青き炎と巫女と化身使いと【コラボ小説】   作:ゆきまるる

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座右の銘さんに書いていただきました。


第5話

シオンのおかげで、無事校庭を借りられた雷門イレブンーーと言っても今居るのは円堂だけだがーーは、彼女に感謝を述べていた。

 

「本当にありがとな! えっと、名前……」

「構わん。私はこいつらが練習を見たいとせがんだから、せめてちゃんとグラウンドが使えてるサッカー部を見せたかっただけだ」

 

シオンは目線でチラリと於野兄妹を見る。

当の二人は、円堂たちを見てヒソヒソと話していた。

 

「この頃って、まだ円堂監督たちは弱かった頃だっけ?」

「あの様子じゃまだ帝国とやり合う前だろうな」

 

2人は、元の時代で円堂から聞いていた当時の話を思い出しながら、練習を見ていた。

弱小だった彼らは、円堂以外誰もグラウンドに来ていなかった。恐らく、いつものようにグラウンドが借りれず、今日も練習が出来ないと思っているのだろう。

紅葉が、円堂を見上げて尋ねる。

 

「ねぇ、他の人たちは? サッカーって、11人居ないと出来ないでしょ?」

「あ、あー……実は、俺たちまだ部員が7人しか居なくてさ。あ! なら、サッカー部に入らないか⁉︎ あ……でも君は女の子だから、マネージャーになるかな」

 

円堂の言葉に、紅葉は不服そうにぷくっと頬を膨らませる。

 

「むー。これでもフィールドプレイヤーやってます」

「えっ⁉︎ でも、小学生のチームだからだろ? ほら、中学校の大会は男子だけだから……」

「ボクはこう見えても中学二年生です‼︎ ちっちゃいからってバカにしないでおくれよ‼︎」

「えっ……⁉︎ そ、そうなの……?」

 

円堂は、目の前にいる小学生だと勘違いしていた同い年の少女に、ただただ驚いていた。

対して年下扱いされた紅葉は、プンスカと怒っている。

 

「もーっ‼︎ 人を見た目で判断したら、痛い目見るんだからね‼︎」

「ハイハイ、そう怒るな紅葉」

 

楓は、円堂を押し潰すような勢いで迫っていた紅葉の首根っこを掴み、引き離した。

そして、円堂に提案する。

 

「実は俺たちもサッカーをしていてさ。そうだ。君たちさえ良ければ、一緒に練習してもいいかな?」

「ホントか⁉︎ もちろんだ! 一緒に練習しようぜ!」

 

円堂はキラキラと目を輝かせ、楓と紅葉の手を順番に握ると、「早速みんな呼んでくる!」と言って部室へ走っていった。

円堂の後ろ姿を見つめた2人は、思わずクスリと笑った。

 

「嬉しそうだな、円堂監督」

「うん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方の青木は、3人から離れて一人陸上部へ向かっていた。理由はもちろん、宮坂に会うためだ。

階段に座って、休憩中の彼の背後から声をかける。

 

「了」

「うわぁあっ‼︎ び、びっくりしたぁ……青木さんか……」

「そんなに驚かないで。少し傷付くわ」

「ゔっ……す、すみません……」

「まあいいわ。今休憩中?」

「はい」

「暇。構ってちょうだい」

「えっ⁉︎ で、でも、俺まだ練習が……」

「何よ。休憩中だけでいいから。構ってちょうだい」

「えぇえ……」

 

宮坂は少し困ったような顔をして、狼狽える。それを見ただけでも青木は満足だった。

唸る宮坂の前に、ふと第三者の影が現れる。

 

「宮坂、そろそろ休憩終わりだぞ」

「は、はいっ! 風丸先輩! あ、じゃあ青木さん、俺これから練習なんで! 失礼します!」

 

宮坂は風丸の登場に、そそくさとグラウンドへ走っていった。

ちっ。あいつ、絶対助かったと思ってるな。

青木は憎々しそうに宮坂を見送った。

 

「ごめんな、何か話してたのか?」

 

眉をひそめた彼女に、風丸が申し訳なさそうに声をかける。青木はちらりと彼を見上げ、立ち上がった。そして、そこからトンッと段を軽く蹴って跳躍した。

スタッと小さな音を立てて着地した青木は、風丸の問いなどまるでなかったかのように歩き出した。

一方風丸は、去り行く彼女の後ろ姿を見て、ぽつりと呟いた。

 

「……格好いい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、マジかよ!」

「信じられないでヤンス! グラウンドを使って練習出来るなんて!」

 

染岡と栗松が、驚いて誰もいないだだっ広いグラウンドを見る。他のメンバーも、口を開けたまま呆然としていた。

驚愕したままの秋が、円堂に問う。

 

「でも、何で急にグラウンドを貸してくれたの?」

「ああ、あいつが頼んでくれたんだ」

 

そう言いながら、円堂は遠くにある木の幹に寄りかかるシオンを見やる。彼女を一目見て、秋が円堂に耳打ちする。

 

「円堂くん、本当に赤司さんが?」

「ああ。あいつの親戚が、俺達とサッカーしたいって」

 

円堂が手招きしたのを見て、紅葉は楓の腕を引っ張った。

 

「円堂監督が呼んでるよ。行こっ!」

「ああ」

 

サッカーができる。たったそれだけのことに喜びを感じられる。とても幸せだと楓は妹を見て思った。

2人が雷門イレブン(まだ7人しかいない)の前に立ち、自己紹介をする。

 

「初めまして! ボクは於野紅葉っていいます。ポジションはDFです。よろしくお願いします!」

「俺は於野楓。紅葉の双子の兄だ。ポジションはFWをやってる。よろしくな」

 

にこっと笑いかけた紅葉に、雷門メンバーは少なからず癒しを感じた。

紅葉は基本常に、癒しオーラを放っている。ほんわかした彼女は加えてドジな面もあるので、アロマセラピー並みの癒し効果があるのだという。

そして、それが本人無自覚のままに行われているのだから、恐ろしい。

 

ワイワイと話す於野兄妹を遠くから眺めるシオンの隣に、戻ってきた青木が立つ。彼女を一瞥し、その顔を見ることなく話しかける。

 

「お前は参加しないのか?」

「興味ありません」

「そうか」

 

お互いの顔を合わせないまま、会話は終わる。彼女らの瞳は、何を見ていたのだろうか。

とはいえ、彼女らを見ていた生徒達から、美女2人が木に寄りかかっていると、写真や悲鳴の嵐が湧き上がったことだけはここに記しておく。

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