Abissale solitudine~海の底に消えた鍵~   作:紅 奈々

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標的2

「とにかく、オレの事はオレからは話すつもりはない。

そんなに聞きたいなら、オレをその気にさせてみろ、Ⅹ世(デーチモ)

話はそれからだ」

 

 

璃王はそれだけを言うと、フラフラとベッドから立ち上がって、そのまま出入り口まで歩き出す。

それを見たシャマルが「おい!」と呼び止めるが、璃王はシャマルの話を聞かず、保健室を出て行った。

 

 

「一週間は無理な動きはすんじゃねぇぞ、璃王!

お前、(あばら)砕けてんだからな!?」

 

 

聞こえていないだろうが、シャマルは遠ざかっていく璃王の背中に言葉を投げた。

雲雀は直ぐ様、璃王の後を追って、保健室を出て行く。

「どうしよう・・・・・・」と、沢田の声がポツリと落ちた。

 

 

「どうすれば良いんだよーー!?」

 

 

沢田の言葉に獄寺と山本も唸る。

璃王の事を聞きたいなら話させる気にしないといけないとか、どんな無理ゲーですか!?と沢田は頭を抱えた。

璃王の性格を考えるなら、まず、自分達を仲間だと、信頼に足る人間だと思わせなければならない。

そうするにはまず、自分たちが神谷を信じなければならないワケで・・・・・・と、沢田は碌に回りもしない頭をフル稼働させる。

でも、神谷が何もしてないって確証がまだないし、完全に神谷のことを信じているワケじゃ・・・・・・あー、もう、どうすればいいんだよぉぉぉぉぉおおお!!と、沢田は頭を抱える。

それを見兼ねたシャマルが溜息を吐いた。

 

 

「仕方ねぇな。ヒントを二つやる。後はお前らで考えろ。

一つ目、璃王は女だ。

二つ目、今の彼奴は立ってるのもやっとの状態で、普通なら1ヶ月は寝たきりの状態だ。

それを根性でどうにかしている。そんな彼奴が人間に危害を加えられるワケがねぇ。

俺が言えるのはこれだけだ。あとはお前らで無ぇ頭絞って考えな」

 

 

「解ったら早く出て行け、男が何人もむさいんだよ」とシャマルは沢田と獄寺、山本を追い出した。

 

 

 

保健室を追い出された沢田達は屋上で考え込んでいた。

シャマルから貰ったヒントと今までの璃王と保坂のやり取りを沢田達は照らし合わせる。

 

 

「そう言えば、何で神谷君を虐めだしたんだっけ?

そもそも、根本的な理由って・・・・・・」

 

 

沢田がそんな事を言い出した時、そう言えば・・・・・・と獄寺が言葉を返す。

そもそも、どうしてこうなったのか、璃王を虐める様になった切っ掛けを思い出す。

 

 

「確か、神谷君が理絵奈ちゃんに告白して、理絵奈ちゃんが神谷君を振ったから神谷君が襲おうとしてきたって・・・・・・あれ・・・・・・?」

 

 

そこまで言うと、沢田は違和感を感じた。

何だか腑に落ちないのだ。

それは獄寺も山本も思った様で、三人で顔を見合わせた。

 

 

「シャマルさん・・・・・・何て言ってたっけ・・・・・・?」

 

 

沢田が確認する様に獄寺と山本の顔を見る。

二人もお互いの顔を見合わせて、沢田の顔を見た。

 

 

「神谷は女だ・・・・・・と」

 

 

「誰が誰に告白した?」

 

 

「神谷が保坂に告白・・・・・・あ!」

 

 

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!?」

 

 

沢田の問いに獄寺が答えると、沢田は確認する様に問う。

それは山本が答えた。

山本が答えた途端、三拍くらい置いた後で、三人は一斉に声を上げた。

違和感の答えが解ったのだ。

 

 

「神谷は女だ・・・・・だから・・・・・・」

 

 

「保坂に告白する筈が無いし、ましてや襲うなんて・・・・・・」

 

 

「有り得ない・・・・・・」

 

 

獄寺、山本、沢田がそれぞれ言う。

そうだ、女である神谷が同性の保坂に告白する筈が無いんだ。

その逆ならあり得る。

悔しいけど、神谷は男である自分たちよりもずっとイケメンで、去年のその時期と言ったら、まだ璃王フィーバーが冷め止まない時期だった。

それを考えれば、保坂が男である璃王に恋心を抱いて告白したが、振られたと言う方が合点がいく。

だけど・・・・・・と、沢田は思う。

沢田の思っていることが解ったのか、獄寺も首を捻った。

 

 

「ただ解らないのは、何で理絵奈ちゃんはそんな嘘を吐いたのか。

しかも、あんな自作自演してまで・・・・・・。

振られたなら振られたでそれで良いんじゃないのかな・・・・・・?」

 

 

うーん、と3人が首を捻っていたら、不意にそう厚さのない鉄扉が開く音が聞こえた。

その後で「その理由、教えようか」と、女子生徒の声が投げられた。

声のした方に目をやれば、三人は驚いて目を見開く。

 

 

「きょ・・・・・・京子ちゃん・・・・・・!?」

 

 

驚愕する沢田達を余所に京子は三人に歩み寄る。

そして、口を開いた。

 

 

「保坂理絵奈は自分が世界一可愛いとかそんな腐ったことを考えてるイタイ子だからね。

璃王君みたいなカッコ良い人に振られたんでそれが許せなかったんだ。

それで、デマを流すことによってクラスの人が璃王君を虐める様に仕向け、保坂理絵奈を振ったことを自分に謝らせようって算段だった・・・・・・て、所かな?」

 

 

京子の言葉に沢田達は絶句する。

保坂はそんな子だったのか?

いや、確かにちょっと思う所はあったが、それでも・・・・・・と、沢田は思った。

京子の言葉に獄寺が掴み掛かる。

 

 

「そんなワケがねぇだろ!?

お前は知らないだろうが、神谷は―――」

 

 

「璃王君は女の子、でしょ?

知ってるよ、それくらい」

 

 

「な・・・・・・っ!?」

 

 

獄寺の言葉を遮って、京子は言った。

京子の言葉に、沢田、山本、獄寺が絶句する。

それもそうだろう。京子は璃王の事を知らない筈だ。それなのに――――。

そんな3人を余所に、京子は3人を見据えて言った。

 

 

「リオン・ヴァルフォアは私の従兄弟のずっと遠い親戚で、私も何度か会ったことがあったから」

 

 

「え・・・・・・っ、えぇええええええええええええ!?」

 

 

京子の言葉に沢田は驚きに絶叫した。

雲雀とマーモン、どっちが好き?

  • 雲雀
  • マーモン
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