ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

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第七十九話 忘年会で一年をなかったことにはできない

魅惑の妖精亭

 

年末の飲み納めイベントで賑わうこの酒場の一角で見覚えのある銀髪の男が連れた集団がジョッキを手に取る。

 

「「「一年間、お疲れ様でしたぁぁ!」」」

 

ジョッキのビールを飲み干し、銀時はどかりとテーブルにジョッキを置く。

 

神楽も新八もウーロン茶を飲み、テーブルに置く。

 

新八「いやぁ、一年続きましたねぇ、このクロスオーバーも。」

 

神楽「ヘタなシリアス編、いきなりの引っ越し、数えればキリがないアル。」

 

新八「後者のは関係ないよね?」

 

ジェシカ「いらっしゃい銀さん、今日はたっぷり飲んでってよね!」

 

新八「わかってますよね?銀さん、原作みたいに飲みすぎて六股事件みたいなこと起こさないでくださいよ?」

 

銀時「わーってるよ、あんなトラウマもん二度と起こしてたまるかよ。」

 

そういいながら銀時は注文にきたジェシカにまたビールを頼む。

 

サイト「おー、やってるやってる。」

 

ルイズ「っていうかここでやんの?女性陣もいるのにほとんどセクハラじゃない。」

 

銀時「ジェシカの計らいで個室用意してもらったんだ、幼児体系のクソガキは来るけどセクシーなねーちゃんはこねーよ。」

 

ルイズ「・・・・聞かなかったことにするわ、来年覚えときなさいよ。」

 

たわいもない話をしながらも銀時がこっちの国で知り合った面々が万事屋忘年会に顔を見せる。

 

ギーシュ「やぁ、銀さん、おひさしぶりだね。」

 

モンモランシー「前回は御免なさいね、私の不始末で迷惑かけたみたいで・・・。」

 

銀時「ああ、いいって、どーせ話始まったらほぼリセットみたいなモンだから。モンモンだけに。」

 

 

 

オスマン「遅れてすまんの、ロングビルが支度に時間がかかるもんでの。」

 

ロングビル「あたしのせいにしてんじゃないわよ。ひさしぶりね、銀髪侍さん。」

 

 

 

キュルケ「ヤッホー、おまたせーん。あ、店員さん、私ワイン頂戴。」

 

ティファニア「わぁ、もりあがってますねぇ。忘年会とか初めてです・・・。」

 

新八「こう見ると女性陣多いですよね、ホントにココでよかったのかな?」

 

神楽「なーに緊張してるネ新八ィ、童貞丸出しアルよ。」

 

銀時「どーせ合コンで酔いつぶれたフリして介抱してもらう作戦頭で描いてんだろ?ったくこれだから童貞は、・・・魂胆ミエミエなんだよ、・・・むしろ普通に飲んでる女子共の邪魔にしかならねーんだからそんなしょうもない事考えんな新八。」

 

新八「考えてねーよ!!世の中の童貞がんな事考えてると思ってたら大間違いだぞコラァ!!」

 

キュルケ「じゃぁ、私はその新八くんの隣に座っちゃおーかな、アルビオンの時お世話になったしお酌くらいわねぇ。」

 

新八「え、ちょ、いいんですか?でも僕まだ未成年だし・・・・・。」

 

銀時「ヒューヒュー、お熱いねぇ、新八さーん、こりゃ今晩ワンチャンあるかもよ?」

 

新八「お前はいいかげん黙ってろや!」

 

キュルケ「まぁまぁ、じゃぁウーロン茶次いであげるわぁ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

灰皿にどばぁ

 

 

 

 

 

新八「だからやめろって言ってんだろぉぉぉ!なにそれはやってんの?何年前のネタ拾ってんだよ!」

 

キュルケ「やだ、間違えちゃった!うひゃひゃひゃひゃ!」

 

タバサ「もう酔ってる。」

 

新八「あ、タバサさんいたんだ・・・。」

 

