ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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メガネは正しく使いましょう。

食べ物は正しく食べましょう。


第七十三話 やりすぎたら逃げよう

「あ、あははは・・・ただいまぁ~。」

 

「だからね、ルイズ、恋は駆け引きが重要なのよ、精神的にもそう、肉体的にもそう・・・。」

 

ルイズは申し訳なさそうに愛想笑いをしながら、キュルケは相変わらず恋愛のイロハをルイズに説きながら再びヴァリエールの屋敷に戻ってくる。

 

ルイズはエレオノールに眼を合わせないようにサイトと銀時の前に袋を持って小走りに駆け寄るが、エレオノールは冷めた目で自身の妹を睨みつけていた。

 

 

「どこ行ってたんだよ、こっちは大変だったんだぜ?変態は現れるわ爆弾持ったゴスロリが現れるわで。」

 

「お前何買ってきたの?ソレ。」

 

「ああ、す〇家寄ったついでにみんなに差し入れ買って来たのよ、感謝しなさい。」

 

ルイズはモ〇の袋を開け、サイトにハンバーガーを渡す。

 

「気が利くじゃん。」

 

「ま、まぁ、働く使い魔をねぎらうのも主の務めよ・・・。か、勘違いしないでよね、これはツケよ?今回の仕事で返してもらうからね?」

 

サイトはへーいと言いながらルイズから渡されたハンバーガーにかぶりつく。

 

キュルケはルイズの後ろで腕を組みうむうむ、と頷きながらノートに何かを書き込んでいる。

 

「いいわよ、自然にツンデレが発揮できてるじゃない、50点は堅いわね。」

 

「なにやってたんだよ、お前ら・・・。」

 

銀時は呆れた顔で渡されたハンバーガーの包みを開く。

 

「はぁ、・・・ルイズ、あんた太るわよ?夜中にこんなジャンクフードとか買ってきて食べてると。」

 

怒る事をあきらめたエレオノールは銀時と肩を並べてハンバーガーをかぶりつく。

 

「まぁ・・・モグモグ、モ〇っていうチョイスは悪くないわね。・・・モグモグ」

 

「お前も太るぞ、・・・・モグモグ・・・っていうか腹に肉回るより胸に肉回るようにできる魔法の薬とかねぇのか?・・ムシャムシャ・・・・発明したら儲かるんじゃね?」

 

 

エレオノールはとりあえず銀時を余った片手で殴ると、実はお気に入りのモ〇のハンバーガーを食べる。

 

しかし、味に違和感を感じる。パサパサのパンズに化学調味料たっぷりの肉の味。

 

頭に思い浮かぶのは夜中にオールの大学生とカップルやヤンキーが集う騒がしい店内の光景。

 

 

それは銀時も同じだった。

 

ケチャップの味しかしないハンバーガー、今まで何度も見本の写真と現物の違いに裏切られ、それでも金がない銀時にとってはファーストフードの王道と信じて通い続けたあの味。

 

最近になって依頼が増え、ワンランク上の生活もでき始めた彼にとって今、口に広がるこの味はモ〇ではない。

 

彼の頭に思い浮かんだのはメニューを撤廃し、数々の愚策を取り入れたあの社長のおっさんの顔。

 

 

「おい・・・このハンバーガー・・。」

 

「・・・ええ、・・・。」

 

「包みはモ〇なのに。」

 

「中身マ○クじゃん・・。」

 

二人の会話にルイズは首を傾げる。

 

 

 

パリラー・・・パパパパパ、パパパーパパパー

 

突如鳴り響く仕事人のテーマ曲。

 

 

 

 

庭の池が突如盛り上がるようにうなりをあげ、その池の中央からパピヨンマスクをつけた美少年がハンバーガーを両手に持ち、現れた。

 

 

 

 

 

殺し屋ナンバー3 マ○ク推しのドゥドゥ

 

標的の夜食、主にバーガー系をどこのブランドであろうが一瞬にしてマ○クに入れ替え、標的の精神崩壊と化学調味料で肉体に胃もたれをもたらす。

当の本人は基本マ○クばかりを食べていると思われているが実は牛丼ブランド、松屋に足しげく通う。

 

 

 

 

 

「ほとんど殺し関係ねーじゃねーか!!仕事しろ仕事ォ!!」

 

溜まらず殺し屋のプロフィールにサイトがツッコむ。

 

ドゥドゥは悠然と屋敷の天井に着地し、一瞬にして銀時とエレオノールのモ〇バーガーを口に放り込み、食す。

 

