最弱無敗の神装機竜~金色の救世主~   作:苗之助

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プロローグ2

「・・・ハァ・・・ゲホッ・・・」

二機の装甲機竜の反乱により、崩れかけている城の中を、ハルトは歩いていた。

(早くルクスの加勢にいかないと・・・)

そう考えながら、歩いているハルトは酷い有様だった。

リーズシャルテとの会話で動揺したのか、崩れてきた天井をもろにくらった。

頭から血を流し、手の肉は抉れ、骨が見え、足はあらぬ方向へ曲がっていた。

それでも、ハルトは歩くのをやめなかった。

(ルクスを死なす訳にはいかないんだ。あいつが・・・新しい王国の)

一歩、また一歩と踏み出すたんびに、怪我をした頭が痛む。

足は酷く痛み、手に至っては感覚が既になくなっていた。

何度も倒れそうになった。実際に5回は転んだ。

それでも、何かに取り憑かれたかのように、歩を進めた。

(今日、この戦いに勝利して、新しい王国を作って、そこで皆で楽しく・・・)

ハルトは、燃え盛る炎や瓦礫の山をよけ、ついに、

「着いた・・・外・・・だ。」

裏口から、場外に出た。

ふと、正門の方に目を向けると、一機の黒い装甲機竜が空中を待っていた。

ルクスが、複数の装甲機竜を相手に戦っていたのだ。

「早く・・・行かない・・・と」

そう言いながら、腰の剣に手を伸ばした。

ーしかし

 

 

ドシャッ

 

 

その手が、剣に触れる事は無かった。

(あれ?体が・・・うまく・・・動かない)

既に大量の出血と、傷ついた体に鞭打った罰か、体が動かず倒れてしまった。

そして、無茶をしたことによって、意識が遠のいていく。

(なんか・・・眠い・・・)

全身から力が抜けていくのを感じた。

この時、ハルトは瞬間的に思った。

ー自分はここで死んでしまうのだと。

(ごめん・・・ルクス・・・俺は・・・もう)

それを最後に俺は、深い眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

火に包まれ、パニック状態に陥っているアーカディア帝国。

国民は我先へと、火元の城から離れて行った。

そんな中、一人の少女とその従者らしき人物が城の裏口付近へと向かっていた。

馬車に乗り、城の後ろにある門から国を出ようとしているらしい。

そんな最中、一人の少女が呟いた。

「あ~あ、折角の国外への遠出だったのに。つまんない。」

綺麗な薄紅色の髪、橙色の瞳に、肩口が開いている奇怪な服をきている。

どうやら、従者と共に此処に旅行に来ていたようだ。

そこに丁度、反乱が起こってしまったらしい。

少女はそれが気に食わなかったようだ。

「仕方が無いです。どのみち長居は元々できない予定だったので、あまり変わらないでしょう。」

そう言ったのは、少女の隣で馬の手綱を引いてる従者だった。

クリーム色の髪、碧色の瞳に、東国でいう「着物」を着ていた。

その従者も、お腹を出して、本来くるぶしまであるものを太もも辺りまで切っていた。

その二人が乗っている馬車が、城の裏口付近まで差し掛かった時、少女が声を上げた。

「ねぇ!あれ、誰か倒れてない?」

少女が指をさした方向には、人が確かに倒れていた。

二人は馬車から降りて、その人の元へと向かった。

「うわぁ・・・」

「酷い怪我・・・」

二人は、倒れていた少年 ハルトの容体を見て、そう呟いた。

少年の体は、頭からは流血し、手の肉は抉れ、足はあらぬ方向へ曲がっていた。

従者が、手首に手を当てる。

「・・・え!?まだ生きてる・・・」

弱くはなっているが、まだ脈はあった。

「え!本当!?」

「はい、確かに・・・でも・・・」

従者は少年の顔に目を向けた。

顔色が悪く、唇の色も悪くなっている。

さらに、体の下にある血の水たまりは、どんどん面積を広げている。

もう、長くは持たないであろう。

(なんで、こんな少年まで戦いに・・・)

そんな事を考えていると、隣から唸る様な声が聞こえて来た。

「うーん・・・うん!決めた!」

その声に、従者はとても嫌な予感がした。

(こういう顔の時の姫様は、突飛もない事を言い出す・・・何か話題を変えないと!)

そう思い、口を開いた従者だったが、遅かった。

その一言に従者はまた、胃が痛くなるのを感じた。

 

 

「この人、私の下僕にする!」

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

此処は何処だろう。

床、天井、壁、至る所が真っ黒な部屋に俺はいた。

俺以外誰もいない真っ黒な空間。

(なんで俺、こんなところにいるんだ?)