タバサ「質は問わない、問題は量。」

 

銀時「おー、食え喰え、どーせ食べ放題コースなんだからよぉ・・・・ひっく。」

 

タバサ「じゃぁ・・・・・レバ刺し。」

 

新八「マテマテマテェェェ!!もう禁止されたから、何年も前に!!」

 

タバサ「・・・・冗談。」

 

 

 

 

 

 

 

 

忘年会も盛り上がってきたところで銀時の馴染みの客はどんどん増える。

 

 

 

 

 

マリコルヌ「遅れてごめ・・・ってもう盛り上がりすぎじゃないかい?」

 

銀時「おー、マリアンヌ、・・・・ひっく。やっと部屋から出てきたかぁ・・・。」

 

マリコルヌ「名前違うし!誰だよマリアンヌって!女じゃねーか!」

 

レイナール「はー・・・こりゃ来てよかったんかね、もうごっちゃごちゃ。」

 

ギムリ「これは・・・・まだ始まって一時間も立ってないでしょ?」

 

 

皆がにぎわっているテーブルにはグラスとジョッキが散乱し、ワインの瓶、ビールの瓶が床にごろごろ転がっている。

 

確かに、一時間もたってないのにこの飲む量は異常だった。

 

銀時自身は六股事件の事もあるのか最初の頃はほろ酔い程度だったが、徐々に飲む量とペースは速く、多くなってきている。

 

新八「あーあ・・・・銀さんまた前みたいな事になりますよ、ちょっとはセーブして・・・。」

 

サイト「なーにかしこまっちゃってんの新八サーン!ひっく・・・ほれのめのめ!!」

 

新八の口にワインのボトルの飲み口を突っ込み、サイトは真っ赤な顔でニヤニヤ笑う。

 

新八「んご・・・むぐ・・・・ゲホォ!!・・・・ゲホ、ごほ!!・・・何飲ませてんですか!サイトさん。」

 

サイト「らいじょーぶだよぱっつぁんよぉ・・・ここの国じゃ16から飲めるんだから・・・。」

 

ルイズ「そうそう、あんたも飲みなさいよぉ、・・・男のクセしてカマトトぶってんじゃねーわよぉ・・・ひっく。」

 

キュルケ「るーいーずー・・・・ぱっつぁんには私が注ぐって言ってんでしょ・・・ひっく・・・あんたは使い魔といちゃいちゃしてなさいよぉ・・・。」

 

ルイズ「えー・・・・いやよぉ・・・こんな巨乳好きの使い魔なんぞにいちゃつくくらいならぱっつぁんにイラつくほうがいいわよぉ・・・。」

 

新八「ゲホゲホ!!・・・いや、それ僕が何かしましたか?・・・・・・。」

 

 

二時間、三時間と彼らは飲み続けた。

 

それまでにもちらほら銀時忘年会には見慣れた顔が・・・・・

 

 

 

 

カトレア「遅くなってごめんなさいねぇ、始まる前にお姉さまが少し始めちゃってて・・・。」

 

エレオノール「うぉぉぉぉぉい!!来てやったぞぉぉぉぉチリチリ頭ぁあああああ!」

 

ワイン瓶を振り回しながら来店するルイズの姉・・・

 

新八「いや・・・・ちょっと、暴れないで下さいって・・・もうこの人泥酔・・。」

 

 

 

 

 

 

 

シエスタ「(こんばんわぁ、おそくなりましたぁ)フヒヒ、この媚薬酒に混ぜて銀さんと今夜こそ既成事実を・・・。」

 

神樂「お前はカエレヨ!!本音と心の声逆になってるネ!!」

 

新八「あ・・・・・シエスタ・・・・さん。」

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

・・・・・・・・・・・。

 

 

・・・

 

 

・・・・

 

 

 

・・

 

 

 

・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして・・・・

 

気が付けば朝、

 

 

 

新八「ぶえっくし!!!」

 

