気を用いた魔法。

 

「ライトニングクラウド・・・。」

 

二人の体がいきなり電流に包まれる、電気の流れは肉を焦がし、互いの筋肉の動きを拒むかのように焼き焦がす。

 

銀時は自身に流れる電気の本流に木刀を落とす。焦げ臭い肉の焦げる匂いを感じた後はワルドに再び部屋の中央に投げ飛ばされる。

 

銀時はこの雷のような魔法を食らって朦朧とする頭で考えた。

 

なぜ、この密着した、中身が露出したコードで括った腕を顧みず雷を放ったのか・・?

 

そして、同じ肉体を持つ人間がなぜ雷を食らって目の前で立ち上がれるのか?

 

その疑問に答えるようにワルドは自らのマントと上着を脱ぎ捨てる。

 

銀時の眼に映ったモノはワルドの機械仕掛けの左腕、そして電気の熱で焼け焦げたズボンから覗く機械仕掛けの右足。そして機械化された胴体。

 

その義手、義足は見覚えがある。

 

あの新八の兄と名乗る男、尾美 一 に施された義手と義足。

 

ワルドは体中から上る煙をはらうように歩を進め、左腕をギリギリと回転させる。

 

「聖地のテクノロジーは大したモノだ・・・悪いが奥の手を使わせてもらうよ。」

 

煙が消えると同じくしてワルドの眼が赤く光る。

 

淡い光が義手の指先から漏れる。銀時はそれにも見覚えがあった。

 

「テメェ・・・そいつをどこで・・・。」

 

ビームサーベルが赤い光を放ち、銀時の眼前に迫る。

 

 

 

 

 

 

サイトが戦場に落ちる数分前。

 

停泊所付近の天人の姿はなく、兵士達がウェールズの指揮の下、戦力を整え始めた時にその混乱は起こった。

 

混乱の首謀はたった一人の少年と数人の黒装束、晴れているのに傘を差す男達。

 

それは神威と夜兎の戦闘員だった。

 

騎士達はウェールズをかばおうと必死になり前に出るがことごとく神威達の素手の暴力に圧倒される。鎧は破壊され、剣は砕かれ、生き残った騎士はもはや数名。

 

ウェールズは杖を構えるが精神力も限界、先刻の竜巻の魔法で使い切った。

 

「王手だね、皇太子サン、あきらめて死んでくれないかなぁ?」

 

「はぁ・・・はぁ・・。」

 

息も荒げにウェールズは目の前の笑顔の少年、神威の名も知らぬが得体の知らない強さの前に倒れた仲間達への悲しみとこの神威への怒りに震える。

 

「君達はここに何をしに来た・・・貴族派に着いてこの宮殿を攻めに来ただけとは考えられない・・。」

 

神威は首を傾げ、変わらない笑顔の表情でウェールズの前に歩を進める。

 

「国崩し、あと、遊び相手を探しに・・・ああ、それとね。」

 

神威の拳が握られ、ウェールズの顔面に向けて振り下ろされる。

 

「虚無のルイズを今日こそ貰うためさ。」

 

「・・・・・虚無、だと。」

 

バキィィ

 

骨の砕ける音が響く、神威の前には真っ赤な血が飛び散り、・・・ウェールズの眼にしたのは一人の竜騎士の姿をした少年が神威の拳を自身の体で受け止めている光景。

 

「・・・・だ、誰だ。」

 

ウェールズはその拳を受け、犠牲になった少年の背中に見覚えがあった。

 

「ウェ・・・-ル、ズ。」

 

拳は少年の右胸に突き刺さるように陥没し、ウェールズの名をつぶやく・・・。

 

「まさか・・・そんな!!なぜ!?・・・ルネ!!」

 

ウェールズは倒れるルネの体を必死に支え、息が絶える寸前の彼に顔を寄せる。

 

「お、・・・俺は銃士隊、・・・だからな。・・・お前を・・助けない・・・と。」

 

「しゃべるな!!なぜ・・・なぜ君が・・・。」

 

ルネは血を吐きながらウェールズに声をかける。ウェールズは傷を悪化させまいと止めさせるが、ルネは不敵に笑うと首を横に振る。

 