ふと、疑問に思ったその時、後ろから足音が聴こえてきた。

(誰だろう?)

そう思い振り向くと、そこには、一人の人間が立っていた。

目元は暗くてよく見えないが、銀髪と腰にさしていた黒い剣が目に入った。

それは俺もよく見ていた格好であった。

(ル・・・ルクス?)

驚いて声をかける。だが

「・・・・・・・・」

何も返してはくれなかった。

(え・・・っと・・・)

俺もどうしていいかわからず、取り合えず喋るのを待った。

すると、ルクスは驚くほど低い声で確かにこう言った。

「・・・人殺し」

(・・・え?)

すると、暗かったはずの空間が赤くなり、俺を囲む様に、沢山の人が突然姿を表した。

俺は、その光景に目を見開いた。

何故なら、

「人殺し」

その中に母さんの姿を見つけたからだ。

(母さん・・・なんで!?)

俺はそう言うが、母さんはまるで何も聴こえていないかの様だった。

母さんを殺したのは俺じゃない。

俺はそう、声に出そうとした。その時、ガシャっと言う音が聞こえた。

ふと、俺の体を見ると、身体中が返り血で濡れ、血がついた剣を握っていた。

(は!?何で・・・)

服が変わった瞬間に、周りの人間の声は大きくなっていった。

(違う!俺じゃないんだ!聞いてくれ!)

俺は、目の前のルクス達に抗議しようとした。

しかし、その声が口から出される事はなかった。

落ち着け、これは悪い夢だ。現実じゃない!

そう、自分に言い聞かせた。

すると、

「・・・・・・・・」

目の前に新たな人が現れた。

背丈は小さく、金髪のサイドテールの女の子だった。

(なっ、なんでお前まで・・・・・・・・)

俺はその子を見た事がある。

目は案の定暗くてよく見えないが、見間違いなんかじゃない。

だって、その女の子は

(リーズシャルテ!?)

俺の、大事な義妹だったからだ。

リーズシャルテは、手に見慣れない剣を持って、こっちを見ていた。

その視線は、まるで鋭い剣先の様だった。

そして、そのまま俺に向かって歩き始めた。

(リーズシャルテ!おい!リーズシャルテ!)

何度も呼びかけるが、一向に答えは帰ってこなかった。

そして、俺の前で立ち止まり

 

 

グチャァ

 

 

 

手に持っていた剣を、俺の腹部に突き刺した。

(ぐぁ・・・がぁ・・)

夢とは思えない程の痛みが、俺を襲った。

リーズシャルテが剣を抜くと同時に、俺は前に倒れた。

何で?何で?何で?何で?何で?何で?

そんな考えが、頭の中を駆け巡る。

(リーズ・・シャルテ・・・何・・で?)

途切れ途切れの声をあげ、リーズシャルテを見た。

そこで俺が見たのは

 

剣を振り下ろそうとしているリーズシャルテと、

 

 

 

 

その目から流れてる、涙だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!」

そう大声で叫びながら、俺は起きた。

(ハァ・・・ハァ・・・夢?)

視線を自分の体に向けるが、返り血などは一切ついていなかった。

勿論、周りにリーズシャルテやルクスはいなかった。

「ふぃ~、夢で良かった~。」

俺はホッとしてため息をついた。が

そうしているのも束の間、また、新たな問題が浮上した。

「此処、何処だ?」

ベットではなく床に敷いてる布団、触り心地のいい緑の床、変わった形のドア。

俺は、確か城で戦っていたはず、で、そのあと城の中に入って奴隷解放して、んでー

「・・・あっ。」

(そうだ。俺、リーズシャルテに・・・)

そこでようやく全てを思い出した。

だが、そう考えるともっとおかしい。

「本当に此処は何処だ?」

俺が知る中で、アーカディア帝国にこんな場所は無かったはず。

じゃぁ、俺が今居るのは?

「ん~?」

手を顎に当て考える。

俺が倒れたのは、城の裏口。戦後の後始末をしたなら必ず見つかるはず。

そう考えると、反乱が失敗した場合は、地下牢。反乱が成功したなら、病院。

このどっちかに運ばれる筈・・・多分。

だが、今居るこの場所はそのどちらでも無い。少なくとも地下牢には見えない。

ていうか、

そもそも国はどうなったんだ?

ルクス達は無事なのか?

俺の母さんを殺したのは?