気が付けば見慣れない天井、それもそのハズ、ここは魔法学院の学生寮の部屋。

 

新八「あー・・・そっか、昨日は忘年会だったっけ・・・。」

 

ベッドから上半身を起こし、メガネの場所を探る。誰かの部屋なのだろうか、天蓋付きのベッドに豪華な家具が新八の目に映る。

 

そして彼はすぐさま事態の異常性に気が付いた。

 

新八「え・・・・なんで僕、裸なの?」

 

12月の末の気候に裸で寝ていた新八は寒気に襲われ、毛布を掴む、そして・・・

 

「うーん・・・。」

 

彼は自分の隣にもう一人ベッドに誰かがいることに気が付く。ごそごそと毛布の中でうごめく誰かに新八のメガネにヒビが入る。

 

パキン・・・・

 

 

 

 

新八「・・・・・え、・・・何コレ。ちょ・・・え、コレ・・・コレって・・・。」

 

 

新八の脳裏には冬季オリンピックのジャンプ選手になった自分がスタート地点から勢いよくジャンプ競技のジャンプ台へと滑走する己の姿を連想する。

 

 

新八「ジャ・・・ジャンプでK点超えたぁぁぁぁぁ!?」

 

まさに銀時と同じ感想を心のなかで泣き叫ぶ。

 

自分があれだけ銀時に過去の失敗は繰り返すなと言っておきながらの大失態。

 

だが、彼は驚きと同時に心の中でこう思った。

 

新八「はは・・・んなわけないか、どーせギーシュさんとかサイトさんが気を利かせてどっちかの部屋間借りさせてくれたんでしょ?ナイナイ、僕にそんなおいしい話・・・。」

 

新八は隣の誰かがうごめく毛布をめくり、その目で確かめることにした。

 

 

 

 

 

 

そこには燃えるような深紅の髪。

 

褐色の肌。

 

そしてグラマラスボディの持ち主。

 

キュルケがいた。

 

 

 

 

新八「ケ!・・・・・K点超えたらサバンナの真ん中に着地してたァァァァ!!」

 

心の雄たけびを上げ、こみ上げる嘔吐に窓へと走った。

 

新八「おぼろしゃああああああ!!」

 

プレッシャー・・・性的な事に関してのプレッシャーの重圧に負け、新八は窓から大量のゲロを吐く。

 

新八「はぁはぁ・・・なんてこった・・・今までこういうことに無縁だったボクがこんな・・・こんな・・・・。」

 

キュルケ「うーん・・・・。」

 

新八「は!!」

 

今にも起きそうなキュルケの声に反応し、急いで窓を閉める。

 

ブリーフ一丁で新八は辺りをそわそわ、あたふたと両手を振り乱し、取り乱し、キュルケが起きないように願う。

 

キュルケ「・・・・・・。」

 

起きなかった彼女にホッとし、新八はなんとかここから脱走できないかと考える。

 

もし、自分とキュルケとの間で何かが起こっていたとしても、今すぐここから姿を消せば・・・彼女が昨晩の事を覚えてなければなんてことはない。

 

可能性の話ではあるが、今は何としてもここから逃げる手を打たなければ泥沼の展開が見えて取れる。

 

そして、追い打ちをかけるかのように・・・。

 

ルイズ「キュルケー・・・起きてるぅ?」

 

ドンドンと扉をノックする音が聞こえ、隣の部屋のルイズが彼女を訪れようとしていた。

 

新八「き・・・・きたぁぁぁぁぁ!よりにもよって歩く爆弾娘がきたぁぁぁぁ!!」

 

新八は追い詰められた草食動物のように壁に背をつけ、上下左右をきょろきょろと見渡す。

 

どこか、・・・どこか逃げ場は・・・

 

新八「そうだ!!窓!!」

 

窓からは十分に脱出が可能なことを思い出す、自分が吐いたゲロの上に飛ぶのは少し気が引けるがそんなことを言ってる場合ではない。

 