「ふはははは!お前たちのモ〇はこのドゥドゥが頂いた、貴様らはそこで安くもない微妙に高くて味の薄いメガマ○クでも食べていろ!!」

 

ドゥドゥはそれだけ言い残すと、天井から夜の帳の闇に消える。

 

「もはや目的まで変わってるじゃない!!ちょっと、銀時・・・・・?・・・お姉さま?」

 

ルイズはふと、自分の後ろから殺気を纏う銀時とエレオノールが前に歩み出すのを見て後ずさりする。

 

 

 

ドゥドゥはもはや目的は達した←(?)と意気揚々と屋敷の外に外壁から着地し、余裕の笑みを浮かべる。

 

仕事は終わった、あとは松屋に行ってキムカル丼とハイボールで一杯やろう。

 

そう思い、彼は油断していた。

 

 

 

パリラー・・・パパパパパ、パパパーパパパパー

 

「こ、この仕事人のテーマは!なぜ?」

 

このテーマが似合う存在は我ら元素の兄弟しかいない、しかもこの曲は標的を抹殺する際に流す曲、・・・そんな事に思考を巡らせていた彼は突如外壁が破壊され、何かが飛んでくるのを感じる。

 

反応が送れ、避けようとしたが間に合わず、彼のケツには激痛と衝撃、そしてなにか熱いモノを感じた。

 

「な!!これは!!このパリパリ、ホクホク感!!これはぁぁぁぁ!?」

 

彼のケツには銀時の怪力でぶん投げられたマ○クのアップルパイが深々と突き刺さっていた。

 

突き刺さっていただけではない、彼のア〇ルでパイははじけ飛び、溶岩のようなアップルパイの中身が彼のア〇ルを焼き焦がす。

 

「うぎゃああああああ!!」

 

「俺のモ〇を・・・。」

 

「私のモ〇を。」

 

「「返せ。」」

 

地面にのたうち回るドゥドゥの目の前には怒りに瞳を燃やす銀時とエレオノールの二人が悠然と彼の前に佇む。

 

「た、・・・頼む・・命だけは、お前らのモ〇は食っちまったが割引券ならいくらでもやる!!何枚だ?何枚欲しいんだ?」

 

命乞いをするドゥドゥ。彼はふとエレオノールが手にしている物体を凝視する。

 

「そ!それは!!その浅黒い物体はあぁぁぁぁ!!!」

 

エレオノールは三角チョコパイを手にし、逃げ惑う彼のケツに向かってその剛腕に物を言わせ投げつける。

 

三角チョコパイ、そのアツアツでドロドロの中身はアップルパイの比ではない。

 

エレオノールは無慈悲にチョコパイを銀時と持ち、彼のケツに叩き付ける。

 

「ま、マテ!まってぇぇぇぇぇ!」

 

 

ドゴオオオオオオオン

 

 

爆発が彼を吹き飛ばし、

轟音と共にドゥドゥは土煙の中、三角チョコパイがケツに突き刺さった状態で地面に倒れる。

 

それを背後に、怒りの収まらない銀時とエレオノールが爆破の煙の中、俯いたまま佇んでいた。

 

そして、ルイズとキュルケ、サイトはチョコパイとアップルパイで人一人を始末する両者に怖れ、慄いていた。

 

 

 

庭先でダミアンは腕を組み、石にもたれ掛かりながら星を見ていた。

 

「よぉ、待たせたな。」

 

銀時の声に反応し、顔をそちらに向けるダミアン。

 

そこには布団でぐるぐる巻きにしたタバサをサイトが担ぎ、足元には彼らが仕留めた三人の気絶した殺し屋達、銀時はルイズやエレオノール、キュルケを後ろに従わせ、殺し屋に指示を与えていたであろうダミアンに嫌みったらしく笑みを向ける。

 

「殺し屋専用殺し屋部隊、免許取り消しの集中講義ご希望だ、・・・ガリアの殺し屋、タバサを仕留めたけりゃ殺し屋一個団体用意しなって上に伝えておきな。」

 

ダミアンは俯き、気絶した自分の弟達を見る。

 

「ここまでよ、ガリアの殺し屋、おとなしく黙ってここから出て行きなさい。ま、屋敷を荒らされた分の修理費を請求する場所だけは伝えて貰うけどね。」

 

キュルケ、ルイズは杖をダミアンに突きつけ、サイトは悠然と自分の獲物、紅桜に手をかけ、タバサを足元に降ろした。

 