そんな疑問が後からどんどん出てくる。

「・・・んまぁ、布団で寝っ転がっててもはじまらねぇな。」

取り合えず人を探そう。んで色々質問に答えてもらおう。

そう思い、布団から出ようとした。ーが

「・・・痛!!?」

右足に激痛が走った。

なんだ!?と思い布団をめくり右足を見ると、包帯がぐるぐるに巻かれていた。

(あー、そういえば右足すごい事になってたな。)

瓦礫に巻き込まれた際にポッキリ折れてしまったのか、スネの辺りから30度ぐらい外側に折れていたのを覚えている。」

よくよく体を触って見ると、至る所に包帯が巻いてある。

一番酷いのが右腕だ。一見綺麗に見えるが一部へこんでる。

てか、うごかそうとしてもピクリとも動かない。

まぁ、骨が見えるぐらい抉れたんだ。神経が一緒に逝ってしまっても、なんらおかしくない。

っと、そんな事はどうでもいい。

「・・・・這って廊下に出るか。」

そう言うと、直ぐにドアに向かって這い始めた。

「よっ、ほっ。」

数十秒で変わった形のドアについた。

そして、ドアに手をかけようとしたその時、

スーッ

勝手にドアが開いた。

(お、誰かが入ってきた。)

そう思い、顔を上げる。そこには

「・・・・・・・・ッ!?」

ミニスカートのようなものをはいた女性がたっていた。。

「ミニスカート(仮)」を下から「見上げている」のだ。

それ即ち、綺麗で華奢な足の根元にあるものが見えるわけで。

 

「イヤぁぁぁぁぁぁ!!!!!」ビュオッ

「あべぇ!」バキッッ

女性の蹴りが、俺の顔面を捉えた。

すげぇ嫌な音が鳴ったんだけど。

俺を蹴っ飛ばした女性が慌てて何か言ってるが、上手く聴き取れない。

(多分...ピンクだ。)

そこで俺は意識を手放した。

 

 

 

 

「本当にすいませんでしたぁぁぁぁ!!!」

「あ、頭をあげて下さい!本来謝るのは此方なんですから!」

俺は今、全力で土下座をしている。

何故かと言うと・・・

「悪いのは此方ですから!私もその・・・気にしてませんから!」

目の前にいる、変わった形の「着物」をきた女性に失礼な事をしてしまったからだ。

えっ?何をしたって?言わせんな恥ずかしい。

「ッー!取り合えず、お互いに頭を下げ合うのはやめましょう!話が進みません。」

女性は焦った様に話を変えようとした。

さっきの事を思い出してしまったのだろう。顔が赤い。

「あ、そうですね。」

俺がそう言うと、その人はコホンと咳を一つして、自己紹介をした。

「私の名前は本宮 椿と言います。この屋敷の主と、その妹様に仕えています。」

「俺はハルト・デルクシオと言います。よろしくお願いします、本宮さん。」

俺が手を出すと、本宮さんも握手に応じてくれた。

柔らかくて綺麗な手が俺の手を握る。

っと、余計な事を考えてる暇は無いな。

その後俺は、早速質問をした。

帰ってきた答えを元に、現状を整理してみた。

まず、反乱の件だが、どうやら成功したらしい。

その後、反乱を成し遂げた二機の装甲機竜は「黒き英雄」と「金色の救世主」と呼ばれてるとか。

やべぇ、両方に心当たりがあるぜ。

「黒き英雄」がルクスで「金色の救世主」は、多分俺の事だろう。

イヤな予感と共に、胃が痛くなるのを感じた。

(面倒ごとは勘弁してくれよ~。)

因みに、英雄と救世主がどうなったか聞くと、わからないと返してきた。

どうやら、俺が「金色の救世主」だと気づいてはいないのだろう。

 

次に、此処が何処かを聞いたが、驚いた事に此処は古都国だそうだ。

えっ?俺は海を渡ったのか?

なんでも、用事でアーカディア帝国に行った時に、丁度反乱が起こったらしい。

これは悪い事をしたな。

そこで国を出ようとした所、たまたま俺を見つけたらしい。

そしたら急に、家主の妹が「俺を下僕にする」と言ったそうだ。

あぶねえ、拾ってくれなかったら俺死んでたな。

んで、えっちらおっちら海を越えて帰国し、今は話し合いをして居るそうな。

どうやら、俺を下僕にする件で少々揉めているらしい。

「そういうわけなので、早速ハルトさんには話し合いに参加して頂きたいのですが・・・」

本宮さんはそう言うと、俺の体に目を向けた。

そう、俺の体は今、すごくボロボロである。

この状態で参加しろとは、無理な話だ。

「まぁ、車椅子を使えば大丈夫でしょう。」

「・・・え?」

いや・・・あの・・・怪我人・・・ですよ?

「さ、行きますか!」

「え!何時の間に車椅子に乗せられた!?」

本宮さんはそう言うと、ゆっくり車椅子を押し、話し合いの場へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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