東方 嘘神奇想録 ~fantasy of liar and god~ 作:一生送信中@
あれから一日がたった。
僕は幻想郷とはいってもある別空間に封印されるような形で、一日をそこで過ごすことになった。
それは、
――――
スキマに入った僕は、暗い中ゆっくりと紫の姿を追うようにして歩いていた。
スキマに入ってまず思ったのは、暗くて何もない印象だった。それは足場も含めての事だ。
何も見えない僕はまっすぐ歩く彼女の姿が、道しるべだ。
何もないのに彼女はどうやって歩いているのか聞きたくなるほどだ。
沈黙の中、歩く音さえ聞こえない闇の中で彼女はつぶやく。
「何か知りたいことはないかしら?」
気を使ってくれたように言葉をかけてくれる。
じゃぁ、と心の中で一言間を入れて
「大妖怪って、どういったものなんでしょうか?冗談だったり、します?」
後ろから顔をうかがうように、少しずつ声が落ちていった。
「少なくとも、幻想郷では冗談ではないわ。力を持って大きくなったから、大妖怪って呼ばれるけど、それは妖怪の中でね。実際に、色んな【大】と、ついた存在もいるわ。幻想郷は、そういったものも含めて色んな種族がいるの。人間、妖怪、妖精、神、少なからずこれからも増えていくは……彼方が来たようにね」
なんか、変わった場所なんだな。
まるで別世界の様だ。
「じゃぁ、今度は私が質問するわね。いいかしら?」
「いいですよ!どんどん来てください」
「彼方は、幻想郷でこれから生きることになるのだけど、神様としていきたいかしら?」
その質問に、僕の足が止まった。
神様としてと言っているのは、別の種族にでもなれると言っているのだ。そんなことができるなんて、それほど幻想郷は今までの常識を変える場所なのだろうか。
一度質問の答えを保留するように「それは、ほかの種族になれると言うことでいいの?」と、聞き直す。
「別の種族にはなれるのだけれど、悪魔で力はそのまま保持することにはなるわね」
へぇー。
軽く考えれるのかな?と、自分の中で解釈し僕は言葉を出そうとした時だ。言葉を遮られる。
「でも、種族が好きに選べるものじゃないわ」
そう言葉を言いながら、紫は止まった此方へと振り向きお願いをする。
「私の式になってもらえないかしら?それが、一番生きていくのにつなぎやすい方法なのよ」
「おねがいできないかしら」と、付け加えながら両手を合わされる。
別に式って式神の事だろうし、神様とそれほど遠くないのだろう。少し気楽に過ごせそうな分には問題ないかなぁ。
「いいですよ!簡単そうだし」
ホッと息を吐いて胸をなでおろし「よかったわ」と、笑顔で返された。
それにしても、式神って信仰ないことに僕は少しだけ驚いた。それで神社の外まで動けるのだから。少しながら式神になれなかった自分へと「どうしてなれなかったの」と、質問したくなった。
「それで、式神になるときに条件があるのだけど幻想郷でそれを話すわね。儀式も少し必要になるもの」
そう言って手を何もない空間へ向け縦へ軽く振る。
そうすると入ってきたように新たに別の空間が見えてくる。居間のような、ちゃぶ台が置かれている空間だ。
……あれ?もしかして、質問がなくなってから開くつもりだったとか?
