あとちょこっと他作品とのクロスが入っています。地名と人名だけですが……
それではどうぞ。
やあ、みんな。私の名前は
だって自分、前世は男だもん。
テンプレ通りにトラックに撥ねられ、気がついたら白い空間でどっかで見たことある外見の女神様と出会っていた。自分の他に何十人もそこにはいたけどね。そしてこれまたテンプレ通りに、女神様のミスでみんなを死なせてしまったからお詫びに転生させてあげるよ、キャハって言いおった。ちなみに彼女が犯したミスは、日課である織斑一夏の観察をしながら書類を裁いていたことが原因らしい。ゲームのながらプレイですね、わかります。
理由を聞いたときにはこれはひどい、と思わず呟いてしまったが、他の奴らの歓声にかき消されてしまった。まあ、自分のようなことを思っている人々が一割にも満たないが、他にいたことは良かったと思う。
そんなこんなで、さっさと特典を決めて転生したんだ。
――肝心な、性別とかその他もろもろを決めずに……
そして今、私はIS学園の一年一組の教室に居る。もちろん織斑一夏もいる。他の転生者らしき男達も何人かいる。クラスメイト数人の話を盗み聞きしたのだが、ほかのクラスにも何人か男性操縦者がいるらしい。詳しい数は分からないが、噂や世間話の内容から、少なくとも十数人はいると覚悟したほうがよさそうですねぇ……
だが、私は諦めるわけにはいかない目標があるのだ。その為にも、彼らには私の踏み台になってもらおう。
そう、私の目的――織斑一夏と
私が何故こんな目的を掲げているのかというのにはワケがある。それは、私が男性としてではなく、女性としてこの世界に転生したことだ。これはメリット、デメリット双方孕んだ要素である。
まずメリットとしては、女尊男卑社会の恩恵をフルに受けられることだ。だって女性というだけでいろいろ安くなったりするんだよ? 利用しない手はない。ただ行き過ぎた女尊男卑だけは勘弁な! あれは見ていて気分のいいものではない。前世が男であるということもあるが、今生は女として生きているのだ。同じ女として恥ずかしいと考えている。それに、もし全世界の男性がISを動かせるようになったらどうするんだ! という考えもあり、そんなもしもの将来に備えて、なるべくそうした風潮に毒されないように行動してきた。
次にデメリットとしては、現状の社会では、IS操縦者でなければ、女というものは普遍的であるということだ。悪く言えば、没個性ということである。つまり、今のままでは私自身には何の意味はない。このまま何もせずに三年間過ごして卒業すれば、ISに乗ったことのあるただの女という称号しか与えられない。トロフィーの色は多分銅である。でもお前、神様からもらった特典あるじゃん、という声があるかもしれないが、私がもらった特典は、恥ずかしながら
まあ、そんなことがあるため、IS学園卒業以降の人生を考えた場合、代表候補生とパイプを持ったり、男性操縦者と深い仲になったりしておけばマイナスと思われる未来をプラマイゼロくらいには持っていけると思ったのだ。
――しかし、現在の一組のように、この学園には転生者が多数存在する。その中で、戦闘向けな特典をもらっている奴らが九割以上だと考えると、ISでの戦闘で勝つことなど不可能だ。じゃあ、どのような分野で勝てばいいかと考えていき、ある結論にたどり着いた。
即ち、恋愛で勝てばいい。
勉学然り、その他の分野然り、その道のエキスパートがいたら、そちらでも勝つことが不可能だ。だが、恋愛であれば話は別だ。幼馴染やら、同じ学校やらといった条件がなければ、みんなが同じラインからスタートできる。
目下最大のライバルはみんな大好きモッピーだ。もう一度言おう、私のライバルは篠ノ之箒嬢だ。髪の色は私と同じ黒。髪の長さも同じくらい。スタイルは出るとこは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。これも私と同じ。ルックスは他者評価でいいとは言われているが、自分的には前世の婚約者とどこか似ている篠ノ之嬢の方が綺麗だと思う。性格はバタフライエフェクト云々あるから分からないが、もし原作と違うならば、それだけで危機的状況に陥る可能性がある。もし、篠ノ之嬢が大和撫子然とした性格だとどうなるか、想像して欲しい。ヒロインレース独走だろう? つまりそういうことだ。
――そろそろ話を戻そう。そんなこんなで、色恋沙汰ならば、どんな転生者にも勝てる可能性がある。それは断言できる。なんでかって? それは自分の前世が関係している。
自分の前世は、確かにオタクだ。ただ、一般的なオタクのイメージのようにガッツリ二次元にはまっているというものではなかった。