高さはあるが日ごろ剣術で鍛えた足腰で耐えれない高さではない。

 

 

 

 

 

銀時「あー・・・軽い二日酔いだなぁ・・・つーか新八どこ行った?」

 

神樂「たぶんどっかで寝てるネ、珍しく昨日は飲んでたから・・・おぉぉーい!新八ィ!!どこにいるアルかぁぁぁぁぁ!!」

 

新八「叫ぶなぁぁぁぁ!おきるうううううう!ゴジラ起きちゃうぅぅぅ!!」

 

心の中で悲痛な叫びをあげ、脂汗を額にかき、窓から顔を出すまいと新八はしゃがんで焦りの表情を浮かべる。

 

銀時「・・・・おい、神楽、お前そっちは女子寮だぞ。んなとこいるわけねーだろ。」

 

新八「いるんだよぉぉぉ!ありえないことだけどいるんだよぉぉぉぉ!!」

 

ルイズ「ちょっとーまだ寝てんの?頭痛いから頭痛薬分けてよぉ~・・・。」

 

ドンドンと扉を叩く音が響き、キュルケが起きるのも時間の問題。

 

キュルケ「うーん、ルイズぅ?なんか外うるさいわね・・・。」

 

新八は最終手段に踏み切った。

 

家具、タンスと化粧台の間の細いスペース、・・・・ここしかない、そして・・・

 

一か八か!!!

 

 

 

ガチャ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルイズ「ねぇ、・・・・薬ない?」

 

キュルケ「うーん・・・うるさいわねぇ・・・ないわよ、シエスタのとこ行ってきなさいよ。」

 

毛布で自分の体を包み、キュルケはのそのそと起き上がる。

 

ルイズ「えー・・・あれ?」

 

ルイズの目には見慣れたキュルケの部屋に何かの違和感を覚える、特に化粧台と箪笥の小さなスペース。

 

ルイズ「・・・あんたさ、・・・・メガネかけてた?」

 

キュルケ「かけてないわよ、・・・もうちょい寝るから出てきなさいよぉ・・・。」

 

新八は自ら新八を捨て、片足立ちで両手を広げ無心で不動の姿勢を取る。

 

こうすることで彼はヒトではなく己自身をメガネに模することができた。

 

それはプライドを捨てた必殺のステルス技術!!

 

ルイズはのそのそと痛む頭を抱えながらキュルケの部屋を出ていく。

 

キュルケはメガネの方に顔をむけ、ぼーっと新八を見る。

 

新八「・・・・・・。」

 

キュルケ「・・・・・・・何してんのぱっつぁん。」

 

新八「・・・・。」

 

ヒトとして認識してもらいうれしい涙なのか、これから来る地獄からくる絶望の涙なのか・・・新八は静かに涙を流した。・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュルケ「あははははは!酔って間違い起こしたって?ないない、絶対ないわよぉ。」

 

学生服に着替えたキュルケはベッドに腰かけ、大声で新八の今朝起こった出来事にケラケラと笑い転げた。

 

新八「いや、・・・今朝の状況見たら誰でもそう思いますよ。」

 

キュルケ「ないない、だって新八くん昨日は・・・・。」

 

 

 

回想へ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日の夜中、魅惑の妖精亭を出た銀時一同はヴァリエール姉妹やティファニア達と行動を別にし、泥酔した新八とルイズをサイトと銀時で抱え学院に向かった。

 

マリコルヌやレイナール達は二次会へと意気揚々出かけていく。

 

銀時「ったく人に散々説教垂れておきながらテメーは泥酔かよ、このメガネ。」

 

神楽「おまけに寝ゲロまで吐きやがってこっちはいい迷惑ネ。」

 

ルイズ「ZZZZZZ。」

 

サイト「わりぃ、銀さん、俺が無理やり飲ませたから・・・。」

 

キュルケ「うう・・・気持ちわる・・・。」

 