「あいつに、・・・顔向け・・・・できねぇ、よ・・・お前を、・・・見捨てて、一人で、・・・逃げたら・・・。」

 

ダメージは肺にまで達しているのか呼吸の音もおかしい、ルネはそれでもウェールズに左手を掲げる。

 

ウェールズはその左手を右手でがっしり掴むと残りの精神力を振り絞って彼の右胸のダメージを癒そうとした。

 

「おっと。」

 

神威はウェールズの杖を足で払い、杖を転ばせる。

 

「それを見逃すはずないだろ。」

 

神威はそう言いながら軽くウェールズの頭を蹴とばす。

 

ウェールズの額が切れ、神威にとってはほんの少し触った程度の蹴りでウェールズは停留所の地面を転がっていく。

 

ルネの治療は失敗に終わる。

 

もはやここまで、そう確信したウェールズはルネを見る。

 

ルネは首を横に振る。

 

「あ・・・・あいつが、・・・来る・・・・。」

 

「・・・・。」

 

「信じろ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・宮殿の外。

 

桂は微かに聞こえる何かの声を聴いた。

 

先刻の真っ二つに割れた天人の戦艦にギーシュ達は驚いた。

 

しかし、もっと驚いたのは後衛の兵士の群れが土煙と同時に大きく群れが乱れ、吹き飛んだ光景だった。

 

「・・・・英雄は遅れて参上する・・・か。」

 

何かを悟った桂は腕を組み、ギーシュに眼をやる、そしてキュルケ、タバサに眼を向けると三人はこくりと頷く。

 

「準備だ、・・・門は塞がっておる、友人として、そして将来の英傑に並ぶ者達としてふさわしい出迎えをしてやれ。」

 

 

 

 

 

 

サイトは走った。最初はただただ必死で走る。

 

左手のルーンが光り、サイトのスピードは増す。

 

さらなるスピードを欲した彼の下半身の両足は紅桜の力で変形していく。

 

フーケが自分の体を改造し、トリステインの草原を駆け抜けたようにチーターのような形状と化し、赤い閃光が脚に幾何学模様のように張り巡らせる。

 

早く、もっと早く!

 

サイトのガンダールヴのルーンが光りを増すごとに、サイトのスピードは上がる。

 

宮殿の前の門は完全に封鎖させられている。

 

壊すか。

 

それとも飛ぶか。

 

だが宮殿の門も外壁も高い、壊すほうが早い。・・・しかし時間がかかる。

 

そう考えた時、サイトの目の前には見覚えのある人間の姿があった。

 

ギーシュを先頭に後ろに彼の体を支えるキュルケ、その隣に同じくしてタバサ、そしてその後ろを支える桂と新八、神楽の姿。

 

「!!あいつら!」

 

「飛べ!!サイト!」

 

サイトはギーシュの叫びに全てを理解した。

 

サイトは迷うことなくギーシュに加速し、突っ込む。

 

右足がギーシュの組んだバレーボールを待ち受けるような態勢の手のひらにかかった瞬間。ギーシュは渾身の力を込め、歯を食い縛りながら彼の体重と加速した彼の勢いを上に持ち上げる。

 

その衝撃と圧力はキュルケ、タバサ、にも強力に感じ、それを支える桂達も地面を削りながらギーシュを必死で支える。

 

サイトはギーシュの腕が上がった瞬間にそれをジャンプ台の様に踏み越え、高くそびえる門の上を目指した。

 

 

 

「「「行け!サイト!ルイズを守るために!」」」

 

 

 

 

キュルケとギーシュ、そしてタバサも珍しく声を荒げる。

 

その叫びは確かにサイトの耳に届いた。

 

 

 

「「この戦いを終らせる為に!!」」

 

 

 

 

神楽と新八の叫びもサイトの耳に届く。

 

 

 

「主を守れ!サイト殿!!」

 

 

 

桂の声にもサイトに届く。

 

 

(まだ助かる。)

 

 

(マダガスカル。)

 

 

プラカードで話す白いバケモノと使い魔も眼に入る。

 

見なかったことにしよう。

 

 

 