「・・・・あれ?」

 

サイトは妙な違和感を覚える。

 

 

 

「これかい?・・・ガンダールヴ。」

 

ダミアンの手に握られているのは紅桜と銀時の木刀が握られていた。

 

夜の闇からダミアンの合図で一斉に分銅付きの鎖が銀時達を縛る。

 

一瞬の出来事と獲物を奪われた驚きで銀時達はまんまとダミアンの後ろに控える無数の殺し屋団体一味に動きを封じられた形になった。

 

「なぁ・・・・!」

 

「最初から簡単に事が及ぶとは思っていない、ここにいる殺し屋の傭兵一味、お前の言う通り揃えてやったぞ?」

 

「じょ・・・・。」

 

銀時の顔が青ざめ、ダミアンに向かって放つ言葉は・・・

 

「冗談っすよぉぉぉぉ!頭ぁ!ちょっとしたジョークじゃないっすかぁ!?殺しアンジョークじゃないっすか!?」

 

「ちょっとぉぉぉ!何調子こいたセリフ吐いてかっこつけてんのよ!ちょっと!離しなさい!私は関係ないの!巻き込まれたの!殺すんならこいつだけにしなさい!」

 

「な!お前、一人だけ助かろうとしてんじゃねぇよ!」

 

「喧嘩してる場合か!はやくこの鎖を解かないと!!」

 

銀時とエレオノールの言い合いに冷静なサイトが鎖を解こうともがくがきつく縛られた鎖はもがけばもがくほどきつく締まっていく、ルイズもキュルケも締まっていく鎖に身動きが取れず、地面に膝をつく。

 

「殺せ、全員でかかれ・・。」

 

殺し屋一味が剣を抜き、銀時達に襲い掛かる。

 

「さらばだ!頭の悪い異国の侍とガリアの・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・それ以上は言わせない。」

 

 

 

 

 

 

ダミアンはその言葉に一瞬の危機を感じ、身をかがめる。

 

飛びかかった傭兵達に無数の氷の刃が銀時の足元から襲い掛かる。

 

ダミアンの頬に流れる氷の刃による傷からの血、傭兵達は数人が逃れたが、無数の氷の刃に体を貫かれた傭兵も見える。

 

「なにぃ!?」

 

氷の刃が現れた中心、そこには包帯を解き、杖を構えるタバサが布団を宙に翻らせ佇む。

 

「・・・・・それ以上、私の事をしゃべらせはしない、それ以上、このバカ侍には手を出させない。」

 

「・・・お前。」

 

銀時の前に佇むタバサは銀時に振り返ると無表情ないつもの顔で彼をまっすぐ見る。

 

眠っている間、この男は何度も夢に出て来た。

 

何度も出てきて自分にいろいろ話してくる。

 

そして最後にいつも自分の頭を撫でて去っていく。

 

話の内容はいつも同じようなものだ。

 

夢ではなく普段の日常でもそうだった、彼はいつでも自分を一人の人間として見て語り掛け、自分のペースで去っていく。

 

週に一度、日に一度。

 

会うたびにこの男を知りたい気持ちが強くなる。

 

その男の眼に宿る自分と同じような過去の光景をどことなく感じながら彼女は彼に興味が沸いた。

 

そんな彼からのいきなりの贈り物、それがたとえ扱いにくいメガネでも彼女は嬉しかった。

 

なにより動けない自分を身を挺して守ろうとしてくれた彼の行動と言葉。

 

全ては話せない、だが・・・いつか時が来れば彼はきっと私をその身を挺して・・・・・。

 

 

淡い期待だ。

 

 

そんなことはできない。

 

させられない。

 

自分は呪われた家系の子。

 

おとぎ話のように都合よく王子様が呪いを解き放って私を助けてくれるはずがない。

 

でも・・・。

 

 

 

これからやる事は大げさに言えばある種の決別。

 

そして。

 

ちょっとした恩返し。

 

 

 

タバサは足元に転がるPSVRのような眼鏡を杖で叩き割った。

 

「あなた達相手にこんな眼鏡は不要。・・・・かかってきなさい。」

 

静かにそう言い放つタバサはダミアンに手招きする。

 

銀時はふ、と笑うとタバサに自分の懐から取り出したメガネケースを投げる。

 

タバサはそれを受け取り中に入っているフレームとレンズが元の形に修繕された自分の眼鏡を耳にかける。

 