銀時「つーか、俺も気持ち悪くなってきた、ちょ、馬車止めて・・・。」

 

ほぼ全員が外に出て吐き出す始末・・・神楽はさすがに眠いのか目をこすり脱力していき、草原の真ん中で寝始めた。

 

銀時「おーい・・神楽、・・・寝ちゃったよ、俺あっち戻るわ、神楽はジェシカに任せて俺はどっか適当に寝るわ。」

 

サイト「適当って・・・ああ、行っちゃったよ・・・まぁいいや、俺とルイズは馬車に・・・。」

 

キュルケ「ぱっつぁんは私がフライで飛ぶわぁ・・・まぁゆっくりだけど、・・・ひっく、・・・仕方ないでしょ。」

 

サイト「おう・・まかせた、っていうか落とすなよ。」

 

キュルケ「おまかせあれー・・・・。」

 

フワフワと浮きながらキュルケは新八の両脇を抱えるように地面から浮き上がる。

 

順調に飛行してるように見えたが。

 

キュルケ「おっとっと・・・危ない危ない。墜落するとこだった。」

 

ズゾゾゾゾゾゾゾ

 

地面に新八を削りながら低空飛行をするキュルケがそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

新八「ちょっと待てぇぇぇ!削りながらって何!?僕鰹節じゃないから!!」

 

キュルケ「まぁまぁ・・・・・話はまだあるんだってぇ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュルケは新八を抱え直しそのまま飛行を続けた。

 

キュルケ「・・・・あ学院見えてきた、もうちょいよぱっつぁん・・。」

 

ドガ バキ グシャア メキメキメキ・・・・

 

キュルケ「あー・・・・地面に落としちゃった・・・・ついでにマンモスの群れにふまれちゃった。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新八「テメェ!人をどんな扱いしてんだ!!つーかマンモス?マンモスの群れいんの?このへん!?」

 

キュルケ「さっすがに死んだと思ったから急いでモンモランシーの部屋に行ったわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュルケ「うーい、モンモランシー起きてるぅ?」

 

モンモランシー「うーい・・・起きてる起きてる、なにその抱えてるモザイク。」

 

キュルケ「じつはかくかくしかじか・・・。」

 

モンモランシー「まっかせなさーい、霊薬でちょちょいの・・・。」

 

 

ウィイイイイイイイン

 

 

ピーピーピーピー

 

ガシンガシン

 

キュィーン

 

チーン

 

モンモランシー「はーい完治。」

 

キュルケ「おっけーい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新八「んなわけあるかァァァ!霊薬って言っておいて工具の音聞こえたぞ!あんたら僕にナニした!改造人間にしたんじゃねーだろうな!!」

 

キュルケ「何もしてないわよ、こっちの世界の回復薬はギャグマンガ並みに一晩過ぎたら元通りなのよ、ひん死の状態からの回復でいきなりあなたも私襲ったりしないでしょ?」

 

新八「ま、・・・まぁ、そうですよね。はぁーよかった。」

 

キュルケ「あ、そうそう、これも預かっておいたから絶対大丈夫よ。」

 

新八「え?なんですか?。」

 

キュルケ「はい・・・・キンタ〇。」

 

新八「テメェェェェェェェ!!人のナニどっから出してんだァァァ!」

 

キュルケは引き出しから黄金に光るボールを取り出して新八に見せた。

 

 

キュルケ「あはははは!チョー面白い、やっぱ新八くんのツッコミ最高!」

 

新八「はぁ・・・僕もう帰りますよ、やっぱ忘年会はロクなことがない。」

 

キュルケ「・・・・・・もし今話した事が全部ウソで私たちの間でナニかあったらどうするぅ?」

 

新八「・・・・・へ?」

 

キュルケは新八の手を両手で掴み、新八の歩みを止める。

 