サイトは心の中で感謝した。

 

一度は逃げた自分をここにリスクを承知で迎えてくれた、ギーシュ達。

 

ここに向かう勇気を貰った名も知らぬ宇宙の商人達。

 

ここに行けるチャンスをくれた源外。

 

そして・・・ここで耐えてくれたルイズと銀時たちに。

 

 

「ありがとよ。」

 

サイトはそうつぶやき、足りない高さを補うために紅桜の柄からコードを伸ばす。

 

コードは柔軟に伸び、門の櫓に括りつけられ、サイトを宮殿内部上空まで引っ張り上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホーキンスは体で感じていた。

 

来る、内部からではない。

 

そして、後ろからでもない。

 

ここまで強い覇気のような闘志を感じたのは久しぶりだ。

 

心が躍った。

 

さっきから雑魚のような天人の群れをこん棒で殴りつけてきたがもう飽きた。

 

この中にいる夜叉とやらにも興味がある。

 

だが、この上空から振ってくるような闘気にも興味が沸いた。

 

「外にもいたとはな!!このホーキンス、相手に不足な・・・・。」

 

ホーキンスは宮殿の門の側、高らかに声をあげ上空から落ちるサイトに眼をやった。

 

「どけエェェェェェェ!ゴリラァァァァァ!!」

 

サイトの紅桜の一撃はホーキンスの声を全て聴くことなく彼の鎧を破壊し、こん棒を打ち砕きゴミのように彼を吹き飛ばす。

 

「うおげぇぁ・・・。」

 

声にもならない声が出た。

 

ホーキンス将軍、対峙して一秒で宙を舞う。

 

サイトは再び、宮殿の奥に向けて走り去る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神威も体で感じた。

 

今日最高のおもちゃがこの場所に来る。

 

拳を握り、もはやウェールズなんぞどうでもいい。

 

ワクワク胸を躍らせこの停泊所に猛スピードで突っ込んでくるであろうその相手。

 

咆哮が聞こえる。

 

聞き覚えがある、あの学院を襲った時のあの声。

 

 

 

サイトも見覚えのある人影に眼を細めた。

 

あいつはあの時のふざけた格闘家。

 

ここにいる理由はどうでもいい。

 

何を考えているかなんてどうでもいい。

 

それよりも。

 

目の前に倒れているウェールズとルネを見て怒りが頭に上る。

 

 

 

「そいつらになにしやがったァァァァァ!!」

 

 

 

 

サイトは雄たけびを上げ、猛スピードで神威に走り、紅桜を上段から振り下ろす。

 

神威はサイトの攻撃を白羽取りで受け止め細い眼を笑み浮かべながら大きく開く。

 

スローモーションで見えたお互いの表情。

 

衝撃波が土煙を舞い上げ、ウェールズとルネが眼を一瞬閉じる。

 

 

「やだなぁ・・・。ちょっと遊んだだけだよ、・・・・さ、僕と遊んでよ。」

 

 

 

 

 

・・・・・・・本気の殺し合いで遊ぼうよ。

 

 

 

 

 

 

荒れた舟の停留所、ボロボロの戦艦の真下でサイトと神威が対峙する。

 

 

 

 




日記を記す。

聖地探索初日。



サハラは広大な砂漠だ、そこにはいろいろな物が落ちている。

この大陸には似つかわしくないモノが転がっている。

よく見れば朽ち果てたこの工芸品・・・・場違いな工芸品と名付けよう。

明らかにおかしい、金属を全面に使用し、この国の技術では作られるようなレベルではないものだ。

形から見て小型の銃、さびて朽ち果てているがトリステインにもガリアにも無いものだ。

作製された年代的にもこの銃はかなり古い時代に作られたものだろう。

異国でも最近ようやく作られた物に近い、それが何年、いや、この朽ちた感じで言えば何百年も前からここに廃棄されていたと考えた方がいい。

私は心が躍った。

トリステインのリッシュモンの勧めでここに探索にきたのは間違いではなかった。

ここは新発見の多い場所だろう。

しばらく調査をしようと思う。

母を亡くし、家もなくした私の心を癒す物はここにあるかもしれない。

                   ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド
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