ゼロの使い魔と万事屋銀ちゃん   作:銀桃

9 / 80
マダオ まるでダメなおっさん 略してマダオ

よくできてるって関心する三文字やわ。


第九話 子どもに説教垂れる大人は絶滅保護動物より希少

宝物庫周辺の広場は痛めつけられた教師が横たわっていた。

 

赤土のシュヴルーズ、疾風のギトー、メイジの教師は瞬く間に戦闘不能にされた。

 

「はぁ、このルートはハズレかねぇ。」

 

阿武兎は溜息をつき、自分と同い年くらいの教師達のふがいなさに落胆する。

 

「外のお偉いさん達はそそくさと逃亡、警備兵は役立たず、こりゃPTAが発狂もんだろう。」

 

豪快な音のする方向に首を傾け、うんうんと頷く。

 

「こりゃ団長の勝ちだな、あーあ、がっかりだぁ。」

「待ちたまえ。」

 

ふと阿武兎の振り返った先に見えたのは金髪の少年、その両に大柄な少年と小太りの少年の姿が土煙の中から現れる。

 

「この学院をここまでしてタダで帰れると思っているのか?」

「メイジの誇りにかけて君、無事に帰れるとおもうなよ?」

 

「・・・・そうね、いろいろ聞きたいことがあるから無理やりにでもしゃべってもらうわよ。」

 

阿伏兎を挟むように正面にはギーシュ、マリコヌル、ヴィリエ。

後ろにはキュルケが杖を構えて阿伏兎を包囲した。

 

キュルケの後ろではモンモランシーが怯えながらも自身の作った回復のポーションで教師の傷を癒そうと行動に移す。

 

阿伏兎は傘を肩に担ぎ、うつむいた。

 

「く、くくくく。」

「な・・なにがおかし・・」

「あーーーーーーっはっはっはぁ!こりゃぁいい、最後の殿が教師でもなく騎士でもねぇ、年端のいかねぇ勇気を振り絞った貴族のボンボンたぁ!・・・おじさん年甲斐にもなく燃えちまったぜぇ・・・。」

 

阿伏兎は傘を担ぐのを止め、曇ってきた空を見上げる。

好機と直感したキュルケがすかさずファイヤーボールを放つ、がそこにはもう阿伏兎の姿はない。

 

「え・・・。」

「お嬢ちゃん、戦いの基本を教えてやろう。」

 

キュルケの振り返った背後の眼前にいつの間にか回り込んだ阿伏兎の無精ひげの顔が近寄る。

阿伏兎はその年端の行かない少女の髪の毛をつかみ、腕力だけで宝物庫の壁にキュルケの体ごと投げ、叩きつけた。

 

「相手が油断したフリをしている時が一番危険さね。」

 

壁にたたきつけられたキュルケは意識を絶たれる。

 

「キュルケ!!」

 

ヴィリエはキュルケの身を案じ、杖の構えを解く。

 

「待て!構えを・・・。」

 

ギーシュの不安は的中した、阿伏兎はすでにヴィリエの頭にげんこつを放ち、地面にたたきつけられたヴィリエを脚で踏みつける。

 

「仲間がやられても気をゆるめるんじゃぁねぇよ。」

「あ、・・・・あああ。」

 

怯えるマリコヌルを視界にとらえた阿伏兎はギーシュを無視し、片手の平でマリコヌルの胴体に掌底を叩きつける。

 

「あと食いすぎだ坊主、話にならねぇ。」

「ワルキューレ!!」

 

ギーシュの青銅人形は振り返りざまの阿伏兎の右ストレートで完全に破壊、そのままギーシュの顔面を殴りぬけた、ギーシュは後方に吹っ飛び、マリコヌルは両ひざをつき、血と吐しゃ物を吐き散らしながら戦意を失う。

 

「まぁ人形の坊ちゃんはちょいと見込みあり、ってとこか。」

「ギーシュ!」

 

モンモランシーのギーシュを呼ぶ声にすかさず弾丸のように彼女の目の前まで跳躍し、阿伏兎はまるでウサギの首をつかむように、モンモランシーを捕まえた。

 

「が、・・・ギ、・・・・ギーシュ。」

 

眼が血走り、完全に酸素を絶たれたモンモランシーはそれでもギーシュの名を呼ぶ。

 

「回復役が前にでちゃ隊は全滅、ゲームオーバーだ。」

 

苦しむモンモランシーをよそに阿伏兎ははぁ、と溜息をつき、さっき痛めつけた少年少女を見る。

 

「いいかお嬢ちゃん達、これが現実だ、こう見えてもおじさん、宇宙では希少種でね、戦闘民族 夜兎、生まれてこの方戦いしか学んだ事がねぇ・・・親でも気に入らなかったら殺す、生きたきゃダチ公でも殺す、そういう生き物さ、世の中戦いで生き残りたきゃ家柄でも勉学でもねぇ、・・・圧倒的な残忍さと力のみよ!。」

 

左腕に力を込めていく、モンモランシーの首の骨が砕ける寸前だった。

 

ドォン

 

爆音と共に、阿伏兎の左腕は火花と共に砕け、義手の断面があらわになる。

 

「ほおー・・・お前さんがタカスギの言ってた娘かい。」

「あ、・・・あんたら、いい加減にしなさい・・・。」

 

怒りのこもった眼でルイズは杖を持ち、震える声を絞り出し、アンリエッタと共に、阿伏兎に立ち向かう。

 

「はぁ、・・・悪いな、団長、今回は俺の勝ちだ。」

 

 

 

 

場所は変わってとある広場の一角、数秒前までは激しい打撃音が繰り返し発せられていたが一発の大きな炸裂音と土埃が広がった後、完全に沈黙した。

 

土煙から現れたのは神威の笑顔、体中痣と血まみれだが、目の前に倒れるコルベールを目にし、満足げに言葉を放つ。

 

「久しぶりに楽しかったよ、おじさん、またやろうね。」

 

コルベールは白目を剥き、もはや動かない、神威は振り返ると、さっきまでコルベールの戦闘に合わせて後援で魔法を放っていたオスマンが息も荒げに地面に伏せている。

神威はオスマンに目もくれず、ルイズとアンリエッタが逃げた先に歩を進める。

 

「お、・・・お主達は、あのルイズをどうするつもりじゃ。」

「え?あの子、うーん・・・。」

 

神威はオスマンに拳を軽くたたきつけ、オスマンの意識を断った後、一言告げた。

 

「俺は知らないよ、暴れにきただけだから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。