ち軽く開かれた出口を見ながら「いや、まさか」と、自身へと言い聞かせながら紫へと視線を送る。
その視線に気づくようにこちらへと「どうかした?」と、疑問が向けられる。
まるで、後ろに目があるような反応に恐ろしさを感じた。
「い、いえ、なんでも」
「そう?……」そう一言残して先に居間の空間へと降りる紫。
その姿を見て、一度口からたまった息を吐き出すと空間にひびができた。
……
一瞬だが、本当に一瞬だが見てはいけない物を見たような眼が紫さんから向けられた。
確認するようにスキマ内部を除いた紫さんは、確信したように一言
「ちょっと待ってもらえるかしら。そのまま!」
僕へと近づき一言聞かれた。
「なにしたの?」
慌てたような口ぶりで聞かれたことに、まずい状況だという事に僕も察す。
ありのまま、ため息のように息を吐いたことを告げると別の空間を開き始めた。
事の状態がわからない僕は、とりあえず説明を聞こうと聞いてみる事にした。
「何がおこってるの?」
「ちょっとそっちに行ってもらえる?」
聞く耳がないように、先ほど開いた別の空間へと指をさされ、有無も言わず従うことにした。
移動してもう一度聞いてみる。
「えっと、どうしたの?」
「彼方、今まで体に取り込んでいた災いは今も体にあるの?」
唐突の質問だ。
先ほどまで目の前を優雅に歩いていた妖怪は、取り乱さない様に冷静に冷静にと、心の中で言っているのだろう。今現在、少し考えをまとめたいようだ。
何も問題をおこしたくない状態で何か言うのは怖かった僕は素直に質問へ答えてゆく。
「はい、浄化はしてましたが……かなり多く残ってます」
「服を脱ぎなさい」
冷静な面構えで何を言っていると思いながら、僕は薄い布地の服を脱いでゆく。
下を脱ごうとしたときに「下もですか?」と、恥ずかし気に質問をしたのだけど「ええ」と、即答される。
僕の後ろへと回った紫は体を触りながら何かを確認しているようだ。
「今のあなたって、どれくらい制御できるのかしら?」
「何が?」
「あなた自身の力よ……予想なんだけど、彼方半分災いに浸食されているんじゃないかしら?」
あー、なるほど。自身の体はわかっていたからその事で何か気になるのか。
「そうですよ。でも、死ぬようなことはないとおもうし、大丈夫かと、」
思ったのだけど、八雲さんの表情はそうは言ってなかった。
真剣だ。まるで一歩間違えれば何か起きるような爆弾を触れている感じだ。
「冷静に聞きなさい」そう、前置きをされた。
前置きをされるくらいだ、真剣に後ろにいる八雲さんの言葉を静かに聞く。
「彼方、半神半妖怪に、なりかかっているわね。すごく無理しすぎているのね、これ」
「これ」というのは、取り込んで保持する状況のことだろう。始めはつらかったけど今離れてきたのかそうでもなかった。むしろ少しずつ気にすることもなく。
自身でもよく理解できた。自分の言っていることに。
……つまり、妖怪になりかかってるのか?青ざめながら、確認をするように言葉を出す。
「ほんと?」
真剣な表情でうなずかれる。
「えっと、どうなるんでしょうか……僕」
「とりあえず、今は神様の力が反発するように中で回っているけど……また別のタイミングでさっきみたいに言葉が出て周りに被害を出したら大変よ。たぶん、それは反発しあって負けている力が出てきているのだろうけど……」
そうか、その負けているほうは
何も言わなくても、よくわかった。口から出して被害を与えるのは今の僕の神様である力そのものだった。
無に返すように、また浄化するようなその力がさっき出た事に合点がいった。
「今からいろいろ道具を持って来てこの状態で一度止めるは。そして式神として契約して……そうね、何個か取り決めもしたほうがいいわね」
慌てるように数個のスキマを開く紫。
最後に「いいわね!」と、念入りに強く言われ僕はこの場を動くことなく待つことになった。
その後は指に札と同じ効力を持った、紙の輪をはめ指一つ一つにはめ。
取決めと式への契約をすることになった。
――――
それで、一日が過ぎたと言われたが、今の僕の体の調子は以前より良くなって出てきた。
お礼を一礼して八雲紫へと言う。
「紫様、ありがとうございました。僕、八雲
「ええ、よろしくね……でも、本当によかったわ。これからお願いね」
「はい!」
「じゃぁ、先ほど言ったとおりに、もう一人にも挨拶来てらっしゃい。その後は、少し幻想郷を見てきなさい。あなたの暮らす場所なのだから……何かあったら呼んでもらって構わないは」
「わかりました、では行ってきます!」そう言い、僕は八雲紫と同じ色の白と紫の綺麗な服を着て、もう一人に挨拶するべくスキマを通ることになった。
今は幻想郷の、ちょうど昼に差し掛かる時だ。
僕は、二つの赤い柱の間に飛び降りる。
「綺麗な鳥居、ちゃんと綺麗に道も掃除されてるし……いい人がやっているんだな」
僕は、期待を膨らませある人物を探すように足を前へと動かした。