「け!せっかくプレゼントしてやった眼鏡たたき割るたぁひでぇガキだぜ。」

 

「もう見えるからいい。」

 

タバサはその新調された眼鏡の奥に光る瞳を銀時に見せる。

 

いつのまにか解放された銀時達、ダミアンは額に汗を流し、傭兵達を見る。

 

「怯むな!!一斉に襲い掛かれぇぇぇぇ!!」

 

 

その声を合図に殺し屋の傭兵達がタバサ目がけてつっこんでくる。

 

「上等だぁぁぁ!見せてやれタバサ!源外のジイサン特製のニュータイプメガネ!!」

 

銀時の叫びに応じてタバサが動く。

 

 

 

 

 

 

 

「特大オプティブラストメガネの威力を!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「え?」」

ルイズとキュルケが銀時の声に唖然とする。

 

 

タバサの眼には眼鏡を通して迫り来る敵の足元にメガネから巨大なビームを放つ。

 

敵の傭兵はそれに怯み、脚を止める、誰もがそのビームの威力、地面をえぐり、焼き焦がす事に驚く。

 

「何ィ!?」

 

ダミアンもタバサのビームに驚くがもはや余裕はない、銀時とサイトが前に飛び出し、傭兵を殴りぬけ、怯んだ傭兵達を倒していく。

 

「行け!タバサ!お前の力を見せてやれ!」

 

銀時が叫ぶ。

 

「殺し屋タバサの底力をみせてやれぇぇぇ!!」

 

サイトも銀時につられ叫ぶ。

 

 

 

 

 

その声に呼応するかのようにタバサの眼鏡のフレームが変形する。

 

変形したフレームの眼鏡のツルの部分が触手の様に周囲の敵をなぎ倒していく、ルイズやキュルケに襲いかかかろうとする敵の動きも自動で読み、タバサのメガネはありとあらゆる敵を彼女達に寄せ付けなかった。

 

「ちょ・・・ナニアレ!?」

 

エレオノールもその眼鏡の能力に驚き、草場の影で目の前の光景にツッコミを忘れ呆然としている。

 

メガネの能力はそれだけではない、眼前に迫り来る敵の能力を数値化し、どのタイミング、どの順番でそれを叩くかもアナウンスで知らせる。

 

『前方より敵三名、戦闘値 100 89 120 正面からの魔法攻撃が最適です。』

 

タバサは言われる通り、敵に氷の刃を放つ、命中。

 

タバサは杖を振るいながら次々に敵をなぎ倒す。

 

敵も甘くはなかった、あらゆる方向からの一斉攻撃、火、水、土、風の攻撃が雨あられとタバサに襲い掛かる。

 

『全方位に攻撃確認、最終フェーズに移ります。』

 

アナウンスと同時にタバサが空中に舞う。

 

まばゆい光の中、彼女の衣服が破り捨てられ、さらなる眼鏡のフレームの変形が彼女の体を覆う。

 

頭には強固なヘッドギア、胸には彼女の命を守る頑丈なアーマー、そして腕、下半身には屈強な戦士のような装甲が覆う。

 

「・・・・・メガネ魔法奥儀!!」

 

タバサは空中で体を丸め、力を溜める。

 

そして放たれた地上の敵にめがけ一斉射撃される光の光弾、それは敵のことごとく貫き地面にたたき伏せる。

 

「眼鏡(略してメガ)粒子砲!!!」

 

 

 

 

 

 

 

彼女の放った一撃は全てを破壊した。

 

敵は地面に倒れ、そしてヴァリエール邸は崩壊した。

 

ダミアンが最後に見た光景は銀時にタバサが抱えられ、ヴェリエール邸からエレオノールまで逃げ出す姿。

 

エレオノールは親の怒りへの恐怖から逃れようと必死だ。

 

もはやそこには勝利への喜びもクソもない、ただ、屋敷を壊した器物破損の罪から逃れる男と女の逃げる後ろ姿だけがあった。

 

銀時もルイズもさすがにこれはヤバイと思ったのか必死で屋敷から逃げる。キュルケはあーあ、といいながら走る。

 

 

 

 

 

 

数日後、旅行から帰った両親が荒れ果てた自分の屋敷を見て呆然とする光景がラ・ヴァリエールの領民に確認されたという。

 

 

 

エレオノールが両親に発見され、そのあとどうなったかはまた先の話。




器物破損で全てがうやむやになったオチです。

考えた末がこの結末・・・・。
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