キュルケ「私はね、・・・燃えるような恋がしたいの、その人を思うだけでこの身が焼かれるような恋をしたい、ツェルプストーの血がそうさせるのか私自身の心がそうさせるのかは知らない、・・・・関係に初めても何も私にとってはどうでもいいの、今まで何人もの男と愛を語ってきたけど、・・・・わかるでしょ?全部イマイチだって・・・新八くんは今は私から見て結構魅力的よ、・・・・新八くんは・・・。」

 

新八「・・・・それ、やめておいたほうがいいですよ。」

 

新八はキュルケの両手を自分の手で包むようにそっと離させた。

 

まっすぐ正面を向き、新八はキュルケのやっていることのリスクについて口を開く。

 

新八「今までの男はどうだったか知りませんけど、世の中には危険な男だっているんです!痴情のもつれでトラブルを起こして刃傷沙汰を起こすなんてかぶき町ではよくあるんですよ!」

 

キュルケ「そんなの魔法でボーンと・・・。」

 

新八「それがまかり通らないことだってあるんです!恋とか愛とか、出会いに積極的なのはわかります、でも、そうやってリスクを楽しむのも結構ですけど、心の底から思ってもないようなこと男に気があるようにベラベラ話すのは危険だって言いたいんです!」

 

キュルケ「・・・・・。」

 

新八「ま・・・童貞の僕が言っても説得力ないですけどね。」

 

キュルケ「ま・・・まぁ、気を付ける・・・わ?」

 

新八「・・・・あ、ああ!ごめんなさい!ちょっと熱くなっちゃって・・・でもキュルケさんには知っておいて欲しかったんです、あの、なんていうか・・・。」

 

一瞬だったがキュルケの頭の中には昔の光景がうかんだ。

 

キュルケの実家、ゲルマニアは小金持ちが多く、成金が建国したような国だ、その金持ちに生まれた自分の周りには小さな時から自分に言い寄る男たちが多かった。

 

中には本気で好きになりそうな男もいた。

 

だがその男たちの心の奥底にはキュルケは映ってはいなかった。

 

本心では 金 の一言だった。

 

いつからかはわからないがキュルケの目にはそれが見える様になっていた。

 

もしくは自分の体だけに目がくらんだ男達・・・

 

それが見えれば見える程、自分の中の膨らんだ恋心はどんどんしぼんでいく。

 

言葉を交わせば交わす度に・・・。

 

 

新八「じゃぁ僕、帰りますね、銀さんたち探してるし。」

 

キュルケ「はいはい、あ、・・・・行っちゃった。キンタ〇忘れてる・・・って。」

 

 

 

 

 

 

 

キュルケは広場で合流する新八と銀時、神楽を自室の窓から見下ろし、片手でコロコロと金の玉を転がす。

 

もちろんこの玉は新八のではない、しっかりと新八には新八もモノがついている。

 

そして昨晩何もなかったのは自分の記憶と体が知っている。

 

よく漫画で描かれるハプニングは実際では起こり得る確率は低いものだ。

 

(たぶんな、たぶんやで)

 

 

 

 

 

キュルケはぼーっと学院を後にする三名の背中を見ながら物思いにふける。

 

 

 

「キュルケ・・・この前の約束なんだけど・・・デートの。」

 

そうこうしているうちに男子学生の一人がキュルケの部屋のドアをそっと開く。

 

キュルケは振り返りもせずに杖を操り、男子学生をドアから締め出す。

 

ロックの魔法とサイレントの魔法がかかり、外の男子学生の声はキュルケには聞こえない。

 

キュルケ「武士は食わねど(性的な意味で)高楊枝・・・か、・・・お堅いわね。」

 

 

 

一言そうつぶやくとキュルケはベッドにごろんと寝ころび金のボールを手の平で転がしつまらなさそうに床に放り投げる。

 

 

 

キュルケ・・・・男を転がす勢い余ってキンタ〇を転がす魔性の女。

 

彼女の本当の恋が見つかるのはまだまだ先の話。

 

忘年会編、一話にて終わり。

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