――所謂、オトメンというものであり、また専業主夫予備軍であったのだ。というか事故死しなければ、間違いなく勝ち組になれたであろう境遇であったのだ。それほどまでに、前世の婚約者であった女性は経歴、能力ともにハイスペックであったのだ。しかも、こちらの趣味に理解のある人物だったらしく、お見合いをしたらすぐに意気投合してしまうほどだ。欠点はといえば、少しだけ腐女子の気があったくらいだろう。ちなみに年上で、自分が24くらいの時だったと思う。どうだーすごいだろー…… はい、ごめんなさい。
まあ、そんなこんなで前世に嫁を残して今生に来てしまった自分が最初に目標としたことは、自分の家事スキルを前世の水準に戻すことであった。これは自分が女であるということがわかった時点で開始していた。言うなれば、生まれた瞬間から花嫁修業を始めようと画策していたことにほかならない。自分で言うのもなんだが、狂っている。だが、転生者ゆえに致し方なしと思い、さっさと始めることにした。
前世の水準に戻ったと確信したときは、中学二年の時だ。その頃から、自分はIS学園に入学するための努力を重ね始めていた。もちろん、交友関係も手を抜かない。友人というものが大事であるということは、そういった関係が少なかった前世の時に痛感していたからだ。やっぱり友人は大事だ。だから、IS学園に入学できたこれからも、妥協することはないだろう。
また話が脱線してしまった。いろいろ言いすぎたので、端的に言いたいことを言おうと思う。
自分が言いたいことは、特典に頼らずに自分を磨いているということである。もらった特典は、そういった技能には全く役に立たないものだからね。
そして磨き続けているその技術で、織斑一夏君を落として、最終的にゴールインしようというものである。それがこのキチガイじみたISの世界で生き残る方法だと、僕は国立大学に合格した程度の頭で考えた作戦だ。織斑千冬などの不安要素があるが、どうにかしてみせよう。というかどうにかしなきゃ自分の未来が危うい。だから――やるしかねぇ!
と、気合を入れているうちに私が自己紹介する番が来たようだ。ここで第一印象を良くしておいて、男のまま転生した彼らよりも一足先にクラスの輪に馴染むとしよう。
そう思いながら、山田先生に対して「はい」と返答し、ゆっくりと立ち上がる。その間に誰にも気づかれないように教室全体に気を配る。
金ピカ、褐色白髪、お兄様……
おそらく容姿から察するに、彼らは転生者であるのは間違いないだろう。ヒロインの誰が狙いかは知らないが、彼らには頑張って原作ヒロインを落としてもらおう。彼らが頑張れば頑張るだけ、自分のライバルが減っていくのだ。他のクラスにいる彼らも巻き込んでの大混戦になるに違いない。自分はその様子を横に見ながら、一夏と青春ラブコメを送るのだ。
おっと、そろそろ自己紹介をしないとね。
「諏訪原市立月乃澤第二中学校から来ました品葉愛未と申します。趣味は読書と、料理。これから同級生となる皆様と切磋琢磨しながら、ISのことを学んでいきたいと思っておりますので、どうかよろしくお願いします」
うん、こんな感じでいいだろう。その証拠に周りの女子生徒からは「おぉー」という称賛だと思われる声と、拍手が送られた。このクラスの担任である織斑千冬からも「ほう」という感嘆の呟きらしき言葉が聞こえてきたので、最初の掴みとしては完璧だと考えられる。そう自分に言い聞かせながら、笑顔を絶やさずに静かに着席し、他のクラスメイトの自己紹介を聞き逃さないようにする。これから
そうだ、自己紹介といえば――
『
織斑一夏君の自己紹介が原作と全く違った上に、なんか引っかかる地名が聞こえた気がしたんだけど…… 気のせいかな?
それよりも、リザさん元気かなぁ。風邪引いてないといいんだけど。
品葉愛未と一夏が口にした地名がわかった人は苦笑いしてください。
そのあとに「この世界本当に大丈夫かよ……」と深刻な顔で呟いてください。
特に意味がありませんが……
ちなみにこの作品、前作である『人知れぬ終わり』の執筆途中に息抜きのつもりで「今のIS二次ではやってるかもしれない要素混ぜ込みまくってなんか話作るか」くらいの気持ちで執筆をしていましたが、なんかインパクトがないなと考え、急遽自己紹介にぶっこむことにしました。
ちなみに、品葉愛未の特典はオリジナルのものです。ヒントは、料理に一番必要なものです。
最後になりましたが、ここまで読んで下さり、どうもありがとうございます。
一言でもいいので感想がもらえると幸いです。
これからも、どうぞよろしくお願いします。